大海原の祖なる龍   作:残骸の獣

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五老星ってイマイチキャラが分からんのでキャラ崩壊注意





7 祖龍(モドキ)、五老星に会う

 

「敵襲!敵襲ぅ〜〜ッ!」

 

 

カンカンカンカン!

 

 

某T〇itterの煽り文句の様な警告音が響き、ミラは目を覚ました。

 

もぞもぞと布団から這い出してパジャマ姿のまま海軍のジャケットを羽織り甲板まで上がる、既にガープや他の海兵たちは甲板へと到着し慌ただしく動いていた

 

 

「遅いぞミラ、何をやっとった!」

 

 

甲板で檄を飛ばすガープはいつもより楽しそうだった

 

 

「見ての通り寝てました…貴方が押し付けてきた書類の残りを半徹夜状態で片付けたんですよガープ中将」

 

 

「おっご苦労さん!

それより敵襲じゃ、敵の位置はァ!?」

 

 

「左舷後方!もう1隻は反対側に、もう間もなく砲台の射程距離内に入ります!」

 

 

「分かった!弾ァ持ってこい!」

 

 

「了解!」

 

 

そう叫んだ部下は徐に大砲の弾が何発もストックされた台車を引いてやって来た。

 

 

「肩を壊さない程度にお願いします、また『治療』の名目で逃げられては困るので」

 

 

「ぶわっはっは!安心せい!

反対側は頼むぞミラ、接舷される前に終わらせる!」

 

 

「承知」

 

 

そう言ってミラは寝ぼけ眼を擦りながらも軽い身のこなしでマストを駆け上がる

 

 

「戦闘開始じゃ!皆の者用意せい!」

 

 

「「「了解!」」」

 

 

朝から威勢よく響く海兵達の声、彼らの指揮は充分なようだ

 

 

「むぅん…そおりゃあッッ!!!」

 

 

ガープは用意された砲弾をつかみ取り、あろう事か素手で敵船に向けて放り投げた。砲弾は一直線に飛んでいき、敵船体に命中。その後もガープは次々と砲弾を投げ続け敵船に風穴を開けていく

 

これがガープ中将のデタラメな力の一端だ

 

20発ほど砲弾をくらい続けた後、火薬庫に引火したのか海賊船は船底近くで大爆発を起こしやがて轟沈していく

 

 

「なんじゃい、骨が無いのう」

 

 

「中将の火力がデタラメなだけです、生き残った海賊を回収する用意は整ってますのでスグにでも。

後はミラ()()の方ですが…」

 

 

ガープの副官、ボガードがそう呟いた瞬間、雷鳴が辺りに木霊した。

 

 

 

 

 

 

 

頂上に辿り着いたミラは目を閉じる、するとミラの左手を中心に赤い色をした雷が円を描く様に渦巻き始め、大気がビリビリと震え始めた。

 

やがて雷の円環は軍艦を覆い尽くす程大きくなり尚も轟音を響かせながら回り続けている

 

 

「召雷・電光火蜂(でんこうひばち)…!」

 

 

ミラの叫びとともに大気がいっそう激しく震え、円環の中心から鋭い稲妻がジグザグの軌跡を描きながら天に向かって伸びていく。

それはやがて向きを変え、海賊船の真上に降り注いだ。

一際大きく響く雷鳴、激しい光と衝撃に苛まれた海賊船はマストを中心に完全に焼け焦げ焼失し船体のど真ん中に巨大な穴を開けた。

やがて負荷に耐えきれず海賊船は二つに折れ、そのまま海の藻屑となっていく

 

 

空に輝く雷の円環が消え、ミラが甲板へと飛び降りてくる。そしていつもの凛とした声でボガードに言い放った

 

 

「うん、上手く加減が出来たな。

生き残りを回収してくれ」

 

 

「了解しました、ミラ大佐」

 

 

他の海兵達も突然の超常現象に驚くことも無く作業的に海に落ちた海賊達を捕らえる準備を始めている

 

 

「私は着替えてきます、ついでに顔も洗ってくる…」

 

 

大きく欠伸をしたミラは部屋の中へと戻っていった

 

 

「おう、後でな。

もうすぐマリンフォードへ寄港する。今日はお前さんの昇進日じゃ、しっかりおめかししとけ」

 

 

「化粧などやったことも無い…」

 

 

そうぼやきながらミラは私室へと戻って行った

 

 

「「「「(すっぴんであの美人なのか…)」」」」

 

 

 

海軍大佐ミラ、本日よりから大佐から准将へ昇進

 

 

 

 

 

 

俺氏、准将になるの巻。

この数年間ポツポツ出てくる海賊達をガープ中将と一緒にメタ〇スライム狩る感覚で狩りまくっていたらレベルがモリモリあがって俺はトントン拍子に昇進、ついに大佐を超えて准将になった

 

ガープ中将曰く「中将が1番自由にやれるぞ!ぶわっはっは!」だそうなので取り敢えず中将目指してレベル上げ…もとい階級上げをやっている俺である

 

ちゃんと加減も覚えて死なない程度の落雷を落とせる様になったんだぞ!凄いぞ俺!

 

 

「本日を持ってミラ大佐は准将へ昇進することを認める。おめでとう、ミラ」

 

 

「はい、光栄です。元帥閣下」

 

 

コングさんから勲章を受け取って笑顔を見せる。もうちょい頑張ろう

 

 

「それから、君にはこれからセンゴクと共に聖地マリージョアへ向かい『ある方々』と会ってもらう事になっている。」

 

 

「聖地マリージョアへ?」

 

 

「ああ、詳しい事はセンゴクから聞いてくれ。」

 

 

んー???

聖地マリージョア、といえばマリンフォードのすぐ側にある『赤い土の大地(レッドライン)』の上にある街だ。

そこに住んでるのは『天竜人』と呼ばれる馬鹿…じゃなくて脳足りん…でもなくそれとなく偉い人達。

 

………少し前に1度だけガープ中将と一緒に貴族達が天竜人へ貢ぎ金として収める天上金なるものを護衛した折に聖地マリージョアまで行き、天竜人と会ったことがある。

 

アレは無理、生理的に無理。

だえ〜とかあます〜とか言っててキモいし変な格好してるし何よりあの傍若無人っぷりが気に入らない。神様気取りかよ。

そのまま全員天に召されてください(^^)

あれが俺と同じ『()』の名を持つとか滑稽過ぎてマジ草生えるわ

 

 

聞けば彼等は今の人間の文明を築いた創始者達の子孫らしい……それだけ、それだけで威張り散らしている。アルティメット親の七光り一族である

 

この世界、過去に囚われすぎる節があるよな。親の罪は子の罪、とでも言わんばかりの執拗さだ。

俺が海軍に入隊した頃にも海賊王の血筋が残った子供を孕んだ女を徹底的に探し出して始末しようとしていたし…。

確かエースがそうなんだっけか?

ええやん親父の罪くらい大目に見てやれば、子は子でしょ。

 

 

〝ひえっひえっひえっ、親父に言うぞ!〟

 

誰だお前は

 

 

色々面倒な世界だよなあワンピ時空

 

 

「正直天竜人達に会うのが嫌なんですが」

 

 

真顔で答えたらコング元帥も渋い顔してた、考える事は同じらしい

 

 

「マリージョアから目的の場所までは外から見えないように馬車で移動するから安心してくれ、天竜人に目をつけられても堪らんしな」

 

 

「それは良かった、正直あの連中と話すのは神経がすり減らされる…」

 

 

「ワシもだよ……」

 

 

「「ハァ〜……」」

 

 

二人して深い深いため息を吐いた。

何だかんだでコング元帥と俺は波長が合うらしい、お互いガープ中将やクザン中将の脱走(サボり)の後始末をする苦労を知っているからな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みら、いっちゃうの?」

 

 

「ああ。ステラ、イルミーナを頼む。

…そんなカオするなよ。センゴク大将も付いてるんだ、スグに帰ってくるさ」

 

 

「……うん、気を付けてね」

 

 

なおもステラちゃんはくらい表情をしてる、まあ1度奴隷だった身としてはマリージョアはトラウマだろう。

開放された今でも時々夢に出るらしい、可哀想に。

奴隷から開放された日、彼女はずっと俺の胸の中で泣いていた。

 

奴隷じゃなくなった喜びと

 

恋人を置いてきてしまった後ろめたさと

 

他にも色々胸に抱えた思いがあったんだろう、その心境は当人にしか分からない。あの時俺にしてやれたのは胸を貸してやる事くらいだ

 

話していた恋人…テゾーロだっけ?

何とかならんもんかねー

 

 

「午後にはガープ中将が遊びに来るらしいからもてなしてやってくれ……。

露骨に嫌そうな顔するなよイルミーナ」

 

 

「じぃじやだ…じょりじょり…みらみたいにふかふかがいい」

 

 

やだやだーと言わんばかりにイルミーナは、ぶー、と頬を膨らませながら俺のおっぱいに顔を埋めてくる

 

 

あとイルミーナの能力について分かったことが幾つか増えた、もう数年経過している筈なのにイルミーナの外見が殆ど変わっていない。

悪魔の実の副作用で歳を取るのが極端に遅いのか…だとしたらこの子の年齢何歳なんだ?

相変わらず舌足らずな話し方だし、まあこれはこれで可愛いから良いかな

 

 

 

「ガープ中将に私のふかふかは無理があるな…」

 

 

まあ…確かにガープ爺さんに無理矢理抱き着かれ頬ずりされる姿にはちょっと同情するよ

 

「じぃじやだ…きらい…」

 

 

「それを聞いたらじぃじはまた吐血するな…。

じゃあ行ってくるよ」

 

 

「はい行ってらっしゃい。

イルミーナ、ガープさんが来るまでに一緒にお菓子作りましょう。沢山作ってお隣のマリアさん家にもお裾分けしてあげるの」

 

 

「……うん、おかしつくる。

いってらっしゃいみら」

 

 

微笑ましい二人のやり取りに満足して俺は自宅を後にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真っ白な大理石でできた廊下をカツンカツンと音を踏み鳴らしながら二人の男女が歩いている。

ミラは准将昇格に伴い、コング元帥の指示でセンゴク大将と共に『ある方々』に出会うため聖地マリージョア、その中枢部に近づいていた。

ミラはいつも通りバトルドレスに海軍の上着を羽織り、特に緊張した様子もなくセンゴクの後ろを半歩下がって進む。対するセンゴクは歩みを進める事に雰囲気がピリピリと張り詰めていくようだった

 

 

「ここだ」

 

 

センゴクが大きな扉の前で立ち止まり、扉の前に立つ護衛にその旨を伝えると扉の向こうから「入れ」と声がする。

 

 

センゴクは意を決して扉を開けた

 

 

部屋にいたのは5人の老人、それぞれが鋭い眼光でセンゴクとミラに視線を注いでいた。

 

「海軍准将ミラ、現着致しました。

本日はどのようなご要件でしょう」

 

 

この5人を前にして冷や汗ひとつ掻かないか、余程肝が座っているな…

隣で堂々とした自己紹介をしているミラを横目に内心センゴクは感心していた。

 

 

「…2人とも楽にしてくれ。

ミラ准将、今日呼び出したのは海兵としてではなく、君が『龍』と聞いて話がしたいと思ったからだ」

 

 

『龍』という言葉にピクリと反応したミラ、続けてじとーっとセンゴクを睨む。

 

 

「センゴク大将、誰から…いや。

どうせガープ中将か……あの人も口が軽いなあ…」

 

 

「済まない、こうするのが最善だと判断した次第でな」

 

 

「…まあいいさ、だがもう無闇に広めてくれるなよ?」

 

 

「その件に関しては安心してくれ、君の秘密は我々が責任を持って隠蔽しよう」

 

 

センゴクを庇うように五老星の1人が言い放つ

 

 

「自己紹介が遅れたな、我々は世界政府の最高責任者。『五老星』と呼ばれている。」

 

 

「これはこれはご丁寧に。

我が名はミラ、またの名を祖龍ミラルーツ。

辺境の無人島出身の田舎者だ☆」

 

 

茶目っ気たっぷりに言ってはみたものの、五老星の反応はイマイチだった。

隣でセンゴクはますます顔を青くしている

 

 

「……コホンッ、で?

世界政府の最高責任者達が我などに何用か。まさか自己紹介する為だけに呼び出したわけではあるまい?」

 

 

「ああ、早速だが本題に入ろう。

単刀直入に聞くが祖龍ミラルーツ、君は…」

 

 

 

 

世界を滅ぼす気はあるのかね?

 

 

 

 

五老星の間を静寂が支配した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………は?

 

 

何を仰ってるんだこの爺さんがたは

 

急に呼び出して世界滅ぼす気あるのかとか、耄碌か?ボケてるのか?もっと外に出て運動しろよ、部屋に篭ってばかりじゃボケが進行するぞ?

 

…あー、成程。俺の事が怖いのね。

龍の癖に人間の身体して社会に紛れ込んでるから疑ってるのか。『知らない』って事は1番怖いことだもんな、なら俺の事を知ってもらえれば爺さんがたも安心するハズだ!

 

という訳でひっさびさに人化を解いて祖龍の姿に戻ってあげた。

 

ん〜〜…ッ、久しぶりに戻ったから関節の節々が痛いぜ…

 

 

案の定皆「おぉ!?」とか驚きの声を上げてぽかんとしてる、ドッキリ大成功?

 

 

『世界を滅ぼすのかと聞いたな老人共。

我の姿を見てみろ、この姿は貴様らにどう映る?』

 

 

呆気に取られていた爺さんたちはようやく気を取り直し皆ウムムと考え込んでいるようだった

 

 

『確かに我は容易に貴様等を殺せる。

この爪も、牙も、尻尾も、吐息でさえも脆弱な人間にとっては致死となるだろう。

だが、だ。仮に我が貴様等を本気で滅ぼす気ならば、わざわざ海軍というヒトの作った組織に所属し、言われるまま海賊達を狩り続けチマチマ階級を上げていく必要など無いだろう?』

 

 

「むう、それは…」

 

 

まだ信じてもらえないみたいだ

実はこの姿になると声が川澄〇子さんから中田譲〇さんレベルにまで低くなってるらしい、それで威圧感出ちゃってるのかもしれない。

 

 

『貴様等が我をどう受け止めるかはそちらに任せる、だが我の目的は社会に溶け込むこと。初めからそれに尽きる。』

 

 

一生懸命「俺は無闇に人を傷つけたりしないよ!信じてよ!」と説明しているつもりだが祖龍口調(フィルター)のせいでなんか意味深に聞こえるぞ!

頼むからちゃんと伝わってくれ

 

 

「………承知した、現に君が海軍に所属し働いてくれている事でこの疑問の答えとしよう。

我々も君と敵対するのは本意ではない」

 

 

やったあ納得してもらえたぁ!

 

 

『そうか、我も話が分かる人間に真実を知られて良かった。

この姿を見られると大概は問答無用で襲いかかって来るからなあ…』

 

 

「君も苦労しているんだな…」

 

 

なんか同情された、羽も伸ばしたし人間の姿になろっと

 

 

「ふう…久々に羽を伸ばせたな。

それで五老星、我に用はそれだけか?

なら我からも少し聞きたい事がある」

 

 

「我々が答えられる事ならば」

 

 

「……『天竜人』」

 

 

その言葉に五老星の空気が凍った

 

…地雷踏んだか?

 

 

「我と同じく『()』の名を持つ者達。

仕事で何度か会った。

何故あの様な屑共に大それた称号を与え、あまつさえ〝世界の創造主〟として持て囃すのか。理解に苦しむ」

 

 

「………済まない、それについて我々から話せる事は何も無い。

だが不快なモノを見せてしまったことには謝罪する、確かに彼等の行いは余りにも軽率で愚かしい。

この数年でいっそうそれが酷くなってしまった、それを止められなかったのは我々の責任だ。

だがアレでも彼等は今の社会に不可欠な存在故、どうか御容赦を」

 

 

不可欠ね、まあ奴隷みたいに社会の歯車に溶け込んでるんだろう。

この世界人権なんて死んでるも同然だし、だからこそ天竜人のような仮初めの権力者が必要なのかもしれない。

 

暫しの沈黙、そして

 

 

「それもまた、人間の〝自由〟だな…」

 

 

納得したように俺の呟きに五老星は安堵の溜息吐いているのが分かった

 

 

「良い、天竜人の件は終わりだ。

我ももうこれ以上連中の事を気にすまい、貴様等に任せよう。

我からの用は済んだ。他にも聞きたい事はあるか?」

 

 

俺からの問いに五老星は沈黙で返す、きっと俺が人間に危害を加えないと納得してくれたから安心してるんだろう

 

たぶん、きっと

 

 

「なら我はこれにて。

センゴク大将、行きましょう」

 

 

「お、おいミラ…」

 

 

「いい、敵ではないと確認が取れただけでも良好だ。

二人ともマリンフォードに戻り通常の職務を全うしてくれ」

 

 

「ハッ!」 「承知した」

 

 

センゴク大将はキビキビと、俺はゆるーく五老星に敬礼して

 

 

「あ、そうだ五老星。

お前達は我を警戒しているようだが、我はお前達の事、結構気に入っているぞ?」

 

 

「…それは一体……?」

 

 

「今日の世界が均衡を保っているのはお前達の裁量があるからこそ。

海賊王が死に、乱れる世を見てもなおヒトの世を守らんとするその『努力』を我は高く評価する。

良い老い方をしているな、我はお前達が少し羨ましい。」

 

 

龍に〝老い〟なんて来ないから、来たとしてももっとずっと遥か後だ。

モンハン世界では『創まりの龍』とも呼ばれる祖龍に時間の概念なんて存在しない、だから普通に老いていく人間がちょっち羨ましい

 

俺氏、ちょっぴり感傷に浸る

 

 

「世界を廻せよ五老星、()()()()()

じゃあな」

 

 

「「「「「………!」」」」」

 

 

軽い気持ちでひらひらと手を振りながら今度こそ俺達は部屋を出ていった

 

 

は〜堅苦しいの終わり終わり、早く帰ってイルミーナたんを撫でたいな〜

 

 

 

 

 

 

 

 

「凄まじい気迫だったな…」

 

 

ミラが出ていった後、彼女が無意識の内に放っていたプレッシャーから漸く開放された5人はやれやれと息を吐きながら重く閉じていた口をようやく開いた

 

 

「………どう見る」

 

 

「運が良かった、と言う他あるまい。

彼女が博識で、人と対等の価値観を持ち、慈悲の心を持っていなければ我々は今頃彼女の腹の中、もしくは消し炭になっていた。」

 

 

「違いない。

手懐けられれば、等と甘い考えを抱いていた自分が恥ずかしい。

あれには勝てん」

 

 

「彼女の自宅周辺に待機させたCP9に撤退命令を。

我々のすべきは彼女の〝監視〟ではなく彼女との〝共存〟だ、これ以上不審な動きをとるべきではない」

 

 

頭に痣のある五老星の一言に他の4人も頷いた

 

 

ミラと直に対面して分かったこと。

それは彼女が自分達に敵意が無いことを示した事でも、五老星の思うような展開に事が運ぶ事でも無かった

 

祖龍ミラルーツ、アレには勝てない

 

実質の降伏宣言だった。

武力では勝てない、如何に策を張り巡らせて彼女を始末しようとしても、龍はその一切合切を退けてしまうだろう。

その先に待っているのは絶対的で、絶望的な破壊と虐殺だ。

恐らく今新世界で幅を利かせる『四皇』ですら彼女は子供扱い出来るだろう、それ程に生物としての絶対的な壁が存在している。

 

そうならないために、ヒトの世界を最大限守る為に五老星はその知恵の全てを絞り出していた

 

 

「どうする?幸い彼女は友好的だ。

そして海軍という我々の管理下にある組織に所属してくれている」

 

 

「ならば高い地位を、彼女にしか就けない特別な地位を与えよう。

彼女が海軍により強い愛着を示してくれればそれに越した事は無い」

 

 

「しかし急な昇格は逆に不信感を与えてしまうだろう」

 

 

「確かに、やるならば海軍が大きく動く時だ。実力も信頼もある彼女なら誰も疑いはしない」

 

 

「では時期が来たら、という事で話を進めよう。」

 

 

「我々と彼女専用の連絡手段も欲しいな、技術班に専用の電伝虫を用意させよう」

 

 

「賛成だ、ホウレンソウは基本だものな。彼女が守ってくれるとは限らんがね」

 

 

小粋なジョークに5人は今日初めて表情を柔らかくした、先程のミラのお茶目には緊張しすぎて全員マトモに反応出来なかったが…

 

 

「1番の問題は天竜人だ、こればかりは極力彼女と彼等を会わせないようにする他ない。

連中の意識は最早どうにもならん、形骸化した世界の頂点だからな」

 

 

「口が過ぎるぞ。中にはまだ王としての気概を持ち、創造主に相応しい人格者も残っている。

…もう数は多くないが」

 

 

「ホーミング聖は本当に残念だった。

彼は地上に対して無知すぎた」

 

 

思い返すのは天竜人である地位を捨て、自ら地上へと降りた創造主の1人、ドンキホーテ一族だった。

他の天竜人達の思想とは異なり、「我々も同じ人間である」と考えた彼等は世界政府の幾度にもよる静止にも耳を傾けず、家族全員で赤土の大地の下へと降りた。

そして酷い報復に会い子供2人を残して惨殺されたようだ。

海軍が遺体を見つけた時は見るも無残な姿に痛めつけられていたらしい

 

 

「彼の一件で確信した、最早確執を埋めることは不可能だろうと。

ならこれ以上悪化しないように最善を尽くすしかあるまい」

 

 

 

「話を戻そう、世界政府は祖龍ミラルーツ、またの名をミラ准将、彼女との仲を内密に、かつ全力で取り持つ方針でいく。異論は」

 

 

「無い」 「無論だ」 「致し方あるまい」「異議なし」

 

 

満場一致で決定した。

 

 

「それに彼女は我々に『期待』していると言った。

生ける伝説にあれほど見込まれたんだ、男ならそれに応える他あるまい?」

 

 

1人の言葉に他の4人もニヤリと笑う、彼等が五老星と呼ばれるようになってから長いが御伽噺の伝説から応援されるなど未体験だった。

年甲斐もなくやりがいと胸の高鳴りに心を踊らせる、彼等は老人で、世界の最高指導者だがそれ以前に〝男〟であった。

 

伝説の龍に見初められたのなら、それに答えられなければ男が廃るというものだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「センゴク大将、緊張していましたね」

 

 

「当たり前だ。あの5人に会う機会など滅多に無い、世界の頂点だぞ」

 

 

「そんな大層な者ですかね、貴方も彼らも、私からすれば皆同じ人間だ」

 

 

「君がそう考えてくれるから、ガープも私に伝えてくれたんだろうな……」

 

 

「そのガープ中将は今頃我が家でお茶していますがね」

 

 

「なんだと…?奴には溜まっていた仕事を片付けるようにと言い渡しておいたハズだが……………

ミラ、この後君の家にお邪魔しても良いかな?(ニッコリ)」

 

 

まるで仏様のような優しい笑顔を浮かべるセンゴク、目が笑っていない

 

 

「家が壊れるので外で暴れて下さいね」

 

 

「善処しよう」

 

 

その後、マリージョアから『仏のセンゴク』を連れて帰宅したミラはガープに軽く恨まれた

 

 

 




被り上等のご感想本当にありがとうございます、これからも至らぬ身ではありますが良ければ読んでやって下さい。

感想で頂いた中にイルミーナの容姿ですが主はパズドラ未経験者なのでイルミナというキャラが分からずGoogle先生に画像を探してもらいました。
イメージキャラとそっくりでびっくりしましたよ、自分的にはメイドラゴンのカンナちゃんと件のイルミナを足して二で割った位に考えています。可愛い(確信)

馬子にも衣装、訂正ありがとうございます。
ナッパにクンッてされてきます


次回…グッバイ、オハラ!

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