大海原の祖なる龍   作:残骸の獣

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13 祖龍(モドキ)、自由の責任を負う

 

 

 

 

 

 

 

 

告げる

 

 

歴戦の狩人よ、一騎当千の豪傑達よ

 

この世の創まりを垣間見てなお我に挑む覚悟あるのなら

 

挑むがいい。我は全ての真なる祖、運命の創まり

 

 

我が名は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん」

 

 

朝だあーさーだーよー、修〇が昇ーる

 

…外雨やんけ

 

 

おはようございます、今日も元気なミラルーツちゃんこと俺氏だよ。

 

いやーマリージョアは嫌な事件だったね、まさか崩落事故なんてねー、カワイソウダナー。

…ウン、まあちょっと派手にやり過ぎた感は否めないね。だが反省はしていない。

流石の俺も穏やかな心を持ちながら激しい怒りによって目覚めてしまったよ、真なる祖龍モード。

まさかおでこから角がもう1本生えて翼トゲトゲするなんてね〜、ハンターあんなのにたった4人で挑むなんて気がふれてるとしか言いようがないですわ。

 

 

あの後、退院したスパンダムは親父の遺した仕事を片付けるためにマリージョアへと赴き、そこで心機一転やり直すことに決めた。サポートにはスパンダインの元部下が付いてくれてるらしい。

親父が死んだ事については多くは語らなかったけど俺の事は恨んでないみたい。「ミラさんがやらなくても親父はいつかきっとこうなっちまう運命だった」と言って笑ってた。流石に跡形もなく消滅させられるのは後にも先にも俺しか出来ないと思うけど…。

 

 

アイツが今後上手くやれるかはアイツ次第だろう、原作通りに進めばいいが…

まあやってしまった事は仕方ない、後ろから刺される覚悟はしておこう。それもまたスパンダムの自由だ。

 

 

んで、イルミーナも軽傷だったため直ぐに退院。マリアさんとジェイクはまだ入院中だ。

マリアさんが目を覚ました時のゼファー先生の顔、凄いことになってた。本当にマリアさんの事好きなんだね先生。

 

ボルサリーノ中将にも御礼言ったんだけど「後でウチにステラちゃんの特製プリンを20個くらい届けてくれればそれでいいよォ〜」と地味にキツいお返しを要求された。今度ステラと一緒に作って届けに行こう。

 

 

 

「ふみゅ……おはよ、みら」

 

 

仰向けに寝転んでる俺のお腹の上でゴソゴソ動きがあって胸の谷間からひょこっとイルミーナの頭が顔を出した。

 

朝からモフモフで可愛いなーこいつめ

 

 

「ふにふにぃ……」

 

 

「おはよう、もう腹は大丈夫か?」

 

 

「うん、ぜんぜん痛くない」

 

 

「よし、じゃあ起きよう。ステラの朝ご飯が待ち遠しい」

 

 

「うん」

 

 

寝ぼけ眼のイルミーナの手を引いて、台所へと歩いていく。

 

今日も一日頑張ろー

 

 

 

 

 

 

 

さてさて、今日も元気に海軍本部島内の巡回だ。先の居住区襲撃もあって尚更ピリピリしている海兵たち、今日の相棒はストロベリー准将だっけ?

それが終わったらコング元帥の所に行って報告を聞かなきゃいけないらしい。

 

 

いつもの集合場所まで行くとそこにはストロベリー准将が、あの人頭長いからすぐ分かるな。

…アレ?ロンズ少将も一緒だ

 

 

「おはようございます、ロンズ少将。

今日の巡回は私とストロベリー准将のハズですが……」

 

 

「おおミラ准将、おはよう。

それがコング元帥から急な呼び出しでな、今すぐ向かってもらえるか」

 

 

「急な呼び出しですか、お説教かな?」

 

ハハハとロンズ少将が鉄仮面越しに笑う、夏場蒸れそう

 

「君に限ってそれは無いとは思うがね、巡回は私が代わるから行ってきなさい。」

 

 

「承知しました、ではストロベリー准将、ロンズ少将、失礼致します。」

 

 

「うむ、気をつけてな」

 

 

軽く2人に挨拶して俺は一転、コング元帥の執務室を目指した。

 

 

 

 

 

 

「よく来てくれたなミラ、まあ座ってくれ」

 

 

特筆するようなことも無くコング元帥の下まで到着、部屋に入ったのはいいんだがそこにはセンゴク大将にガープじいさん、おつるさんにゼファー先生まで同席してた。海軍の大物達が雁首揃えてお出迎えである。威圧感ヤバイ、祖龍フィルターなかったらチビってますよ。

 

 

「それで、海軍の重鎮が揃って私などを出迎えてくれた理由をお聞かせ願いたいのですが」

 

 

コング元帥はウームと少し唸る、余程話しにくいことなのかな。他の4人(ガープじいさんだけはニヤニヤしてるけど)もなんとも言えない表情で俺を見てる。

 

 

「実はな、ミラ。君を……大将に昇格させようという話が海軍本部内で上がっている」

 

 

…………why?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大将…?

 

たいしょー…?

 

たいしょーくん…?

 

 

「だばだばだばだば……」

 

 

「おいミラ!帰ってこい!ミラ!」

 

 

ハッ!?一瞬意識がとっとこ時空へinしてた………

 

海軍大将っていったらあの大将?

センゴク大将と同じ階級で、バスターコール(笑)を発動可能になるアレ?

 

 

「………何故私が急に大将に…?

コング元帥は私の今の階級をご存知のハズですよね?」

 

 

そうとも、只今の俺の階級は准将。

クザンにーさんやサカズキ中将も能力者補正で早めの昇進をしたとはいえそれでもまだ中将だ、それを海軍入って数年そこらの俺が3階級特進で大将!?階級制度舐めてるのか。

 

 

「ああ、重々承知しているとも。

それもふまえてこの話を持ちかけている。」

 

 

「何故なのか理由を聞いても?」

 

 

「五老星からの要請だ」

 

 

「…………ちょっとマリージョアを焦土に変えてきます、探さないで下さい。」

 

 

「「「待てぃミラァッ!!!」」」

 

 

あ の ジ ジ イ 共

 

五老星の間にブレスぶち込んでやる、それも真祖モードのブレスだ!ビームだぞ!撃ち降ろしで上から薙ぎ払ってやるからな!

 

ようし、祖龍ちゃん頑張っちゃうぞぉ★

 

すっくと立ち上がり部屋を出ようとした俺はガープ中将、センゴク大将、ゼファー先生の3人に取り押さえられた。

 

ドサクサに紛れて胸を揉むなガープ爺さん!このエロジジイ!

 

 

「離してください…!あの老人共に老後の安らぎを与えに行くのです………!」

 

俺は普通の海兵として平凡に出世したいって言ってんだルルォ!?

 

 

「落ち着け!気持ちは分からんでもないが落ち着いて話を聞いてくれ!」

 

 

センゴク大将の必死の説得により

 

▶おれは しょうきに もどった !

 

ので改めて座り直し、コング元帥をジト目で睨みつけながら問い詰める。

 

 

「実はな…近々聖地マリージョアで世界会議(レヴェリー)が行われる事になっている。

その為の人員派遣として海軍からも警備に人を出す事になっていてな。」

 

 

「いつもなら現大将2人と少将以上10名ほどで事足りるのだが…如何せん先の災害の煽りを受けて、警備の数を増員しろと世界貴族から要請があった。」

 

 

へえ〜世界会議ね、政府加盟国が集まって話し合うアレか。

それをするのに海軍の警備を増やせと……ん?

 

 

「災害………災害…?」

 

 

キョトンとする俺にセンゴクさんは新聞を見せてくれた

 

 

「なんだ知らんのか、先日マリージョアで起きた大規模地震の事だ。

なんでも地面が丸ごと陥没して赤い大地に隙間ができる程の被害が出たらしい、200人以上が犠牲になったいたたまれない事故だよ」

 

 

「災害…そうか、災害ね…」

 

 

恐る恐るゼファー先生の方をチラ見すると彼もバツの悪そうな顔をして腕組みしていた。

どうやらセンゴクさんは気付いてないらしい、じゃあ黙ってよ★

 

 

「ですが警備の増員と私が大将になる事に何の関係が…」

 

 

「世界会議の行われる間、海軍本部の戦力が著しく損なわれるからだ。

今回の増員で私やガープ、コング元帥におつるさんは勿論クザン、サカズキ、ボルサリーノを含む現職の中将達もマリージョアへ上がらねばならん。

そこで臨時に優秀な准将クラスの将官を大将まで昇進させて指揮を任せる案を採用することになった。

お前が嫌なら他の者を探さないといけないんだがアテはあるか?」

 

 

「……ゼファー先生」

 

 

「俺ァ訓練校のガキどもの相手が忙しい」

 

 

……アテ無いなあ

 

 

「という訳で、実力も人望もありなおかつ信頼に足る人物を選んだ結果ミラが最適という判断に至ったわけだ。

五老星の後押しもありきだがな。」

 

 

やっぱり五老星のせいじゃねえか!

 

 

「やはりマリージョアに終焉を…」

 

 

「待って!?気持ちは分かるけど待って!!ワシの胃が死んじゃう!」

 

 

「むう…コング元帥の胃を人質に取られては仕方ない…。

焦土作戦は諦めましょう。」

 

 

 

苦労人仲間のコング元帥の胃が天元突破するそうなので渋々マリージョア襲撃は諦めた、五老星の所には後でイタ電掛けまくってやるから覚悟しとけ。

 

 

「大将になるといっても臨時で、しかも短い期間だけだ、それにこちらでキチンと仕事の経験は積ませてやるから安心しろ。」

 

 

「そうだねえ、ミラは実力は既に大将クラスに匹敵しているし問題無いよ。

他の将校たちもアンタなら大丈夫だと予め確認も取ってある、逃げようとしても無駄さ。諦めなミラ。」

 

そう言うおつるさんが取り出したのはなんか色々書いてある用紙の束だった。わざわざアンケート取って俺を追い込むのか大参謀……抜かりなし…

 

 

「おつるさんがそこまで裏で手を回していたとは……。

はあ〜…観念しましょう。

大将代理の任、謹んでお受け致します。」

 

 

「ああ、よろしく頼むよミラ。

正式に任命されるのは後日だが、早速大まかな仕事の流れ説明をしよう。」

 

 

「ぶわっはっは!頑張れよォミラ!」

 

 

「他人事だと思って…」

 

 

俺氏、大将代理(期間限定)になりました……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…………何かね』

 

 

「しらばっくれるなよジジィ共、我の昇進の件だよ!」

 

 

俺が大将代理に任命され、センゴクさんから色々ご享受頂いたその日の夜。

クタクタになりながら俺は五老星に鬼電してやった。

 

 

『あれは仕方の無い決断だった、警備を増員するとでも言わないと世界貴族達は納得しなかったんだ。それで臨時で君を大将に仕立てあげる案が浮かんだ。』

 

 

災害だっつってんのに警備を増やしてどうにかなるとでも思ってるんでしょうかね世界貴族は…

災害派遣の自衛隊扱いか!

 

 

「我の事は人目に触れないようにするんじゃなかったのか?

大将に昇進、しかも准将からの叩き上げだぞ?そんなぶっとんだ話題、海軍内部ならともかく新聞にも知れ渡ってしまうだろう。どーしてくれる」

 

 

『それに関しては安心してくれ、既にダミーの情報を新聞各紙に掴ませておいた。

君の本当の素性を知るものはいない、我々の情報操作能力を舐めないでくれたまえ。』

 

 

受話器越しにドヤ顔が伝わってくる、腹立つ。

 

 

『それに…今回の件に関して根本の原因は君にある。

君が赤い大地を削り取ったから貴族達の不安を煽ってしまったんだぞ。その結果が今回の増員だ。

いわば自業自得、自由には責任を負わねばならんと思わないかね?』

 

 

「むぐっ!?ぐぬぬぬぬ………」

 

 

それを言われると弱い…小賢しい人間めえ…(精一杯の罵倒)

 

でも一理ある、元を返せば俺が原因で起こった不測の事態(イレギュラー)だ。なら責任はとらんとね。

 

それが人としての常識だもの。

 

 

「はぁ〜〜〜…分かった。身から出た錆だ、大将代理をやってやる。

海軍本部の事は任せろ。」

 

 

『伝説の龍が守ってくれるのなら安心だ、これで我々も世界会議の議題に集中できるというもの。』

 

 

「おだてよってからに……。

で?その世界会議とやらでは何を話し合うんだ?

聞けば王たちが一同に会しての大規模な会議らしいが。」

 

 

『殆どは大まかな各国の状況把握だ。国とは人の集まり、何時何時(いつなんどき)不測の事態が起こるとも限らないからな。』

 

 

へえ〜。

と、その後も五老星は話を続けてくれて、俺に色々教えてくれた。

 

王国を転覆させようとしている『革命軍』なる存在がいると。今はまだ小さな組織で各国に警告を出す程でも無いが彼等は国に忍び込みゲリラ戦術を使って国民の不安を煽る、そして反乱を起こさせる。

それによって争いが起こり一般市民に被害が出る。

そうならないためにジジィ共は国の状況を把握し、必要なら工作員を送って平穏を守ってるらしい。

 

……その工作員200人くらいコロコロしちゃったよね、俺。

まぁいいや(思考放棄)

 

 

とーにーかーくー!俺がすべきはもぬけの殻になった海軍本部を守る事、シンプルイズベストだ。

もぬけの殻といっても現職の中将、大将がいなくなるだけでジョン少将達頼れる少将、准将sがいるから戦力的には問題ないだろ。巡回のシフトが詰めっ詰めになるくらいだ。

面倒な執務作業は……モモンガ少将に手伝ってもらおう。

 

 

「凄いじゃないミラ、大将代理だなんて。」

 

 

「期間限定の留守番だがな。

これから忙しくなりそうだよ……それと、お前の恋人もクソジジイ共を通じて捜索させてるしな。

少しくらい向こうのワガママ聞いてやらんと。」

 

 

そう、実は今こっそり五老星に依頼してステラの恋人、ギルド・テゾーロの行方を追っている。

ステラと共にマリージョアへ連れてこられたのは判明したんだけど何処の世界貴族に捕まってるのかまではまだ絞れていない、天竜人絡みになると五老星も動きにくいようだ。

〝0〟は完全に天竜人側の組織だからね。五老星も慎重に事を運んでいるんだろう。

場所さえ分かれば忍び込んで連れ帰るツテはあるから、時間の問題だネ。

 

 

「ごめんねミラ、ありがとう…」

 

 

「別にいいさ、恋人なんだろ?

あのジジイ共の有効活用だ。」

 

 

「………うん」

 

 

「みら、センゴクおじちゃんと同じくらいえらくなるの?」

 

 

「そうだぞー、ちょっと忙しくなるから帰りが遅くなると思うが……あ、そうだ。

イルミーナを雑用係として本部で登用出来ないか聞いてみるか……。

イルミーナ、私が仕事のお手伝いして欲しいって言ったらやってくれるか?」

 

 

「うん、する。みらのお手伝い…!」

 

 

「そうか〜イルミーナはいい子だな〜」デレデレ

 

 

「仮にも海軍大将がそんな緩みきった顔していいのかしら……」

 

 

膝のイルミーナたんを抱きしめて頭をナデナデ、最早精神安定剤と化しつつあるモフモフ幼女である。

 

まあ守るっつってもここは天下の海軍本部、攻め込んでくるような馬鹿な海賊なんてそうそういないだろ!

 

 

 

 

 

いるとすればそれは相当なイカレ野郎かアホな死にたがりだ

 

 

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんて考えていた時期が僕にもありました。

 

最近大人しいと思ってた俺の災難体質舐めてた。

 

目の前に広がるのは海賊船の大艦隊。

迎え撃つのは俺とモモンガ少将、オニグモ少将及び20名の准将、少将の率いる軍艦30隻余り。

先頭の一際大きな海賊船に乗る大男は荒波も砲撃音も掻き消す様な大声で俺達に告げた。

 

 

「俺に死に場所をくれよォ……海軍ウウウウウウウンッ!!」

 

 

 

…玄〇哲章ボイスで…

 

 

 

 

…………

 

 

「お姉様ハァハァ…//

うへへへ…凛々しいお姉様のお姿もまた美しい…お姉様の御御足あったかいナリィ…」スリスリスリ

 

俺の脚に頬擦りしてないでお前も戦え変態女!

 

 

何が起こってるのか俺にも分からねえ…

 

 

「どうしてこうなった……」

 

 

俺の呟きは轟々とうねる荒波の音にかき消された。

 

 

 






オリキャラの登場は次回に回します、最後に出てきた大男は一体ダレナンダロウネー



次回、変態来る

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