大海原の祖なる龍   作:残骸の獣

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はじめまして、残骸の獣です。
ワンピのSSを行き当たりばったりで書きます





1 祖龍(モドキ)、島に君臨する

小鳥たちの声が聞こえ目を覚ます

 

まだちょっと眠い

 

もう少し寝ていよう……スヤァ…

 

 

え?話が進まないから起きろ?

 

しょうがないでござるな〜

 

 

 

 

オッス!オラ祖龍!

元は人間だったんだけど知らない間に死んじゃったっぽくて気がついたら巨大な白い体躯に長い首、そんでもって赤い瞳のおっきなドラゴン。俗に言う祖龍ミラルーツにそっくりな姿で転生してたんだ!

突然こんな姿で放り出されただけでもびっくらこいてたのに俺が今いるのは小さな無人島、おっかなびっくり羽根を広げて空を飛び、島を一望してみた感じ周りは見渡す限り海だった。

 

 

すまない、唐突な転生で本当にすまない……

 

 

 

最初はドギマギしながら過ごしていたけど結構な時間を過ごしていたからこの身体にも慣れた、いまでは羽もブレスも雷も自由自在に操作できるゾ

 

祖龍、それは『モンスターハンター』の世界でも最高クラスの実力を誇る龍の中の龍。

作中では伝説の中の龍と呼ばれその名は「運命の創まり」を意味しているともいわれるモンハン界の裏ボスの一体だ。そんな御伽噺の一説に出て来るようなドラゴンに俺は転生したらしい

 

でも慣れた今では特に生活に困ることは無く、腹が減ったらそこらの森から命を頂戴し寝たい時に寝る、そんな生活を送っていた

 

そんな感じで自由気ままな龍生活を送ること数十年(体感)

 

 

俺はふとミラルーツに関するある事を思いつき実行に移すことにした、最初は興味半分で始めたんだけど…

 

………………本当に出来ちまった…

 

 

鏡がわりに湖面を見れば白い髪を束ねて纏め、ルビーのように真っ赤な瞳とシミ一つない綺麗な肌、豊満な胸。某神絵師様ワ〇アルコ先生が描き下ろしたような美麗なグラフィックのキャラが驚愕の表情しながら水面には映し出されてた、fat〇的に言うならランサー、アルトリア・ペンドラゴンの髪を白くして目を紅くした感じ。…アルトリア顔がまた増えたぞ、消さねば(X並感)

そして服装も何故か生成された白に赤い線が入ったシャレオツなバトルドレス、ロングスカートでスースーするよ。

 

そう、俺はミラルーツの逸話の中にある「人化」の能力を試してみたのだ。

これが大成功、人型になれたことによって狭い場所にも入れるようになった。んでもって普段は小さ過ぎて入れないような場所を捜索していたら近場の洞窟の奥で大量の財宝を見つけた。

でも龍になったせいなのか「あ、なんかキラキラしたのがいっぱいある。すごーい」位の感情しか湧かずお土産として近場にあったテオ・テスカトルの太刀によく似た赤い刀身の刀を持って帰り自宅(巣)に置いておく事にした位だ。

恐らく俺の中の数少ない人間だった頃の感情、「刀ってカッケェ!」とかそういうのが影響したんだろうか

 

そんな財宝を狙ってか狙わずか、この島にはよく人間達がやって来る。大小様々な船で大体の船はドクロの着いた海賊旗、ジョリーロジャーって奴だっけ?を掲げている

 

 

 

海賊…そう海賊だ!

この島にやって来るのは荒っぽい格好をした如何にもブイブイ言わせてるような海賊ばかり。

この島はオレのもの!とか生意気言う気は無いけど無駄に木々をなぎ倒し破壊活動を行う連中を野放しにはしておけない訳で。

人化も覚えた事だし大人しく帰ってくれないかなーとか一縷の希望を込めて話しかけてみるけれど大体の反応は馬鹿笑いされそのまま襲いかかってくる、その時は返り討ちだ。

龍と人ではスケールが違う、力も大きさも。人間の使う鉄砲の弾や刃物なんかでは俺の身体に傷一つ付けることは叶わないしたまに変な能力使ってくる連中も尻尾の一振りで物理的にログアウトさせられるのだ。

 

龍になったからか人をプチッってしても何ら感想が湧かない、虫を潰した気分だ。なんかフクザツ

 

こんな感じで俺のドラゴンライフは満喫されていた。けどなんだかなー、刺激が足りない…。海賊達を蹂躙するのも飽きが来るからそろそろ何か変化が欲しいな〜

 

そんな生活が続いたある日、島で一番高い古びた塔(マイハウス)の頂上からいつものように島を眺めていると水平線からいつもの見慣れた海賊船とは違う、青で統一され一回りも大きなお船が4隻ほどやって来ているのが見えた。

 

 

…いままで自分がなんの世界に飛ばされているのかはてんで検討がつかなかったがお船の帆に描かれていたマークを見て確信がいった、そしてつい言葉に出してしまう

 

 

「海軍の旗…?」

 

 

ここはワンピースの世界らしい(小並感)

 

 

 

 

 

 

名も無き無人島、その入江付近

 

 

やって来た軍艦からいの一番に飛び出したのは白い髪に白い髭を蓄えた恰幅の良い老人だった。白いスーツに「正義」の二文字を背負う上着を羽織り、笑いながら歩くその姿はまるで新しい玩具を手に入れた子供のようだ

 

 

「おう、ついたぞクザン!

ホレ起きろ!さっさと着いてこい!」

 

 

老人に呼ばれ渋々といった感じでクザンと呼ばれた男性も船から浜へと飛び降りる、軽く伸びをしてから欠伸を繰り返し如何にも眠そうな雰囲気を漂わせている

 

 

「ここが…数多の海賊達が消息を絶つ『悪魔が住む島』ですかいガープ中将。

見た感じのどかな無人島って感じですがねぇ」

 

 

「ドアホ、お前も見たじゃろう。道中のアレを」

 

 

アレ、と言われてクザンは思い出す。

この浜まで来るのに通った岩礁地帯、その所々におびただしい数の大破した海賊船が放置されていたことを

 

 

「その悪魔ってのが本当に海賊達をやっちまったんですかねぇ…」

 

 

「分からん、じゃが百聞は一見に如かず!見たところあの古い塔が怪しいと見た、そこまで行くぞい!」

 

 

言うなりガープはどんどん浜を抜け、鬱蒼としたジャングルへと足早に歩いていく。

 

 

「本当に楽しそうなんだからもう…」

 

 

ため息を付きながら突き進むガープを渋々追いかけるクザンであった

 

 

 

 

 

 

◆loading…………◆

 

 

 

 

 

 

己が正義に順じ、海の平和を守る海軍。

その中でも指折りの実力者であるクザンと老齢ながらも未だ現役、そして海軍の英雄とまで言われたガープに下された命令は初めは簡素なものだった

 

「最近名だたる海賊達が相次ぎ消失している海域の調査」

 

それが当初の目的である、中には億超えの凶悪犯もその海域で行方不明となったとの報告もあり、海軍大将センゴクは今回の調査に暇そうでかつ戦力としては申し分ないガープとクザン、オマケに軍艦を4隻も寄越して今回の調査を依頼した

 

どうせ暇だろう、という建前であったが億超えの海賊達が行方をくらまし、海軍打倒のために集っている恐れもある。故に億超えの海賊でも大体殲滅可能なこの2人に任せたというセンゴクの意図もある

 

 

クザンも初めは面倒な海域調査、程度に思っていたがこの島に入ってからというもの、至る所に投棄された無人の海賊船、そして海賊旗から推察するにかなりの実力者達がこの島で文字通り消えているという実態に内心不安を隠せないでいた

 

 

そんな本人の気も知らずにズンズン密林を突き進むガープ、目的である古びた塔に向けて距離を縮めて行った

 

 

「む!?クザン、見てみいこれを!」

 

ガープに言われるがまま側にあった大木を見つめ驚愕する

大きい、あまりにも大きな爪痕がありありと木の表面に刻まれていた

 

ここまで大きな傷跡は並大抵の動物が作れるものでは無い、では一体何がこの跡を残したのだろう?

 

 

「デカイ爪痕だな…インペルダウンの猛獣共よりデカイっすね」

 

 

「おお!?ならドラゴンかのう!

楽しみじゃ!」

 

 

「ドラゴンって…御伽噺じゃないんだから」

 

 

この爺さんは本当に緊張感というものが無い…そう思いながらクザンはこの島に入ってからもう何度目かも分からないため息を吐くのだった

 

 

 

 

 

塔は目前、ジャングルを抜け広い空間に出たところでガープは歩みを止める

 

「どうしたんですかガープ中将…?」

 

 

「止まれ、何かがおかしい」

 

 

いつになく真面目なガープ

目の間に広がる空間はまるでローラーでもされたかのように不自然なほど地面が真っ平らだった、そして骨だけになった亡骸が多数転がっており所々地面が焼け焦げた跡がある

 

「何をやったらこんな風になるんでしょうね…」

 

「まるで馬鹿でかい獣が暴れ回った後のような…む?」

 

 

ガープが食い入るように見つめる先にいたのはこの無人島に似つかわしくない小綺麗な格好をした白髪の麗人だった。

緋色がかった鞘に収まった軍刀を腰に提げ、歳は二十代後半だろうか、その紅く澄んだ瞳は真っ直ぐにこちらを向いている

 

 

「オヌシ、何者じゃ…この島の住人かのう?」

 

 

いつも緊張感のないガープだがこの時ばかりはトーンの低い声を出し目の前の女性を注視している。

じっとこちらを無言で見つめ続ける女性

 

その佇まいにクザンは無意識に手が汗ばむのを感じた。

見た目は綺麗な女性だ、その格好も相まってどこかの金持ちのお姫様と言われれば直ぐに納得がいく

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気まずい沈黙が場を支配する

 

 

そして遂に黙ったままだった女性が遂に口を開いた

 

 

「貴様等…いつもの連中と何か違うな…この島に何用か…?」

 

 

透き通るように綺麗な声だった

 

だがその言葉にはハッキリと自分たちに対する敵意が込められている、。いや、目の前の人間が自分にとって敵か味方かを判別しているのだ。

暫しの沈黙、次第に女性から覇気にも似たプレッシャーが調査隊を襲う。中には耐えきれず膝を屈する者もいた

 

 

「ワシらは海賊を探しておる。オヌシに危害を加えるつもりは毛頭ないわい」

 

 

ハッキリとガープは言い切った、流石は恐れ知らずの英雄と呼ばれた男である。くぐった修羅場の数が違う

 

 

「…そうか」

 

 

ガープの言葉を聞いて一変、女性はプレッシャーを放つのを辞め、優しい瞳でこちらを見つめてくる。

その笑顔は容姿も相まって女神のようだった

 

「この島に害成さぬ者ならば…良い。

だが生憎この島には財宝以外何も無い、早々に引き返せ」

 

 

財宝あるんだ、だから狙われるんじゃね?と海兵達の心は一つになった

 

「そういう訳にもいかんでのう」

 

 

緊張の解けたガープはポリポリと頭を掻きながら言う

 

 

「ワシらはこの島の調査に来たんじゃ。

この島は無人島じゃろ?オヌシ、1人っきりでココへおるのか?」

 

 

もっともな疑問である、言ってしまえばこんな辺鄙な無人島に女性1人住んでいると考えること自体がおかしいのだから

 

 

「ああ、私はずっとこの島で暮らしてきた。とても長い間な。

ちゃんとした反応をする客人は久しぶりでな、もてなしが出来なくてすまない」

 

 

くっくと悪戯っぽく笑うに思わず見蕩れる海兵もいた、それだけ魅力的な笑顔だった

 

 

「いいわいいいわい、こちらこそお嬢ちゃんの島に土足で入ってしまってすまんかったな。

ところで…お嬢ちゃんの言った『客人』にこんな顔のヤツらはおらんかったかのう?」

 

 

そう言ってガープは行方不明になった海賊達の手配書を見せる

 

 

「ふむ…記憶力に自信があるほうだ、どれどれ。

ああ、こいつとこいつはそこの木の側に倒れている奴だ。こっちの男はぺしゃんこにしたから磨り潰されて死体はバラバラだろうな、こっちは…燃やしたから跡形も残っていない」

 

 

ぞわりとクザンの背中に冷たいものが走る、綺麗な声とは裏腹にぺしゃんことかバラバラとか燃やしたとか…この娘っ子は何をバイオレンスなことを言ってるのだろうか

 

 

「ぶあっはっは!!

そうか死んだか、ならコイツらはもう良いわ」

 

 

と豪快に笑ったあと手配書をくしゃくしゃに丸めて部下へポイッとなげるガープ

 

奇妙な違和感を感じ続けているクザンは遂に我慢出来なくなって問いかける

 

「結局お嬢さん、アンタは一体何者なんだ?こちとら海軍でね、悪い事考えてるなら君を捕まえなきゃならないんだが」

 

 

「悪い事…?

我は悪意を振りまくつもりは毛頭ないのだが…ちゃんと頂きますとご馳走様は言えるし…毎日頂く生命にも最大限感謝を込めている。

一応理性ある龍としてこの島で暮らしてきたつもりだ」

 

 

…龍?聞きなれない言葉にクザンは首を傾げた

 

 

「この暮らしも長いこと続けて来たが如何せん退屈でなあ、そろそろ新しい島に旅立つつもりだったのだが…」

 

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ。君は一体なんの話をしてるんだ?さっきから話が噛み合わないぞ?」

 

 

なおも戸惑うクザンを尻目に一瞬キョトンとした女性は再びニヤリといたずらっぽい笑顔を浮かべる、そして彼らにこう提案するのだった

 

 

「貴様ら、私と手合わせ願えるか」

 

 

「手合わせぇ!?」

 

 

「然り、なにぶん退屈なのだ。

見たところそこの老兵とお主はなかなかの強者と見た。ならば私と遊んでも壊れはしないだろう?」

 

 

この女は何を言っている?

海軍中将2人を同時に相手に戦闘がしたい、しかも遊びだと豪語した。

 

よほど自分の腕に自信があるのか只の馬鹿なのか…

嫌な予感がしてクザンが隣を見ると彼女の誘いを楽しそうに聞いているガープの姿があった。

直感で彼は理解する。

ああ、面倒な事になる……と

 

 

「いいぞぉ!ワシも強い奴は大歓迎じゃ!クザン、オヌシも付き合えい。

ボガードはほかの連中を船へ返せ、迅速にな」

 

 

「…承知しました、彼女はそういうレベルの相手ということですね…?」

 

 

「分かっておるじゃないか、さっさと行けい」

 

 

「ハッ!」

 

 

ガープの副官、ボガードは彼の真意をいち早く読み取り、部下達を遠くの軍艦へと先導して行った

 

 

「……優しいのだな、老兵。

巻き込まれればタダでは済まないと直感したか」

 

 

「おうとも、お主は只者ではない。

ワシの直感がビシビシ告げておるよ。」

 

 

彼女の周りの空気がガラリと変わる

辺りは電気を帯び始め、ピリピリと肌に突き刺さるような気が漂い始めた。

 

 

「覇気無しにこの気迫、やはり只者ではないのう…なあお嬢ちゃん、名前は?」

 

 

「名か……そうだな…ミラと呼べ」

 

 

「そうか、ワシはガープ。モンキー・D・ガープじゃ。

ミラよ、海軍に入らんか?」

 

 

「海軍に……?ぷっはっはっはっ!

どうした急に、耄碌したか老兵?」

 

 

「まだボケとりゃせんわい。オヌシ、退屈なんじゃろう?ワシらと一緒に働けば楽しいぞ?」

 

 

「ほお、楽しい…愉しいか…。

久しく聞いていない言葉だな、それもまた一興かもしれん。」

 

 

空気が震える

 

 

「じゃあ…行くぞッ!!」

 

 

ミラは雷鳴と共に高速でガープへ接近し右ストレートを腹へ放つ、それを辛うじて受け止めカウンターの要領でミラの顔面へと拳を叩き込んだ。

ゴリッという鈍い音、ガープの拳は山をも砕く愛の拳、喰らえばひとたまりも無い…はずだった

 

ミラは無傷だった

 

ガープの拳を顔面で受け止めたにも関わらず、だ

 

 

「むう!?」

 

 

「クハッ!いいぞ老兵、今ので大体の奴は消し炭になるんだが…やはり貴様は特別らしい。

私に一撃当てた礼だ、誠意には誠意を。

強き者よ、その力に答え、私もこちらの姿でお相手しよう…」

 

 

そのまま掴まれていた手を強引に振り払い距離を取るミラ、そして右手を大きく振り上げる

 

 

漆雷凶星(しつらいきょうせい)……」

 

 

まるで空間を裂くようにミラの周囲にガープ達の2倍はあろう大きさの赤い雷玉が生成される。その数実に10

心臓が脈動するようにバチバチと音を立てるそれは一目で危険な代物だと理解出来た

 

ガープの本能が告げている、アレに当たれば死ぬと

 

 

「中将ォッ!」

 

 

咄嗟にクザンが割り込んで瞬時に分厚い氷の盾を生成する。

 

「堕ちよ…ッ!!」

 

その直後、それぞれの雷玉に雷が落ち割れ爆ぜた

 

眩い光と爆音が轟く、爆風は津波の様にあたり一面を吹き飛ばし後ろの塔もジャングルも吹き飛ばして更地に変えてしまった

 

 

「中将…無事ですか?」

 

 

「おう、スマンのお」

 

 

咄嗟にクザンの作った氷の大盾、それも武装色で強化したものによって辛うじて2人はダメージを免れた、だが同時に自分達とミラの圧倒的な力の差に絶望する

それは悪魔の実の有無や実力や経験の差ではない

 

もっと大きな何かが違う、ガープはそう確信していた

 

 

巻き上げられた土煙が徐々に晴れていく、それと同時にミラの本当の姿も顕になった

 

 

光がなくとも白亜に輝く鱗と体毛

 

禍々しくも美しい壮麗な翼

 

煌々と輝く王冠の如き四本の角を冠する巨大なドラゴン

 

御伽噺でよく目にする龍…伝説の存在がクザン達の目の前に立ちはだかっていた

 

 

「オイオイこりゃあ…」

 

 

「ぶわっはっはっは!とんでもない当たりを引いちまったのう!」

 

 

動揺するクザンとは裏腹にガープは楽しそうに笑った

 

 

「笑ってる場合ですか、これ殺されますよ俺ら」

 

 

「そうならん為に今を頑張るんじゃよクザン!行くぞい!」

 

 

「チクショウ…センゴクさんに慰謝料請求したいぜ…」

 

 

甲高い祖龍の鳴き声が島を震わせる

 

 

意を決して2人は形を成した絶望へと果敢に挑みかかっていった

 

 

 

 

 

それから丸1日、ガープとクザンは船へは帰ってこなかった

心配した兵たちがガープを呼び戻そうと提案したがとてもそんなことはできない、何故なら龍の戦いに凡人が首を突っ込むなど自殺行為以外の何者でもないからだ。

兵たちは己の無力を噛み締めながら自分達の英雄が帰ってくるまでじっと耐えるしかなかった

 

 

島中に響く爆発音、激突音、そして時折轟く甲高い鳴き声

 

 

そして夜が明けた頃、軍艦の前に舞い降りたのは朝日を受けて光り輝く白い龍

 

兵たちが唖然とする中その龍は前足で掴んだ2人の男を甲板へそっと下ろす

 

 

『強き者よ、その魂見せてもらった。

約束は守ろう、これより私は貴殿らと行動を共にさせてもらう』

 

 

そう語る龍はみるみるうちにその大きさを縮めていき綺麗な女性へと姿を変える

 

 

「では改めて…我が名は祖龍ミラルーツ、今後はミラと呼ぶがいい。

宜しく頼むぞ、海兵諸君」

 

 

そう言ってミラは呆気に取られる海兵たちの間を縫って悠々と部屋の中へと消えていった

 

 

 

その日、タダでさえ多い海軍の英雄ガープ伝説にに新たな1ページが刻まれる事になる

 

龍と戦い生き延びた、と


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