「この辺りで良いかな」
一番道路から、少し離れた空き地で、そうアズマは呟いた
「モノズ」
ボールを投げると、一匹のポケモンが現れる。緑の体に、黒い毛。さっき、アズマと共に行く事を決めたモノズだ
『モノ?』
呼び出され、モノズは首を傾げる
「まずは……名前を決めないとな」
一瞬だけ悩むが、あまり悩む必要は無かった
「強くてカッコいいサザンドラになるように、と願いを込めて……」
「サザ、で良いか?」
『モーノ、モノッ!』
「よし、じゃあ……今日からお前はサザだ!」
『ズーッ!』
モノズの頭を撫でる
隠れていて分からないが、嫌がる様子は無い。元々野生のポケモンだったとは思えない程に、アズマになついていた。保護者か何かとでも思われているのだろうか
「んじゃ、サザ、少し待ってろよ……」
アズマはバッグからそれなりの大きさの装置を取り出し、地面に置く
暫くして、装置から光が漏れ始めた
『ウェルカムトゥスパトレ!目指せ、パーフェクトポケモン!』
更に待つこと1分ほど。完全に起動した装置……携帯スパトレマシーンが、そんな音を響かせた
『ノッ?』
「サザ、大丈夫大丈夫。怖くないぞ」
ホログラフィックが空き地を埋め尽くし、簡易的なフィールドが形成される
簡易スパトレマシーン。それなりの大きさの空き地さえあれば、旅先でもスパトレが出来る!ということでウワサの機械だ。そのポケモンに合わせたトレーニングで鍛えられるというスパトレに憧れて、ミアレシティまで出掛けた際に父に買って貰ったものだ。10歳の時は、結局使うポケモンを捕まえられなかったのだが、漸く使う意味が出てきた
「ギル、少し実演を頼む」
キンッと鞘と鍔をぶつけて金属音を鳴らし、ヒトツキが装置近くのホログラムサークルに入る
『ビクトリー!イッツアパーフェクトポケモン!』
そんな音声と共に、アズマの前に一つのホログラムが現れる。ガンバロメーター……つまり、そのポケモンの強さや、スパトレ等でどんな努力をしてきたか……を読み取り、数値化したものだ
目の前には、ヒトツキのグラフが広がっている。勇敢で、体を張って誰かを守り、そして正面から勝つ、そんなポケモンでありたいという願いに合わせ、ひたすらに共にトレーニングしてうたれ強さ(体力)と、攻撃の鋭さを伸ばした、そんなグラフだ
「じゃあ、乗ってみてくれ」
アズマに言われるまま、モノズがホログラムサークルの中に入る
広がったグラフは……、特に基本から変わっていないだろうグラフ。スパトレや、他の修行なんかはやっていないようだ
炎を吐いたりという特殊な攻撃方法より、物理的な攻撃方法の方が得意なグラフ
「サザ、お前は……どんなポケモンになりたい?」
モノズは、火の粉を吐く真似をする
「物理的な攻撃方法の方が得意そうだけど……」
『モノッ!』
「そうだな。相手に向かっていくの、怖いもんな。じゃあ、素早く逃げて、『りゅうのいぶき』とか撃てるような トレーニングのプランが良いかな……」
考えながら、少しづつ、スパトレのプログラムを組んでいく
「っと、完成」
『モノ?』
10分後、メニューが完成した
「ギル、実演頼む」
言われるまま、ヒトツキが赤いサークルに入る
『スピードトレーニング!レベルワン!』
音声と共に、専用のものにホログラムが置き換わってゆく。オンバットの姿をしたバルーン、そして赤いサークルを中心としたボックスへと
「サザ、今からやって貰うのの実演だからな
よーく見とけよ」
オンバットバルーンから、ボールのようなものが発射される
「あれを避けるんだ。ホログラムのボックスから出たらいけないし、当たっちゃダメだぞ」
目の前では、ヒトツキがひょいひょいとボールを交わしてゆく。レベル1、決して素早くないヒトツキに合わせたものとはいえ、大分余裕が見える
「あとは……」
バルーンから、赤いボールが発射される
それだけは、ボックスの後ろの壁に当たると、他のボールのように消える事無く、跳ね返ってボックス内に落ちる
ヒトツキは、それを攻撃し、打ち返した
「赤いボールだけは、残るからああやって打ち返すんだ」
アズマが説明しているうちに、二発の赤いボールを受けたホログラムオンバットバルーンが消えていった
「赤いボールを打ち返して、ダメージを与えていくとクリアだ」
『モノッ!』
意を決したように、モノズが赤いサークル……スパトレスタートの場所へと向かってゆく
ヒトツキの布が、頑張れよとばかりにその頭を撫でた
隠しステータス
ギル(ヒトツキ)
31-31-31-12-30-0
ガンバロメーター HP252 攻撃252 特防6(パーフェクトポケモン)
サザ(モノズ)
31-6-30-31-24-31
ガンバロメーター 特攻12 素早さ60