英雄と恋する少女の魔法学園 作:土人勇谷
ということで第5話どうぞ。
「拳助様!!」
玄関から物音がして下に降りてみると、そこにはボロボロになった拳助の姿があった。
「うっ、うぅ〜。クソが。」
「だっ、大丈夫ですか⁉︎せめて応急処置だけでもしないと。」
フュルは、救急箱を持って来て止血、消毒、包帯を巻いてひとまずの応急処置は、完了した。
(本当に大丈夫かな?もし拳助様が死んじゃったら私…。)
そう思うとフュルは、涙が止まらなくなった。応急処置をした拳助をなんとかベットまで連れて行きそのまま自分も拳助の横で寝た。
「んっ、ん〜。ここは〜、俺の家のベット?」
(おかしい。確か昨日アルトリウスにやられてなんとか家にたどり着いたけどそこで意識が落ちたはず。)
「拳助…さ…ま」
不意に自分の名前を呼ばれ隣をみるとそこにはフュルが寝ていた。
(あぁ、フュルが応急処置をしてくれたのか。)
フュルの寝顔には、涙があった。
「ダメだなぁ〜、やっぱりこのままじゃ。」
もう二度とフュルの泣き顔は見たくない。そう思った拳助は、あることを覚悟した。
「起きて、フュル。もう朝だよ。」
「んっ、ん〜。拳助様〜。拳助様!!大丈夫なんですか?」
「もう大丈夫だよ。フュルのおかげでね。」
「そっ、そんな〜。大したことしてないですよー。」
「とりあえず、朝ごはんにしようか。」
「はい。」
朝は日本感満載のご飯に魚、味噌汁だ。この前フュルにつくり方を教えたら
めちゃくちゃ美味かったから毎日食いたくなるんだよね〜。
で、フュルの箸の技術は、まぁまぁ上がって来ているがまだ魚とかは食い辛そうだ。でも頑張ってる姿が可愛い。
「フュルに大事な話がある。」
「っ!なんですか?」
「俺の仕事は、国に害を及ぼすレベルの山賊やモンスターの殲滅だ。それで
フュルは、魔法を覚えるつもりはないか?」
「私も拳助様の力になれるなら覚えたいです。けど…私モンスターと戦ったりはできないですよ。」
「いや、フュルに覚えて欲しいのは、あくまで護身術としてだ。戦場に行かせたりは絶対しない。それで覚えるか?」
「はい。覚えたいです。」
「それともう1つ。堅苦しいのはやめにしよう。敬語も使わなくて良いし、
名前も呼び捨てでいい。いやそうしてくれないと困る。」
「わっ、わかりました。拳助さん」
「まだ堅苦しいけどそれでいいや。それと一時間後くらいに庭に来てくれ。
出来るだけ動きやすい服装で。」
「了解であります!!」
(なっ、なにそれ可愛い。)
「それじゃあ簡単なのから覚えていこう。」
まず魔法は、4種類ある。強化系、付与系、攻撃系、回復系だ。
フュルに覚えて欲しいのは、簡単な攻撃系と回復系だ。
「まずは簡単な攻撃系から覚えていこう。」
「了解です。」
魔法を発動するには、基本的に呪文を必要とするが長年修業を積んだ者は
無詠唱で発動出来る。発動する魔法が強力なもの程、詠唱は長くなるが
短縮したりも出来る。違う属性同士の魔法を合わせたりする場合は、
オリジナルで呪文を考えなければならない。
「じゃあとりあえず、そうだなぁ。《雷よ、この手に集いて、敵を打て》」
詠唱した次の瞬間、拳助の手に電気が集まり的に向かって放たれた。
「こんな感じだ。まぁ適当にやってみてくれ。」
「はっ、はい。《雷よ、この手に集いて、敵を打て》」
次の瞬間フュルの手に電気が集まり的に向かって放たれた。だが拳助程の威力は無い。
「あれ〜、なんでだろう?」
「単純にイメージが足りないんだよ。イメージさえできてれば、
《バァーン》」
さっきと同じように電撃が放たれた。
「うっ、嘘。凄いです拳助さん。」
「まぁこんな感じで、イメージさえできてれば魔法はできるから、自分で
イメージしやすい呪文を考えてみな。」
「じゃあ、《炎精の、加護を用いて、我が身に纏え》」
詠唱を終えると、フュルの周りに炎が集まりまるで衣の様な形になってフュルを包んでゆく。
「嘘だろ!凄いじゃないかフュル!!よりにもよって一番難しい付与魔法を」
付与が一番難しいとされる理由は、魔法は、イメージから出来ており炎が熱いと想像すると自分にまで被害を受けてしまう。だが熱くないとイメージすると
相手からも熱く無くなり付与魔法の意味が無くなる。相手には熱く、自分には害がでないとイメージするのは、困難なのだ。
「えへへ〜、凄いでしょ〜。」
そんなこんなで今日だけでも六個魔法を覚えた。これはありえないくらいの
成長速度だ。そして晩飯が食い終わり…
「そう言えば、拳助さんはいくつなの?」
だんだん敬語も取れてきた頃フュルが質問してきた。
「俺は今年で16だよ。」
「えっ、同い年!!」
「だから呼び捨てでいいよ。」
「う、うんわかった。」
そして風呂にも入り寝る時間だ。
「だ〜か〜ら〜。俺は、ソファーで良いって。明日ベット買えば
良いんだし。」
「一緒に寝るの。」
「いや、でも…」
「《大いなる炎よ、いまここに「ちょっと待ったぁー。」」
「拳助は、そんなに私と寝たくないの?私のことが嫌いなの?」
フュルは、反則級の涙目プラス上目遣いで聞いてくる。
(くっ、こんなのチートやチート。)
「わかったよ。」
「やったー。」「今日だけな。」《大いなるほの「わかったから、ここで魔法を使うな。」
「絶対、約束できる?」
「あぁ、神に誓って。」
(いま隣でフュルが寝ている。めっちゃ可愛い寝顔で。正直、銀髪で先の方がちょっと赤っぽい感じの髪に、まだ14くらいにしか見えない外見。)
すんごくいけないことをやってる気がする。
そして次の日。
「今日は実際にモンスターを倒しに行く。絶対守ってやるから安心しろ。
その前に、街に行ってフュルに合った魔導具を買いに行く。」
魔導具とは、魔法を使う時に消費魔力を減らしたり、魔法の威力を上げたりするための道具だ。俺はガントレットだがフュルには何が合うのだろうか?
「フュル、どれにする?」
ここはこの街で一番魔導具が揃ってる店だ。
杖、剣、ガントレット、指輪、グローブ、銃、など色々な種類がある。
「私は、この指輪が良いなぁ〜。」
「ふ〜ん、これか?確かに両腕に付ければ便利そうだなぁ。」
「拳助もお揃いにしよう。」
「ん、良いよ。そろそろ他のやつにも慣れとかないとって思ってたから。」
その指輪を四つ購入した。見た目は、右手につける方が、宝石の部分が赤で
その周りが金色。もう一つは宝石の部分が青で周りが銀色だ。
「拳助つけて〜。」「わかった。」「わーい。どう?似合ってる?」
「とっても似合ってるよ。じゃあ行こうか。」
「うん!」
それから数十分歩いて町外れの森に着いた。
「そこらへんにいるゴブリンでいいや。やってみて。」
「うん、わかった。《集え炎、この手に集いて、花びらのように、散れ》」
詠唱が終えると右の赤い指輪が光り、炎が集結してゆき10個ほどの炎の球に別れて敵に向かって行く。全弾命中して、ゴブリンが十数体灰となった。
(んー、この子は天才だな。)
こっちに気づいたゴブリンが5匹向かってくる。
「《炎精の、加護を用いて、我が身に纏え》《炎よ、壁となれ》」
フュルは、火衣を纏い、前方に炎壁を作り、
向かってきたゴブリンを一掃した。
「凄いでしょ〜。褒めて〜、撫でて〜。」
「凄い、凄い、よしよーし」
「ん〜、気持ち〜。」
この子の才能は英雄クラスだな。拳助は、確信した。
いやー、暇すぎて気づいたらこんなに書いてましたww
まぁ、多分次の話もこれくらいの長さになりますけど、見てくれると
ありがたいです。それではまた〜。