最近リアルも忙しい。
まとまった休暇がホスィ...。
今回前文(出ポエムのこと)が長い。
第二回戦 一日目
黒い茨
触れるだけで皮膚を裂く
掴めば、まあ、悲惨なことになる
踏めば、たぶん、痛いだろう
そんなものに、囲まれている
燃やしてしまえばいいと囁いた
だがお前は頷こうとしない
それが人間であると言うだけで
お前を傷つけるものなのに
不合理だ、理解不能だ
不愉快だ
私には、お前の熱が理解出来ない
***
第二回戦 一日目
――目が覚めた。
起きてゆっくりと息をつく。
ピピッ、と無機質な音が耳をたたく。
どうやら第二回戦の対戦者の発表、第一暗号鍵が生成されたようだ。
ライダーと今日行うことの話し合いをし、マイルームを後にした。
*
――――二階廊下 掲示板前
掲示板を確認する。
対戦者の名前―――
レスタード・ブラットソン
「アンタが俺の対戦相手か。」
そう背後から話かけられた。振り返れば、長身の黒人の男。何処にでもあるようなT-シャツに青ジーンズ。
「……一回戦を勝ち抜いた猛者ってヤツか。…何にせよ、よろしく頼む。」
手を差し出してきた。それを俺は握り返す。
「それはアンタもだろ。こちらこそ、よろしく頼む。レスタード・ブラッドソン。」
「レスターでいいよ。長いだろ?俺もコーヘイって呼ぶからさ。」
そして何処かへ歩いて行った。おそらくアリーナか。
俺は握手をした右手をみる。魔術が施された後はない。
普通に挨拶しただけか。心配は、杞憂だったようだ。
*
――――――図書室
――わからん。
小一時間ほど調べ倒したが、調べれば調べるほどに分からなくなっていく。
ライダーの真名がわからない。
『全て灼き滅ぼす勝利の剣』≪レーヴァテイン≫とライダーは言っていた。
マテリアルの宝具の表記もそれである。
レーヴァテインはエッダの詩『ヒョルスヴィーズルの言葉』の第26スタンザに登場する。
巨人ヒョルスヴィーズルと物語の主人公が問答をするが、その中でしか言及されていない。
曰く、北欧神話において、世界樹の頂に座しているヴィゾーヴニルを殺すことができる剣で、ロキによって鍛えられ、女巨人シンモラが保管しているらしい。
シンモラの夫がスルトルなので、スルトルが振るった剣――炎と同一視される。
しかし、諸説が数多くあり、形状は、槍、矢、細枝とも解釈されている。
何にせよ、それを使ったのは神霊だけであり、英雄でもない。
まして皇帝がどうとかわかるハズもない。
手にした逸話がないならもしくは―――
(マスター。そろそろ休憩したほうがいいんじゃない?)
根を詰める様を心配したのか、ライダーが話かけてきた。
もうこんな時間か、時計は昼過ぎをさしていた。
*
――――――中庭
一息入れるために中庭に来た。
すると黒髪を揺らす少女――エリカがいた。顔色が悪い。焦燥している、とでもいうべきか。
何故か?考えれば思い当たる。
「こんなところで何をしている。」
少女は答えない。
――苛立ちがつのる。
まさか、今の今まで何もせずここにいたわけではあるまい。
突然、彼女の隣に人影が現れた――彼女のサーヴァントだ。
白銀の甲冑を着込み、兜までつけたフルスタイル。
かなり高位の英霊だろう。
「オマエも言ってやってくれよ。こいつ小一時間、ここでぼーっとしたまんまなんだぜ?」
そう言うと彼女のサーヴァントは姿を消した。霊体化したらしい。
サーヴァントもまた苛立っていたようだ。
エリカは、こちらを見ようともしない。
「お前が勝ち残ったということは、あの男は死んだらしいな。太陽王をつれながら敗北するとはな。アイツはよほどの無能らしい。――ああ、いや、おまえの優秀だったのかな。」
少しだけ反応があった。
「多少、ゲームには腕に覚えがあっただろうが。ま、命のやりとりなんて話は、あんな情報をベラベラ喋るような馬鹿には未体験だったろう。」
「遊び気分でこの聖杯戦争に参加した魔術師の末路ってヤツだな。で?どうだった?その様子じゃあ、ずいぶんとみっともない死に様でもさらしたか?豚のように鳴いて喚いて、親にでも助け求めていたか?まさか――お前もゲーム感覚だったわけないよな?」
もしゲーム感覚であったなら言動にも納得がいく。不快感を煽るように言ってみたが効いたようだ。鼻で笑ったのも効いているようだ。
彼女は立ち上がり、掴みかかってきた。払うことも出来たが、受け入れる。
「私は――――」
「私は―――、なんだ?」
彼女は何も言えないようだった。静かに彼女の手を払う。
「今俺たちは何をやっている?――聖杯戦争だ。戦争なんだ。なら、ここは戦場なんだ。敗者は死ぬ。ただそれだけのことだ。敗者に――死者に、引きずられるぞ。」
「それに、迷っている時間がお前にあるのか?」
その言葉を最後に校舎へ帰った。
――――――アリーナ 二の月想海
アリーナに入るや否や、霊体化を解除しライダーが口を開いた。
「意外ね、マスター。貴方は他人にあまり興味ないかと思ったわ。」
「……俺も不思議だ。いつもなら無視を決め込んでいたハズなのにな。」
かつての俺は話しかけることすらしなかっただろう。
だが、あの顔を見たとき、どうしても無視することが出来なかった。
何故かは、わからないが。
「ま、とりあえず探索するか。」
「そうね先客もいることだし。」
先客?……サーヴァントがいるのか。
アリーナの探索を進めるため歩き始めた。
*
半分ほど探索を進めたところで前から人影が近づいてきた。
「よう!コーヘイ!さっきぶりだな。」
「レスターか。」
レスターが陽気に手を振りながら、こちらに近づき、そして少し間をおいて立ち止まる。
「どうだ?ここいらで一度戦っておくってのは?」
「かまわない。」
むしろ真名を突き止めてほしい。突き止められるものならだが。
「んじゃあ……俺のサーヴァントを紹介しよう。―――バーサーカーだ。」
っクラス名!ブラフかもしれないが―――
「■■■■■■―――!」
その野太い怨嗟の声を聞けばクラス名など頭に浮かぶ。隠す意味などなかったということか。
即座に――
「ライダー!」
念話で指示を出す。
ライダーが前に出てバーサーカーの攻撃を受け止める。鈍く重い音が響き渡る。
同時にセラフからの警告メッセージがあたりを赤く染めた。
バーサーカーへの第一印象はその装束の赤黒さ。第二はその水晶のように透き通り中にかすかに色が見えるバーサーカーには似つかわしくない剣。グラディオスにも似ている。
「ぐぅ……!」
あまりにもバーサーカーの攻撃が重すぎ、筋力Aの彼女が押されている。
それどころか吹っ飛ばされた。
吹っ飛ばされたライダーは半回転し見事な着地を決める。
そして、足に力をいれ地面を蹴って地を滑るように飛ぶ。そのままバーサーカーを切りつけるが。
ガン。
「――嘘でしょっ!」
ライダーが驚くのも無理はない。バーサーカーが切りつけられる直前で白槍を捕まえたからだ。
そのままライダーに蹴りを入れこちらに吹っ飛ばす。
「っ……。何それ!バーサーカー詐欺じゃないの!?」
「■■■■■――――!」
バンッ、と地面をバーサーカーは蹴って跳躍し、空中から切りつけにかかる。
ギ…ギギ……、なんとか鍔ぜり合っているが、ライダーは厳しそうな顔をしている。
その時、セラフからの強制介入が行われ、戦闘が強制終了した。
「ふむ……。ランサーと思っていたが、ただそうと言うわけじゃあねな。その子の体に見合ったサイズじゃないだろそれ。」
確かに、ライダーの体には不釣り合いなほど長い槍ではあるが。
だいたいあの槍、剣に変わったりするし。他にも宝具もってるらしいし。
「……それ、私の背が低いって言ってんの?」
「むしろ何故言われなかった。コーヘイから小さいなとか言われなかったのか?小さいのによくやるなとか。」
いやだって、絶対気にしてるし。時々身長合わせようと背伸びしてるの、気づかないようにしてんだぞ!絶対へそ曲げるから!
「………。」
やべー、ぼそって殺すって言ってるぞ。
殺意高いんだけど!完全に虎の尾踏んだよあいつ!
後でなだめるのは誰だと思っているんだ!
「ま、俺は退散するとしとくよ。じゃあな。いくぞ!バーサーカー!」
そう言ってレスターは消えた。リターンクリスタルを使ったようだ。
「ライダー、まだ戦えそうか?」
「ええ、行けるわ。」
「馬、使うか?探索ついでにストレス発散といこう。」
「……いいの?」
「まあ、程度を考えてくれればいい。」
どうかそれでチビといわれた事実を忘れてくれ。
ライダーが馬を出し、俺も騎乗する。
「――行くわよ。」
ダッ、と一気に駆けだした。いつかのよりは酷くはないが、それでもかなり揺れる。
ライダーの腰をつかんで、振り落とされない様にする。
エネミーを次々狩っていき、アイテムがあるところは降りて取りにいく。
マップのすべてを埋め終わり、帰宅することにした。
*
――――――マイルーム
マイルームに帰還するとおもむろにライダーが口を開いた。
「ねえ、マスター。お礼じゃないけど――」
そういって取り出したのは、日本酒?だろうか。
「お酒。今日ドロップしたものよ。一緒に開けない?」
「別に構わないぞ。開けるか。」
蓋を開け、ライダーがコップに酒を注いでくれる。
「お先にどうぞ。」
と、コップを差し出してくる。――まさか、毒とか入れてないよな。
ライダーも自分のコップに注いでいる。
「まずは、一回戦突破おめでとう、コーヘイ。――乾杯。」
「乾杯。」
とりあえず、ぐいっと呑む。――杞憂だったようだ。
何度か酒を飲み交わし、酔いがまわり始めた頃、ライダーが口を開いた。
「――こほん。……ねえ、マスター?」
「ん…?なんだライダー。」
ほんの少しいい気分になっている。
「正直に答えてちょうだい。」
「……何を?」
少し間を置いて。俺はその間にぐいっと呑む。
「――背は、高いほうが好き?低い方が好き?女性のタイプという意味で、よ。」
「低い方だな。小柄のほうが好きかもしれん。」
「…そ、そう。」
ふむ、眠気が。ライダーは何を思ったか、少し嬉しそうにはにかんでいる。
「じゃ、じゃあ、胸は?大きい方?小さい方?」
…………
「ちょ、ちょっと!答えなさいよ!せめてそこだけは!これ答えたら寝ていいから!怒らないから!!」
ゆさゆさと肩をつかまれ揺らされる。眠い。
「でかい方に決まってるだろjk。ちいさい方も愛せるが、お前には、形もないまな板だろうが。そこまで守備してないわ。」
どさり、体が横たわる。どうやら放してくれたらしい。
*
――眠りは深く
――よったせいか深く眠りにつく
――重なる不安から
――逃げるように
――たとえ
――相手がどんな願いを持っていたとしても
――倒さなくては
――殺さなくてはならないと言うのに
主人公死んだな(白目)