【クラス】 :ランサー
【マスター】 :比島 達彦
【真名】 :ジル・ド・レェ
【宝具】 :『螺湮蝕堕槍』
【キーワード】 :海魔
:グリム童話
:青髯
【ステータス】 :筋力B 耐久C 俊敏B 魔力C
幸運D 宝具B+
【スキル】 :対魔力B 狂化EX 軍略C 黄金律B
道具作成C
【出典】 :史実
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【人物】
白銀の鎧を纏った騎士然とした人物。鎧には所々黒いラインが根が張るように入っている。
ジル・ド・レェ。十五世紀の人物で、フランスのブルターニュ地方ナントに生まれた貴族にして軍人。
かの童話『青髯』のモデルとなった人物。誰よりも神を求めた「聖なる怪物」。
なぜフランスの英雄から殺人鬼に成り下がったのかは、史実を確認して欲しい。
本来逸話から、キャスターかセイバーのクラスで召喚される。
しかし、今回はマスター――比島の特殊な精神性、願い『贖罪』からランサーというイレギュラーな召喚となった。
このランサーは、キャスター―魔道に堕ちた後―ともセイバー―魔道に墜ちる前―とも違い魔道、背徳に堕ちた後、裁判にかけられた際に生じた、ほんの少し残っていた善性が発現した時を元にした姿。歪な触手が絡みついたランス―十字槍つまり神への信仰が黒く侵されていることを示している。
ランサーの願いは、マスターと同じく『贖罪』である。
ランサーのクラスには不釣り合いな狂化スキルが付いているが、「青髯」としての名が余りにも有名であったが故である。特に戦闘時に狂気が発現するようだ。
【宝具】
『螺湮蝕堕槍』≪プレラーティーズ・イロウション・ランス≫
ランク:B+
種別:対軍宝具
レンジ:1~10
最大補足:100人
由来:フランソワ・プレラーティーがイタリア語に訳したルルイエ異本がどういうわけか十字槍を侵食と言うよりは融合に近い状態で存在したもの。
ジルが行った罪そのものが槍に集約された形ともいえる。
魔道書でなくなったせいか、大魔術や儀礼呪法は代行できる様だが、代償として魔力炉の機能が消失している。なので、魔力をどうにかして確保しない事には、大量の召喚をすることができない。海魔の一体一体はサーヴァントに比べるべくもない弱さであるので、大量の召喚をすることが基本戦術となる。
また自身に突き刺すようにして、宝具を起動させることで、背徳的にして冒涜的である超巨大な大海魔を召喚することが出来、使役できる。
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【比島 達彦】
彼は元々優しい好青年――優男であった。
しかし、17の時、交通事故に遭い意識不明の重体になる。
三日後には意識が戻るが、同時に殺人衝動に駆られるようになる。
最初は虫の腹を毟って殺す程度だったが、次第にエスカレートし始める。
遂には、動物にも手を伸ばしはじめる。
買いやすかったのか一番犠牲になったのは猫である。
最初は乱雑にただ殺すだけだったが、次第に手がこり始める。
腕を片方ずつ奪う。目玉を片方だけ奪う。生きたまま臓物を引きずり出す。性器をちぎり取る。思いつく限りのことをした。
そして人間にも手を伸ばした。
尊いはずの命を滅茶苦茶にしている、という背徳感に酔い、自身の手で奪うという事実に興奮し、殺した瞬間――命が失われるその時こそに絶頂を覚えた。罪悪感すら楽しむスパイスとなった。
彼自身の本意であったわけではない
。
しかし、麻薬に呑まれたかのように躯が求めてしまうのだ。
彼を襲った苦悩は計り知れないだろう。
命の尊さを知っているが故に。
犠牲となった人間は殆ど社内から出ている。
当時、自分が犯人だと特定されなかった故に葬式に何度も出向いていた。
そこで見聞きした、遺族の悲しみ、慟哭。
それこそが聖杯戦争に参加することを決意させる。
狂ってしまえば楽だっただろうに。狂いつつ在ったのに。
それでも、と最後まで化け物に成り果てることはなかった。
――贖罪をするために
殺人癖を直すのが彼の願いである。