Fate/EXTRA-Lilith-   作:キクイチ

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全力を尽した。クライマックス。この旅路の終りはすぐそこである。





存在証明:Grand Battle

 

 天空からは暁を示す球体。それは光速で、心象世界に穴を開け、ねじり、消滅させながらリリスへと迫った。

 

 リリスはその光源、火球の正体を一瞬で見抜く。

 

 火球は文字通り世界に穴を穿っていた。空間を食いちぎる牙竜がごとき一撃。

 威力がどうだということよりも警鐘をならすのは、あの火球はどういうわけか()()()()に穴を穿ったという事実である。

 

 心象世界というテクスチャで上書きした以上、そこは異常識、異界常識そのものである。限りなく続く時間軸を剪断し、最もゼロに近い一瞬で区切っている。いわばその一点における世界からの消失。

 

 結界内部から外界は観測できず、外界からは内部を観測できない。世界の位相がずれている。つまるところ、内界のものは外界に干渉できず、外界のものは内界に干渉できない。

 

 ―――にも関わらず。

 

 あの一撃はたやすく心象世界を外界からぶち抜いてきた。

 位相を超える一撃など基本的には存在しない。それこそ魔法級の一撃でも難しい。

 

 ならあの一撃は一体何なのか。

 

「―――フンッ!!」

 

 避けるのは不可能―――巨大な火球は回避を許さない。

 超速で迫る火球を防ぐために幾重の障壁を魔力で組み上げる――――総数、五百を薄く広げ広範囲を覆うように展開する。

 

 ―――着弾。

 

 その瞬間――一気に、半分が何の衝撃を伝えることもなく発光し、消し飛んだ。

 

「これはっ―――!?」

 

 アレは、死があろうがなかろうが関係無い。一撃で葬り去る代物だと直感でリリスは理解する。生物の全ての恐れ。消失を引き起こす炎。あるいはエネルギー体。

 

 リリスは現界まで思考を速く回す。それこそ、空気に粘性を感じる程速く。そうしなくては、対策を取らねば、消えると生物の本能が回答したのだ。

 

 物質を消す。そんな魔術は存在しえない。魔術とは等価交換という原則を持っている。『消失』させる炎などあるはずもない。

 

 だが、現にその現象は目の前で起こされている。触れた瞬間に消えた。それはもはや宝具という域ではなく、物理原則を無視した(権能)そのものだ。

 

 死のないリリスですら確実に消してしまうだろう一撃。一瞬で自分を溶かすだろうことは想像に難くない。

 

 

 しかし。

 

 ――――――リリスにある閃きが起こった。

 

 物質を消失させるもの。先程、物理法則を超える代物とリリスはとらえたが、物理法則内で『消失』という現象を起こすことは―――可能だ。

 

 それは、反物質。

 この世界を形作る正粒子。その反転した相となっている物質。

 反物質は正物質と衝突すると高エネルギーを放出し、『消失』する。

 それが、リリスの目の前で起こっている現象なのだ。

 

 ―――ならば、血路はある。簡単な話、大量の物質をぶつけてしまえば良い。

 

 魔力を練り上げ、出力を増大し、圧倒的魔力量でより多く密度の高い壁を、押し出すように連続して生産していく。

 

 ガラスのように空間が破壊されていく。螺旋を描いて迫る火球は未だにその量的力の衰えを見せない。

 

 地面は衝撃で無残にめくり上がり、反物質の炎に触れ蒸発していく。

 

 もはやこの状況下では、より速く障壁を生産し、迫る火球の質量を超えるかという話になる。それこそが勝敗を決定する。

 

 秒間七十七枚では足りない。それ以上でなくては自身の消滅を約束されてしまう。

 

 ジリジリと、そして確実にリリスへと迫る火球。

 

 ―――こんなところまで来て、無意味に消えるわけにはいかないッ!私は救済を成させばならないのだ!

 

 星の生み出すエネルギー出力を全開にし、全力で退ける。

 ムーンセルのバックアップは既に断たれているがなんとか自前で拮抗させる。

 

「ウオォォォ――――!!!私は、救済を示すもの!このっ、程度……!」

 

 もう一度、獣に相応しき雄叫びを上げ―――――

 

 

 徐々に反物質の炎はその巨大な有り様を縮めていき

 

 ――――火球(絶望)を退けた。

 

 

 リリスは勝ったのだ。鮮烈な戦いを制した。強力であらゆる存在を否定し尽す一撃を、退けたのだ。

 

 だが、対価にリリスの全盛期の力、それも二分の一ほど削られたが。それは一時的な物。時がたてば復活する――。

 

 蒸発した空間を再生、修復するために火球により穴を穿たれた宙を見て―――

 

「―――ばかなッ」

 

 ―――目を見開く程の驚愕、そして納得。

 

 あの絶望が飛来した際と同時に、本来ここにこれないはずの存在の声が飛来していたのだ。

 

 ―――そう、その正体は

 

 

「死にやがれ――!!忘れてんじゃねェ!このっ、クソォ――ッ、野郎ォォォォ――!!」

 

 

 空に一条の赤い流星となって―――落ちてくる。

 

「セイバーッ――!?何故っ―――ぐ、ガ」

 

 リリスは、咄嗟に防ごうと反射的に手を伸ばすも――

 

 ―――右肩口から左腰まで、胴を横断する一閃が刻まれた。

 

 

 しかし、それはリリスの致命傷たり得ない。身体を傷つけたところで修復が聞く。不死性を持っているリリスには痛くもかゆくもない一撃だ。

 

「ふ、はははは――!まったく効かんなぁ!どうして、ここに来れたかはまだ疑問が―――」

「――まだ、終わってねぇんだよ……タコッ!!」

 

 モードッレッドは振り下ろしの体勢から、落ちてきた衝撃を利用し、ぐるりと回転する。その瞬間に、アーサー王から預かった聖剣を手に持ち替え、一気に魔力を流し込み宝具を起動させる。

 

「テメェにゃ、過ぎた一撃だ……!ありがたく味わえッ!『約束された勝利の剣(エクスカリバ―)』――!!」

 

 神話礼装を纏った彼女の能力は、纏う前とは比べものにならない程高まっている。不意打ちざまに下から切り上げるように放たれた黄金の極光。防ごうとするリリスの反応速度をたやすくこえ、それは凄まじい威力をもってリリスへ直撃する。

 

 その聖剣はたった一発限りの代物。アーサー王から預けられた黄金の聖剣。人々の“こうあって欲しい”と言う願いが地上に蓄えられ、結晶化し精製された「最強の幻想(ラスト・ファンタズム)」。

 

 ――防御するまでもない。

 

 リリスは、攻撃を受けながらも嗤う。いかなる攻撃もその不死性を通すモノではないからだ。星の理の中で存在するアルテミット・ワンには、まず人間の生み出した理ではかなわない。たとえ、それが聖剣であろうと人間の理という時点で効きようがない。

 

 だが、リリスは致命的な誤解をしている。

 

 ―――その聖剣『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』は別名がある。

 

 人々のこうあって欲しいという願いから生まれた物ではある。それは人の理だ。

 

 しかし、肝心のその聖剣の精製はどうだったか。何処で作られた物だったか。

 

 願いが結晶化し、その結晶を用いて精製された聖剣。それは、人の手で形成されたものではない。神によって打たれた訳でも無い。

 

 それこそは―――星の内部で生まれた剣。最強を証明する、星の理をもって精製されたもの。空想のみで在りながら最強たる所以。

 

 別名は―――星の聖剣である。

 

 ならば、星の理たるアルテミット・ワンの無敵性を破れる有一の剣でもあるのだ。

 

「――――――か、は」

 

 ――――不死性が、星の理で保証された不死性の概念が、同じく星の理で打ち砕かれる。

 

 それどころか、聖剣の余波で不死性を相殺された身体を焼き尽くされる。余波程度とあなどるなかれ。それは高熱をともなう波。黄金のフレアである。

 

 もはや、決着はついたも同然だった。

 

 不死性を砕かれ。身体を無残に光の断層で斬られ、余波の高熱で焼かれる。

 いくらアルテミット・ワンといえども、星のバックアップがなければかなり脆弱になる。一度精製した星の理を使い続けるならまだしも、それを砕かれてしまってはもはやどうしようもない。聖杯の接続は、通りすがりの殺人鬼に断たれてしまっているのだから。

 

「う、うあ、うウアアアアアアアアアアアァ――!!」

 

 聖杯のつながりが断たれようとも身体に止めていた人類史の圧縮帯がほどけていく。

 

 周りに暴風を叩きつけながら、リリスの胸の中心の光の球体から細い光のすじが幾多にも漏れ出ていく。

 

 リリスは荒く息をつき、倒れ、崩れそうになる身体をなんとかその場に膝立ちにはなるものの留まらせる。

 

「………ぐ、未だだ。まだだ……ッ!私は、まだ、何もなせていない!私が、私が救わずしてどうする。あの―――あの()()()()を救うのは、もう私しかいないのだ!」

「……何言ってんだ、お前?」

 

 リリスの発言に、セイバーは疑問を覚える。リリスにその問いを返す余裕はないようで、答えることをしなかった。

 

「よ、よりによって、ぐ、貴様らに……!否定されるなど…あっては、ならない……!あってはならないのだ!人間、芥のごとき貴様らは、私が、ここで殺す……!」

 

 濃厚な殺意が辺りを満たす。

 

 身体の修復は済んだ。不死性の復活はないが治療魔術は使える。

 

 リリスには―――目的があるのだ。故に引けない。

 

「聖杯の接続が断たれたのならもう一度、手に入れるまで!星の理は時間を、それこそ七年はかかるだろうが復活は可能だ!終わらぬ……!あの男の、救済をなすのはこの私だ――!」

「まだっ、これほどの魔力を……!?」

 

 星の理を砕かれようと、まだ心象世界は砕かれていない。身体の修復が間に合うかぎり、(Dead End)はない。

 

 まだ、世界を揺らす暴力的な魔力がある。異常識のテクスチャが張られたままなのだ。ある程度ではあるが物理法則は人間のものと共有してはいるが、魔術的には全く別。何せこの心象には、神代を思わせるほどの大源(マナ)が溢れているのだから。

 即ち、星の息吹を存分に使えると言う訳である。

 

「貴様らは―――此処で消えろ!犬のように惨めに死ね!我が救済!我が思想の反映を邪魔した罪は重いぞ……ッ!―――反逆者ァ!!」

 

 リリスは白槍をこちらへ構える。同時に、暴威が吹き荒れた。

 

 エリカはその姿をまっすぐと見据え、そんな彼女の隣にセイバーは立ってリリスに構える。

 

「セイバー……あの怪物を倒します。―――手伝ってくれますか?」

「オレは、お前に剣を預けると決めた騎士だ。―――当然だ!アイツをぶっ倒す!指示を――マスター!」

 

 ――――――――――――ひとつの決着を着ける戦いである。

 

 

 片や人類の全ての救済(都合の良い物語)を。

 

 片や今の願い(生きた意味)の証明を。

 

 

 いざやいざ。

 願い()はもう交わることはない。では、戦いによる己が意味の証明を。人の言葉で止まらぬならば―――獣の言葉で証明するがいい。

 

 これは、最高位の決戦である。

 

 

 

 ――――――Grand Battle-Sword or Death

 

 

 

 空には丸く青い星が輝いて、こちらの様を見下ろしている。―――命運を静かに見守っている。

 月は地平線の向こうへと沈みゆく。

 淡く輝く彼岸花が対峙する二人を内から照らし出す。

 

「我が生の証明式を知れ!貴様らの救済こそが我が生涯の一である!我が生の答え(価値)を示す!覚悟するがいい……!」

「覚悟するのは貴方です…!貴方に救われるような軽い一瞬を生きてなんかいません!」

「いい啖呵だぜ、マスター!―――つーわけだ!犠牲を生む救済なんざ、ロンデニウムの騎士たるオレが認めれるわけねぇだろ!まして、父上の護ろうとしたモンを奪わせる訳にはいかねェ…!お前は此処でオレに倒されろ、リリス!」

「ふんっ、好きに……吠えていろ!人間もどきが……!」

 

 リリスの声に応えるように、世界に風が吹く。それに優しさは何処にもなく。力で訴える獣の業をしめす。

 彼岸花の花弁が乱暴な風に攫われそれらへと投げ出された。

 

「―――では、犬のように死ね!」

 

 リリスは星の息吹を白槍に集束させる。唯、集束させるのではない。何十にも重ね圧縮していく。

 

「貴様を苦悶にて救おう!慚愧の念に駆られるがいい!―――臨海点突破、消し墨になることすら赦さぬ!――いざ、仰げ!『都合の良い物語(デウス・エクス・マキナ)』」

 

 槍の周りの空間が圧縮される熱量に絶えられず圧壊していく。大地は(ひび)割れ焼き焦げていく。

 

 そして――リリスが槍先を突き出し、極限まで圧縮された膨大な熱と確かな質量が放出された。

 

 

 

 ―――――――――槍先から噴出する白銀のプロミネンス。

 

 

 そんな激流が放たれようとしている中、セイバーは冷静に自分のなせることを考えていた。

 

 もはや、あの究極の一撃は止められまい。『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』の最大解放を余裕で超えるだろう。その一撃にかなうものは自分には何一つない。

 

 自分の手には、彼の王の聖剣は既にない。

 

 されど、自分にはこの剣がある。いつか、こんなことを思ったことがある―――。

 

 

 

 ―――我は、偉大なる騎士王の息子。

 

 ―――我は、傲然たる叛逆の騎士。

 

 どちらも私。どちらも自分。

 

 けれど。兜をつけると、自分がそのどちらでもない、ただの、どこにでもいる、くだらない、必死で生きる、生命体のように思えて仕方が無い。

 

 ならば――彼らのように、周囲で息絶えたあいつらのように。きっと私も果てて落ちるのだろう。

 

 だから、知りたい。己の最後を迎える前に。

 

 ―――――――私は一体誰だったのだろう?

 

 

 

 

 ふ、とセイバーは笑みを浮かべた。そんなかつての思いに答えてくれた人を知っているのだ。

 

 それは、第七回戦の決戦前の朝でのマイルームで。

 

『……モードレッドはモードレッドだよ?』

 

 そう突然、寝起きにエリカは言ってきた。まあ、たぶんオレのユメ(きおく)でも見たのだろう。

 

 ―――そうだ。私はモードレッド(わたし)だ。

 

 たとえ、彼の騎士王に必要とされなくとも。

 

 たとえ、自分が全てを台無し(理想の国を滅ぼした)にした愚か者だったとしても。

 

 

 モードレッドは、放たれる極光に目をまっすぐに向けた。

 

 

「―――存在証明と吐いたな、リリス」

 

 

 同時に、後ろで自分を信じてくれる――――自分のマスターを感じる。きっと自分の背を見守ってくれているのだろう。

 

 自分が、一歩及ばず前回のように負けようならば―――彼女はどうなる?――当然死ぬ。

 

 自分を知ってくれている者を失っていいのか?

 

 ――――否。

 

「―――これは、オレの存在証明だ」

 

 ――ああ、これは確かに彼の騎士王に王の器がないと言われるわけだ。いま、自分の至らなさを知った。

 

 ――笑ってくれ。オレはこの瞬間に至るまで騎士という者誤解していたらしい。

 

 脳裏にエリカを、大切な人を思い浮かべる。

 

 ―――護りたい。

 

 

 それは、一つの境地。

 

 モードレッドは、騎士の(まこと)の意味を知り、それを成すに至った。

 

 護る。――――その意味をついぞ本当の意味で知るコトとなったのだ。今の彼女は、ロンデニウムの騎士に相応しい――。

 

 かなわない。逆転の目など何処にもない。

 されど。

 引かぬ。退(しりぞ)かぬ。

 ――――――大切な人の明日を得るために。剣を抜き構える。

 ひとえに絶望に立ち向かう――騎士に至った。

 機械的ではなく。人であるが故に至れる騎士。大切な者を守護する(守り抜く)者。

 

 

 決意は金剛石より輝きに満ち、堅い意志へと相成った。

 

 護るという意志に。

 騎士であろうと。王であろうと。違いは無く。

 

 

 であるならば。

 

 今の彼女ならば。

 

 ―――――――騎士(護る者)たる彼女ならば。彼の王剣も全霊を持って答えるだろう。

 

 

 ごう、とモードレッドを中心に魔力が吹き荒れる。手元から放たれる赤雷は、洗煉され、美しい黄金の雷鳴へと変わっていく。

 

 やがて、それは金色の粒子となって王剣へ収まっていく。

 

 王剣――燦然と輝く王剣(クラレント)は、己の枷をとく。

 

 かつてのモードレッドが使っていた『増幅』とは、もはや一線を画するものだ。

 

 束ね上げられる量。増幅範囲。その他諸々。

 

 モードレッドの美しい意志に王剣は力を貸した。

 

「――――如何なる銀より輝かん」

 

 その王剣の真価。それは―――剣の中の王者と呼ばれた世界屈指の名剣。選定の剣――『約束すべき勝利の剣(カリバーン)』と並び立てられる王たる者(護る者)のための剣であることからうかがえる。

 大切な者を失うことがないように。敗北することがないように。ただ、護りたいと言う願い。

 

 

 ―――その願いに呼応する。至高の剣。

 

 

 この王剣もまた、勝利という概念を治めているのだ。

 

 モードレッドは、今の自分だけが紡げる最強をもって。誇りを謳う。

 剣はそれに答えるように、黄金の光を強める。

 

「―――これなるは、全てに立ち向かう勇気ある者への勝利の剣!」

 

 モードレッドは振りかぶる。

 叛逆の騎士としてではなく。

 ――一人の騎士として。高らかに謳い上げる。

 

「この出会い(運命)に感謝を――!『燦然と輝く王剣(クラレント)』―――!!!」

 

 ついに、振り下ろされた彼女の全てを込めた一撃。

 

 物理的にはリリスの究極の一にかなう道理はない。

 

 されど。その意志には、その(こころ)には、込められた想いには、雲泥さがあるのだ――!

 

 剣先から放たれる黄金の彗星(ほうきぼし)

 

 彼らの間でそれらはぶつかり合う。

 

 拮抗したのは刹那。

 

 星の息吹の激しい噴流――プロミネンスが裂けていく。

 

 超速の光線を止める術をリリスは持ち合わせていない。

 どれだけ出力をあげ押し返そうとしても。

 巨大な消滅の炎にすら勝った物質量を超える量を止めどなく噴射しようと。

 

 たやすく、それこそ、約束された勝利が既にあるかのように。

 

 星の濁流は裂かれ―――リリスを光刃が切り裂いた。そして押し寄せる黄金の激流。

 

「グ―――グガ、うおおおおおおおお―――!!」

 

 抗えたのは一瞬だけ。

 

 光の波が最強を、さざ波に呑まれる石ころのように攫っていった。

 

 

 

 

 

 ―――――――――――決着はここに着いたのだ。

 

 

 誰がどう見ても―――彼女の。彼女らの勝利である。

 

 

 勝利の天秤は、騎士へと傾いた。

 




彼女らは、紛れもなく主人公である。

 次回――最後の救済。

お前は何のために生きるのか。お前は何のために生きたのか。

 最後の命題を解き明かそう。

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