Fate/EXTRA-Lilith-   作:キクイチ

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第五回戦 マトリクス

   【クラス】  :キャスター

  【マスター】  :ヴェル・マージン

    【真名】  :シモン・マグス

    【属性】  :混沌・中庸

 【キーワード】  :キリスト嫌い

          :魔術への誇り

          :『ペテロ外伝』

 【ステータス】  :筋力D 耐久E 俊敏C+ 魔力A+ 幸運A 宝具C

   【スキル】  :魔術:B 陣地作成A++ 奇跡(偽)C 話術B

    【出典】  :史実 ペテロ外伝

 

 

 

 

シモン・マグス(Simon Magus)は、聖書に登場する人物でグノーシス主義の開祖ともいわれる。別名は魔術師シモン。サマリア人。

 

 旧約聖書の『使徒行伝』第八章ではシモンはサマリヤの魔術師として多くの信者がいたが、使徒フィリポによって洗礼を受けキリスト教に入信した。ペテロとヨハネが宣教に訪れたときに、彼らの聖霊を授ける力を見てその力を欲しがり、金で買おうとし、叱責を受けた……とあるが、本人曰く、そんなことをした覚えはないのだとか。彼らキリスト側によって曲解、悪評を垂れ流されまくったらしい。

 彼は一度キリスト教にフィリポの洗礼を受け入信したが、教義を聞きながら様々な疑問と教義を聞いたが故に苦しむ事になる。

 だからこそグノーシス思想の開祖となった。グノーシス主義とは自己と真の神についての認識に到達することを求める思想傾向にあたる。

 なんにせよシモンはグノーシス思想にキリストの教義を取り込み、独自の派閥を築いてしまったのだ。

 キリスト教会は彼を恐るべき異端者とするほど危険視していた。故に有名な伝説が数多くある。もっとも広まったのはキリストびいきの代物ばかりだが。

 

 彼はヘレナという女性を妻にしていた。ヘレナは売春婦の出であり、キリストの信仰者からすれば汚れを持つ人という認識であった。だからこそ彼は苦悩し、グノーシス主義を開くにいたったのだ。

 皮肉なことに妻は格好の悪評の標的にされ、グノーシスに対して誤解を信徒に対して招くことにもなる。

 

 彼に関する有名な伝説の一つに、ペテロ外伝における、ペテロとシモンの戦いが描かれている。まあ、キリストびいきで結果は推して知るべしというもの。やはりペテロが勝っている。余りにも有名なので、宝具になってしまった。無敵性を持てると言う点で優れており、使い勝手が良い。これがもっとも彼にとっての皮肉なのかもしれない。

 

 

 

 

【宝具】

『魂よ遍く全て救われるがいい』《アムニス・サルワーティオー》

 

 ランク:C

 レンジ:1

 最大補足:1

 由来:シモン・マグスとしてもっとも有名な伝説、『ペテロ外伝』が元になった結界宝具。存在をただ位相の違う、高次元の世界に移す。姿を視認することは出来るが、水面に映った月のようなもの。どれだけ見えている姿を斬りつけたところで本体には傷一つ入らない。別次元にすら効力を伝えると言っていたライダーの宝具が効かなかったのは単に高次元すぎて届かなかっただけである。

 発動するだけで、あらゆる物理干渉を透過させる。要は無敵。

 だが、伝説から成り立った宝具と言うだけ合って、あの呪文を紡がれれば一発で使用不能になる。故に真名の発露しないよう最善の注意を払った。

 

 主人公の吐いたあの言葉こそ、この宝具の効果を消す呪文。

 

 

 

 ヴェル・マージン

 

 

 Theお嬢様。ちなみに年齢は25歳。文字通りの箱入り娘。

 魔術師としても名家であるアナストリア家出身、西欧財閥の有力貴族であるマージン家に嫁いだ。と言っても、彼女が恋に殉じて得た結婚ではなく政略結婚によるもの。

 彼女に与えられた役目は貴族の嫁としての在り方だけであり、幼少の頃から美姫であることを望まれた。彼女にとっては何もかもが与えられたモノであったが誰もが与えられるものが彼女には与えられなかった。

 彼女の人生は全くの平坦だ。苦悩することも時間と共にばからしく感じれるほど、何不自由なく与えられ続けた――表に出ること、外界を知るコトは許されなかったが。そんな降りに、聖杯戦争の噂を聞きつけたのだ。彼女の親とされるモノは、徹底的に、彼女が主体となってやることを禁止していた。彼女はそのとき初めて外界の味を知ったのだ。自身が主体となる喜びを知ったのだ。そうなれば滑車が回り出すように、どんどんと事を運ばせていく。電脳の世界は彼女になかった自由をあたえたのだ。

 

 彼女に与えられることがなかったのは、愛、である。故にそれを無意識に追い求め、キャスターへ抱くほのかな好意へと繋がっていく。

 

 性格は傲慢・暴力女ととらえられがちだが、彼女は外界を知らない事実に軽いコンプレックスがあり、何も知らない自分を他の人に見せたくないが故である。聖杯戦争に参加している間、抱え込んだストレスは全てキャスターが自ら受け止めた(物理)。

 キャスターは最初こそ彼女の暴力癖に辟易していたが(断じてしゃれではない)、次第に彼女の心に巣くうモノを知り、率先して受け止め出す。彼女もまたキャスターの優しさに気づいていてが、やはりというか、プライドが邪魔をした。

 

 ――彼女の願いは優しいユメそのもの。

 

 

 

***

 

 ここからは余談

 

 

 

 最初こそ、彼女を売春婦からの出にしようと思った(キャスターの妻も売春婦の出故に)が、何だかんだこの設定に落ち着いた。

 ちなみに、売春婦出にしていた場合、最期のシーンで生に対し強い執着を見せる。あんまりにもむごたらしいオチになったのでキャラを変更した。

 




そろそろクライマックスも近いし、タイトル変えるかも知れん。

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