スクールワルドルに、チカはなる!   作:真西秋矢

1 / 1
スクールワルドルに、チカはなる!

旅館、十千万。そこにある自室で、アイドル雑誌を読む少女の姿があった。
「ふむふむ……μ'sのにこちゃんには小悪魔な一面もあったんだ……」
キラキラな内容を読むその姿勢は、真剣そのもの。
「確かに、こんな可愛いのに小悪魔なセリフ言われたら、たまらないよね〜」
そうしてちょっとだけ妄想をし、
「よし、決めた! 私も小悪魔を目指す!」
高海千歌は、拳を握り締めて宣言した。
「……で、小悪魔って何だろう?」
勢いだけは良かったものの、腕を下ろして首を傾げる。
「悪魔だから、悪いんだよね? あ、でも“小”悪魔だから、そこまで悪くないって事なのか……。ちょいワルな感じ? ちょいワル……ちょいワル……。う〜ん…………」
至極どうでもいい事を、知恵熱を出して悩む千歌。
「おはヨーソロー!」
そこへ、敬礼をしながら曜が入って来る。
「あー千歌ちゃんまたアイドル雑誌読んでる。朝から読んでたら、また遅刻しちゃうよ〜」
「む〜…………」
「……千歌ちゃん?」
脳内で試行錯誤を繰り返す千歌に、曜の声は聞こえない。
「入ってくる曜ちゃんを大声で驚かせる!」
「わっ……いきなりどうしたの? てかそれ、本人の前で言っちゃう?」
大声を上げた千歌に、曜は苦笑い。
「ん?」
そこで初めて、千歌は後ろを振り返る。
「……………………。曜ちゃん⁉︎ いつからいたの⁉︎」
「あ、気付いてなかったんだ……。ついさっきだよー。私を驚かすとかどうとか言ってた時」
「もぉーいたなら言ってよ〜! いきなり失敗しちゃったじゃん!」
「えっと……何が?」
当然曜には、千歌が何を企んでいるのかなんて分からない。
「実は……かくかくしかじかで」
「ふむふむ」
「……という事で、千歌はヤンキーを目指してみるのだ!」
ドヤッ、と言い放った千歌に、
「また変なものに影響されちゃったのか……」
曜は慣れたように小さく息を吐いた。
「バレちゃったからには、曜ちゃんにも協力してもらおう!」
「協力って……具体的に何をするの?」
「そこなんだよねぇ……。思い付きだから、これといって案があるワケでもなくて」
「あ、そこは自覚あるんだ……」
「む〜……。学校に遅刻するとか!」
「いやそれ、先生に怒られるだけだし……。というか、現在進行形でそうなりそうなんだけど」
曜は壁の時計をチラ見する。あと五分以内に出ないと、バスが行ってしまう。
「あえて歌詞を書かない!」
「それは梨子ちゃんが怖いよ……」
千歌も状況を想像したのか、神妙に頷く。
「旅館の部屋を掃除しない!」
「それは後で、美渡さんに絞られるよ?」
「う、旅館の神様には、逆らえない……」
アホ毛がヘニャり、これも断念。
「スイーツ食べまくってカロリー大量摂取!」
「ダイエットで泣いても知らないよ……」
「ダイヤさんのプリンを食べちゃう!」
「それは、絶対にやめた方がいいかな。うん」
「図書室の本を借りっぱなしにして放置!」
「図書委員の花丸ちゃんに迷惑かかるよ?」
「差し入れと称して、お菓子持って理事長室に邪魔しに行く!」
「鞠莉さんならむしろ、喜びそうだなぁ……」
「果南ちゃん家のボンベを勝手に使っちゃう!」
「普通に営業妨害だから、やめようね? 昔持ち出そうとして、ボンベ一本割ってこっぴどく怒られたよね?」
「ルビィちゃんにガ○ガリ君のシチュー味をプレゼント!」
「多分泣き出すよ?」
案を出す瞬間に却下され、
「もぉー何していいか分かんない!」
千歌は頭を抱えた。
「あはは……」
そろそろ諦めるだろうと、曜も特に止めたりはしない。
「あとは……あとは…………」
千歌はしばらく唸った後、
「善子ちゃんの配信に乱入する! 新衣装持って!」
「いいね! やろう!」
「へっ?」
まさかの賛同が返ってきて、千歌は変な声を上げる。
「えっと……曜ちゃん?」
「ちょうど一着だけ仕上げた衣装があったんだよね〜。みんなの感想聞きたいし! リトルデーモンさん達にも協力してもらおう!」
「そんなに乗り気になるとは……思わなかったなー?」
もはや戸惑う千歌。
「ほら千歌ちゃん! 早くしないと学校遅刻しちゃうよ!」
「あ、うん」
曜に連れられるまま、部屋を飛び出す。
「あ、そうそう千歌ちゃん」
「ん?」
「千歌ちゃんはそのままで充分可愛いんだから、キャラ作りとか必要ないよ」
「そ、そうかな……」
「ちょっとおバカな方が、千歌ちゃんらしいもん」
「こらー! おバカってどういう事だー!」
「あ、千歌ちゃんが怒った〜。逃げろ〜」
「待てー!」




後日、
「はぁい、リトルデーモン達。会えて嬉し「お、やってるやってる」「お邪魔しまーす」い……は?」
「ねえねえ、新しい衣装作ってみたんだけど、どう思う?」
「可愛いよねぇ。キラキラだよねぇ〜」
「ふむふむ……ホントに⁉︎」
「良かったね曜ちゃん! みんな可愛いって言ってるよ!」
「よーし、じゃあ次の衣装はこれでいこう!」
「けって〜い!」
「早速、帰って衣装作り始めないと!」
「頑張ろ〜!」
「「お邪魔しました〜」」
「……………………」




「何しに来たのよ!」






※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。