Fate/Game Master   作:初手降参

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立香。
お前が異聞帯との戦いに出ないのは勝手だ。けどそうなった場合、誰が一人で出ると思う?

マシュだ。

マシュはこれまでの戦いで、戦闘に参加できなかったことに負い目を感じているはずだ。
だからお前がやらなきゃ、自分から手を挙げるだろう。

けど、今のあいつだけじゃ異聞帯には勝てない。そうなれば、彼女は自分のせいだと己を責める。

……お前が戦うしかないんだよ!!

↑ここから始まる物語


……カルデアを追われ絶体絶命の危機に陥った藤丸立香の元に現れたのは、変な箱を持った胡散臭いオジサン(異世界のフォーリナー・石動惣一)だった!!
限られた戦力で異聞帯を攻略し、奪った成分で立ち向かえ!!

Fate/Cafe Master


……というネタが降りてきた
どちらにしろ二部終わるまで書けない

……さて、ビルドがVシネや小説版含め完全に完結するのが先か、二部が完結するのが先か……どっちだろう



第四十六話 Time Judged all

 

 

 

 

 

『トリプル!! スキャニングチャージ!!』

 

「……はあっ!!」

 

 

オーズがその手に握ったメダジャリバーを振るう。その一撃は空間を裂き、しかし標的に命中することはなく。

 

オーズは、突然現れた二人の裏切り者と共にクトゥルーと交戦していた。彼には、突然現れた二人が何者かはさっぱりわからなかったが、一先ずは彼女らを信用して肩を並べていた。

……しかしそうするのにも限界が近づいてくる。オーズの動きはガシャットによって強化されているにも関わらずとても遅くて。

 

 

「はあ、はあ……ッ!?」

 

   ダンッ

 

 

そして彼は、向かってきた触手を避けられずに食らい、開いていた病院の三回の窓まで飛ばされていった。

 

 

 

 

 

『タドル マジックザ クリティカル ストライク!!』

 

「コンサートも佳境かしら……!! 鮮血(バートリ・)特上(ハロウィン・)竜巻(ブレイブ・)魔嬢(エルジェーベト)!!」

 

 

残された二人もかなりの苦境にあった。

ランサーは一人で、山のようなクトゥルーの落とし子を引き受け、そして囲まれていた。

遠くではイリヤがクトゥルー本人と交戦していた。さっきまではオーズもそこにいたのだが、もういない。

 

圧倒的な物量。押し潰されれば一溜まりもないだろう……ランサーの理性はそう判断する。己を囲う壁は、まるでかつて己を封じた監獄のようで。

それでもランサーは奮い立った。彼女は己の槍を大地に突き立て、背後にチェイテ城の幻影を作り出す。

 

そして、叫んだ。

 

 

「LAァァァァァァァァァァっ!!」

 

 

その怒声はチェイテ城を通じて拡散され、竜巻を纏い、周囲に嵐を巻き起こす。クトゥルーの落とし子を吹き飛ばして、粉砕していく。

 

彼女には勇気があった。これまでの旅で培った物だった。彼女には希望があった。これまでの旅で教わった物だった。

 

 

「ふぅ……コホン、大分すっきりしたわね」

 

 

ランサーは一つ咳払いをして伸びをする。

視界を占めていた暗い壁はもう無力化した。ランサーは振り返り、イリヤに加勢しようと飛び出していく。

 

 

 

 

 

……そのイリヤは、クトゥルーの触手に捉えられてもがいていた。

 

 

「ちょっ、何これ、取れない……!!」バタバタ

 

「アアッ!! これソリッドブックでよく見るシチュじゃないですか!! やっぱり触手は魔法少女の天敵ですよぉ!! あっ、服破れた!!」

 

「そんなこと言ってないで手伝ってよぉ!!」

 

「こういうときこそ、あの台詞です!! あれ!! せーのっ!!」

 

「触手なんかに、屈したりしない!! って、そうじゃなくてぇ!!」

 

 

そんなやり取りだけ聞けばまだ余裕がありそうだが、クトゥルーの狂気に触れ続けたイリヤの目にはもう正気が失われかけていて。

 

今のイリヤに、本来のような戦闘力は存在しない。クラスカードを持っていない為に夢幻召喚(インストール)は不可能で、マジカルルビーの妹にあたるマジカルサファイアを持っていない為にツヴァイフォームも使用できない。

 

 

「ハハハハハハ!! 輝けるものこそ穢れて落ちるべし!!」

 

 

また、触手の力が強まった。

 

それを、横から飛んできたランサーの剣が叩き斬る。

 

 

   ザンッ

 

「大丈夫!?」

 

「ああ、何とか、大丈夫です……!!」

 

 

再び二人は並び立った。邪神は狂気の中に佇み、立ちはだかる。

 

───

 

「っ、がぁっ、がはっ……」

 

「ああ、審議官!! 大丈夫ですか!?」

 

 

灰馬は、窓から勢いよく転がってきたオーズを支えていた。

オーズは息も絶え絶えで、クトゥルーの攻撃から解放されるのと同時に、元の日向恭太郎に戻っていた。

 

 

「っ、つ……」

 

「大丈夫ですか審議官!?」

 

「……逃げてください」

 

 

……恭太郎が口を開けば、真っ先にその言葉が口をついて出た。ここまでの戦いで、日向恭太郎という人間の脳内に、クトゥルーへの恐怖が刻み付けられていた。

しかし彼は狂えない。狂っていられるだけの暇はどこにもない。

 

 

「……え?」

 

「逃げてください。ここは危険だ、早く!!」

 

 

そう言う言葉は鬼気迫るもので。灰馬は逆らうことも出来ず、撤退の旨を念話で信勝に伝える。

そして彼は、恭太郎の袖を掴んだ。

 

 

「わ、分かりました!! では審議官も──」

 

「……いや、私は残ります」

 

「……そ、そんな……それでは審議官、貴方は──」

 

 

しかし恭太郎は、袖を掴む手を振り払った。そして痛みに顔をしかめながら立ち上がり、再びガシャットを手に取る。

 

彼の頭の中に、クトゥルーと以前対峙したときの映像が走っていた。敵しかいないフィールドで、なぶり殺しにされていく仲間たちの姿が走っていた。

ここで勝負は投げられない。

 

 

「逃げてください!! すぐに!!」

 

 

だから、まず彼らを逃がそう。恭太郎はそう考えていた。

 

そう言う彼を止めることもなく、アルジュナはただ眺めていて。

そして今度は、恭太郎は彼に目を向けた。

 

 

「……アーチャー」

 

「何でしょうか」

 

「……全ての令呪をもって命じる。私が指示したタイミングで、あの怪物に対して破壊神の手翳(パーシュパタ)を全力で発動し、仮面ライダークトゥルーを撃破せよ」

 

 

恭太郎の手から、二画の令呪が消滅した。これで恭太郎からは、全ての令呪が消えたことになる。もう、アルジュナへの命令権はない。

 

アルジュナは、恭太郎に敬意を示して膝をついた。

 

 

「……ありがとうございます、マスター。貴方は私を上手く使ってくれた。私の心に踏み入らずに。私は、最後までお仕えいたします」

 

「……頼むよ」

 

 

目の前で交わされる会話に、灰馬はただ呆然としていた。このまま戦えば、冗談抜きに彼は死んでしまう。

 

一瞬彼は悩んだ。恭太郎を止めるべきか、止めざるべきか。彼は悩み……そして、彼の中の医者が勝利した。

灰馬は、恭太郎の意思がどうであろうと彼を強引にでも連れていこうと再び手を伸ばし──

 

 

「やはり……や駄目です審議官!!」

 

「私はドクターです!! 誰も、死なせない!!」

 

『ジャングル オーズ!!』

 

「……変身!!」

 

 

……その手は、恭太郎の周囲に飛び出した光によって弾かれた。

 

恭太郎は、再びオーズに変身していた。かつて彼自身を苦戦させた、紫のオーズに。

 

 

『タトバ ガタキリバ シャウタ サゴーゾ!! ラトラタ プトティラ タジャドル オーズ!!』

 

「審議官……」

 

「私はあのバグスターに沢山の仲間を奪われました。……もう、悲劇は繰り返さない。私が命を守ります。この身を賭けて!!」

 

───

 

その時、シャドウ・ボーダーは聖都大学病院へと向かおうとしていた。

……しかし、その道は阻まれていた。パラドを、その向こうの聖杯を狙う多くのプレイヤーによって。

 

 

「駄目だ、動けねぇ!!」

 

「早く向かわないと!!」

 

 

シャドウ・ボーダーは全包囲されていた。抜け出すことは不可能だった。誰もがパラドを狙っていて、逃がすつもりは毛頭なかった。

パラドはやきもきする。こうしている間にも、また一人誰かが襲われているかもしれない。そう思えば焦りが募った。

 

 

「……レーザー」

 

 

そしてパラドは、思い付いた。

それに合わせて、彼は貴利矢に手を伸ばす。

 

 

「何だパラド!!」

 

「……爆走バイクを貸してくれ」

 

「あ? 何する気だよ」

 

「……俺らだけが離れる。奴等の狙いは俺なんだろ?」

 

 

そう言いながら、パラドはBBを見た。BBは一つ大きく溜め息をついて、ゆっくりと座席から立ち上がる。

 

 

「お前達は、病院に行け」

 

「……全く、困ったセンパイですね。まあ、ちょっとなら付き合ってあげますか」

 

 

貴利矢は暫く二人を見て困っていたが、数秒の逡巡の後に、パラドに爆走バイクを投げ渡した。

まだ周囲は、プレイヤーに囲まれていた。完全に包囲されている現状を打破するには、誰かが囮にならなければならなかった。

 

 

「……ここは任せたぜ?」

 

『爆走バイク!!』

 

 

パラドが車の窓を開ける。それだけで、外のサーヴァント達が一斉にパラド狙って攻撃を放った。それを、メディア・リリィが防御する。

そしてパラドは霊体化したBBを伴って車窓から飛び出した。

 

次の瞬間には、人混みをすり抜けたバイクゲーマが、パラドを乗せて走っていくのが見えた。

 

───

 

斬撃(シュナイデン)!!」

 

『Buster chain』

 

「「はあっ!!」」

 

   ザンッ

 

「……駄目、全然効いてない……!!」

 

 

ランサーとイリヤは未だに苦戦していた。勝利への糸口は全く見えず、ただただ疲弊していくのみ。

 

 

「当然のことでございましょう? 私の後ろでは常に神が見守っておられるのだから!! おお我が主よ!!」

 

 

それに対してクトゥルーの方は、まだまだ戦えそうに見えた。足取りはむしろ軽く見えた。彼とて疲弊してないことはなかったが、彼を満たす狂気がそれを忘れさせていた。

 

そして、クトゥルーの背後の触手が、ランサーの胸元を貫こうと飛び出していく。

 

 

「それでは、貴女も供物となるときです」

 

「っ……」

 

 

 

 

 

『プ ト ティラ ノ ヒッサーツ!!』

 

   カッ

 

 

その刹那、再び参戦したオーズの砲撃がクトゥルーの触手を全て焼き払った。クトゥルーは興味深げに唸り、触手を追加する。

 

 

「……ふむ、まだ戦うのですか?」

 

「アァ、はぁ……!!」

 

 

オーズはもう限界だった。意思だけで立っていて、体の力は入らない。

……そんな状態で彼が変身したのは暴走を起こしやすい紫のオーズ、プトティラコンボ。

 

彼は、半ば体の自由をガシャットに奪われていた。

そうなれば、オーズは勝手に日向恭太郎を戦わせる。リミッターは存在しない。

 

彼は、消滅する。

 

───

 

 

 

 

そして、さらにそれから暫くして、ようやく国会議事堂から永夢と飛彩が駆け込んできた。

二人が見たのは、紫のオーズがクトゥルーと何度も攻撃しあう光景。互いに防御をせず、オーズが斧を振るい、クトゥルーが触手を伸ばす光景。

 

 

「あれはまさかっ……」

 

「恭太郎先生!?」

 

 

二人がそのオーズが日向恭太郎だと断定するのに、そう時間はかからなかった。しかし同時に彼らは、何故そこまでオーズが危険に身を晒すのかが分からなかった。

そして、彼らが見上げる一瞬のタイミングが、恭太郎の運命を決定付けた。

 

 

「ウアアアアアアっ!!」

 

『スキャニングチャージ!!』

 

 

オーズは止まらない。止まれない。彼は永夢がようやく駆けつけたことを認識していない。

オーズは斧を放り捨てて、大きく飛び上がってから高速で突き進み、クトゥルーの胴体に、その足を突き刺していた。これが、最後の足掻き。

 

 

   ズガンッ

 

「なっ──」

 

「──ハアアアアアッ!!」

 

『スキャニングチャージ!!』

 

 

さらにオーズはその状態で高速回転し、クトゥルーを大地に押し付ける。クトゥルーはそれを止めようと触手を伸ばしていたが、見境なく溢れ出す冷気の前には力を出せず。

 

 

「止めてください恭太郎先生!!」

 

「危険です審議官!!」

 

 

『スキャニングチャージ!!』

 

『スキャニングチャージ!!』

 

『スキャニングチャージ!!』

 

 

声は届かない。攻撃の勢いだけが増していく。周囲の大地には氷が張り始め、周囲は冷えきっていた。

 

そしてクトゥルーとオーズは、互いに互いを攻撃し続けた果てに、共に爆発した。その瞬間に、クトゥルーのすぐ側で破壊神の手翳(パーシュパタ)が発動する。

 

 

「恭太郎先生──!?」

 

 

永夢の号哭が空に響いた。

 





次回、仮面ライダーゲンム!!


───クトゥルーとの決着

「先生を、先生をよくも……!!」

「間に合わなかったか……!?」

「令呪をもって命ずる」


───大我の危機

「あれって……」

「また、てめぇか……!!」

「俺は急いでるんだ……!!」


───パラドの逃亡

「まだ追いかけてくるのか!!」

「仕方ないですよそれは」

「キリがない……!!」


第四十七話 DIE SET DOWN


「君はもう用済みだ」

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