大我も中々日常の分からないキャラ
お化け怖いくせに廃病院を根城にしてるけど、今でも寝泊まりしてるんだろうか
廃病院そのままで病院を開いてるんだろうか、衛生的に大丈夫なのか
流石にまだニコと同棲とかしてないと思うけど、関係はどうなっているのか
ニコは医療事務辺りの資格取って真面目に働いてるんだろうか
(あと作者は映画見れていない口なので大我の病院の名前が分かりません、誰か教えて)
「……待たせたな。簡単な物だが、味は保証できる」
「うわー、ホントに美味しそう……」
「……」モッキュモッキュ
その頃、花家大我と西馬ニコは、自分達の病院にて夕食をとっていた。作り主はエミヤだ。
ろくなものの入っていなかった冷蔵庫の中身でよくこんなものが作れたな、とニコは感心しながら咀嚼し、大我は無言で米をかきこむ。
ランサー、フィン・マックールは現在ゲンムコーポレーションの監視中だ。カメラの類いは最早頼りにならないとの考えによる行いだった。
「ふ、調理実習無敗記録持ち、世界中の一流シェフとメル友になること百余人──どんな食材でも、旨いものは作れる」
「何やってんだゲンムの社長……」
小さくどや顔を浮かべるエミヤを見ながら大我は呟いく。彼を作り出してこうして旨い飯を食べている以上、開発主である黎斗が態々百余人のシェフとメル友になったことは容易に推測できた。
イカれている。というかよく百余人のシェフとメル友になったな……と大我はぼんやり考える。
「で? 俺達はこのゲームのルールをよく知らないんだが、お前らは知ってるんだろ? アーチャー」
それはそれとして、聞かなければならないことは沢山あった。何より大切なのはこのFate/Grand Orderというゲームのルールだ。
CR側の檀黎斗は、本来このゲームは仮想世界に飛び込んで行うものであり、現実を侵食するなどあり得ないと言っていた。ならばゲームのルールを知っているのは、最早サーヴァントしかあり得ない。だから大我はエミヤにそう問った。
「ルール、ルールか……聖杯戦争──このゲームだが、そのルールの根幹はただ一つ、他のサーヴァントを倒すことに他ならない」
「そうか。じゃあ俺達は、ゲンムの側のサーヴァントを倒しきればゲームクリアなのか?」
「恐らくだが、私はそうだと考えている」
そう言うエミヤ。彼は既に空になった皿を回収し水場に向かっていた。この前まで廃病院だった施設には一周回って相応しいような良くできた執事だ。
これでは
しかしそれについて言及するのは今ではない。今はゲームについて少しでも知らなければならない。
敵は確か十一体いたはずだ、と大我は考える。姿はよく見えなかったが、盾とか弓とかの武器はバランスよくそろっていたと想起する。厄介だ。
「じゃあ、ゲームクリアしたらどうなるの?」
「聖杯が顕現する」
「……聖杯?」
聖杯。キリストの血を受けた器。それはいつしか神聖視され、各地に聖杯伝説が生まれたと言われている。
しかし、それが顕れたら、どうなると言うのだろう。
「つまるところ聖杯とは万能の願望機。果たし得る望みならば過程を省略して叶えることが出来る」
「……何でも願いが、叶うのか?」
「そういうわけだ。我々サーヴァントもその聖杯があるから呼び出された」
聖杯とは、何でも叶う願望機。彼は確かにそう言った。
花家大我の望み、それはバグスターの根絶。人を害する病魔の消滅。
彼はバグスターによって絶望し、バグスターに抗い、だからこそバグスターの根絶を諦めなかった。バグスターを排除する圧倒的な力を求めた。
そしてその力は、彼の前にこうして提示されたのだ。
「……大我」
「っ、分かってる」
ニコがどこか不安げな顔をしながら、大我の服の裾を引っ張った。その顔を見て首を振り、首をもたげた聖杯を欲する気持ちを振り払う。
そんな美味い話がある筈がない。そもそもこの聖杯とは、きっとゲームの中の存在だ。Fate/Grand Orderというゲームがあって初めて成立するものだ。CRのドクターはそのゲームの排除を目的としているのに、それに頼ってしまっては本末転倒も甚だしい。
だから、拒否しなければならない。拒絶しなければならない。
「でも、それはゲンムの奴が作った設定だろう?」
「それは……そうだな。確かにそれはその通りだ。だが、私達に与えられた知識では、確かに願いは叶えられるらしいがな……だが、今回の目的には聖杯は不要か。要らぬことを言ったな」
「……」
大我は無意識の内に唇を噛んだ。ニコはそれを見逃さなかった。
───
「なるほど、サンソンってあのフランス革命の……」
「……」
その頃黎斗神と貴利矢のいないCRにて、残されたパラドとポッピーは自分等のサーヴァントが何かを検索していた。
シャルル=アンリ・サンソンはフランス革命の処刑人だ、と言うことを知って唸るパラドと、それを知られて微妙な顔をするサンソン。
それに対してポッピーは、やはりBBにはモデルなどないのだと結論付けて彼女との会話を試みていた。
「何で私が世界を救わなくちゃならないんです?」
「そんなこと言われても……」
いや、試みてこそいたが、どうしようもなく押し負けていた。
どうにも会話が噛み合わない。真檀黎斗対策として呼び出された筈なのに全くそのつもりのないBBに対して、ポッピーはどうすればいいのか分からない。
「それより、折角現界したんですからどこか遊びに行きません?」
「え、本気だったの!?」
「本気ですよー、折角こっちにこれたんですから、沢山遊ばないと損ですよ損」
「でも……」
「……裏切りますよ?」
「えっ」
BBには、CRのサーヴァントとして世界を守る意思なんて毛頭存在などしていなかったのだ。呼び出されこそしたけれども、それはあくまで興味があったからに過ぎない。そしてその興味が満たせなければ、CRに従う義理などないのだ。
「ほら、そこのお兄さんも」
「えっ、俺?」
パラドもBBに腕を掴まれて萎縮する。サンソンに助けを求めて目をやるも、彼は彼で微妙な顔をしたまま助けることもなく。
なし崩し的に、二人は外出の約束をしてしまった。
ウィーン
「今戻ったぜポッピー、パラド」
「貴利矢!! ……黎斗は?」
助け船……としてはすこし遅いが、そこに黎斗を探しに行った貴利矢が戻ってきた。ライダーとキャスターの姿もある。
「ああ、神なら……」
「檀黎斗神だァ!!」
「……ほれ」
ちゃんと黎斗神も帰ってきていた。
彼は自分のパソコンに向かって歩きながら、ポッピーとパラドに向けて手を伸ばす。
「……ポッピー、パラド。ガシャットを回収する。サーヴァントに対抗し得るように調整したい」
「え?」
「君たちも気づいているだろう。現行の仮面ライダーではFate/Grand Orderの相手は難しい、と」
「それは、まあ……」
そう言いながら二人はガシャットを手渡す。黎斗神は取りあえずときめきクライシスをパソコンに繋ぎ、メディア・リリィにコードのついたヘルメットを投げ渡して、サーヴァントシステムに効くかもしれないプログラムをガシャットに入れていく。
しかし、そのプログラムが本当にサーヴァントに効くかは分からない。サーヴァントについて外から知ることが出来るデータには限りがある。もっと中身の部分を知らなければ、完全な対策は出来ない。
また、彼には他にもすることがある。他ならない、聖都大学付属病院の防衛だ。もしこの病院があのゲンムコーポレーション前のように完全に支配されたなら、CR内でなすすべもなく始末されかねなかった。
「これは、過労死するだろうな……」カタカタカタカタ
「マスター大丈夫なんですか? 何か出来ることがあったら……」
「私に構うな!! とにかく他のサーヴァントと戦うときのことだけを考えろ!!」カタカタカタカタ
その目には、早くも隈が出来始める。
───
マシュは戻ってきた真黎斗に追い出され、しかしアヴェンジャーを捕まえることも出来ず、自分の部屋へと戻ろうとしていた。
そこで、たまたまジークフリートとすれ違う。
彼はどうにも、何かを探してうろうろしているようだった。
「あ、ジークフリートさん。どうしたんです?」
「ああ、すまない。社長室にガシャットを取りに行きたいのだが、道を忘れてしまってな」
そう言いながら気まずそうな顔をするジークフリート。しかしまあ、まだ来たばかりだし無理もない。
マシュは彼を社長室へと案内しながら、やはり聞きたいことを聞く。
当然、黎斗についてだ。そして、現在の自分自身についてだ。しかし、その反応はやはりマシュにとってよいものではなく。
「……俺は、別に偽物でも構わない。誰かの為に生きた過去があり、また今がある。それで十分だ」
……ジークフリートは、かつて誰かの望みを叶えることに尽力した英霊だ。そうあれと作られた。その力はかつて彼を頼った多くの人々のために使われ、それを彼は後悔していない。
そして彼の現在の望みは、自分の信じるものの為に戦う正義の味方だ。認められなくてもいい、己の信じるものに寄り添って戦いたい。そう考えている。だから、己の真贋は関係がないのだ。
「……じゃあ」
しかしマシュだって、何時までも黙ってはいられなかった。ラーマとの会話、アヴェンジャーとの会話、そして真檀黎斗と打ち合ったCR側勢力の存在がそれらが彼女に揺さぶりをかけ、不安定にし、早く賛成意見を得たいと躍起にさせた。
「じゃあ、黎斗さんが今からやろうとしていることは、どう思うんですか? 今ある人々の暮らしを壊して、それで勝手に新しくして、それでいいんですか?」
「……」
その質問に、深い意図はなかった。マシュが安心するために、咄嗟に口をついて出た物だった。
しかしジークフリートはそれには答えられなかった。正義の味方は、人々を脅かすことを是とは言えなかったのだ。
「……どうなんですか?」
「すまない。今はまだ、何も言えない」
そう言いながらジークフリートは社長室へと向かっていく。もう道は分かったらしかった。
マシュは廊下に残される。ほの暗いLEDに照らされる姿は頼りなく。
「……マシュ殿、恐れることはありませぬ」ヌッ
「きゃっ!? じ、ジルさん……」
突然、ジル・ド・レェがマシュの背後に現れそう言った。その瞳は大きく見開かれていた。口元は期待に緩んで見えた。
「我らが主が目指すのは、万人のための世界。世界の理は作り替えられ、世界には刺激と快楽がもたらされ、理不尽は振り払われる!! 神よ、おお、神よ!!」
「……」
「不安などいりませぬ。神は理想郷を作られるのだから!!」
───
「まあ、そのようなことも出来るのですねマスター?」
……その頃、作は自宅でパソコンに向かっていた。その背後ではアルターエゴ……殺生院キアラが立ちパソコンを覗き込み、時々作の首筋に指を這わせる。
ベッドはまだ生暖かく、くしゃくしゃに乱れていた。
「はは、はい……」
「じゃあ……私にもガシャット、作ってくれます?」
また指を這わせる。同時に彼女は作の耳に息を吹き掛けた。
作の目にはもう光は残っていない。頬はだらしなく紅潮し、呆けたような印象を受ける。それはキアラのみが為せる業。今の作に、自由意思は無い。
既に彼は、喰われていた。獣の体内にいた。
「はい……わかりました、キアラさま……」
キアラに聖杯に託す望みはない。彼女の望みは、聖杯なしで叶えられる。
彼女の目的こそ、自分のための理想郷の創造。彼女とその信者だけの世界。作はその道具としては、それなりに有能だった。
パソコンにはガシャットの設計図が映っていて。
次回、仮面ライダーゲンム!!
──街に飛び出すサーヴァント
「そーれ、観光じゃ!! ついてこいマシュ、エリザベート!!」
「オッケー、行くわよ!!」
「えっ……えっ……」
──遭遇と威嚇
「なっ……サーヴァント!?」
「何でこんなときに出てくるんですか!!」
「ガシャットは預けてるし……」
──進められる開発
「ハーハハハ!! ハーハハハ!!」
「え、出来た? え? 出来たの!?」
「出来たんですか!?」
第七話 Switch on
「ダメだぁ……」
「ア"ァ"ーッ!!」