名探偵と料理人   作:げんじー

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このお話は原作第40,41巻が元になっています。

5/6(日)に投稿したものに「4台のポルシェ」を追加したものを5/7(月)に再投稿しました。今後このようなことがないように注意していきたいと思います。申し訳ありませんでした。

さて、話は変わりますが原作「名探偵コナン」の最終更新日時が新しい順で拙作「名探偵と料理人」が2Pにあるのを久しぶりに見ました。
映画効果で新作が投稿されるのは嬉しいですね。自分も去年の映画に感化されて書き始めた口なので去年もそんな感じだったのかな。
もっと増えろー。

・最近週一で活動報告の方にもなにかしら投稿しているので、お気に入りユーザー登録をして頂けるとその通知がいきますので、興味のある方はどうぞ。


原作41巻~
第五十六話 -イチョウ色の初恋、四台のポルシェ-


「じゃあ、俺と園子ちゃんでハンバーガー買ってくるから」

「うん。よろしくね」

「そっちも列の方お願い」

「任せてください」

「いくわよー、龍斗クン」

「ああ」

 

俺は並んでいた列を離れ、ハンバーガーショップへと向かった。

お店について中に入ってみると人がソコソコ並んでおり、俺と園子ちゃんは雑談に興じることにした。話題は…群馬方面で巻き込まれた殺人事件について。

 

「それでさー、せっかくテニスをしに行ったのに雨でできないし!おじさまのレンタカーは川に流されるし!殺人事件に巻き込まれるしで散々だったのよ」

「それはまた、ご愁傷様というか……」

「でも、今度のはちょっと犯人に同情しちゃうのよねー」

「と、いうと?」

「その殺されたおじいさんが嫌な人でさー。明らかに人を傷つける目的であれこれ指図して、それで犯人の奥さん亡くなっちゃったんだけど笑ってたっていうしもう最悪」

「それは……性根がひん曲がっているね」

「そうなのよ!だからなんか可哀そうだなーって」

「でも人殺しはなあ…とは思ってしまうな。代替案としてこうすればよかったのに、っていうのが言えないからその件に関しては偉そうなこと言えないわな…」

 

彼がそうしてしまった経緯は分かった。すでにコトが起きた後だという事も。人をむやみやたらに殺すのは悪だとは思う。だがその結論に至る過程を知ってしまって、なお否定するなら別の道を示す責務があると俺は思う。

まあ……ただ無軌道に殺しを行う輩もいるし、どうとも思っていない人もいるからすべてはそうとは言えないけど。

 

「あら?龍斗クンにしては煮え切らない答えね?」

「いつだってしっかりした意見を言えるわけじゃないさ。少なからず犯人に同情しちゃってるってのが本音だし、でも俺が常日頃言っている人殺しはいけないって言うのに相反しているからね。だからふわっとしたことしか言えないよ」

「ふーん…あ、私達の番が来たわよ」

 

トリコ世界の時代に、意思疎通が出来た者を殺したことはある。俺の場合はそのものが食材、もしくは食べることに通じる障害として。これも俺のエゴだが、自分が生きるためという大前提が根底にあったんだ。トリコ世界は大体が食に通じていた。それ(殺人)をしなければ文字通りの「死」があった。まあ俺の出身地は例外だが。

だが、コナンの世界に来てからは気持ちを納得させるためだったり単純に障害だなと「思ってしまって」犯す殺人を目の当たりにしている。その人がいても自分が死ぬわけではない。なのに……ああ、やめやめ。折角の休みだって言うのに気が滅入ってしまう。

 

「……龍斗クン?ものすごい量頼んでたけど、それ立ったまま食べるの?」

「へ?」

「え?って無意識だったの?ずっと大丈夫かって尋ねてもなんか上の空だし。「どこの団体さん向けなのよ」って量になっているわよ?…蘭に聞いて龍斗クンが大食いだって聞いたけど本当にイケるの?」

 

どうやら色々考えているうちに注文を済ましていたらしい…わお、バーガー系全部を2つずつ?全部で100近いな。しかも今日の買い物に使うつもりだったお金が無くなってる。

 

「はあ…流石に飲み物は一つか。お店も準備して半分くらい終わってるからキャンセルも出来ないし。まあぼーっとしていた俺が悪いか」

「ね、ねえ。本当に大丈夫なの?なんならウチに持って帰って使用人に配るわよ?」

「ありがと。食べきれなかったらそうしようかな?」

 

そこから待つこと15分。お店が用意してくれた大量のハンバーガーを手に俺達は二人が待っている列に戻った。

 

「たっだいまー、蘭!紅葉ちゃん!聞いてよ、龍斗クンったら…って、電話?誰から」

「ああ、お帰り園子龍斗君。コナン君から電話があって。園子に用事があったみたいだけどいないって言ったら切れちゃった。なんだったんだろうね?」

「気にしなくていいんじゃない?だってあの子といるといっつも事件に巻き込まれるんだもん」

「あはは…それにしても、さっきより列伸びてない?もう少しで限定モデルの販売開始だけどまだまだ伸びそうだな……なんてブランドだっけ」

「フサエブランド、よ。イチョウのデザインが特徴の。品質が良くて、可愛らしいものもあればシックなのもある色んな年齢層に人気のあるブランドなんやで?値段も高校生でも買えるものがあるからこないな列になっとるんやろな」

「そうそう、ここ数年で一気に名前が広がったのよね。それにしても蘭がブランド物の買い物に私達を誘うなんて珍しいわよね。いつもはどこのブランドで、とかじゃなくて気に言った物を買うって感じなのに」

「それはね。10年前にある人と約束したんだ」

「約束?」

「うん。ほら、小学校のイチョウ並木があるでしょ?12月の初めか、11月の終わりくらいに突然雨が降ってきてイチョウの木の下で雨宿りしてたの。そしたら帽子をかぶった女の人が傘を貸してくれたの」

「へえ…あれ?10年前で一年生の時だよね?あの頃は俺と新ちゃんと蘭ちゃんとでいっつも一緒に帰ってたけど記憶にないぞ?」

「多分、龍斗君は一年の時は生き物係だったからその当番か何かだったんだと思うよ。それで、傘を貸してくれた時に将来彼女がデザインしたバッグかアクセサリーを買ってねって指切りしたの。その目印が…」

「銀杏ってわけやね。銀杏をモチーフにしたブランドなんて他にありませんし、すっごい人と会うたんですね」

「うん。その時は彼女も言ってたけどまだ有名じゃなくて頑張るから!って言ってたから」

「本当に頑張ったんだね!でもいいなあ。私もその時その場所にいたら、フサエさんとお近づきになれたのに!」

「園子ちゃんは用事でもあって先に帰ったのかもね?にしても、11月下旬から12月上旬に出会ったってことは今日は11月24日だし、今日も当てはまるし10年前の今日であったのかもしれないね」

「龍斗の言う通りやけど、流石にそないな偶然……」

「あ!私小学校の日記にそのこと書いた気がするから家に帰ってから調べてみるね」

「今日だったらなんだか運命感じちゃうわね!」

「だね!」

「……それで?さっきから言いそびれてしまいましたけど、なんなん?その大量のハンバーガーは」

「あはは…注文の時にミスっちゃってさ。大丈夫、あと30分はあるし100個くらいよゆーよゆー。二個ずつあるし、皆も一口ずつ食べてみる?中々ないよ?全種類食べられるなんて」

 

その後、開店10分前には食べ終わり(JK組は一口ずつでも10種類ほどでギブアップし残りは全て俺が食べた)、蘭ちゃんのお目当ての物は無事ゲットする事が出来た。

俺も残ったお金で買える、小銭入れを購入し蘭ちゃんと園子ちゃんを家に送り届けて帰路についた。近所に二人で着いた時はとっぷりと夜になっていた…おや。

 

「あれ?博士」

「ん?おお、紅葉君に龍斗君。今帰りかい?」

「はい。蘭ちゃんたちと買い物に行ってましてその帰りです」

「こんばんは、哀ちゃん」

「こんばんは」

「二人も今帰り?なんか3時過ぎに新ちゃんから蘭ちゃんに電話してたみたいだけど今日はどこかに遊びに行ってたの?」

「ははは……まあ、色々とじゃよ」

「……まあ、いい一日だったわ。でもここで話すには長いからまた今度ね」

「そっか……あ」

「どうかしたかい、龍斗君」

「二人が今帰ってきたってことは今日の夕ご飯は?」

「そうね、今から準備しなきゃいけないわ」

「そやったら、ウチらと一緒に食べへん?龍斗は…」

 

そう言って俺に目くばせする紅葉。俺としてはまだまだ全然入るけど、ね。

 

「さっきハンバーガー100個食べてお腹いっぱいだから、俺の分がまるまる空きますね。紅葉もさっき少し食べたばかりだから大人と子供分くらいならありますよ」

「いや、しかし。悪くないかのう?」

「今日は夏さんが料理の担当ですし、残るより食べてもらう方が彼も嬉しいって」

「!!」

 

夏さんの料理に反応する哀ちゃん。前に聞いた話だと、明美さんとして手料理を何回か振る舞ったことがあると言っていたから夏さんの料理は彼女にとって煩悶させるのだろう。でも食べたくないわけがないから、ね。もう少し、もう少したてば……

 

「それに、食べながらなら時間を気にせずに今日あった話を聞けるでしょ?」

「まあその通りなんじゃが…どうする?哀君」

「いくわ。かのじ…彼の料理は好きだから」

 

こうして、今日は阿笠邸の面々が加わった夕食となった。そこで語られたのは40年越しの初恋のお話―――

 

 

――

 

 

「ねえねえ!見て見て、コナン君!今日の戦利品!じゃーーん!」

 

蘭が夕食の時に見せてきたのは朝から並んで買ったという、フサエブランドの限定モデル。イチョウがデザインされたおしゃれなバッグだ。

 

「へえ。それが今日一日、並んで買ったバッグなんだ」

「そうなのよー。朝から行ったのにすっごい人でね。疲れたー。でもよかったわ。約束はちゃんと守らないとね」

「約束?」

「うん。10年前にした約束。しかもね、さっき私が小学校一年生の時の日記を見たらその約束をしたのって今日だったのよ!」

 

ほら、と言って見せてきたのはひらがなだらけの蘭の10年前の今日の日記。確かに傘を借りたおばさんにお礼の約束として彼女が作ったものを買うって書いてあるな。しっかし、あ()()さりって多分一年の時の蘭には分からなかったんだな…ってことは、彼女は。

 

「ね、ねえ?蘭ねーちゃん」

「なあに?」

「このフサエブランドって誰がデザインしてるの?」

「え?フサエ・キャンベル・()()()よ」

 

!!そっか、やっぱり10年前に居たのは彼女だったのか。どこの誰か分かって…

 

「良かったな、博士……」

「ん?何か言った?」

「ううん、なーんでも。さ、ご飯食べよ!」

 

 

 

=================================

 

 

 

「あー、ヒマだ。やっぱり俺も紅葉達と一緒に卵粥食べに行けばよかったかなあ。でもジョディ先生も一緒だって言うし」

 

最近さらに目線が厳しくなってきたジョディ先生と、JK三人組が東都デパートに卵粥で有名な店にお昼を食べに行っているので今俺の家にいるのは俺だけだ。にしてもなんで、あんな厳しい感じなのか。まさか、俺がシャロンさんと仲がいいから「黒の組織」の一員と勘違いしている…なわけないか。

家にいない伊織さんと夏さんについては伊織さんは京都に戻っている。なんでも紅葉の着る新作の着物の受け取りだそうだ。夏さんは父さんの実家の方へ武者修行に行ってもらっている。昨日貰った電話だと割と厳しく扱かれているみたいでへとへとになっていた。でも、「緋勇家って人外魔境なのね…」はひどいな。皆いい人たちなのに。()()()()()()()()()以外は。

 

――Prrrrrrrrrrrr

 

「ん?誰だろ……はい、緋勇です」

『おお、龍斗君。家にいたのか、よかった!』

「はい?」

『いやのう、実は哀君が熱を出してしまっての。病院の診察待ちの間にどんどん悪化してしもうて……』

「それは大変じゃないか。俺の知り合いの先生に頼みましょうか?いい先生を紹介しますよ?」

『あ、ああ。それはもういいんじゃ』

「??」

『ともかく、お医者さんについてはもう来てもらっておるからの。龍斗君には何か性のつくものを作ってほしいんじゃよ。ほら、前にワシが病気になったときも作ってくれたじゃろ?』

「あー、それは構わないよ。それにしてもよく俺が家にいるって分かったね?」

『実は……』

 

博士が俺の携帯ではなく家の方にかけてきたのは、彼女を診察に連れて行ったのが東都デパート内にある診療所で待ち時間を利用してお昼を食べようとした…卵粥を。そう、そこで紅葉達に会って俺が紅葉が出かける時には家にいたことを聞いたそうだ。もし、紅葉が出た後に俺も外出していて哀ちゃんのことを出先で聞いたらオレが用事を切り上げてくるんじゃないかという気回しが働いて家にかけてきたと言う。流石長年の付き合い。よく性格を把握してらっしゃる。

 

「わかった。材料はこっちで持っていく?」

『いや、家にあるもので頼むよ。出来れば今後のためにレシピも教えて欲しいのじゃが…』

「いいよいいよ。別に大事にしていない訳ではないけど金庫に入れる、って程の(レシピ)じゃないからさ」

『すまんのう。よろしく頼んだよ』

「任された。じゃあ今からそっちに行くね」

『外は雪がふっとるから体を冷やさんようにな』

 

そう言って博士の電話は切れた。さて、と。行きますか。夏さんが居なくてよかったよ。もし聞いていたらすっ飛んで行っただろうしね。

 

「おー、ほんとだ。しんしんと降ってるな」

 

外に出てみると確かに雪が降っていた。これなら大人(と、言っても成人前だったらしいけど)と同じ感覚で生活していたら子供の身体じゃあ耐えられなかったのかもな。俺は傘をさし門扉から出て……うん?

 

「黒のシボレー?またごっついのに乗っている人がこんな住宅街に何の用だ?」

 

博士の家の近くに外国車が止まっていた。どうやら運転手も乗っているみたいだ…な!?

 

「(赤井さん!?)」

 

シボレーに乗っていたのは赤井さんだった。賢橋駅で新ちゃんか哀ちゃんを尾行していたことといい、この時期にすでに哀ちゃんについてなにか勘付いているのか…ダメだ。思い出せない。

俺は彼に気づいたことを気づかれないようにしつつ、博士の家に入った。俺が博士の家に入った時に彼の警戒が強くなったようなので、完全に阿笠邸をマークしているようだ。

 

「博士ー、来た…よ!?」

「Oh…緋勇クン」

「あれ?緋勇君?」

 

これは…どういうことだ?新出先生に扮するシャロンさんが居るのはまあ博士が呼んだから分かる。けどジョディ先生は紅葉達と東都デパートにいるはずだけど……というか、まっずいなー。もうシチュエーションが最悪だ。

 

「あの博士は?」

「あ、ああ。さっきコナン君から電話があったみたいで…ほら」

 

新出先生の指さす方に目を向けると確かに携帯を閉じている博士がいた。今終わったばかり見たいだな。というか、博士の家に入った瞬間にいつもはいない、組み合わせてはいけない二人が目に飛び込んできたから気づかなかったわ。

 

「おお、龍斗君よく来てくれたのう!」

「ああ、うん。それは全然かまわないんだけど。状況を教えてくれない?」

「状況?」

「今日何があったか、だよ」

「うーん。状況といわれてものう…」

 

博士が教えてくれたことを簡単にまとめると。

・哀ちゃんが朝から体調が悪く、休日の今日にあいている東都デパートの診療所に行くことにした。

・そこで待ち時間が発生し、卵粥を食べることにした。

・紅葉達と出会ったが、新ちゃんが食べずに車に戻ると言いだし、戻ってみると殺人事件があった。

 

「待って。ちょっと待って。殺人事件?」

「あ、ああ。車の中で人が絞殺されておったんじゃ」

「なんでこう……まあ、うん。それで?」

「何か諦めてないかい?緋勇君」

 

・殺人事件が起きた駐車場に車を止めていたために動けない。

・哀ちゃんの体調がどんどん悪くなる。新ちゃんは動くなと言われていた。

・朝新ちゃんが電話したときには出なかった新出先生にダメ元で電話したら出た。

・新出先生が警察関係者と知り合いで、病気の子を抱えている博士が出たいと言えば出れると提案した。

・その通り、出る事が出来て博士の家に帰るためにタクシーを拾おうとしたらジョディ先生が拾ってくれた。

・さっき、

 

「なるほどね。取りあえず、彼女の様子は?」

「ただの風邪ですね。栄養をしっかり取って安静にしていたら直に良くなりますよ」

「そうですか、良かった」

「緋勇クンはどうしてココに来たんですカー?」

「俺は博士に呼ばれて病人食を作りに来たんですよ…そのカットフルーツ」

「え?これですかー?」

 

ジョディ先生の持っているお盆にはカットされた色とりどりのフルーツが載っていた。どうやら哀ちゃんに食べさせてあげるために切ったのだが哀ちゃんは寝てしまっているらしい。

……にしても、なんか嫌な感じがするから感覚を開放して()()みたら。哀ちゃんの枕元、ベッドの下、あと数か所に盗聴器。そしてジョディ先生はどこかに発信している通信機があるな。電波が飛んでる。

 

「それ、貰ってもいいですか?」

「what?」

「せっかくあるので病人向けのフルーツジュースを作ろうかなって思いまして。博士ー、オレンジジュースあるー?」

「あー、確か切らしておったのう」

「そっか、じゃあ彼女が起きる前に買ってそのフルーツと合わせて…ジョディ先生?」

「え?」

「どうしました?顔色悪いですよ?」

 

ジョディ先生の顔は真っ青になっていた。

 

「ダイジョーブでーす…ちょっと嫌なことを思い出しただけなんでーす」

「は、はあ……あ、博士。ジュースと一緒におかゆのレシピも残していくから明日の朝はそれを食べさせてあげてね」

「すまんのう、龍斗君」

「いいっていいって。お安い御用さ」

 

俺はジョディ先生からフルーツを貰い、ジュースを使った。因みにオレンジジュースは俺の家の物を使った。俺がキッチンを借りて料理をしていると、対面のカウンターに新出先生が座った。

 

「緋勇君は家がこの近くなのかい?ずいぶん早く着いたみたいだけど」

「(知ってるくせに。)ええ。目と鼻の先ですよ。博士が彼女を引き取ってからちょくちょく顔を合わせてますしね」

「へえ…それでも、せっかくの休日なのに家で休んでいなくてよかったのかい?最近忙しいんだろう?」

「ま、()()ですからね。それに彼女がココに来て間もない時に「子供は大人が守ってあげないといけない」って。だから俺の手の届く範囲で彼女の世話する(を守る)と決めたんですよ」

「………」

 

ん?シャロンさん?

 

「そう……()()()()()…すみません、博士。そう言えば急用があったので僕はそろそろお暇する事にしますよ」

「お世話になったの、新出先生。気を付けて帰ってくださいのう」

「OH,それなら私も一緒に帰りまーす!それじゃあ緋勇クン、また学校で……」

 

2人はそれぞれ別れの言葉を言って博士の家を後にした。

それにしても、最後のシャロンさん。なんか覚悟を決めた様子だったけど、()()覚悟を決めたんだ?余りいい予感はしない。何事もないといいが無理、かな?俺も覚悟を決めよう。

 

 

 

俺が博士邸を出た時の俺の心は、雪を降らす淀んだ暗い空のように沈んでいた。

 

 




フサエと蘭が話している会話を新一が聴いているのはおかしいなと思ったので、蘭の日記からイチョウ並木にいた彼女=フサエという事が分かったことにしました。
小学校一年生の宿題って日記位ですよね?学年が上がれば漢字帳と宅習帳の三点セットになりましたが。先生が面白いコメントを書いてくれたのを覚えています。


意図せず、ベルモットを煽ってしまった龍斗。そしてジョディのトラウマをほじくる龍斗。今回は割と無自覚に人を傷つけてますね。

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