名探偵と料理人   作:げんじー

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このお話は原作第39,40巻が元になっています。

活動報告にて、普段からお世話になっている誤字報告について触れています。いつも皆様ありがとうございます。
それから、活動報告でコメントを頂いた方へのコメント返事もさせていただきました。


さて、お話が進むにつれて龍斗が参加(介入)すると、「移動手段どうしよう?」という事)が多くなってきました。
平次や世良と被るのでやりたくなかったのですが、龍斗も二輪免許を持っていることにします。一応、取ったいきさつも今回語りますが唐突に設定を追加してしまい申し訳ありませんでした。

一応、経緯のようなものを活動報告「つぶやき5」に載せました。


第五十五話 -お金で買えない友情後日談、本庁の刑事恋物語5-

「やっほー、博士。遊びに……あれ?」

「あ、龍斗のにいちゃん!」

「龍斗さん!」

「龍斗おにいさん!」

「やあ久しぶりだね、皆。相変わらず元気があってよろしい」

「へっへ!だってよ、「子供は火の子!」っていうしな!」

「元太君、それをいうなら「子供は風の子」ですよ…」

「あり?そうだっけ?」

「もう、元太くんったら~」

「つうか、それって子供が外で駆け回る時に言うんだけどな……」

「あら?子供たちが家の中を走り回っていたから案外間違っていないんじゃない?」

「お。コナン君に哀ちゃん。おはよう」

「「おはよう」」

 

はしゃいで室内を走り回っていた三人の後ろから現れた新ちゃんと哀ちゃんに朝の挨拶をした俺が博士の家に何をしたかというと……特に何も予定のなかった休日だったのでふと思い立って博士の家に来ていた。つまり普通に遊びに来ただけだったんだが、なぜか新ちゃん含め少年探偵団がいた。まあ新ちゃんがいたのは都合がいい。事件の話でも聞こうかな。

俺がいないところでも新ちゃんはガンガン眠りの小五郎として活躍しているので定期的に博士の家か俺の家、もしくは電話で遭遇した事件の話を聞いていたりする。原作……俺が存在している時点で「原作」なんてこだわる必要なんかないのだけど、微かに残っている原作知識で人が助かるのなら。助けられる未来があったのに助けないのは()()()()()()()()()ので、そうならないように新ちゃんから事件の話を聞いて知っている事件が近くないかを警戒したりしている。まあ、新ちゃんの関係ない所で結構人の死にそうな場面に遭遇しているから「もしかして新ちゃんの事件遭遇能力って感染する?」と最近は疑っていたりもするんだよなー。

 

「龍斗にいちゃん、今日はどうしたの?」

「ん、ああ。今日はオフだったから博士の所に遊びにね……時間があれば新ちゃんに近況を聞こうかなって思っていたんだけど」

 

後半は新ちゃんの身長に合わせるためにかがんで、小声で話した。

 

「あー……なるほどな。話してえのは山々なんだがなあ」

「彼らがいるってことはどっかに出かけるの?」

「まあな。実は……」

 

どうやら、白鳥警部から普段から事件解決に多大な協力をしている御礼としてトロピカルマリンランドのグループチケットを贈ってきてくれたらしい…これ、白鳥警部の自腹か?いや、自腹なんだろうけど、結構奮発したな。

 

「今から博士のビートルで連れて行ってもらうんです!」

「海の生き物がいっぱいいるんだってよ!」

「夜には花火がいーっぱい見れるんだって!…そうだ!龍斗おにいさんも一緒に行こうよ!」

「え?」

「そりゃいいな!」

「ですね!」

「それはいい案かものう」

「博士まで…って博士?いつの間に」

「ホッホッホ。ビートルの整備をしてて外におったからの。龍斗君が気づかないのも無理ないのう」

「その整備が終わって、さっき裏口から入ってきたところよ」

「哀君の言う通り。幸い、白鳥警部の送ってきたチケットはグループチケット。ワシら人数分じゃったらともかく、まだ人数に余裕があるからの」

 

博士がそう言って俺に見せてきたチケットには、確かにこれ一枚で10人まで入場できると書いてある…へえ、このチケットで入った人が園内で遊んだアトラクションや飲食店の利用料金が後日チケットの購入者…この場合は白鳥警部に請求が行くのか。しかも品目を精査して最も安くなるプランの料金で計算する、と。はー、よく考えてあるな。アトラクション100回とか乗ったならフリーパス、アトラクションには一回しか乗らず飲食ばっかしていたら食べ放題+アトラクション一回分、と。

 

「なあなあ、行こうぜ!博士ん家に来たとき「遊びに」って言ってたから暇なんだろ!?」

「良く聞いてるなぁ。まあ確かにヒマだけど」

「じゃあ、決まり。ね、ね?」

「歩美ちゃん…博士の車は五人乗りだろ?君たちと博士であの車はいっぱいなんだ」

「えええー!」

「いいじゃんか、一人くらい!」

「元太君……流石に法律違反はダメですよ…でも、残念だなぁ。折角龍斗さんと一緒に遊べると思ったのに」

「そんなあ…」

 

いやあ、こればっかはなあ。

しょんぼりする子供たちを見かねたのか、哀ちゃんが俺を見上げてきた。

 

「…ねえ、あなた。江戸川君に聞いたけどバイク持ってるんだって?」

「バイク?持ってるけど……まさか」

 

高校に上がってすぐに俺は二輪の免許を取っていた。目的は勿論色々な土地特有の食材や料理を買ったり味わったりするためだ。時間があればそれに乗って関東近郊から、たまに足を延ばして新潟まで食材漁りの旅に出たりしている。高2に上がっては紅葉を後ろに乗せてデートに行ったりしてるけどね。

 

「そのまさかよ。()()()()子供たちを悲しませるよなことはしないわよね?」

 

そのセリフとともに俺を見上げてくる3対の瞳。はあ。

 

「わかったわかった。俺の負け。準備してくるからそっちも出る準備しといて」

「「「やったーーー!!!」」」

 

俺は子供たちの歓声を背に一度家に戻ることにした。

 

 

――

 

 

一度家に帰ってバイクに乗るために着替えをしたのち、夏さんに遊園地に子供たちと行くと伝えると夏さんは「龍斗君はいいお兄ちゃんなんだね。私の小さい頃にもよく怪我してくる色黒のお兄ちゃんがいたけど今はどうしているのかなぁ」と、何やら気になることを言っていた。正直、その人の話が気になったが時間が差し迫っていたので追求せずバイクを納屋から出して、夏さんの行ってらっしゃいの声を背中に浴びながら博士の家まで押して行った。

 

「わあ!かっけえバイク!」

「ホントだ!これが龍斗さんのバイクなんですね」

「歩美、後ろに乗ってみたい!」

「あ、ずりいぞ!俺も乗りたい」

「ボクもです」

「あー、ゴメンな皆。子供用のヘルメットがないから乗せてあげる事は出来ないんだ」

「えー、まじかよ」

「マジなんだよ。大人用のメットじゃ大きすぎるしね」

「そっかー、残念…」

「今度までに買っておいてあげるから、ね?」

「約束ですよ?」

「おーい、みんな。そろそろ出発するぞい」

「さ、博士の車に乗って。俺もすぐ後ろをついて行くからさ」

 

バイクに乗りたがる子供たちを宥めて、俺達はトロピカルマリンランドへと出発した。

 

 

――

 

 

「やっぱり休日だから人がいっぱいだね…あ、元太君まだみんな入ってないのに勝手にどっかいかない!」

「へ?あ、わりーわりー。なんか楽しそうでよぉ」

「待ってくださいよ、元太君!」

「あー、二人とも待ってよ…っきゃ!」

「ほら、歩美ちゃん。そんなに急がなくても大丈夫。転んで怪我したら大変だよ?」

「あ、ありがとう。龍斗おにいさん」

 

マリンランドに到着した俺達はさっそく白鳥警部のチケットを使って入場した。興奮して走り出そうとした元太君を諌め、それに釣られて走って転びそうになった歩美ちゃんを受け止めた俺はそのまま歩美ちゃんを肩車した。

 

「わあ♪高い高い!」

「あーー!」

「ずりいぞ、歩美!」

「ボクもやってほしいです!」

「えー、私が今やって貰ってるんだよー。順番順番」

「…あー!でも前のパレードの時オレだけやって貰ってねえぞ!」

 

そう言えば確かに元太君だけやってなかったな。

 

「なあなあ!オレに代わってくれよ!」

「えー、でも……」

「じゃあこうしようか?」

 

俺は一度歩美ちゃんを降ろし、元太君を肩車した。そして光彦君、歩美ちゃんは二の腕に座らせ立ちあがった。

 

「わあ!」

「すっげえ!たっけえ!」

「いっぱい人がいるのに向こうまで見える!」

 

子供たちの視線だと優に2m以上の高さだからね。そりゃあ向こうまで見えるわ。

 

「相変わらずふざけた怪力ね…」

「本当にな。つうかめっちゃ目立ってるぞ、オメー」

「いいさいいさ。この三人が心配だからね。こうしておけばどこかに勝手に行ったりしないだろ?」

「そりゃそうだがのう」

「まあまあ。疲れたら降ろすし…さあみんな、どこから行こうか?」

「えーっとね…」

「ボク、あれ乗りたいです!」

「はい、じゃあ一番早かった光彦君の所から行こうか!」

「わぁい!」

「じゃあ次はオレ!」

「次は歩美の行きたいところ!」

「それじゃあアトラクションを乗った後でまた決めよう」

 

そして俺達は子供たちにどこに行きたいかを聞きながらあっちへこっちへ色々なアトラクションに乗った。歩いている間に俺が回った国の事や美味しい食事の事を話したりすると子供たちはとても喜んでくれていた。途中、お昼も食べて再び三人を乗せて遊園地の中を回っていると…

 

『そこ行くお兄さん方』

「ん?」

「わあ!マリンランドのマスコットのマリリンです!」

「おお!…でも下向いてて顔見えねえぞ?」

「ほんとだ、お顔見えない…」

「そりゃあ、君たちは今この遊園地の中で一番目線…背が高いからね。マリリン。ちょっとだけ上を見てあげてくれないか?」

『あ、ああ。勿論いいとも!』

 

そう言ってマリリンの着ぐるみを着た人は顔を上に上げてくれた……子供たちは大はしゃぎしているが俺の目線の高さからは上を向いたことで首に隙間が出来て白いタオルを巻いた人の首が見えている。ふと下を見ると新ちゃんと哀ちゃんにも見えているようで苦笑いだ。

 

「なあ龍斗にいちゃん!マリリンの後について行ってくれよ!」

「え?」

「マリリンがこっちについてきてくれたら記念写真を撮ってくれるそうなんです」

「ね?お願い、ついて行って!」

「わかった、いいよ」

 

記念写真を撮ってあげるからついてこい?何かいいロケーションの所まで案内してくれるのかな?

マリリンの先導について行くとどうやらちょっとした休憩ができるスペースに誘導したいようだ…んー、机のあるところで子供たちをこのままにしておくのは他の客に迷惑になるか。

 

「みんな。屋根の下に入るからちょっと降りてもらうよ」

「「「はーい!」」」

 

子供たちは素直に応じてくれたので俺は彼らを降ろした。

 

「いやあ、楽ちんだな!」

「そうですね!龍斗さんのお蔭でいつもよりアトラクションが楽しいです!」

「うんうん、ずーーーっとドキドキしてる!」

 

そりゃあ、俺に乗っているのもアトラクションみたいなもんだしな。歩き回る疲れがない分、アトラクションに全力を出せているのだろう。

 

「…あ!」

「ん?…あー!」

「「「高木刑事と佐藤刑事だーーー!」」」

「ゲ…」

 

おやま。子供たちが見つけたのは警視庁捜査一課の佐藤刑事と高木刑事だった。これはデートのお邪魔をしちゃったかな?

 

「ど、どうしてみんながココへ?」

「白鳥警部がワシの所にここのグループチケットを贈ってくれたんじゃ。いつも事件解決に協力してくれている礼と言ってな」

「へえ。白鳥君がねえ……」

「で、でも偶然だなぁ。こんな所で出会うなんて」

「このマリンランドのマスコットのマリリンに連れてきてもらったんですよ!」

「そうそう、ここに来たら記念写真を撮ってもらえる…て?」

「あれ?マリリンは?どっか行っちゃった」

 

あれ。俺が子供たちを降ろしている時にどっか行っちゃったのか…っと。

 

「博士。携帯が」

「おお…もしもし?…ああ!白鳥警部か。…ああ、贈ってもらったチケットで皆とマリンランドに来ておるよ。みんな楽しませて貰っておるよ!…何?この前の事件で確認してほしい資料がある?」

 

ん?この前の事件?

どうやら白鳥警部はこの近くに車で来ているらしく合流したいそうだったが、高木刑事がものすごい勢いで「ダメ!」のジェスチャーをしていた。そう言えば新ちゃんに聞いたけど佐藤刑事のファンの刑事が二人の交際を妨害しようと躍起になっているって言ってたな。ああやだやだ。そんなことする前に自分を磨けばいいのに。

 

「え?今から家にFAXを送るから三時までに折り返しの電話をくれ?いや三時って今から帰らないと間に合わない…はい?」

「…博士?何で俺に携帯を?」

「いや、白鳥君が君に渡せって」

「はあ?……はい。緋勇です。お電話かわりました」

『やあ、緋勇君。実は君にも確認してほしいものがあってね。博士のFAXと一緒に送るから君も確認して三時まで電話をしてほしい…それじゃ』

「え?ちょっと。任三郎さん!?…切れちゃった。三時って。今から帰らなきゃギリギリだな…」

「龍斗君もそう言われたのか。困ったのう。子供たちは夜の花火を楽しみにしていたというのに」

「ええ。流石にこの人混みに子供達だけ置いて行くわけにもいきませんし…」

「じゃあ私達が子供たちの面倒を見てあげようか?どうにもうちの同僚が原因みたいだし」

「そ、そうか。すまんが頼まれてくれんかのう?」

「えええ!龍斗おにいさん帰っちゃうの!?」

「もっと一緒に遊びましょうよ!」

「そうだぜ!龍斗のにいちゃんの話すっげえおもしれえからもっと聞きたいのに」

「ごめんね。でも佐藤刑事たちと一緒に遊ぶなんてもうできないかもしれないし、ね?」

「それはそうですけど…」

「いい子にしていれば、また絶対一緒に遊ぶから。な?」

「約束ですよ?」

「ああ。俺は出来ないことを約束したりしないんだ。じゃあ約束」

「「「約束!!!」」」

 

子供たち一人一人と指切りをした後、俺は二人の刑事に向き直って。

 

「それでは申し訳ありませんが子供たちをお願いします…あ、これ俺の電話番号です。帰る30分前には電話ください。博士が迎えに来ますので」

「ええ。分かったわ」

「もう、仕方ないなあ…任されたよ」

 

俺はその言葉に頷きで返して博士とともに阿笠邸へと帰路についた。

 

 

――

 

 

「……」

「佐藤さん?」

「ねえ、高木君。なんでもないように電話番号貰っちゃったけどこれすごいわよね?だって世界中のセレブにファンがいるって言われるあの緋勇龍斗の連絡先よ?」

「い、言われてみれば確かに」

「そういえば龍斗にいちゃん、あんまり連絡先を交換しないんだって。龍斗にいちゃんの連絡先知っているのはホントに親しい人だけだって」

「へ、へえ…これもしかしてヤバい?」

「そうね。彼のファンが知ったらSNSが大炎上するくらいにはヤバいでしょうね。彼の料理を食べたこと無くても容姿でファンって子、結構多いみたいだし」

「私はSNSやってないからいいけど…そっかあ。由美には絶対言えないわね……」

「それにしても、いつみても高校生には見えないね。あの子。体格といい、物腰といい…」

「そうね。私の命の恩人だけどどうにも大人な対応されてこっちが戸惑っちゃうと言うか…」

「なあなあ!それよりさっさとアトラクションに行こうぜ!」

「高木刑事!龍斗おにいさんみたいにしてー!」

「龍斗おにいさんみたいにって?」

「龍斗さん、今日一日中元太君を肩車して二の腕にボクと歩美ちゃんを乗せて移動していたんです!」

「10時からここに来て、アトラクションとかお昼ご飯の時間を抜いたら…三時間くらいずっとかな?たぶんそのまま夜までやるつもりだったと思うよ」

「ええええええ!」

「……いや、ほんとに。色んな意味ですごいわね…」

 

 

――

 

 

「っくしゅん!」

『なんじゃ龍斗君。風邪か?』

「いえ。多分違うと思います。誰かが噂でもしているんじゃないですかね?」

 

俺と博士は帰路についている途中、ハンズフリーにして話をしながら運転をしていた。

 

『そういや龍斗君は風邪ひいたことなさそうじゃのう。ほら、昔君たちの学校でインフルエンザが流行って学級閉鎖があったじゃろう?新一や蘭君、園子君もそろって』

「ああ…そういえばそんなこともあったなあ。よく覚えているね、博士?」

『はっはっは。新一のお見舞いに行ったら君が世話してたからの。まあそれでワシもインフルエンザを貰ってしもうたのんじゃがな…』

「ああ、だから覚えてたのね…そう言えば博士。事件って何?最近新ちゃんまた何かに巻き込まれたの?」

『新一というか、ワシらも巻き込まれたんじゃよ。先日キャンプに行った時にな…』

 

そうして、キャンプで巻き込まれた偽りの友情で繋がっていたサークルの殺人事件の話をしてくれた。

 

『そこでな、哀君が言ってやったんじゃよ!「お金なんかじゃ人の心は買えやしない」ってのう!わしゃあもうその言葉を聞いて胸がすっとして…』

「わかった、わかった!分かったからしっかり運転してくれ博士!もうすぐ家に着くって言うのにそんなふらふらしてたら心配になっちゃうって!」

『おっと、すまんすまん…着いたな』

 

もう。あんまり道が広いわけじゃないのにふらふらされたら危ないって。

俺と博士は博士の家に着き、取りあえず三時に差し迫っていたので俺は家に戻らず、博士の家の庭にバイクを置いて家にお邪魔した。

 

「それにしてもなんなんじゃろうなあ。キャンプの時の事件なら事情聴取はちゃんと受けたし、犯人もしっかり捕まっておるのに」

「俺もなんなんだろ。最近事件に巻き込まれたなんてことは…火事の現場に入った位?だし。そうなるとまた別の課の話だろうし。任三郎さんに確認して貰わないといけない資料を貰わないといけないことなんて心当たりが…うん?」

 

いや待てよ?そもそもなんで俺が博士と一緒にいるって知っているんだ?俺が今日博士と合ったのは気紛れだし、マリンランドに誘われたのも偶然。という事は俺が博士と一緒にいることを事前に知ることは出来なかったはずだ。なら、彼はどこかで俺が一緒にいることを見て、電話してきた。何のため…?今の状態は俺と博士がココにいて、子供たちは…ああ……まさか。

 

「うーん、三時を超えてもちっともこないのう……」

「ねえ、博士。任三郎さん…白鳥警部って佐藤刑事のこと好きなんだよね?」

「え?ああ。確かそうじゃよ?」

「それで、今日が期日のグループチケットを白鳥警部に貰って、佐藤刑事にあったんだよね?」

「そうなるの」

「そして、佐藤刑事は高木刑事と()()()()()でデートをしていたけど白鳥警部の電話で保護者の俺達は帰らなくならなければならなくなった。それで、子供たちは?」

「佐藤刑事たちが面倒見てくれてる…の?まさか……」

「多分、そのまさかだと思う。だって、イレギュラーな俺までここに来るように言われてるし。白鳥警部の目的は…」

「「デートの妨害」」

 

いやあ、自分の知り合いがそこまでしていると思うと何とも言えない気分になるなあ。でも……

 

「はあ……ま、いっか」

「え?いいのかのう!?」

「どういう思惑があったにせよ、子供たちが楽しそうだったしね。俺も博士も急いで帰ってきたってだけで特に不利益はこうむってないし」

「じゃ、じゃが高木刑事は不憫な思いをしとるし…」

「ははは。そこはほら、将来子供が出来た時の予行演習だと思って頑張って貰えばいいのさ。結構大変だって今頃実感しているはずだよ。子供って目を離したらすぐどっかに行っちゃうからね」

「そういうもんかのう…」

「そういうもんさ。じゃあ俺達はのんびり佐藤刑事が帰るって連絡が来るまで待とう。2人に今日子供たちに付き合ってくれたお礼も何か作りたいし。博士、キッチン借りるよ。ついでにコーヒーも入れてあげる」

「ほう!そりゃいい。いただこうかの」

 

 

 

そうして、俺と博士はまったりと連絡が来るのを待った。

…まさか、遊園地で麻薬取引の現場に遭遇したなんてびっくり情報が来るなんて思いもせずに……

 




少年探偵団の子供たちは割と龍斗に懐いています。まあ美味しい料理を作ってくれるし、丁寧な物腰で接してきますしね。

多分、次の次位から「二元ミステリー」にいきます。いくつか伏線(のつもり)で書いたものを全て回収できるのか…今から胃が痛いです……


今更ですが、どれが誰のセリフの書き分けって難しいですね。金田一のを書いている時に特にそう思います。

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