東方霊恋記(本編完結)   作:ふゆい

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 今回ちょっと長めです。8000字だよびっくりだね!

※若干内容がカオスかもです。なんでこうなった感がヤバイですね!

 それでも、「構わん、やれ」と言って下さるマイペースな方々はそのままスクロールをお願いします。

 それでは、マイペースにお楽しみください♪


マイペースに帰還

 大好きな威がいなくなってから、一週間が経過した。

 一応開き直った私だけど、アイツがいない寂しさを紛らわせることはできなかった。レミリアや魔理沙、早苗と一緒に遊んだり、射命丸家の二人をからかったりして日々を過ごしたけれど、やっぱり威と一緒に暮らしていた頃の楽しさには敵わない。

 

「こんなに依存していたなんて、博麗の巫女も形無しねぇ……」

 

 箒片手に境内の掃除をしながら、私は盛大に溜息をついた。

 参拝客が来るわけもないこの神社の掃除をするなんて無駄の一言に尽きると思うが、あの馬鹿が帰ってくる場所を汚いままにしておくわけにもいかない。実際初対面の時に呆れられたのだし。ズボラな女だと思われるのだけは避けなければ。

 

「好色女が一人寂しく境内を掃除? 笑っちゃうわね」

「お嬢様、そういう下卑た発言は慎んだ方がよろしいかと」

「いちいちうるさいわね咲夜は。分かっているわよそんなこと」

 

 溜息交じりに埃を掃っていると、不意にそんな会話が耳に届いた。いちいち癇に障るその台詞に、心底嫌な表情を貼りつけて後ろを向く。

 そこにいたのは案の定、桃色のナイトキャップを被った吸血鬼とお付のメイド長。

 大きく開かれた翼が彼女が人外であることを明らかにしており、時折開かれる口から覗く八重歯は異常な鋭さを持っている。人間から生き血を吸うための歯。やはり吸血鬼というワケだ。

 そしてその隣で健気にも日傘を持って佇んでいるメイド。背が高く、どこか大人びた容姿は美人と言ってもいいものだ。名前からして日本人のはずなのだが、なぜか髪が銀色。染めているとは思えないけど……。

 

(そういえば配達屋の馬鹿も銀髪だったわね。顔は日本人の癖に)

 

 心からどうでもいい共通点を見つけてしまった。明日までには忘れておきたいところだ。

 何故か若干のドヤ顔姿勢で私を見ている吸血鬼に嘆息しつつ、私は箒を動かしていた手を止めると彼女の名を呼ぶ。

 

「……紅魔館の主様がこんな博麗神社くんだりまでいったい何の用かしら」

「あらお言葉ね博麗霊夢。一昨日は自分からこちらに遊びに来たくせに」

「威がいなくて寂しかったのよ、わかるでしょアンタならそのくらい」

「勿論。このレミリア=スカーレットの頭脳を以てすれば貴女の内心を読み取ることなんて夜飯前だわ」

 

 吸血鬼なので朝飯ではなく夜飯か。変なところで几帳面な吸血鬼である。

 

「それで、何しに来たのよレミリア。まさか私をからかうためだけにわざわざ遠出してきたとは思えないけど」

「それについては私が説明するわ」

 

 ずい、と一歩踏み出し存在を主張するメイド……十六夜咲夜。相変わらずどこまでもお節介なメイドっぷりに溜息をつかざるを得ない。そんなのアンタが出しゃばらなくてもレミリア自身で説明できるでしょうに。

 咲夜はどこからともなく丸テーブルと三脚の椅子、そしてティーセットを取り出すとコポコポと紅茶を注ぎながら説明を開始した。

 

「今回ここまで来たのは、お嬢様の考えなの」

「さらっと説明始めてるけど一言言わせて。アンタこんな大荷物何処に隠し持ってた」

「あら、主君の望む時にあらゆる物を用意できてこそ真のメイドだと私は思うのだけれど」

「もういいわよ……」

 

 瀟洒なメイドもここまで来れば一種の病人なのではないだろうか。最近香霖堂に入荷した仮面的なメイド男並みの仕事率に脱帽するしかない。放っておいたら核爆弾でも取り出しそうねこの女。 

 いつの間にやら注ぎ終えていた紅茶をわざわざ小指を立てて優雅に飲む咲夜。

 

「そもそもの始まりは昨日の夜だったわ。美鈴と妹様と三人でとある会議を行っていた時のこと」

「会議の内容が考えるまでもなく配達屋関連だということは言わないでおくべきかしら」

「なっ!? ばっ、バッカじゃないの貴女! ななな、なんで私達がわざわざあのバカ良夜のことを会議しなくてはならないワケ!?」

「うわーい、お手本のようなツンデレ的反応が来たわー」

 

 開き直るまでの私も同じような言動をしていたのだろうかと思うと涙が止まらないわけだが。咲夜のこと言えないわね私も。

 仕切り直すように「ごほん」とわざとらしい咳払いをする。隣でニヤニヤと楽しそうに笑っているレミリアに後で彼女が何をされるのか楽しみで仕方がない。沙羅に巻き添えが来て、かつ文が赤面して嫉妬に狂うような展開であれば尚良し。

 

「……相変わらずと言うかなんというか、貴女らしいわね霊夢」

「表情から心を読まないでよ。吸血鬼ってそういうところも人外なの?」

「いや、今回ばかりは読むまでもなかったわよ。というか、惚気る時と悪いこと企んでる時の貴女はあからさまに顔に出てるし」

「……自重するわ」

 

 いつの間にか威の悪い癖が私にも感染っていたようだ。嘘のつけない性格が伝染するのだけは勘弁してほしい。

 

「昨晩レミリアお嬢様が言ったのよ。『運命を感じるわ。霊夢にとって幸せな運命が』って」

「アンタは怪しい占い師か」

「なによ、私は霊夢のためを思ってここまで来てやったの。感謝されこそすれ罵倒される謂れは無いわ」

 

 ふんと偉そうに無い胸を張るレミリア。自信家なのは相変わらずだけど、コイツはあんまり無駄な嘘をつかないから今回のこともそれなりに信用できるはずだ。

 それにしても、私にとって幸せな運命ねぇ……。

 

「……威が告白しに帰ってくるとかそういうの?」

「真っ先にそんな答えが返ってくるあたり貴女も相当の末期ね」

「ダメですよお嬢様。霊夢は吹っ切れてから乙女脳まっしぐらなんですから。永遠亭に連れて行くかどうか紫さんが真剣に考えているそうです」

「私の知らないところでイタイ子扱いされてる!」

 

 多少の自覚はあったがまさかそこまで言われているとは。おのれスキマ妖怪、今度会ったら三十回退治したうえで七千回封印してやるんだから。

 そして再び一瞬でティーセットを片付けた咲夜達は鳥居に向かって歩き出す。

 

「とにかく、私は伝えるべきことは伝えたからね。後どうするかは貴女次第よ」

「本当に伝令するだけに来たんかいアンタらは」

「余計なお節介をするのが紅魔館のしきたりですから」

「そんな意味不明で傍迷惑なしきたりは今すぐにでも廃棄処分しなさい」

「冗談よ。でも、今日訪れる運命を逃してはダメ。この運命は貴女にとって、ターニングポイントとなるはずだから」

 

 その言葉を最後にレミリア達は神社を後にした。嵐のように過ぎ去った紅魔館勢に呆然とその場に立ち尽くす私。け、結局何しに来たのよアイツらは……。

 律儀にも置き土産されていたロールケーキを頬張りながら、境内の階段に座り込む。なんかもう掃除をするような気分じゃなくなっていた。いろいろと引っ掻き回された挙句意味深な台詞を残されて、思考回路がショートしそうだ。

 

「私にとって幸せな運命、か」

 

 レミリアの言葉を信じるのなら本当に起こるのだろうが、それが果たしてアイツの帰還を意味しているのかどうかは分からない。ただ、現在の私にとってそれ以上の幸せがあるかと聞かれると答えはノーだ。

 博麗神社から威がいなくなって一週間。生活自体は一か月ほど前に戻っただけだけど、心の中にぽっかりと穴が開いてしまったような気分だけはどうしようもない。ここ最近は気分転換代わりに神社中を掃除してしまうくらい、滅入ってしまっている。

 

「吹っ切れて開き直ってはみたけれど……これはこれで案外辛いものね」

 

 一度好意を自覚してしまうと彼への想いは募るばかりだ。夜寝るときや風呂に入っている時でさえそれは変わらない。自慰行為を我慢できているだけ頑張っている方だろう。いつまた紫が侵入してくるか分からないし。これ以上痴態を晒すわけにはいかない。

 ケーキ片手に晴れ渡った空を見上げる。こういう天気のいい日には光の三妖精達が無邪気に飛び回っているのだが――――

 

「…………ん?」

 

 空に視線を向けた時、視界の端でキラリと何かが光った気がした。太陽の光を受けて、金属的な輝きが放たれている。

 それは段々と降下しており、何やら声が放たれていることにも気付いた。

 

『のわぁぁぁああぁぁあああ!! 心の準備ができてないのに突然落とさないでくれよ妖夢さぁぁぁああん!』

「威!?」

 

 思わず二度見してしまったのは仕方のないことだろう。あまりにも予想外すぎる登場に度肝を抜かれる私。ていうか、変換機背負っているんだから恋力使って飛べばいいでしょうに!

 威は徐々に神社に向かって落下していた。どうやら急に落とされたパニックで『飛ぶ』という選択肢が頭から抜け落ちてしまっているらしい。少し古ぼけた手甲を抱えて、涙目な様子がなんだかおかしい。

 

「――って、のんびり眺めている場合じゃないわね!」

 

 このままではアイツが墜落死してしまう。せっかく好きだってことを自覚したのに、その相手が目の前で死んでしまうなんて寝覚めが悪いなんてものじゃない。下手すれば悩む間もなく首を吊ってしまうレベルだ。

 慌てて浮遊し、落下地点に飛行する。なるたけ高度を確保して、変換機の重みに備えないと!

 

「威!」

「お、おぉっ? れ、霊夢か! やっほぅ久しぶり! 会いたかったぜ!」

「そんな呑気に挨拶している場合か! 変換機使って速度落としなさい今すぐに!」

「うっしゃ了解!」

 

 とても命の危機とは思えないほど爽やかな笑顔を浮かべて恋力を練り始める威。ブースター部分からエネルギー変換された恋力が勢いよく放出され、少しづつではあるが落下スピードが緩和される。

 想像していたよりもゆっくりな速度で落ちてくる威の真下に入り込み、お姫様抱っこの要領で受け止める。

 

「重っ! 男の人ってこんなに重いワケ!?」

「リンゴ八つ分とか豪語する女性に比べたら雲泥の差だろうよ!」

「威張るな助けてもらってるくせに!」

 

 だが、いくら速度が落ちていると言っても落下するのは免れない。私を巻き込み、石床へと二人して落ちていく。

 

「くそっ、霊夢目ぇ瞑れ!」

「えっ? きゃっ!」

 

 私に抱かれていた威は腕から抜け出すと、自身を下にしてクッション代わりの体勢をとった。変換機があるものの、そのまま衝突すれば怪我は間違いない。いくら彼が丈夫な人間だったとしても、だ。

 

「威!」

「大丈夫だ心配すんな! お前はただ俺に愛情を向けてくれさえすればいい!」

「こんなときに何トチ狂ったこと言ってんのよアンタは!」

「いいから! ……恋力最大フルバーストォッ!」

 

 威の叫びに応じて、恋力の放出が強まった。桃色の光が柱のように伸びて見えるほど吹き出し、重力に逆らい始める。……だが、それでも石床は近づく。

 速度的にはさほど危険はない。ただ、とても痛そうではある。

 ――――それでも私を放り出そうとしないあたり、威の馬鹿さ加減が窺えるのだが。

 

「ぎゃうっ!」

 

 そして変換機があるにもかかわらず何故か顔面から石床に突っ込んでいく威。どういう体勢を取ったらそんなことになるんだと本気で聞きたいところだが、今は威の無事を確認することが先決だ。

 私の真下で煙を上げながら目を回している阿呆の顔を掴み、呼びかける。

 

「威! 大丈夫なの!?」

「も、勿論さぁ~……霊夢に怪我がないのなら、俺はいつまでも大丈夫!」

「どんな時も意味不明の極みね相変わらず……」

 

 ……しかし、それでも思わず口元が綻んでしまう私。久しぶりにこのバカの顔を見て、嬉しさが止まらない。

 一週間ぶり。いや、自分的にはそれ以上の間威と会ってなかった気がする。馬鹿で欲望丸出しで嘘のつけないマイペースなコイツと、結構な時間顔を合わせていなかった気がして喜びが溢れだしてくる。

 私の気持ちを知ってか知らずか、威は擦り傷だらけの顔に笑顔を浮かべて私の顔を見つめてきた。

 

「一週間ぶりか? ただいま、霊夢」

「――――っ!」

 

 まともに彼の顔を直視できなくて、視線を右下に向けてしまう。な、何やってんのよ私! あんなに合いたいと思っていたのに、いざ顔を合わせると恥ずかしすぎて顔を見れないとかどんだけ乙女なのよ!

 

「ど、どうしたんだ? 顔真っ赤だけど……生理か?」

「デリカシーの欠片もないわねアンタは!」

「ぐっぺぇ!」

 

 突然すぎる失言に顔面パンチをお見舞いしてしまったのは責めないでほしい。今のは女の子なら誰でもぶん殴る権利があるはずだ。あの日に関して触れるのはタブーだということをこのバカにはそろそろ理解してもらいたいものである。

 

「……ったく、一週間たっても変わんないわね」

「お前への愛は深まったけどな」

「……バカ」

 

 ぷいと顔を背けながらも、面目なさげな笑みを浮かべる威の顔を横目で眺める。

 心なしか、傷が増えている気がする。妖夢と組手でもしたのか、絆創膏や湿布が服の下から見え隠れしていた。ところどころに痣も見える。相当数修行に取り組んだのだろう。

 

「……ホント、バカね」

 

 感動の再会なのに、いい具合にぶち壊されてしまった。怪我のことを心配してやろうにも、ここまで口説かれちゃそんな暇もない。乙女の純情をなんだと思っているのだろうか。

 ……だけどまぁ、ちょっとだけ本音を漏らしてあげるのも悪かないわね。

 立ち上がろうとしている威の方を向き、ギュッと強めに抱き締める。

 

「なぁっ!? えっ、ちょっ……はぁっ!?」

 

 普段の私からは想像できないであろう行動に、威は目を白黒させている。相変わらず予想外の展開に弱い男だ。ちょっとだけ勝利した気がして、いい気分になる。

 ……でも、アレだ。威の匂いを嗅いでいると、なんか涙が込み上げてくる。

 会いたかった奴にようやく会えて、嬉しさと感動が止まらない。

 

「……っく、えぐぅ……!」

「えぇっ!? いきなりなんで泣いてんの!? ちょっと今俺何かしましたか!」

「……いきなりいなくなってんじゃないわよ、ばかぁっ……!」

「っ。……ごめん」

「謝っても、許してやんないんだから……」

「はいぃっ!?」

 

 涙を目の端に浮かべながら、べぇっと悪戯っぽく笑ってやる。今の台詞で私の気持ちに気付けないんだから、このバカはやっぱり相当の馬鹿だ。配達屋とタメを張れるくらい、鈍感だ。

 今回だけはそんな馬鹿に免じて、ちょっとだけサービスしてあげる。

 

「一週間も一人にして。寂しかったんだからね……」

「うっ……も、申し訳ございません……」

「『お前のことを愛してる』なんて言ってたくせに、すぐにいなくなるなんて男としてどうなのよ……」

「うぅっ! そ、それを言われると返す言葉もございません……」

「……だぁめ、タダじゃあ許してあげなぁい」

「ひぅっ!」

 

 胸板にやんわりと自慢の胸を押し付けて、首筋にチロリと舌を這わせてやる。なんだか身体が火照ってきて、下半身の辺りが疼き始めているけど今は我慢。真っ赤になって混乱している威の貴重な照れ顔を記憶する大チャンスなんだから。

 

「ど、どうすれば許していただけるのでしょうか……ひっ」

「んー、どうしよっかなぁ……。私に寂しい思いをさせた罪作りな男にはどんな罰でも足りないくらいなのよねぇ……」

「あ、あのぅ……できれば一度身体を離していただけると俺としては落ち着けるのですが……」

「なぁによ、いつもだったら全力で発狂するほど喜んじゃうくせにぃ」

「だって当たってるもん! 霊夢が堂々と当ててくるから俺が逆に恥ずかしいんだもん!」

 

 抱きつくときにこっそりサラシを緩めておいたから、その感触は想像を絶する柔らかさだろう。自分でもちょっとだけ感じているから、その興奮度合いは考えるまでもない。はぁぅ……そ、そろそろやめておかないと取り返しがつかなくなっちゃうわね……。

 威の要望通り身体を起こし、自由にしてやる。お互いに心臓が高鳴る中、沈黙が続く。

 

「…………」

「…………」

 

 ……うん、ちょっとだけやり過ぎちゃった感は否めないわね。興奮しすぎたと自分でも反省しています。

 このまま気まずい空気に支配されるのも避けたい。仕方がないからここらで落とし所と行こう。

 口元に人差し指を当て、ウインクしながら小悪魔なスマイルを浮かべると、

 

「じゃあ今夜私と一緒の布団で寝るってことで許してあげるっ」

「はいっ! ……はい?」

「お布団ワンセットしか敷かないから覚悟しておきなさいよ?」

「れ、霊夢が自分から誘ってきただと!? 嬉しいんだけどなんか素直に喜べない!」

「あ、夏だから下着以外は着用禁止ね。これ絶対」

「お前一週間の間にホント何があったんだよ!」

 

 いろいろあったのよ、主にアンタへの感情関連で。

 未だに狼狽えている威の手を掴み、神社の方へと足を進める。

 

「ほらほら、久しぶりに私の手料理食べなさいよね。ちゃんと感想も待ってるから」

「怖ぇ! デレる霊夢が異常に怖ぇ!」

「お帰りなさい。食事にする? お風呂にする? それとも……ワ・タ・シ?」

「落ち着け俺マイペースになれ俺ペースを乱すな俺これは罠だこんなはずはないあのツンデ霊夢がこんなあからさまなデレ方をするはずがない勘違いするなよく考えろ俺!」

 

 考えていることを口に出すのは相変わらずだけど、どこまでも突き抜けた鈍感思考の持ち主っぷりに呆れてしまう。ここまでオープンにしても素直に受け取らない辺りが雪走威のマイペースさなのか。

 

(まぁでも、やっと帰ってきたんだから今日くらいは私の気持ちを素直に伝えてもいいわよね)

 

 こういう日があってもいいだろう。いつも世話をかけている威に対する感謝の日とでも思ってもらおう。好きな人からデレられて嫌な気分はしないだろうし。

 

「威と一緒に寝るの、楽しみだわぁ」

「やべぇよ怖ぇよ助けて東風谷ぁっ!」

 

 若干涙目で早苗に助けを求める威の手を握ったまま、神社の中に入っていく。さぁて、今日だけは私が主導権を握らせてもらうわよ。

 一週間ぶりに再会した私と威。姿形はそれほど変化はないけれど、私の気持ちが直球ストレートになった点に関しては多大なる変化があった。

 今日から新たな私と彼の生活が始まる。ちょっとだけ素直になった私と、ちょっとだけ強くなった威の居候関係が明確な変化を迎えるのはいつになるのだろうか。

 

(ま、気長に待つとしますかね)

 

 なにせ時間はたっぷりあるのだ。焦る必要もない。ゆっくりじっくり彼を攻略していくとしよう。

 恋する乙女な博麗霊夢の恋愛成就街道は、まだ始まったばかりだ。

 

 




 今回で修行編は終了です。次回からは日常パートかな?

 次回もお楽しみに♪

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