ダンガンロンパ・H&D ~絶望だよ、全員集合!~   作:名もなきA・弐

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 お待たせしました。彼女たちに日常です、というよりも探索パートである程度の紹介を終えたので何を喋らせれば良かったのか迷いました(汗)
 ちなみに、日常編でもちょっとした伏線がありますのでよくご覧になってください。
 それでは、どうぞ。


(非)日常編 「交流と彼らの個性」

キーンコーンカーンコーン……。

 

『オマエラ、おはようございます。ナーサリーライム号より、朝をお知らせしまーすっ!!』

「……んぅ」

 

チャイムの音と、モノクマの粘着質なアニメ声のモーニングコールで私の意識はおぼろげながらも覚醒した。

ベッドの近くに置いていた電子生徒手帳を起動させて時間を確認し、洗面台で顔を洗って寝癖を直す。

そして、寝間着から着替えると昨日集まった食堂へと向かった。

 

 

 

 

 

「おはようございます」

 

挨拶と同時に食堂に顔を見せると、もう何人かは思い思いに席に着いており一関君や清浄さんが「おはよう」と挨拶を返す。

一関君は身なりを整え、清浄さんは朝に弱いのか欠伸を手で押さえながらも意識ははっきりとしている。

 

「……二人とも、早いですね」

「これでも優等生だからな、アナウンスが鳴る前には来るようにしている。早起きは俺の専売特許だと思っていたが、上には上がいた」

「実は、綾崎君と麻衣華さんの方が早かったんです」

 

何処か憮然とした様子で言う彼に苦笑いするように清浄さんが事情を説明する。

どうやら、一関君が来るよりも先に二人が仕込みの準備をしていたようで自信満々に食堂に来た彼は少しショックを受けてしまったらしい。

清浄さんの話を聞きながらも私は席に着いて彼女に話しかける。

 

「他の人たちは?」

「まだですぅ」

「俺たちが早いのもあるかもしれないな」

 

そんな話を三人で話していると、松成君が「おはよう」と席に着く。

そこからは桐生君、エミリさん、二ノ瀬さん、細井さんと海原君が食堂に現れて其々思い思いに席に着く。

次に坂本君と一条君、そして舞耶さん……そして、意外なことに本庄君が来たのは最後だった。

それと同時に、綾崎君と麻衣華さんが料理を持って現れる。

 

「おはよう、みんな。今日は…昨日のこともあったからなるべく食べやすい料理にしたよ」

「目玉焼きとアスパラのベーコン巻、それとウィンナーも添えてみました…サラダは各自、このボウルに入ったのを取ってください」

 

こうして食事が始まった。

すると…二ノ瀬さんが口を開く。

 

「あら?パンだったりご飯だったりとちょっと違うわね」

「はい、私が独断と偏見でご飯派かパン派かと決めました」

「すげぇな、おい」

 

麻衣華さんが当然のように言い放った言葉に、一条君は驚きながらも食パンをかじる。

どうやら全員問題がなかったらしく改めて彼女が超高校級のメイドなのだと認識させられる。

其々が食事を勧めながら坂本君が本庄君に口を開く。

 

「そう言えば、本庄が一番最後なんて珍しいな。俺はてっきり、もっと早く来ているのかと思ってたよ」

「うん、実はシアタールームに行ってて…映写室の操作を確認していたんだ」

「どうしてー?」

「え、えっと僕、映画が好きで…///」

 

隣にいた細井さんの質問に、彼は照れながらも答える。

そう言えばみんなで情報共有をした時もだったが、どうやら本庄君は映画が好きなようだ。

それを聞いた時、坂本君が名案とばかりに手を叩いた。

 

「よしっ!飯を食べ終わったら、みんなで映画を観ようぜっ!!」

「良いねー、ボクも賛成っ!!嫌なことを忘れるのにはうってつけだよ!」

「俺も別に構わない」

「そうね、因幡君。あなたのおすすめの映画を教えて頂戴」

 

彼の案にエミリさんや霧生君、二ノ瀬さんが賛成し、残りのメンバー(一条君は相変わらず不機嫌な表情だったが)からも否定意見は出なかったため私たちは映画鑑賞会をすることになった。

 

 

 

 

 

『ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!』

「「ひぎゃああああああああああああああああああああっっ!!?」」

 

スクリーンに目一杯映った怨霊と化した女性のドアップで映画は終わった。

「END」の文字と共に今度は真っ赤に染まったスクリーンで今度こそ映画『コテージ・オブ・ザ・デッド』が終了する。

 

「おぉーっ!!すっげー怖かったぜ本庄っ!お前、ホラー映画好きだったんだな!!」

「ホラーもだけど、映画全般が好きなんだ。その中でも、この映画はもう何十回も見ていたらか…思い出の一つだよ」

「それは、良いんだが…何人かは意識を失ってるぞ」

 

本庄君の背中を叩いて興奮した面持ちで喋る坂本君に、本庄君はやや饒舌に語るが一関君の言うように清浄さんや舞耶さんといった何人かは口から魂を吐き出している状態だ。

私に至っては未だ手の震えが止まらない…それほどまでに怖い映画だった。

 

「ごめん…変な映画見せちゃって。もう一本あるんだけど、観る?」

「あはは、今度はなるべく怖くない奴が良いかな」

 

困ったように尋ねた本庄君に、松成君は苦笑いでそう返すのであった。

その日は今日一日……全員で映画パーティとなり、少し痛んだ頭を引きづって私は自室へと戻り、シャワーを浴びてからベッドへと入って行った。

 

 

 

 

 

そして、非日常の中での日常は二日目を迎える。

少しだけ早く起きた私は顔を洗い、着替えを終えると…今日はどんな朝食なのかを期待しながら食堂へと向かう……。

食堂にいたのは、やはりと言うべきか一関君と清浄さん。

厨房には綾崎君と麻衣華さんがいるのだろう……欠伸を噛みしめながら席に座っていると七時半を過ぎたころには昨日と同じ順番で来るようになっており、最後だったのはやはり本庄君だった。

 

「ごめん、また遅れちゃった」

「大丈夫だよ、本当に映画が好きなんだね」

 

みんなに謝罪する本庄君に、綾崎君は爽やかな笑顔で言う。

そして食事が終わると、各々自由行動を取ることになった。

 

 

 

 

 

一先ず、私は倉庫に行ってみることにした。

清浄さんと一条君が調べてくれたがもしかしたら「何か見つかるかもしれない」と淡い期待を抱きながら扉を開けて調べる。

シーツやなぜか金箔のついた模擬刀があり更に調べると、「以前の凶器BOX」とマジックペンで大きく書かれた段ボールを開けるとダンベルやナンバーが割り当てられたハンマー…モノクマの口元を模したデザインのナイフなどがあった。

丁重にそれを戻してると……。

 

「何をしてるんだ?」

「ひゃっ」

 

男性の声に驚いて振り向くと、そこには海原君と舞耶さんが立っており驚いた私を見て話しかける。

 

「すまない、そんなに驚くとは思わなかった…シュコー」

「可愛らしい悲鳴が出ましたね」

 

謝る海原君と楽しそうに笑う舞耶さんに私は気を緩めながらもなぜここに来たのか問いかける。

 

「お二人はなぜここに?」

「いえ、実は私たち風邪薬を探していまして」

「シュコー…医務室が見つからないからな。万一風邪になってしまった時に探すことにしたんだ」

 

そう言い終えると、二人は棚にある物を物色する。

しばらくはごそごそしていたがやがて身長の高い海原君が二つの箱を持っている右手を掲げた。

 

「これだな、シュコー…どちらも薬箱みたいだが…」

「ふむふむ…片方は徐々に効いて、もう一つはすぐに効く上に睡眠効果もあるみたいですね。どちらも粉薬のようですが……おや、両方合わせて飲むと相殺されると書いてありますよ」

「大丈夫でしょうか?モノクマのマークがありますけど」

 

箱に書いてある薬の説明を舞耶さんは呑気に読むが、それ以上に目立つモノクマのマークに警戒してしまう。

すると、彼女は箱から一袋取り出して破くと中身を舐め始めた。

 

「ふむ、毒ではないみたいですね……て、あれ?どうしました」

「お、思い切りが良いなお前、シュコー…」

「毒見は基本ですから」

 

笑顔でそう言いのけた舞耶さんは倉庫に会ったメモ帳とペンを拝借すると紙面に何やら書き込んでから張り付けた。

 

「『風邪薬ここにあり』…と。これで、私たちの好感度もうなぎのぼりですね!!」

「それは、どうなのでしょう」

 

何処までもフリーダムに行動する彼女に私は笑うことしか出来なかった。

その日は、海原君と麻衣華さんと一緒に過ごした。

食事の時に、舞耶さんが風邪薬のことを報告したら「ありがとう」と感謝してきた綾崎君に彼女は少し頬を赤くした……ような気がした。

 

 

 

 

 

そして、非日常な日常の三日目……いつものようにアナウンスよりも早く身支度をして食堂へ向かい、八時には後から来た本庄君に合わせて朝食を取る。

食事を終えた後は、何処に向かおうかとぶらついていた時だった。

 

「「うわっ!?」」

 

悲鳴を聞いた私は一目散にその方向へと走り出す。

見ると、松成君と本庄君が尻もちをついており、前者は腰を擦り後者は身を守るように左手をやや前にしながらガードしていた。

 

「大丈夫ですか、二人とも!?」

「貝原さん。うん、ボクは大丈夫だけど…本庄クン、大丈夫?」

「ご、ごめん」

 

慌てて立ち上がった本庄君が謝り、松成君も頭を下げて謝る。

 

「こっちこそごめん…ちょっと電子生徒手帳見ながら歩いていたからさ。えっと…」

「あっ、落ちてたよ」

 

そう言って、落ちていた彼の電子生徒手帳を左手で拾った本庄君は松成君に渡すと「ありがとう」と返す。

 

「あぁ…やっぱり、僕は不運だな。食事の時もみんなより遅いし迷惑を掛けてばっかだ」

「そんなことありませんよ。きちんと八時前には来るんですから」

「逆に、みんな本庄君には感謝していると思うよ」

 

松成君の言った言葉に「えっ」と本庄君は顔を上げる。

 

「一昨日の映画鑑賞会、みんな本庄君の選んだ映画で楽しんでいたんだよ。あれがなかったら、きっとボクたちはモノクマの思うつぼだったと思う…みんながいつも通りに振る舞えるのはキミのおかげだよ」

「そう、なのかな?……でも、ありがとう松成君!」

 

そう言った彼に、少しだけ表情を明るくした本庄君はようやく年相応の笑顔を見せてくれた気がした。

そして、時間はあっという間に過ぎて夕食となり私は一足先に食堂へと向かったが綾崎君がテーブルを見て疑問符を浮かべながら首を傾げていた。

 

「どうしたんですか?」

「ん?あぁ、貝原さん。実はちょっとね」

 

「ほら」とテーブルには全員分のコップにオレンジジュースが入っており、氷も入って冷たそうだ。

私はそれを見て首を傾げる。

 

「どうかしたんですか?」

「うん、僕が来るよりも前にこの飲み物が入ったコップがあったんだ。毒かも知れないと思って一応舞耶さんが確かめてくれたんだけど何ともないって…」

「モノクマの悪戯ですかね?」

「だろうね。でも、捨てるのももったいないからこのまま飲んでもらって構わないかな?」

 

特に断る理由もなかったため私が「構わない」ことを伝えると、彼は穏和な笑みを浮かべた。

そして、食事を終えた私は部屋に戻ってシャワーを浴びて寝間着へと着替える。

今日は一日中疲れてしまったのかなぜだか非常に体が重い……瞼も重く感じる。

もう寝よう……。

その意識を最後に、私は緩やかな眠りと共に沈んでいった……。

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン……。

 

『オマエラ、おはようございます。ナーサリーライム号より、朝をお知らせしまーすっ!!』

「……もう、朝?」

 

耳障りなアナウンスと共に誰に聞かせるわけでもなく、少しだけ唸りながら身悶えしながら私はゆっくりと起き上がった。

何だ、この気怠さは……。

夜更かししたわけでもないのに身体が重く感じる。

しかし、こういうわけにもいかないので私は顔を洗って無理やり眠気を払うと着替えて食堂へと向かった。

 

 

 

 

 

食堂に向かうと、そこにはいつものメンバーがいたが一関君や清浄さんがいたがどちらも項垂れていたりテーブルに突っ伏している。

挨拶を言える余裕もなく、私は席に座って突っ伏してしまう。

……はっ、いけないっ!

数分意識が飛んでいた、「しっかりしろ」と自分に喝を入れてから両手で自分の頬を叩く。

やがてしばらくすると、麻衣華さんが食堂に入ってきた。

やはり彼女も体調がすぐれないのか頭を抱えている……。

一関君が電子生徒手帳を開いた。

 

「七時二十分だ…今日は様子が変だな」

 

そんなことを呟きながらも綾崎君が食堂へと入る。

 

「ごめんね、寝過ごした…悪いけど、簡単な物で良いかな?」

 

彼の言葉に、私たちは頷くと彼は笑顔を作って厨房へと向かう。

そしてそこから坂本君、海原君、松成君、舞耶さんが席に座るが同様に気分がすぐれていない。

食事が出来るころには細井さんと二ノ瀬さん、桐生君とエミリさんが座った。

後は本庄君なのだが彼はいつまで経っても来ない。

そうしていると時間は八時を過ぎてしまい、坂本君が口を開いた。

 

「本庄の奴おせぇな。いつもは八時前には来るはずなのに」

「もしかしたら、寝過ごしているのかもしれないな。俺が行って来る」

「あっ、私も行きます」

 

一関君の言った言葉に、私も行こうとする。

……何だか落ち着かないのだ。

ただ寝過ごしているだけだ…そう思いながらも私は胸の内にくすぶる不安を消すことが出来なかった。

結局、本庄君の元に行くのは一関君と私…そして松成君と坂本君の四人となり残りのメンバーは待機となった。

そして、本庄君の部屋の前まで来た一関君を先頭に私たちはインターホンを鳴らす。

 

「……返事がないな」

 

ノックなどをするが部屋にいるはずの本庄君からは返事がない。

嫌な不安が段々と広がって行く。

そこでふと松成君が口を開いた。

 

「…シアタールーム」

「えっ?」

「本庄君は、日課として映画を観ていた…もしかしたら」

「…っ!」

 

それを聞いた瞬間、私は駆け出していた。

足を速め、通路を進んでシアタールームの前へと到着する。

私はドアに手を掛けて開けようとしたが、開く様子はない。

 

「あれ?ど、どうして…!」

 

私は慌ててドアを力強く引っ張ったり押したりするがそれでもドアはびくとしていない。

開かないドアに苦戦をしていると、追いついてきた松成君が私の肩に手を置く。

 

「貝原さん、ちょっとどいて」

 

そう言って私をどかすと、松成君はドアに設置されていた窪みのような部分に電子生徒手帳をかざすと何かが開いたような音が聞こえた。

 

「電子生徒手帳で外からも内側からも鍵がかけられるって、モノクマが……」

「…開けますよ」

 

そう解説する彼に、感謝をしながらも私はシアタールームのドアをゆっくりと開いた。

 

 

 

 

 

シアタールームが薄暗かったが、同時に私の視界は真っ赤に染まった。

そうだ確か、以前みんなで観たホラー映画の最後のシーンだ。

真っ赤なスクリーンで座席などが真っ赤に見える中、人影を発見する。

 

「本庄君」

 

彼に対して呼びかけるが反応はない……変に緊張しながらも私は本庄君の元へ足早に向かう。

そうだ、今日はみんなの体調が悪かった…だから彼も同じなだけだ。

観ている内に寝落ちてしまっているだけだと自分で自分を納得させながら、ようやく私は本庄君が座っている座席へと辿り着いた。

 

「本庄く…」

 

そこから先は言葉が出なかった。

まるで、眠っているような彼を見て……私は何も言うことが出来なかった。

 

 

 

 

 

本庄君は、何も言わずただ黙って座っていた。

『超高校級の幸運 本庄因幡』君は、腹部にナイフを深々と突き立てられているにも関わらず、何処か安らかな表情で口から一筋の血を零しながら絶命していた。

 

 

CHPATER1 才能はかく語りき

(非)日常編 →非日常編へ続く。




 如何でしたでしょうか?彼らの日常は……チャプター2ではもう少し個性を追求したいと思います。
 ちなみに、好きなキャラは出来たでしょうか?
 ではでは。ノシ

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