ダンガンロンパ・H&D ~絶望だよ、全員集合!~ 作:名もなきA・弐
ダンガンロンパシリーズと他の方々の創作論破を読んで思い切って書いてみました、あくまでも本命の筆休めで書いたものですが完結出来るように頑張りたいと思います。
まずは注意事項。
この作品はダンガンロンパのルール・世界観を反映させたオリジナル作品でございますす。
それでも良いよって優しい人もそうでない方もお読みください。
※当作品は原作『ダンガンロンパ 希望ヶ峰学園シリーズ』の致命的なネタバレがございます。また矛盾などもあるかもしれませんがあくまでも作者の二次設定として流してくださると嬉しいです。
それでは、どうぞ…うぷぷぷ。
軽い自己紹介
希望があるから絶望が生まれるのか?
それとも、絶望があるから希望が生まれるのか?
どちらに転んでも最良の結果を歩むかどうかは分からない…そもそも、どちらが正しいのか?
痛い目を合わないために薄暗い絶望の道を進むのか、周囲を犠牲にしてまで眩いほどに輝く希望の道を歩むのか?
一体、どちらが正しいのだろう……。
目が覚めると、私の視界に入ってきたのは、見たことのない天井だった。
ベッドで寝かされている状態なのだろう、天井にはありきたりな照明がありそこから発せられる光に思わず顔をしかめる。
だが、それと同時に意識がゆっくりとだが覚醒し始めてきた。
まずは手を握ったり開いたりして身体が動くかどうか確認してみる。
異常は、どこにもない…では名前は?
私の名前は『
上体だけを起こし、辺りを確認してみる。
学校指定の青いブレザー型の学生服であり、何かされたような感覚もない…が財布や携帯電話といった物体がなくなっていることに気づく。
言いようも知れない不安に駆られるが深呼吸を繰り返して何とか気持ちを落ち着ける。
そしてクリアになった思考で周囲を見渡す…そこは寝室のようであり豪華な装飾からまるでホテルのスイートルームを彷彿させる室内だ。
(ここは、何処でしょう?)
最初に浮かんだ疑問がそれだ。
記憶を思い返してみるが全く分からない、そもそもこんな場所に来たことも見たこともない。
未知の場所に不安を覚えながらもそれを必死に押し留め、行動を開始した。
ドアに近づき、耳を当てる…足音が聞こえないのを確認してからゆっくりとドアノブを回し、少しだけ押すと扉が開く。
(…よし)
ドアを開けると私の視界に入ったのはまたしても見知らぬ通路だった。
上部には大きめのスピーカーがついたモニターが設置されておりどちらに行くか迷っている私に応えるように画面が映る。
【みんなはこっちにいるよ♪】
(誰だか分かりませんがイラッときますね)
子どもでも書かないような下手くそな文字に軽く怒りを覚えながらも指示通りに進もうとした時、背後から鈍い音が聞こえた。
それに驚いた私はテレビや漫画で見たファイティングポーズを取るとそこには私と同い年ぐらいの黒い学生服を着た少女がうつ伏せで倒れており恐らく音の発生源だ。
少しだけ警戒しながらも私は彼女まで駆け寄り声を掛けた。
「あの、大丈夫ですか?」
「はっ、はい。大丈夫ですぅ」
鼻を手で押さえながら涙目で答えた少女はゆっくりと立ち上がろうとする。
少し古いセーラータイプの学生服でありショートにしてある黒髪と相まって何処か儚げな印象を与える少女だ。
ローファーに吐き慣れていないのか足元が覚束ない彼女を支えると「ありがとうございますぅ」と感謝の言葉を口にする。
「ここ、何処か分かりますかぁ?」
「いえ、実は私も詳しくは…」
彼女からの問い掛けに私は自分の経緯を説明すると、彼女も安堵したのか少しだけ息を吐くと少しだけ笑みを見せる。
「私もですぅ、気が付いたらこの場所にいてぇ。学校の帰りだったんですけどそこからの記憶がなくてぇ」
「あなたも、ですか」
そんなことを話しながらも私たちはモニターに指示されて通りに通路を移動していた。
そして、しばらく進んでいると突き当たりの観音開きになっているドアと対峙する。
やはり豪勢な作りになっている木製の扉の取っ手を握る。
「扉を開けた瞬間、亡霊さんが襲ってくる…とかないですよねぇ?」
「あるわけないでしょうが」
突拍子もないことを言う彼女に思わず反射的にツッコンでしまったが気を取り直し、私は扉を開けた。
そこには十数人の男女がおりそれぞれタイプの違う、同じタイプの学生服に身を包んでいた。
エントランスのような広い空間となっておりまるで映画の世界に閉ざされたような感覚を覚えてしまう。
「お、やっと来たみたいだな」
「そうなると、これで何人でしたっけ?」
「姉さん、これで十五人ですよ」
黒い詰襟の学生服を着た大柄の少年があっけらかんと、双子らしき二人の少女が左右別に結んだリボンを揺らしながら楽しそうに言う。
そんな中、私と同じアホ毛を持った少年が柔和な笑顔で全員に声を掛ける。
「とりあえず、これで全員揃った感じかな?」
「た、多分そうだと思うけど」
何処か気弱な印象を与える小柄な少年が代表するようにおどおどした様子で答える。
その回答が聞こえたのかブレザータイプの学生服をきちんと着こなした眼鏡の少年が場を引き締めるように声を響かせる。
「とりあえず、自己紹介でもしないか?」
「…たく、よくもまぁそんな呑気なことが言えるな」
「シュコー、シュコー」
彼の言葉にパーマ気味の少年が不機嫌そうな表情を見せるがそれを宥めるようにシュノーケルの少年が肩を置く…て、ちょっと待て!
「何でそんなもの装着しているんですかあなたっ!?」
「シュコー、シュコー」
私の言葉に対してシュノーケルの少年は「気にするな」と言いたげに親指を立ててサムズアップをする。
そのあまりの清々しさにツッコム気力もなくなった私は全員の目がこちらを見ていることに気づく…つい条件反射で言葉を出してしまった。
「自己紹介するしかないな」と半ば諦めた私は自己紹介を始めることにした。
「えっと、私は…」
そうして自己紹介をしたが「趣味は?」・「彼氏は?」と根掘り葉掘り聞かれ紹介を終えたころには疲れ切っていた。
そんな私を気にせず、言い出しっぺである眼鏡の少年が自己紹介を始める。
「俺は、『
「ちっ、『
一関君に背中を叩かれたパーマの少年…一条君は自身の名前を名乗った後そっぽ向いてしまう…ていうか。
「おやおや、同じ『一』がつくなんて何やら運命を感じますね」
「そうですね、姉さん」
私の思っていることを口に出したのは先ほどのリボンをつけた二人の少女だ。
双子らしく容姿は茶髪のボブヘアーと同じだが学生服の着方が少しだけ異なっている。
「さてさて、私の名前は『
「そして私は双子の妹『
「「人呼んで『神楽坂シスターズ』!」」
ノリノリのポーズをドヤ顔と共に決める二人に反応に困るが私と共に来た少女とエントランスにいた少女が拍手を…て。
(で、でか…!?)
何度目の驚きだろう、しかしあれは「本当に高校生か?」と疑ってしまう。
短めにカットされた黒髪とあどけない顔立ちは年相応の少女を思わせるがそれでも私の心中は穏やかではなかった。
なぜなら彼女の前には立派な胸部装甲がオーソドックスなセーラー服を内側から押し上げておりノースリーブのシャツと少し短めのスカートなので肌色がそこそこ多い。
身長も女子にしてはかなり高く、はっきり言って無駄のない肉体の持ち主だ。
全員の前に現れた少女は気にすることなく邪気のない笑顔で挨拶を始める。
「初めましてー。『
「やはー」と意味もなく両手を上げる彼女…それと同時に
くそがっ、どいつもこいつも乳に左右されやがって……私だって後数年もすれば……!
そんな私の嫉妬を知る由もなく、隣にいた少女も我に返るとゆっくりと口を開いた。
「えと、せ、『
たどたどしい挨拶の後、ぺこりと頭を下げると今度は気弱な少年と大柄な少年、長い銀髪を靡かせた外国人らしき少女が前に出る。
「僕は、『
「俺は
「ぼくは『エミリ・パラボナライズ・アヴェーン』。ロシア人だけど生まれも育ちも日本だよ」
本庄君と坂本君、そしてエミリさんが挨拶を終えると唯一学生服を着ていない強面の少年?が口を開く。
「『
渋い声でそう名乗ると口を閉ざしてしまう…しかし拒絶していると言うよりあまり言葉を出さないタイプなのだろう。
そんなことを考えていると今度はシュノーケルの少年が口からそれを外す(ゴーグルは装着したままだったが)。
「『
イケメンボイスで丁寧に紹介をすると再び独特の呼吸音を繰り返す…見た目は奇妙だが思ったよりも礼儀正しい人物のようだ。
「なら、次はアタシの番かしら?『
「僕は『
二ノ瀬さんと綾崎君の紹介を終えた後、残るは最後の一人…茶色いブレザーの学生服を着たアホ毛の少年だけとなった。
「……」
しかし、彼は困った表情で何も喋らない。
「どうしたんですか?」
「…ボクは……」
ようやく口を開いた彼は言い淀んでしまうが、やがて意を決したように言葉を紡ぎ出した。
「ボクは、誰なのかな?」
「……はっ?」
彼の言葉に私が口を開けた途端……。
キーンコーンカーンコーン……。
場違いにもほどがある、それでいて慣れ親しんだチャイムの音が私たちのいるエントランスホール内に響き渡った。
まずは、軽い自己紹介から…一応彼らには才能がありますがどのような才能かはまだ明かしません。
どのような才能の持ち主なのかはみなさん考えてみてくださいね。
ではでは。ノシ