レーヴユナイティア 記憶を無くした戦士達   作:蹴急

3 / 10
タイトルはこれから出て来るキャラのイメージがメインになると思われます


金色と絶剣

 

森を移動しながらキリトと太公望はナハトからこの世界についての説明を受けていた。

 

「成る程のう。ヴールを追い払う為に儂らを召喚したが力の弱い若仔だけで儀式を行った為に不完全な形でここに来てしまったということか」

「そういうことです。すいません、本来ならば僕たち夢守だけで事態を納めなくてはならなかったのに……」

「そなただけの所為ではないのだろう?機に止むことはない」

「ですが!」

「太公望の言う通りだ。それにこの世界での異変は俺たちの本来の世界にも影響があるんだろ?それなら協力しない訳にもいかないさ」

 

二人の心遣いに再度深く感謝するナハト。

二人にしてはナハトに責任はないのだ、それなのに謝れればいささか気まづくある。

 

「それでどうするのだ?ナハトよ、召喚されたのはわし達だけではないのだろう?」

「はい、他の『夢見る目覚めの人』達も助けに行かないと……先程までのあなた達同様ヴールに取り囲まれる可能性が高いです」

「それなら急いで探さないといけないな。どれくらい、いるかわかるか?」

「正確な数までは……散らばった数だけを見ると二十は超えていたと思います。それにお二人のように重なっている可能性もあるので何とも……」

 

力になれず、すいませんとまた頭を下げるナハト。

 

「少なくとも三十近くはいるかもしれんのう。他にお主のようにわし達を助けに行けるようなものはおるのか?」

「どうでしょう。僕はこの世界でかなりの力の強い方ですが、その僕でお二人を助けるのはかなり大変でしたし……」

 

ふと、自分の継ぎの仔であるルフレスが頭に浮かぶがすぐに首を振って消した。

 

「もし、ルフレス族の住む街の近くに落ちれたならばヴールから逃れることも可能かもしれません、ですがここからだとかなり距離があるので……僕もあまりメランコリウムを長く留守にする訳には行きませんし」

「ふむ。まぁ儂らはナハトからは離れられんのだ。わし達はナハトについていくぞ」

「ああ、それにそのメランコリウムの近くにも落ちたかもしれないしな」

「わかりました。メランコリウムを目指しつつ、『夢見る目覚めの人』がいれば保護するということでいきます」

「うむ、それがよかろう」

 

 

 

三人がメランコリウムを目指し、森を抜け平原地帯にたどり着くとトレント型ヴールが暴れていた。

そこには黒い服を身に纏った金髪の少女と胸当ての下に紺を基調としたドレス服を着ている、紺色の髪の上に赤いバンダナを巻いた少女が応戦していた。余談だが二人とも両肩の肌が露わになっている。

 

「イヴ、大丈夫⁉︎もう少し頑張って!」

「でも数が多くて……このままじゃジリ貧よ。ユウキだけでも逃げて!!」

「そんなことできるわけないよ!」

 

イヴとユウキの周りはかなりヴールが集まっている。

 

「あれは、『夢見る目覚めの人』です!ですが周りに大量のヴールが」

「あのままだと、仮に正気を失わなかったとしても、ヴールにやられるぞ!」

「早く助けに行かなくては!……ぐぅ」

 

未だに消耗が酷いナハトは夢紬の姿に変わり、さらに消耗が激しくなり思わず顔を歪めた。

 

「お主、その姿はかなり辛いのではないか?」

「本来ならば、夢守である僕の為さなくてはいけないことだったんです。皆さんを不完全な形で呼んでしまった。それを助けに行くのは僕の責務です」

「ナハト……」

「仕方あるまい、お主は極力無理をしないよう浄化だけに専念するのだ。周りのヴールはわし達でなんとかしよう」

「わかりました。お願いします」

 

ヴール達の近くまで行くとナハトが力強く叫んだ。

 

「……ヴールめ、その人達に手を出すな!」

 

その声に反応したのか、何体かのヴールがナハトに襲いかかった。しかし、それは太公望の発生させた風の壁により防がれる。

 

「ナハト、もう少し下がっておれ!」

「太公望、俺が先陣を切る。援護は任せた!」

 

キリトは漆黒に染まった剣、エリュシデータでヴール達を斬っていく。

 

「そこにいる女子達よ、今そちらに行く!何とか持ち堪えるのだ!」

「もしかして味方?」

 

太公望の言葉にユウキが反応した。

 

「ユウキ、私は戦うわ。待つだけは性に合わないもの」

「勿論!僕もイヴと同じだよ!」

 

ユウキは再度手に持つマクアフィテルに力を込め、飛び出した。

 

「はぁぁあ!」

 

素早い連撃で確実にヴールの数を減らして行く。

ユウキに呼応するようにイヴもまたヴールを拳型に変えた髪で蹴散らしていく。

 

「む、あの金髪の少女のあれはどういう仕組みなのだ?」

「すごいな。見た目はただの髪の毛なのに拳になったり、ナイフみたいになってヴールを斬り裂いている……」

 

二人はイヴの戦いに僅かだが目を奪われた。

確かに彼女のような戦い方をする人物など記憶があったとしても自分が出会ったことがあるとは到底思えなかった。

ヴールの数が半分を切り、太公望達がユウキとイヴに近づくと彼らを囲むように新しいヴールが現れた。

 

「後ろにもヴールが⁉︎」

「どうやら今度はわしらが挟み撃ちにされたようじゃのう」

 

背中合わせになりお互いの背を預けるキリトと太公望にナハト。

 

「先に彼女達と合流しましょう」

「うむ、それが妥当な判断であろう。キリトよ任せて良いか?」

「任せてくれ」

 

キリトはエリュシデータを肩に置き、溜めを作った。すると、段々と剣は光を帯びていき、輝きが最高潮になった瞬間、地を蹴る。黄緑色の軌跡を残し、キリトはヴールの群れを突き、消滅させる。

 

「無事か⁉︎二人とも!」

「……私もユウキも無事」

「お兄さん凄いね、全部蹴散らしちゃったよ」

 

淡々と応えるイヴ。ユウキはキリトの強さに目を輝かせていた。

 

「二人とも一気に片付けるぞ!」

「はい」

「うん!」

 

それから数分でその場にいたヴールを全て片付けた。

 

「どうじゃ、ナハトよ?」

「この一帯の浄化はなんとか終わりました」

 

人の姿からルフレス本来の姿に戻ったナハト。戦闘を終えたキリトとユウキ、イヴが太公望とナハトの元へ合流すると、イヴが感謝の言葉を述べた。

 

「助けに来てくれてありがとう、あのままだったらやられてた」

「いえ、『夢見る目覚めの人』を助けるのは僕の責務ですから」

「夢見る……」

「目覚めの人?」

 

イヴとユウキがナハトの発言に首を傾けた。

 




読んで頂きありがとうございます。

あと二話くらいまではこのくらいの少ない文字数だと思います。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。