仮面ライダーアマゾンズ -ϘuinϘuennium-   作:エクシ

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アマゾン。それは終わらない苦悩。悠の前に現れたのは4Cによってコッパタイプとなった天城だった。ネオアマゾンズドライバーで天城が変身したアマゾンロウによってアマゾンオメガは追い込まれていく。


Episode6「Mental Fatigue」

黒崎はあくびをしながら局長室のあるフロアへエレベーターで上がっていた。こんな時間に職場へ呼び出されるのは不快だったが局長命令とあらば仕方がない。

 

局長室の扉をぶっきらぼうに開けて入るとそこには大きな液晶が置かれ、その画面には悠にアマゾンロウが襲い掛かっている映像が映されていた。

 

 

「んだこりゃ。」

 

「夜中に呼び出してすまないね、黒崎くん。」

 

「今日は当番のはずじゃないはずだが?」

 

「わかってるよ。だがこれを君に見てもらいたいんだ。私が君をアメリカから呼んだ理由だからね。」

 

 

手と足を広げ咆哮するアマゾン。これが自分を呼んだ理由ということだろうか。

 

 

「コイツはなんなんだ?」

 

「天城クロト。私がまだ野座間製薬で本部長を務めていた時にわざわざ話の場を設けてほしいと野座間に直談判に来た愚かなアマゾンさ。」

 

 

天城は野座間の役員全員に「人間を喰う気はないアマゾンもいる。自分たちを殺さずに人道的な扱いをしてくれると約束してくれれば監視下に降りる。人間を喰おうとするアマゾンを狩ることも厭わない。」と説得した。

 

しかし役員の面々はアマゾンの言ったことなど信用するはずがない。会長の天条の命令で何もせずに帰したものの、天城の提案に乗る気など野座間側はなかった。

 

 

「しかし私は会長にも秘密で天城を捕らえた。新しくアマゾンを作ることが禁止された今、既存のアマゾンは我々にとって貴重な戦力になりえると考えたからだ。」

 

 

今のところ自分が必要な要因などない。黒崎は近くにあった椅子に座りまたあくびをした。

 

 

「このアマゾンがいつか使い物になった時、君のような優秀な”人間”がアマゾンの手綱を引っ張ってほしいと思ってね。」

 

 

なるほど、ようは強い人間がアマゾンを見張ってほしかったというわけか。

 

 

「んで結局使い物になったから出したってわけか?」

 

「そうだ。共食いのアマゾン、コッパの体を調べた結果、トラロックによってアマゾンを喰いたいという錯覚をもたらす成分を作りだすことに成功した。その成分は錯覚だけでなくアマゾンの戦闘能力も底上げする素晴らしいものだったのだよ。」

 

 

また興味のない話に戻ってきている。頭が痛くなった黒崎は胸ポケットから頭痛薬を何錠か口に投げ入れた。

 

 

「聞いているかね、黒崎くん?」

 

「はいはい…。」

 

「フン…コッパタイプとはトラロック後に現れた言わば奇種。当時は原因や行動原理が分からなかったことからQuestionのQをギリシャ文字化したϘ(コッパ)からつけられた名だ。またϘは数字の90を示すとも言われている。」

 

 

本当に興味がない。自分はこのために睡眠を邪魔されたのかと思うと腸が煮えくり返ってくる。黒崎はスマートフォンを取り出しいじり始めた。

 

 

「だがアマゾンを喰うアマゾンを人の手で意図的に作り出せるようにしたのはこの私だ!まさに水澤くんのトラロックが Ϙ (90)ならば私の研究は Ρ (100)!」

 

 

橘は高笑いを上げている。ようはアマゾンロウを黒崎隊で管理しろということが言いたいのだろう。黒崎はスマートフォンをいじりながら局長室を後にした。

 

 

「へぇ。Ρ(ロウ)は数字の100を表す…ねえ。」

 

 

エレベーターの中でロウの意味を調べた黒崎はスマートフォンをポケットにしまった。

 

 

 

 

 

 

 

ロウは暴走しながら足のフットカッターによる斬りかかりを仕掛けるも悠は冷静にそれらを回避していく。

 

 

「天城くん!…くそ!」

 

 

ロウの左腕につけられたアマゾンズレジスターの表示は青を示している。つまりまだ覚醒はしていない…。

 

間合いをとった悠はリュックサックに入ったアマゾンズドライバーを取り出し腰に取り付けてアクセラーグリップを捻った。

 

 

-OMEGA(オメガ)-

 

「…アマゾンッ!」

 

-EVOLU(エヴォリュ)EVO(エヴォ)EVOLUTION(エヴォリューション)!!-

 

 

オメガに変身した悠は先ほどと同じくロウの手足による攻撃を見切って避ける。

 

ロウはアームカッター、フットカッターをそれぞれ大きくさせ殺傷力を高めて襲い掛かってきた。

 

 

「く…落ち着いて!天城くん!僕だ!悠だよ!」

 

「わかってる…わかってるけど…ウアアアアアア!!!!」

 

 

ロウは自分の理性を抑えきれずにオメガに襲い掛かっているようだ。覚醒していないにも関わらず暴走する理由をオメガは理解できるはずもない。

 

ロウのフットカッターによる攻撃を避け続けるオメガ。ロウは左手でインジェクタースロットに装填されたアマゾンズインジェクターを操作した。

 

 

-NEEDLE(ニ・ー・ド・ル)LOADING(ロ・ー・ディ・ン・グ)-

 

 

右手のシェルスライサーグローブからアマゾンネオニードルが生成され、足技を避けたオメガの胸部に射撃攻撃を与える。

 

 

「ウアア!」

 

 

続けて怯んだオメガに左手のアームカッターで下から上に斬りかかった。

 

胸から血が噴き出しオメガはその場に膝をつく。

 

 

(や…やばい…!)

 

 

とどめの一撃を食らわせようと近づくロウ。アームカッターが届く距離まで近づいた時、突然ロウが苦しみ始めた。

 

 

「?」

 

 

動物的な鳴き声を上げその場にのたうち回るロウを背にオメガはジャングレイダーに乗ってその場を去っていく。

 

走りながら冷気を放ってオメガは悠の姿に戻った。シャツは右の下腹部から左の肩にかけて破れ、そこから血が染み出ている。

 

貫通していれば話は別だがこの傷程度であれば一口二口、たんぱく質を摂取出来れば回復するだろう。傷口もふさがってきたことが悠自身にもわかる。

 

剛の隠れ家の近くまで来るとそこに4Cの情報部と監察部がおり、ジャングレイダーを近くに止めて悠は誰にもばれないよう家の近くまで歩いた。

 

 

(まさか4Cにみんな駆除されたんじゃ…。)

 

 

天城のことを真っ先に伝えたかったのに…。悠がもっと家に近づこうとした時、後ろから悠を呼ぶ声がした。振り向くとそこには剛が立っている。

 

 

「剛さん!あれ、一体どういうことなんです?」

 

「あぁ、なんかアマゾンを駆除する奴らがあそこを襲ってな。何人かやられちまった。」

 

「そんな…。」

 

「だがマモルたちは生きてんぞ。何人かが近くの車を奪って逃げたのを遠目で見てたからよ!」

 

「じゃあ他の隠れ家に…!」

 

 

悠はすぐジャングレイダーを停めた場所に戻ろうとする。

 

 

「おいおい、今何時だと思ってんだ!それにその傷。ウチで休んでからじゃダメなんか?」

 

「すいません、でも天城くんがいたんです。それをマモルくんに言わなくちゃ。お世話になりました。」

 

 

悠は剛の方を向いて深々とお辞儀をする。そして傷口を抑えながらマモルたちが向かったと思われる別の隠れ家に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

4Cの研究棟にストレッチャーに雁字搦めにされた天城が運ばれた。泡を吹き続けてはいるものの意識はないものと思われる。

 

その様子を見た加納は思わずハンカチで口を抑えながら研究者たちに命令を下す。

 

 

「すぐに治療を開始してください。ロウ成分の過剰摂取による症状でしょうからすぐ手を施さなければ命は保証できません。」

 

 

治療室を出てハンカチをポケットに戻す加納。辺りに誰もいないことを確認するとスマートフォンを取り出し電話をかける。

 

 

「加納です、夜分遅くに失礼します。橘局長の命で作ったネオアマゾンズドライバーですが、ロウ成分の摂取が上手くいかず実用段階には至っていないのが正直なところです。………………はい、しかしデータは局長ご自身で管理されているため私でも中々盗み出すことは難しいかと。…………………えぇ、システム部に送信されたものでしたら先ほど送りましたので確認をお願いします。…………はい、失礼します。」

 

 

 

 

 

 

 

悠がマモルたちがいる隠れ家に着いたのは数日経ってからのことだった。いくつかある隠れ家を回るとどうしてもそれぐらいの日数がかかる。

 

むしろ数日でマモルたちを見つけられたのは運がよかった方だろう。

 

 

「よかった、無事で。」

 

「無事…なのかな?」

 

 

カオリが悲しそうにしているのを見ると前の隠れ家での戦いで相当の仲間たちが目の前で無残に散っていったのだと予想できた。

 

 

「…ごめん、助けられなくて。」

 

「悠が悪いんじゃないよ。でも…人間を食べない私たちを殺すような人をなんで私たちは殺しちゃいけないんだろうね。」

 

 

悠は答えられなかった。「確かにそうだね」と言ってしまいそうにもなる。なんで自分たちは殺されてもいいのに人は殺してはいけないのか…。

 

 

「マモルくんと島田さんはどこに?」

 

「それが…。」

 

「?」

 

「4Cに行ったわ。あの人が言ったの、天城くんが4Cにいたって。」

 

 

隣の部屋を見ると拘束具を付けられた神山がモゾモゾと動いているのがわかる。

 

 

「なんでこんなことを!」

 

「貴重な情報源だからこうしとけってマモルが。」

 

 

カオリの答えなど聞かずに拘束具や口につけられた手ぬぐいを取る悠。自由になった瞬間、神山は外に飛び出していこうとする。

 

 

「言っておくけどここらへんには私たちの仲間がウロウロしてる。その意味、わかってるわよね?」

 

 

カオリの一言に立ち止まり、再び部屋に戻っていく神山はここから出る方がむしろ危険だと察したのだろう。

 

 

「とにかく今天城くんと会っちゃだめなんだ。僕もすぐ4Cへ行く。」

 

「どういうこと?」

 

「…帰ったら話すよ。」

 

 

テーブルに置かれた手作りのハンバーガーを1つ手に取って頬張ると悠はすぐに隠れ家を飛び出していった。

 

 

 

 

 

 

 

治療が終わった天城は拘束具を付けられ4Cのビル内にある隔離部屋に閉じ込められた。一切身動きが取れない状態で食事も排泄も全てその場でさせられる。

 

意識を取り戻した天城はそのストレスとアマゾンを喰いたい衝動に駆られ続けているのだ。

 

12時の鐘がなった。やっとたんぱく質の摂取が出来る。研究員たちが天城の右腕に1本目のアマゾンズインジェクターで栄養を撃ち込む。2本目は待ちに待ったロウ成分が含まれたものだ。

 

ロウ成分が入るととても気持ちよくなる、というのもアマゾンを喰ったような感覚を味わえるから。

 

しかし数時間もすればロウ成分を撃ち込まれる前以上にアマゾンを喰いたくなる。

まさに麻薬のようなもの、それがロウ成分だ。

 

今日の分の注射は終わってしまった。研究者たちが隔離部屋から出ていくのを見ると辛くなる。

 

 

(俺は…人間とアマゾンの共存を…でも…アマゾンを…喰いたい…!)

 

 

そんな天城の気配を4Cのエントランスから清掃員の服装をして潜入したマモルと島田は感知していた。特に島田は仲間のアマゾンを感知しやすいタイプなのだ。

 

 

「マモル。」

 

「うん、上だね。」

 

 

帽子を深くかぶりながら清掃道具を積んだカートを引いてエレベーターに乗る2人はとりあえず最上階のフロアのボタンを押した。

 

清掃道具の中にはブルーシートを被せた下にカオリが用意した食料が大量に積まれている。これだけの量があれば戦闘が長引いたとしても持ちこたえられるだろう。

 

 

天城の気配が近くなった。島田はすぐに次の階のボタンを押す。恐らく次の階に天城が捕らえられているのだろう。

 

 

(なんだこの感じは…?……近すぎる気が…。)

 

 

島田は天城の気配に違和感を感じざるを得なかった。同じフロアとはいえ囚われているのならばこんなに気配を近くに感じるはずはないのだ。

 

エレベーターのドアが開いた瞬間その理由は分かった。エレベータの目の前に立っていた天城は昔見た爽やかな笑顔ではなくやっと好物にありつくことが出来る…ストレスから自由になれると悦を感じた顔をしていた。

 

 

-RHO(ロ・ウ)-

 

「ハァハァ…ヘヘヘ……アマゾン…」

 

 

衝撃波がエレベーター内に充満し警告音が鳴り響く。マモルたちはロウから放たれる熱気で外に出ることが出来ない。島田の機転でドアを閉め、さらに上のフロアのボタンを押す。

 

ロウはエレベーターの入口の横の扉をあけ階段に出た。真ん中が吹き抜けになっており、そこから跳躍して停止するフロアに到着した。

 

エレベーターの扉の前に行くとちょうどそのフロアでエレベーターが止まる。ロウは扉が開いた瞬間、右手に生成したアマゾンネオブレイドで一突きにする。最早アマゾンロウに理性などなかった。

 

扉がゆっくりと開く。刃が入る隙間が出来た瞬間、ロウは右手をエレベーターの中に勢いよく突っ込んだ。

 

……感触はない。扉が全て開き目に入ったのはモグラアマゾンの硬化クローで突き破られたエレベーターの底の大きな穴。

 

 

「チィ!」

 

 

後ろを振り向こうとした瞬間、モグラアマゾンのクローがロウの腹部を後ろから貫いた。

 

 

「ガフッ!」

 

「天城くん…、覚醒してしまったんだね…。」

 

 

モグラアマゾンがロウの腕を見ると表示は青、未覚醒の証だった。

 

 

「え?そんな…!」

 

 

隙が生まれたモグラアマゾンを後ろに蹴り飛ばすロウ。すぐにインジェクタースロットに入っていたアマゾンズインジェクターをその場に捨て、ストックのアマゾンズインジェクターをインジェクタースロットに装填し注入する。

 

すると傷口はみるみるうちに塞がっていき、苦しそうだったロウは再びファイティングポーズを取る余裕を見せた。

 

 

「そんな…天城くん!僕だよ、マモルだよ!」

 

「わかって…いる……喰いたい…アマゾンをぉぉぉ!!!」

 

 

-CLAW(ク・ロ・ー)LOADING(ロ・ー・ディ・ン・グ)-

 

 

アマゾンズインジェクターを操作することで右腕からフック状のクローが生成された。ワイヤーを射出してモグラアマゾンに引っ掛けると一気に近くまで引き寄せ、近づいたところをフットカッターで斬りつける。

 

 

「ヴヴヴア!!」

 

 

モグラアマゾンの両肩を切り裂き、そこから黒い血が川のように流れ出る。

 

 

「ヴヴヴアアアア!い゛た゛い゛!ウグアアア!!!」

 

 

痛々しい悲鳴を上げのたうち回るモグラアマゾン。そこへ階段を駆け上がってちょうどマモルたちを追いかけてエントランスに来ていた悠を連れて島田が戻ってきた。

 

 

「マモル!悠連れてきたぞ!」

 

「ヴヴウウウ…水…澤…く゛ん゛…!」

 

 

悠は島田に持ってきた食料をすぐにマモルに上げるよう伝えた。島田の正体はハチアマゾン。正直戦闘能力が高いわけではない。それよりもすぐにマモルを回復させて戦闘に加わってもらう方が効率的なのだ。

 

悠の腰にはコンドラーコアが赤く輝くアマゾンズドライバーが装着されている。かつての仲間を狩らなくてはならない心苦しさを抑えながら悠は叫んだ。

 

 

「僕は…天城くんを狩る!」

 

-OMEGA(オメガ)-

 

「…アマゾンッ!」

 

-EVOLU(エヴォリュ)EVO(エヴォ)EVOLUTION(エヴォリューション)!!-

 

 

オメガが放つ爆風に耐えながら島田はカートに入れていたハンバーガーを人間体に戻ったマモルに渡した。

 

オメガはバトラーグリップを引き抜き彼の得意武器 アマゾンサイズを作る。襲い掛かってきたロウをアマゾンサイズで切り裂こうとするもアームカッターによって弾かれてしまう。

 

 

「グラアアア!!」

 

 

野獣のようなうめき声をあげるロウに対し冷静に相手の行動を分析しようとするアマゾンオメガ。前までならばオメガも本能的に戦っていたが、戦闘に慣れたせいか最近は冷静な行動分析が出来るようになっていた。

 

しかし今はそれが返って邪魔になっているのかもしれない。ロウはトリッキーな攻撃をしてくるためまるで予想が付かないのだ。

 

 

「島田さん。」

 

「どうした、悠!」

 

「…いったん引きます。」

 

「……そうだな。」

 

 

4Cの戦闘員たちの足音も聞こえてきた。島田はハチアマゾンに変わってマモルを連れて窓から飛び出した。ガラスの割れる音に反応するロウの隙をついてオメガも階段の吹き抜けから1階まで落下した。

 

オメガの姿から悠に戻り、階段の横の扉を開けて調査部のフロアを駆け抜けていく。急いでビルから出ようとした悠は差し掛かった曲がり角でちょうど調査部からたくさんの書類を持った女性とぶつかってしまった。

 

 

「あ、すいません…!」

 

「悠…?」

 

「…!…美月…!」

 

 

それは義理の妹、トラロックの日以来会っていなかった美月だった。まさか4Cで再会するとは予想もしていなかったが、驚いている余裕はない。上層階からアマゾンロウが飛び降りてきた音がする。

 

 

「ごめん、美月。僕急いでるから!」

 

「待って、悠ァ!」

 

 

(また私を置いていくの?どこに行くの?)

 

 

あの時言いたかった言葉が今も出てこない。自分には彼を引き留めるための力もない。少しでもアマゾンの近くにいようとしただけでは彼自身のことを知ることは出来ないし、ましてや彼が自分を見てくれるわけでもない。

 

美月はただ自動ドアの向こうに小さくなっていく悠を見ていることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

ジャングレイダーで郊外の方へ走っていく悠。隠れ家の方向へ向かってしまえば仲間たちがまた襲われてしまうかもしれない。悠はマモルや島田の無事を祈ってしばらく隠れ家には行かないことにした。

 

それに…調べなくてはならないことがある。ポケットに入ったメモ帳の切れ端に書かれた住所に行こうとカーブを左折すると目の前に金のメッシュが入ったボロボロの服を着た男 鷹山仁が道路をふさぐようにして立っていた。

 

 

「よう、また会ったなあ。」

 

「仁さん…今あなたに構ってる時間はない!」

 

「どういうことだ?」

 

「…。」

 

「もったいぶんなよ。俺とお前の仲じゃねえか。」

 

 

「どんな仲だ」と悠は思った。助け助けられ殺されかけ殺しかけ…。だがアマゾンに関する知識ならば令華に負けずとも劣らない彼ならば何かを知っているかもしれない。

 

それにこの男は隠し事が苦手なタイプなのだ。

 

 

「僕の仲間のアマゾンが…僕たちアマゾンを襲うようになったんです。」

 

「覚醒しておかしくなったのか?」

 

「いえ、未覚醒です。」

 

「てなるとコッパタイプになったか。俺もそうだったしな。」

 

 

仁は左の頬を抑えながら言った。

 

 

「天城くんは確かにトラロックの日、戦闘はしていたみたいです。でも後で見てもトラロックの影響は受けてなんていなかった!」

 

「じゃあ単純におかしくなっちまっただけじゃねえかぁ?話はもういいだろ、こないだの続きを始めようぜ。」

 

 

仁は傷だらけのアマゾンズドライバーを腰に巻き、アクセラーグリップを捻った。

 

 

-ALPHA(アルファ)-

 

「…アマゾン!」

 

-BLOOD(ブラッド) &(アンド) WILD(ワイルド)!!W()W()W()WILD(ワイルド)!!-

 

 

アルファに変身したのを見て悠も同様に腰についているアマゾンズドライバーのアクセラーグリップを捻る。

 

 

-OMEGA(オメガ)-

 

「…アマゾンッ!」

 

-EVOLU(エヴォリュ)EVO(エヴォ)EVOLUTION(エヴォリューション)!!-

 

 

赤と緑のアマゾンが対峙する。アルファは腕を大きく開いて、オメガは腰を低くしていつでも飛びかかれる姿勢を取った。

 

戦闘が始まろうとした瞬間、オメガとアルファの双方に弾丸が撃ち込まれる。

 

 

「…ッ!…なんだぁ?」

 

 

道路の横にあるコンテナの上を見ると4Cの戦闘員がスナイパーライフルを構えているのが見えた。その男が右手を上げるとあちこちから隊員たちが現れ2体のアマゾンを囲う。

 

その中に赤松がサブマシンガンを持って立っていた。

 

 

「鷹山仁に水澤悠だな。」

 

「そうだが…俺は4Cの皆さんに危害を加えたつもりはねえぜ?」

 

「そちらがそうでもこちらはアマゾンを全て狩るつもりだ。」

 

「へぇ、気が合うな、俺もだ。だが今ここでくたばるわけにはいかねえな。」

 

「僕だって…今ここで死ぬわけにはいかない!」

 

 

オメガとアルファは攻撃姿勢を取りながらゆっくりと背中を合わせる。

 

 

「ここはとりあえず休戦ってとこだな。お前とこうやって戦うのはシグマ戦以来か?」

 

「ここを切り抜けるまでですからね。」

 

「わーってるよ。また嫌そうな顔すんなや。」

 

「わかんねえけど…ですよね?」

 

 

赤松のハンドサインで隊員たちが一斉に発砲する。2体のアマゾンはその瞬間お互いの背中を守りつつ戦闘を始めた。




こんばんは、エクシです。
話はアマゾンコッパからアマゾンロウにシフトしてきちゃいましたね。
一応コッパは野座間の駆除班で仲良くやってますからいいでしょう。またマモちゃんのようにならないといいですが…。

コッパが90を示し、ロウが100を示す…後付け設定ですw
使われなさそうなギリシャ文字ないかな
☞あ、コッパって使われなくなったギリシャ文字なんか、これにしちゃえ~
☞うーん、コッパタイプの2体目は何にしようかな…。ん?コッパって90の意味もあるのか。じゃあ100は?
☞ロウに決定
いい加減で申し訳ない…。
仲間が敵になっちゃうのがすごくシグマっぽいですが意識はとりあえずあるということでシグマよりも下手したらえげつないかもしれないですね。ロウ成分はまじで麻薬みたいなもんです。依存症になっちゃいます。
ただシグマと同じく仲間が手をかけてやる…という終わりにするつもりはないです。

今回は悠と美月の再会も入れてみました。本編S2の2話で久しぶりに会った悠と美月ですが5年ぶりに会ったにしては淡白な2人だな…と思ったので5年間の間にも何度か会ってたということにしました。
まぁ半年くらいあってなくても「久しぶり~」ってなりますよね?

ところで今本編でいうとどれくらいの時期の出来事なのかわかりますか?
本編のS2の8話 イユの父さんの大学から出てきた仁が悠とあって、次のシーンの千翼が生まれるまでの間です。
上手く書けているのか不安なので書かせてもらいました。

感想、お気に入り、評価お待ちしているんだゾン!

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