仮面ライダーアマゾンズ -ϘuinϘuennium-   作:エクシ

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アマゾン。それは宿主に取りつく者。緋彩は仁の細胞を入れられた元人間の少年であったことを知る悠と美月。そして野座間製薬に4Cが合流してからしばらくした時、彼らの前に悠と緋彩のコンビが姿を現す。


Episode3「Parasite」

浜辺では人々が散歩をしている。観光地とするにはあまりに地味なビーチであるものの地元の人々からは愛されている場所だ。

 

今の時間は休み期間中の高校生たちが海水浴を楽しんでいる。

 

 

「おーい!そっち投げんぞ!」

 

 

男子高校生の1人がビーチボールを女子高生に投げる。そのボールを取ろうとするも女子高生は落としてしまい、浜辺の方へ拾いに行った。

 

 

「ごめーん!投げるね!」

 

 

彼がいた場所を振り向くもそこには誰もいない。

 

 

「あれ?」

 

 

そんな彼女の後ろには失神しながら左胸から蒸気を発する男子高校生が立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

望は周りを見回して誰も見ていないことを確認し雑居ビルの中へ入った。エレベーターに乗って3Fのボタンを押す。

 

3Fに到着すると寂れたビルには似合わぬしっかりとした作りのドアにつけられた指紋認証に指を置いた。

 

電子音が鳴ってから扉を開けるとコーヒーメーカーからカップにコーヒーを注ぐ福田の姿があった。

 

 

「福田さん、おはようございます。」

 

「あぁ、おはよう。今日は俺たち非番だろ。どうした?」

 

「いえ、別に。」

 

 

福田には望の意図は分かっていた。一人でいるのが怖いのだ。もしどこかで、駆除班の誰もいないところで溶原性細胞が覚醒してしまえば駆除する者が周りにいないことになる。

 

溶原性ワクチンがあるとはいえ体内に溶原性細胞が入りこんでからしばらくしてから摂取したものだ。溶原性ワクチンの特徴として溶原性細胞が入り込んですぐに接種すればするほど効果がみられる。溶原性細胞が入り込む前に摂取しておけば予防にもなるらしい。

 

とにかく望や福田は一人でいることをとにかく避けていた。もはや生活の癖にもなっているのかもしれない。望はグローブを装着しスパーリングを始めた。

 

しばらくして奥の部屋からサイレンが鳴り響くのが聞こえる。すぐに扉が開いておくから札森が出てきた。

 

 

「あーまたいるんすか、暇ですねえ。ここ元々4Cが持ってたオフィスなんですからね、きれいにお願いしますよ。」

 

「それよりアマゾンか?俺たちも手伝う。」

 

「あーどうですかね。暇なら来てもいいですけど…シグマ隊(おれたち)だけで十分でしょうがね。」

 

 

札森の嫌味を耳に入れることなく福田と望は準備を整えた。ビルの地下に停められたバンに乗り込むシグマ隊の誰もが運転席に着こうとしない。

 

 

「?」

 

「暇なら運転お願いします~。」

 

 

福田は黙って運転席についた。助手席には望が座る。

 

 

「いいんすか、アイツ今は別に上司でも何でもないんだろ。」

 

「だがアマゾンを狩る仲間だ。アイツの好きにさせてやれ。」

 

 

福田の器の大きさには頭が上がらない。そんな寛大さに札森は気がついていないようだが…。

 

 

 

 

 

 

 

賀閣製薬の社長室の電話が鳴り響く。目黒はそれを取ると定期連絡を受けるかのように淡々と返事をする。

 

 

「うん、うんわかった。それでは悠くんと緋彩に言ってもらいましょう。」

 

 

電話を切ると社長室で立っている2人にアイコンタクトを出した。2人は会釈をすると部屋を出ていく。

 

 

「今回はどっちですかね。」

 

「溶原性の覚醒はもうほとんどないよ。たぶん今回も寄生型。」

 

「ですよね…。美月さんに分離弾用意してもらいます。」

 

 

分離ロウ成分入りの弾丸、それが分離弾だ。撃たれた標的から分離ロウ成分によって寄生型アマゾンが剥がれる。宿主となった人間は骨折等の怪我はするものの分離弾によって死ぬことはないらしい。

 

緋彩はスマートフォンで美月に電話を入れた後、悠と共に自身のジャングレイダーに乗って現場へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

先に海岸へ付いたのは野座間製薬の駆除班の輸送用バンだ。中からサングラスをかけた4人の男たち、その後には札森と黒崎が出てくる。

 

 

「さーてシグマ隊出動。」

 

 

札森の掛け声と共に4人は左腕の袖を捲り上げ、ネオアマゾンズドライバーのスイッチを押した。

 

 

「「「「アマゾン」」」」

 

 

4人は体から溢れる熱を振り払いシグマアマゾンへと変化し、海岸を駆けていく。辺りにはアマゾンの姿はない。

 

シグマアマゾンたちは普通のアマゾンに比べて仲間を探知する能力が劣っている。イユ同様直接視覚で確認するかかなり対象まで接近しないとアマゾンかどうかを判断できない。

 

しかし今回は探すのにそこまで時間はかからなかった。海岸沿いに植えられた防砂林の中にアマゾンらしき姿が視覚で確認できる。

 

 

「高い所にいるな。黒崎~。」

 

 

札森の横に無表情の黒崎がネオアマゾンズドライバーを腰に巻きながら現れた。

 

 

「黒崎…。」

 

 

何とも言えぬ表情を浮かべる福田を見ることなくアマゾンズインジェクターをインジェクタースロットに装填する。

 

 

-NEW(ニュ・ー)SIGMA(シ・グ・マ)-

 

「アマゾン」

 

 

紫色のエネルギーを放出しながら黒崎の体がじわじわとニューシグマの姿へと変わる。体全体がアマゾンの姿へ変わると紫色のバイザーとニューラングアーマーを構築していった。

 

 

「行け。」

 

「了解。」

 

 

札森の命令に従い木の下まで行くとアマゾンズインジェクターを操作し武器を生成する。

 

 

-CLAW(ク・ロ・ー)LOADING(ロ・ー・ディ・ン・グ)-

 

 

ニューシグマはアマゾンネオクローで木の上にいるアマゾンを引きずりおろし、落下してきたところをアームカッターで切り裂いた。

 

 

「グゥウ!!」

 

 

落ちてきたアマゾンは体のあちこちに丸いものをつけたカビアマゾンであった。

 

 

「ガルゥウガルウ…!」

 

「ターゲット確認」

 

 

ニューシグマの声に反応してシグマアマゾンたちがカビアマゾンに襲い掛かってきた。ネオアマゾンズレジスターによってアマゾン細胞を覚醒されたアマゾンは今やアマゾンズドライバーで変身したアマゾンとほぼ同じ出力で戦闘を行うことが出来る。

 

一方のカビアマゾンはただの寄生型アマゾン。溶原性細胞による新種アマゾンとさほど変わらぬ戦闘力であるため戦いは駆除班側の有利な状況が続く。

 

シグマアマゾンたちによる噛みつき攻撃や切り裂き攻撃でカビアマゾンの体の一部が吹き飛ぶ。吹き飛んだ部分をニューシグマは避けながら遠距離攻撃を繰り出していく。

 

 

「ギュアアアア!!!」

 

 

奇声は発しながらも逃げるカビアマゾン。福田たちも援護射撃をすることなく見守る。

 

シグマアマゾンの中の1体がカビアマゾンに飛びかかろうとしたその瞬間、シグマアマゾンの体が止まってしまう。

 

 

「!?」

 

「どうした!」

 

「体が動きません」

 

 

札森は眼鏡をあげ福田に指示を出す。

 

 

「タブレットとカメラ!早く!」

 

「もうやってる!」

 

 

福田はカメラをニューシグマたちの方へ向け、タブレットで操作をしていた。タブレットにはカビアマゾンのいる場所一帯にアマゾン細胞の反応がある。

 

 

「すぐに全員マスクをしろ!このアマゾン、自分の細胞をまいている!」

 

 

カビアマゾンが傷つけば傷つくほど胞子のように細胞が辺りに放出される仕組みのようだ。この胞子を多く吸ってしまうと体に麻痺が生じ、やがて身体機能が停止してしまうという分析結果である。

 

やがて他の3体のシグマアマゾンも身体機能が停止し動けなくなってしまった。

 

 

「うわマジかよ…。4Cじゃなくなったからもうシグマタイプ裏で作れなくなっちまったのに!」

 

 

コイツは未だにそんなことを心配しているのか。

 

福田はそう思いながらガスマスクを装着した。

 

恐らく今までシグマタイプのアマゾンを消耗品のようにしてアマゾン狩りを行っていたのだろう。10年以上の戦いをしている福田に限らず望にもシグマアマゾンたちの動きを見てわかった。

 

ただ一人だけ…。黒崎、ニューシグマだけはカビアマゾンの肉片を意識するように始めから避けていた。彼のアマゾンとしての感覚がそうさせているのだろう。

 

しかし驚くべきところはそこではない。自身の体を守ることを命令されていないにも関わらず肉片を避けているという事実。

 

それこそ他のシグマタイプにはない、いや5年前に自ら考え千翼について行き、シグマタイプとして”廃棄”されたイユと同じように意思を持っている証拠なのだ。

 

 

「アイツ…。」

 

 

札森も気が付いたようだ。彼の右手が震え始めた。札森は震えはじめた手の人差し指を左手で抑える。

 

 

「く…こいつも…意思を!」

 

「札森!どうした、しっかりしろ!」

 

「寄生型なんてどうでもいい!福田、高井ィ!すぐに黒崎を処分しろ!すぐにだ!」

 

「何…言ってんだお前?」

 

 

この状況で何を言っているのか、福田も訳が分からなかった。カビアマゾンに今対抗できるのはニューシグマである黒崎のみとなっている。

 

意思を持っていることで自分たちに何か不利益が被られるのであれば札森の言わんとすることはわかるが全くそうではない。

 

 

「落ち着け、札森。今は俺たちを危険にさらす寄生型を倒すのが任務だ。黒崎は味方だぞ!」

 

「嫌だ…俺は…嫌なんだ!」

 

 

札森は手の震えを抑えるのに必死で福田の声などまるで耳に入っていない。

 

ニューシグマはカビアマゾンの肉片や血液に触れてはいないものの徐々にカビを吸い込み動きが鈍くなってきている。

 

 

「望、お前は離れていろ。」

 

 

福田はスナイパーライフルに弾を装填し、カビアマゾンの頭部にスコープのライトを当てる。

 

 

「ここだ!」

 

 

福田が引き金を引いた瞬間、突如ジャングレイダーがウイリーしつつ現れ、ボディでその弾を弾いた。

 

 

「何!?」

 

「この人は殺させません。」

 

 

ジャングレイダーを止めヘルメットを取ったのは悠であった。

 

 

「悠…!お前今までどこに…。」

 

「福田さん、煌は?」

 

「非番だ!」

 

「ならここは僕に任せてください。緋彩!」

 

 

悠の呼びかけに応じるようにもう1台のジャングレイダーに乗って現場に到着していた緋彩は何もする事無く現場を去っていった。悠の腰には既にネオアマゾンズドライバーが巻かれており、そこにアマゾンズインジェクターを装填する。

 

 

-NEW(ニュ・ー)OMEGA(オ・メ・ガ)-

 

「アマゾン…!」

 

 

爆風と共に体がニューオメガへと変わり変身を完了する。

 

 

「悠、あのアマゾンは自身の肉体からアマゾン細胞を放っている。その細胞を吸い過ぎると体が麻痺してしまうぞ。」

 

 

ニューオメガは行動を停止しているシグマアマゾンたちの方を見た。呼吸が止まって体に酸素を取り入れることが不可能になったせいか変化が解けて人間の姿へと変わりその場に倒れ込む。

 

シグマタイプなりの死に方…といえるだろうか。

 

 

-NEEDLE(ニ・ー・ド・ル)LOADING(ロ・ー・ディ・ン・グ)-

 

 

アマゾンズインジェクターを操作してアマゾンネオニードルを生成した。その先をカビアマゾンに飛ばし体を拘束する。

 

これならば遠距離からカビアマゾンの動きを拘束できるため、アマゾン細胞を体内に取り込む恐れはない。しかしそれと同時に攻撃を繰り出すこともしないニューオメガ。

 

 

「悠!その武器で弾を放て!その距離からでも攻撃できるはずだ!」

 

 

確かにアマゾンネオニードルは射撃機能も搭載している。しかしそんなことをすれば宿主まで殺してしまう恐れがある。それを説明しようとした時、ちょうど美月が現場に到着した。

 

 

「悠!撃つよ!」

 

「頼む!」

 

 

圧裂弾を撃つ際に使用するものによく似たランチャーを構えカビアマゾンに弾を放つ美月。

 

カビアマゾンに命中すると甲高い奇声を発しながらのたうち回り始めた。

 

 

「ギィイイイイイイイ!!!!」

 

 

カビアマゾンが木にぶつかったり岩にぶつかったり、時には地面に頭を叩きつけることで徐々に宿主の姿が見えてきた。

 

 

「よし!」

 

 

ニューオメガは一度アマゾンネオニードルの拘束を解き、すぐに宿主の体にその先を巻き付け直して引っ張った。意識を失ってはいるもののカビアマゾンから引っ張り出された宿主は呼吸をしている。

 

一方のカビアマゾンをはじめとする寄生型アマゾンは宿主を失うと安定を求めて近くの新たな宿主になりえる者に寄生しようと飛びかる習性を持つ。

 

カビアマゾンは分離弾を命中させるためにギリギリまで接近していた美月に向かって飛びかかる。

 

 

「美月ィ!」

 

 

ニューオメガはすぐにアマゾンネオニードルをカビアマゾンに巻き付けようとするが、右手に力が入らない。それもそのはず、右手の変身が解けて人間の腕へと戻っているのだ。当然アマゾンネオニードルもない。

 

(そんな…!)

 

 

危機に瀕した美月を救ったのは接近戦で上半身がほぼ機能していないニューシグマによるカビアマゾンへの体当たりだった。

 

カビアマゾンは木に衝突しその場でピクピクと痙攣し始める。まもなくしてその体は液状化して死亡が確認された。

 

 

「ターゲット…沈黙。」

 

 

福田はマスクを付けた状態でトランシーバーで野座間製薬に連絡を取った。札森はそのトランシーバーを奪い叫ぶ。

 

 

「システムYBR-19を起動!ターゲットはBとUからX!すぐに実行しろ!」

 

 

このコード…どこかで聞いたことがある。

 

 

「…!シグマタイプの廃棄プログラム…!お前一体何を!?」

 

「俺はもう…殺したくない!俺の手で…殺したくない!」

 

 

福田にはようやくわかった。

 

札森は”アマゾンを殺すこと”が怖いのだ。5年前、初めてイユを自分の手で葬った。

 

戦闘を避けていた彼に取ってそれは初めての殺戮。対象はアマゾン…しかし元は人間だった少女だ。

 

札森は自身でも気が付かぬ間にイユと共に任務をこなす事で心のどこかにイユを道具以外として見ていたのかもしれない。

 

それを彼女がアマゾンとして死んだあと、この5年間でジワジワと実感する。アマゾンが現れシグマアマゾンたちが対象を狩る姿を見るたびにイユはこのようにして死んでいったのかと。

 

意思を持ったシグマタイプのアマゾン。それをまた自分の手で殺さねならない。それはもう二度としたくない札森にとってのトラウマであった。

 

5年間で進化したネオアマゾンズレジスターにつけられた廃棄プログラムは何時間も必要としない。電気ショックを受けたかのように痙攣する5体のシグマタイプのアマゾンたちは全身から黒い血を噴き出しながら溶けていった。

 

札森の安心した笑顔は他人から見れば狂気じみたものになっている。彼が握りしめていたトランシーバーを福田が取り返した。

 

 

「こちら福田。…札森を専門の病院へ頼む。彼はもうアマゾンとは戦えない。」

 

 

 

 

 

 

 

煌はショーウインドーに飾られたストライプの服に目を奪われていた。非番となった煌たちは東京観光に貴重な時間を割いている。路地へ入ると人通りが少なくなるだけあってますますマニアックな服が揃った店が立ち並んでいる。

 

 

「若槻さん、こっち結構いいぜ!」

 

煌が後ろを振り向くと黒服の男たちにガスを吸わされて倒れる若槻の姿があった。

 

 

「なんだお前ら!」

 

「俺とお前で2人になるためだよ。」

 

 

煌が再び前を向くとそこにはジャングレイダーを止めた緋彩が立っていた。

 

 

「緋彩…!じゃああいつらは…。」

 

「賀閣が雇った奴らだ。悪いようにはしない。」

 

「緋彩、俺ずっとおまえを探してたんだ!お前と一緒に戦うために…。鷹山仁にお前と同じようにアマゾンにしてもらったんだ!俺たちの仲間を殺したアマゾン…俺も憎いんだ!」

 

「…本当にそうなのか?」

 

「はぁ?当たり前だろ。俺たちをあんな目にあわせやがったんだ。アマゾンは憎い…」

 

「そうじゃない。仁さんがお前をアマゾンにするわけがないって言いたいんだ。」

 

 

確かにそうだ。仁は緋彩がアマゾンなってから彼にはずっと付きっきりではあったものの、煌に対しては距離を置こうとしていた。煌が1度別の施設に預けられたのもそのためだ。

 

 

「確かに鷹山は俺のこと嫌ってたけどよ。あの後またアマゾンに襲われた時、アイツは助けに来てくれたんだ。俺も怪我しちまったけどアマゾン細胞入れてもらって何とか生き延びて…」

 

「本当か?」

 

「はぁ?」

 

「良く思い出せ。本当にお前は”生き延びた”のか?」

 

「…え?」

 

 

 

 

 

 

 

「え?じゃあ悠やお前は賀閣の情報を全部ウチらに横流ししてたってわけか?」

 

望は輸送用バンの中で美月から事の経緯を聞いていた。悠と望は二宮に連れられて賀閣製薬へ”引き抜き”された…というのは表の話。

 

実は分離弾の存在を耳にしてから賀閣製薬の持っている情報をそっと野座間製薬に渡していたのだ。規模や予算を考えても賀閣製薬の技術を野座間製薬が活用する方がアマゾン駆除には効果的なのだ。

 

ただ賀閣製薬はその技術を野座間製薬に対抗するための武器にしている。そのためそんな貴重な情報を野座間製薬に渡すことなどするわけがないのだ。

 

そこで悠と美月はいわゆる二重スパイのようなことをしていたというわけだ。今朝、令華の方から野座間製分離弾の生成に成功したとの報告が入り再び野座間製薬に戻った…というわけらしい。

 

 

「まどろっこしいことしやがって!」

 

「すいません…。そうだ、賀閣の研究室の話…母から聞きました?」

 

「…いや聞いていないが?」

 

 

福田も運転席から美月の質問に答える。

 

 

「私と悠…とんでもないものを見ちゃったんです。悠はその処理に向かったと思います。」

 

 

2人は美月から聞く話の内容に驚きを隠せなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「どういう…ことだよ。」

 

煌は緋彩を睨みつける。…睨みつけることで気分を紛らわせていたのかもしれない。思い出してしまった。自分がなぜアマゾンになったのか。いや違う、アマゾンになったのではない。

 

自分は”初めからアマゾンだった”のだ。…と。

 

 

「嘘…だ…。俺は…施設にいて…それで…!」

 

「寄生型アマゾンは宿主の脳を完全に乗っ取ることが出来れば宿主の記憶も共有できることは今までの事例でも明らかになっている。俺はお前と再会した時、お前はシグマタイプのアマゾンになったと思っていたよ。だって…お前はもう仁さんに殺されているんだから。」

 

 

 

 

 

 

 

悠は研究員たちを気絶させながら力づくで賀閣製薬の研究室に辿りついた。

 

 

(いた…。)

 

 

数か月前に見た者はまだそこに横たわっていた。忘れもしない、何度も戦った彼の顔を。

 

ガラスの中に仮死状態か睡眠状態になった鷹山仁の体は両目の光を失っていた頃に比べて皮肉にも若々しさを取り戻していた。




とってもお久しぶりです…。

エクシです。

活動報告にも書きましたが次回が最終回となります…。

ほんとはZまで行きたかったのですがモチベーションと時間のなさによるものです…。
ご了承下さい。

とはいえ骨組みにしていたやりたかったことは全部するつもりです。
消化不良に思われてしまうかと思いますが、今の自分にとってはスッキリしたものになると思います。

またやる気が出ればアマゾンズの小説を書くことはあると思います。
とりあえず最終回…これを頑張りたいのですが、また明日から忙しくなりますw

最終回、是非お楽しみに(長く)待っていただけると幸いです。

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