やはり俺が戦略級魔法師なのは間違っている~星を呼ぶ少女~ 作:かのんベール
あと、評価も星1ではありますがいただけました!
なんとなく低評価の理由も分かるので、改善できるよう努力していきます。
3540文字
潜水艦の一室に軍人が4人集まっている。たったそれだけの人数だが部屋は狭く、それだけでも十分に窮屈である。
「休め!」
上官の合図で3人の男が一斉に足を肩幅に開く。命令を出したのは、先日空港で連行された金髪の女性だ。無論部下の手前、あのときのようなポンコツっぷりは鳴りを潜めている。
「先日、日本の領海において戦略級魔法の開発及びその行使が確認されました。その魔法により軌道をそれた小惑星GE9が地球に向かい落下。幸いにも大気圏内での消滅が確認されたが、この魔法の脅威はいまだに揺るいではいません。都市どころか一国を丸ごと消すことのできる極めて危険な魔法です。当然参謀本部としてもかの事態を見逃す訳にはいきません。そこでこの研究施設と研究データの完全破壊を我々が任されることとなりました」
それを受けて赤髪の男が歓喜の声を上げる。
「その研究データってのは研究員の脳みそも含まれてるんですよねぇ!?」
「あくまで伝えられているのは施設とデータの破壊です。細かいことは指示されていません」
肯定はしなかったが、否定もしない。男はそれを肯定と取ったようだ。
「つまりは現場の判断に任されているってことですよねぇ!?」
「現場の判断は指揮官である私が下す。勝手な真似はするなよ」
「わぁーてますよ」
直ぐに目付きの鋭い男から釘を刺されたが、男も大人しく従っている。いくらサイコパスであっても彼もまた軍人なのでる。勝手な行動を取ることはない。
「それでは作戦説明します。先ずは私が基地の防衛施設をムスペルスヘイムで無効果します。次に二人がムーバルスーツにて島に上陸。研究施設の破壊を行ってください。もしこれに失敗した場合は作戦をフェーズ2に以降、私がヘビィ・メタル・バーストで施設を完全に破壊します」
「なっ...!戦略級魔法の使用許可がおりたのですかっ!?」
「本部はそれだけ今回の件を重く見ていると言うことです。幸い、夕方以降施設の周辺には民間人の姿は確認されていないとのことですので、被害は最小限に押さえることが可能です」
「新たな戦略級魔法の誕生をスターズは許さない。その事を日本軍は理解すべきなのだ」
◇
北山の別荘にまたしてもヘリのローター音が近づいてくる。だが今回は日本軍ではなく七草先輩のものだ。いや、知り合いの家にヘリで行くとかちょっとすごすぎませんかね?まぁそれしか手段が無いから仕方ないんだけどさ。
しばらくして黒沢さんに連れられて七草先輩と渡辺先輩が部屋にやって来た。
「あなたがココアちゃんですね?本当に申し訳ありませんでした」
「ううん。大丈夫だった」
「ありがとうございます」
七草先輩と俺たちで先日からの状況の確認を互いに行っているとまたしてもヘリのローター音が近付いてきた。これは多分日本軍だろう。ちょっと見てくるか...
「ちょっとトイレ行ってきまーす...」
はい、誰も聞いてませんね。大体俺とかいてもいなくても大差ないし。いや、大差ないのかよ。一応この一年間でまぁまぁ活躍してきたほうなんだけどなぁ。まぁ俺だし仕方ないのか?
「アンノウンテリトリー発動」
いや、別に起動するのに詠唱とか要らないんだけどね?でも西城の叫ぶやつが最近妙にカッコよく見せてきてさ、誰も見てないし聞いてないしやってみたかったんだよ。まぁ誰も見てないと思ってなにかやると大体誰かに見つかって黒歴史を増やすことになるからやめた方がいいけどなっ!ソースは放課後の教室で黄昏ながらポエムを読んでた俺。なにやってんだよっ、当時の俺!今からでも止めにいってついでに二三発殴ってやりたいところだ。はぁ、タイムトラベルの魔法でも開発しようかな...。
「真田さん、急な要求だったのにムーバルスーツの準備ありがとうございます」
「いえいえ、特尉のお願いですから当然ですよ!あと、これもお使い下さい」
「ディスパージョンはともかくβパージョンはまだ実戦で使用できるレベルのものでは無かったはずですが?」
「我々もそれは承知していますが、軍としては実戦でのデータが欲しいところなのですよ。ムーバルスーツの貸出料とでもお考えください」
「分かりました」
はぁ、ちょっと俺にはあれがなんなのかは理解できんが恐らく最先端の兵器なのだろう。司波は機械に頼らなくても反則級に強いんだから機械ぐらいではハンデをもって欲しいもんだがな。さて、こいつが部屋に来る前に俺も戻らないと怪しまれるな。
部屋に戻って少しすると司波妹に連れられて司波兄が入室してきた。
「実は森永さんは私の兄の恩師なのだけれど、あまりの非人道的な実験に耐えられなくなって昨日私のところにこの子を逃がして欲しいと連絡があったの」
「七草先輩、その事について一つお願いがあります。」
「なにかしら、達也くん?」
「ココアの依頼で自分は残りの8人に関しても救出することにしたので、可能であれば自分と比企谷を除いた全員をヘリで連れて帰ってもらえないでしょうか?」
「達也くん?!それって...」
は?!いまどさくさに紛れて俺のこと巻き沿いにしなかったか?ほらほら、周りがザワついてるじゃないか!七草先輩もなにか言いたそうな顔してるぞっ!言ってやれ言ってやれ!
「分かりました」
「真由美!?」
「摩利、私たちの任務はあくまでもココアちゃんの保護よ」
「しかし...!」
「私たちと達也くんとでは責任を果たす相手が違うということよ」
エェー。なんか話進んじゃってるけどおかしいよね?絶対変だよね?なんで誰も突っ込まないんだ?仕方ない、ここは自ら指摘するしかないようだな...
「ちょっとまっt...
「私は残るわよ!いくら達也くんでも8人も子供を連れて基地から逃げだすのは難しいはずよ?」
「俺ものこるぜっ!まさか足手まといだとは言はないだろう?」
「お前たちが大人しく従うとは最初から思っていなかったよ」
ねぇおかしいよね?俺のが先に喋ってたよね?聞こえなかったの?
「ぼ、僕ものk...
「でしたら、お兄様のお留守の間別荘に残る人が必要ですよねっ?」
「それだったら僕が残るよ!」
まぁ吉田と司波妹がいれば大抵のことには対応できるだろうな。
「八幡が残るなら私も残る」
ちょっと北山さん?その理論はおかしくないですかね?
「いや、お前が残る必要性とか無いだろ。いいから俺に任せてお前は帰っとけって」
流れで俺まで行くことになっちまったじゃねぇか。ほんと、どうして俺が...
「八幡を監視する人が必要」
なんで俺が問題児みたいになってんだよ。悪いのはどちらかって言うと司波だろ。
「お前はなに無茶苦茶なこと言ってんだよ...。それぞれ必要な役は揃ってる。お前がいても別にやることなんて無いから別に気にすんなよ」
取り敢えずの反論をしておくが、無茶苦茶なことを言ってるのは俺の方なのかもしれない。実際、北山は成績はトップだしその実力は九校戦でも遺憾なく示されており、この場に北山を残すことに賛成こそすれ反対する必要は無いのだ。大切な仲間を危険に晒すのが怖いのだろうか?しかしそうであれば千葉や西城、吉田、司波妹が残ることにも反対すべきだが、そちらにはそこまでの気は起こらなかった。それは薄情なのではなく、ただ単に彼らを心配していないのは俺が彼らの力を信用しているからなのだ。だが、北山だけはどうしても心配なのだ。彼女の実力は認めているし、強いとも思う。それなのに彼女をこの場に残すことに俺はどうしても納得ができずにいるのだ。
しばらくお互いに睨み合が続いたが、俺が折れる気がないのを感じ取ったのか、彼女は他のみんなと帰ることに決めたようだ。
「私は帰るけど、約束」
「あ?あんまり無茶なお願いはするなよ?フラグが立って死んじまうかもしれないからな」
彼女は一瞬考えるような素振りを見せたが、やがてとんでもない爆弾を落としてしきた。
「じゃあ今度から私のことは雫って呼んで」
「なっ!?ふざけんな!下の名前で呼ぶとか無理に決まってんだろ!俺のこと殺す気か!?ボッチ舐めんなよ?」
「今は違うでしょ?それに八幡が呼んでくれないんなら私は帰らない」
くそぅ...。背に腹は変えられないか。
「しゃーねーな、分かったよ。ただし、ちゃんと帰れよ?」
「分かってる。その代わり約束破ったら...」
怖いよ、あと恐い。約束破ったらなにされんの俺?やっぱりパパに言いつけてやるっ!ってやつですかね、さすがに社会的に抹殺とかは勘弁して欲しいんだが。
「じゃあ、これで決まりだな。レオとエリカ、八幡は渡すものがある。後で俺の部屋まで来てくれ。それじゃあ七草先輩よろしくお願いします」
「任されたわ」
結局最後の最後で巻き込まれるのか...。取り敢えず司波兄も許さない奴リストに後で名前を書いておくことにしよう。
アニメしか見てないとリーナの立ち位置に中々理解が追い付きませんでした。でも、あのポンコツっぷりはとても可愛かったです!エンドロールでCV日笠さんだと気づきました。そういえばそうでしたね。
あと、エンドロールで退出したり喋るのは仕方ないかもしれないですけどね、そのせいでラストのシーンがちゃんと見れなかったじゃないですか!幹比古が1科生になったのは知ってますが、最後のは誰のマークだったんですか?深雪ですか?お兄様ですか?誰か教えてください...。