「コミュ障ヘタレと9にんのアイドル」劇場版編に突入です。
合計で何話になるかは未定ですが恐らく完結するまでにそれなりの時間を要すると思いますので、今まで通りゆっくりと話を書いていきたいと思います。
それではコミュ障ヘタレとAqoursの新たな物語をお楽しみください。
*とんでもない打ち間違いがあったので訂正しました。
ラブライブ決勝から数日後、浦の星女学院では卒業式も盛大に行われ俺達Aqoursはそれぞれの道へと進んだ。
果南さんはダイビングのインストラクターの免許を取得するために海外へ。
鞠莉さんはイタリアの大学に進学。
ダイヤさんは東京の大学へ俺の実家から通うことに。
1年生、2年生の6人は新たな学校でAqoursとしての活動を続ける。
そして俺は……もう一度バスケと向き合うために。
これはそんな俺達が新たな道に進む少し前の話だ。
東京の実家に戻った俺は一緒に住むことになったダイヤさんの荷物の整理を手伝っていた。
と言っても彼女は必要最小限の物しか持ってきていなかったので俺が手伝うことは彼女の部屋に荷物を運んでダンボールを開けることくらいだった。
ダイヤ「これくらいで大丈夫ですわ。瑠惟さんありがとうございました」
瑠惟「俺なんてほとんど何もしてませんよ」
ダイヤ「……そういえば新しい学校の制服は届いてますの?」
瑠惟「はい。俺達がここに着く前に両親が受け取ってくれてたみたいです」
まぁあの2人は荷物一式を受け取ったら、すぐに海外に戻ってしまったからな。
ダイヤ「少し着ているところを見てみてもよろしいですか?」
瑠惟「いいですよ」
新しい制服は俺の部屋のクローゼットにアイロンをかけた状態で掛かっていた。
袖を通してみるとサイズもピッタリで着心地もかなり良かった。
瑠惟「どうですか?」
ダイヤ「はい。良く似合っていますわ。ですが……」
微笑んでそう言ってくれた彼女は俺も目の前に立ち……
ダイヤ「ネクタイはきちんと締めなければカッコ悪いですわよ」
あまり上手く結べなかったネクタイをしっかりと整えてくれた。
ダイヤ「これで大丈夫ですわ」
瑠惟「ありがとうございます」
ダイヤさんは部屋に掛けてある時計をちらりと見る。
ダイヤ「夕食まで時間がありますし、新しい学校を見に行ってきてはどうですか?」
確かに学校自体はパンフレットで見ていたが、実際に訪れたことは無かったな……
瑠惟「そうですね。じゃあ少し見に行ってきます」
ダイヤ「お気をつけて」
俺が3年から編入することになった学校は家から電車で40分ぐらいと少し遠目だが浦の星のような坂が無いだけマシな方だと思う。
どうやら数年前に新しく出来た新設校でありながら部活動に力を入れており、いくつかの部は全国大会に出る程だ。
もちろんバスケ部も例外ではない。新設校ながらも昨年全国大会初出場を果たしたその実力は歴史のある強豪校と比べても何ら遜色はなかった。
俺の後輩もバスケ部に所属してして、以前そこの監督にスカウトされたがスクールアイドルを理由に断ってしまい、どうしようか考えた時に鞠莉さんのお父さんが援助してくださり、再び俺を受け入れてくれることになった。
そんな俺が春から通う学校の名前は……
──── 虹ヶ咲学園 ────
校門の前に着くと部活終わりであろう生徒達が楽しそうに話しながら出ていく姿が見えた。
浦の星女学院とは違い男子生徒の姿を見るのがとても新鮮だった。
春休みでそこまで人が多い訳では無いが、千歌達が見ればびっくりするくらいの生徒が部活動に励んでいた。
校舎も新設校なだけあって綺麗でボロ……伝統のある浦の星や音ノ木坂とはまた違った良さがあった。
校内をウロウロしているとあるものを見つけた。
『スクールアイドル同好会』
やっぱりここにもあるんだな。『部』ではなく『同好会』なのが何となく気になるが、もしかして俺達の時みたいに人数がいないとか?
ここで俺は立ち去ろうとするが、魔が差してドアノブに手を掛けてしまった。
ガチャ
開いてんじゃーん。
中に入ると女子生徒が箒を持って掃除をしていた。
「あれ?もしかして見学の方ですか?」
そう言って彼女は掃除の手を止め俺の元まで来てくれた。
瑠惟「えぇ、そんな感じです」
そう答えるとどこか怪訝そうな目で俺を見てきた。
「・・・・・・見ない顔ですね。あなた本当にうちの生徒ですか?」
瑠惟「今はまだですね。実は今年から編入することになった生徒なんです」
「へぇ・・・そうなんですか。でもどうしてここに?」
瑠惟「学校を下見してたら『スクールアイドル同好会』の札を見つけて気になって立ち寄ったんです」
「もしかしてスクールアイドル好きなんですか?」
瑠惟「まぁ、スクールアイドルとは少し縁があって」
「へぇ……。あっ私『優木せつ菜』っていいます」
瑠惟「俺は西王瑠惟です」
俺の名前を聞くと彼女は首を傾げた。
せつ菜「『西王瑠惟』、あなたの名前……どこかで聞いたことがあるような……」
俺は部屋に掛けられた時計を見るともうすぐ帰る時間だということに気づいた。
瑠惟「おっともうこんな時間か。優木さん、俺そろそろ帰りますね」
そう言うと俺は部屋を出て行った。
side せつ菜
私は不思議な来客が出て行った後、急いでタブレットを起動して彼の名前を調べた。
そして調べた結果やはり私の予想通り彼はすごい人物であることが確認できた。
せつ菜「なるほど・・・やはりあの人は・・・。これは勧誘のしがいがありそうですね」
西王瑠惟さん・・・今年のラブライブ優勝グループAqoursのマネージャー。彼はきっと私のスクールアイドル活動に必要な人物となるでしょう。
side 瑠惟
家に帰るとダイヤさんがエプロン姿で俺を出迎えてくれた。
ダイヤ「おかえりなさい。どうでしたか? 新しい学校は?」
瑠惟「ただいまです。そうですね、見ただけですけどとても良かったです」
ダイヤ「それでは夕食にしましょうか」
夕食をすませるとダイヤさんが俺に一通の手紙を渡してきた。
瑠惟「これどうしたんですか?」
ダイヤ「あなたが外に出ている時に速達で届いたのですわ。もちろん中身は見ていませんが、差出人が……」
彼女から手紙を受け取り差出人を確認する。
これは……鞠莉さんのお母さんからだ。
小原家とは昔から交流があるがその中でも鞠莉さんのお母さんだけとはあまり会ったことがない。
恐らく最後に会ったのは中学入学前……
そんな人がなぜ手紙を?
封を開け、中を確認するとそこには衝撃的な内容が書かれていた。
イタズラにしてはあまりに笑えない。
目を見開いて驚いた俺を見てたダイヤさんがどうしたのかと聞いてきた。
ダイヤ「瑠惟さん、手紙には一体何が……」
瑠惟「いや、何でもないですよ。両親は元気だとかそういうことが書いてありました」
それを聞いてダイヤさんは少し安心したようだ。
ダイヤ「全く……心配させないでください」
瑠惟「あはは……すいません。ちょっとびっくりして。…………確かダイヤさんは明後日から果南さんと鞠莉さんと卒業旅行でしたよね」
ダイヤ「はい。そうですわ」
瑠惟「楽しんできてくださいね」
ダイヤ「あの二人でなら嫌でも楽しくなってしまいますわ」
瑠惟「違いないですね」
ダイヤ「そういえば曜さんとは上手くいっていますか?」
彼女はニヤニヤしながらそんなことを聞いてくる。
ラブライブ決勝の後、あんなことがあったが曜とは別に付き合ったわけではない。
強いて言うなら・・・
ただの友達から少し進展したくらい……かな。
ダイヤ「曜さんは繊細ですから、どうか大切にしてあげてくださいね。」
そう言って彼女は自室に戻っていった。
リビングに1人ぽつんと座る俺・・・
聞こえるのはテレビから流れるニュースと外を走る車の音だけ。
『はぁ』っとため息をついて頭を抱えた。
心がどうしようもなく痛んでいたのだ。
俺はダイヤさんに嘘をついた。
速達で届いた手紙の内容がただの世間話なわけがない。
この一通の手紙が後に大きな波乱を生み出す。
俺はまだそんなことを知る由はなかった。
ダイヤさん達3年生が卒業旅行でイタリアへと旅立ってから数日。
俺はというとホームアローンを満喫していたわけではなく、とある場所でとある人物に会っていた。
瑠惟「お久しぶりですね」
「ハーイ。ワザワザコンナトコロマデアリガトウゴザイマース」
片言な日本語でそう返したその人物に少しイライラしていた。
瑠惟「呼び出した理由は分かってます。だからそんな話し方はやめてくれませんか?・・・・・・鞠莉のお母さん」
鞠莉ママ「あら?前に会った時はもう少し可愛げがあったのだけれど」
普通に喋れるんかい!
瑠惟「そちらもあんなバカげた内容の手紙を寄越すほど歳をとったようには見えませんけど」
俺の言葉で額に青筋が浮かぶ彼女を見て傍に控えていた使用人の顔から血の気が引いていく。
鞠莉ママ「『バカげた』とは一体どのことでしょう?」
瑠惟「・・・鞠莉さんが結婚するってどういうことですか!」
バンッ!
俺は目の前のテーブルを思い切り叩き、上にあった紅茶の入ったティーカップがガタガタと音を鳴らし揺れた。
鞠莉ママ「瑠惟ったら鼻息がベリーハードですよ。それにここはホテル小原の一室ですからもう少し静かにしてください」
先日届いた手紙は鞠莉さんの結婚を知らせるものだった。
その件で俺は目の前の女性に東京からここ淡島まで呼び出されていたのだ。
瑠惟「あんな手紙送られて『はいそうですか。』と落ち着けますか?」
鞠莉ママ「あなたには悪いですけどこれはもう決定したことなのです」
決定したって・・・なんでそんなさらっと言えるんだよ。
瑠惟「相手はどんな人なんですか?」
鞠莉ママ「昔から小原家と交流がある家のご子息です」
政略結婚というやつか・・・ていうか
瑠惟「待ってください!鞠莉さん本人は何て言ってるんですか!?」
鞠莉ママ「あの子の意思は関係ありません。」
瑠惟「あなたの娘さんの人生を決める大事な選択ですよ!鞠莉さんの気持ちは関係ないって・・・それ本気で言ってるんですか?」
鞠莉ママ「あなたがなんと言おうとこれは決まったことです。ですが・・・それよりも今日あなたに来てもらったのはもう一つあります。」
鞠莉ママ「卒業旅行に行ったっきり鞠莉と連絡が取れなくなりました」
瑠惟「へ?」
ちょっと何言ってるか分からないっす。
瑠惟「待ってください。鞠莉さんは今イタリアに・・・」
鞠莉ママ「えぇ。それは私も分かっています。でもあの子が旅立った翌日から電話をいくらかけても一切繋がりませんでした」
瑠惟「とりあえず俺が掛けてみます」
そう言って俺はスマホを取りだし鞠莉さんを呼び出すが・・・
瑠惟「繋がらない・・・」
鞠莉ママ「はい。私も何度も掛けているのですがこの通りです」
彼女はお手上げと言わんばかりに両手を上げた。
俺は何か方法がないかと考える。
瑠惟「・・・・・・」
あっ!ダイヤさんと果南さんに電話すればいいのか!
瑠惟「俺、鞠莉さんと一緒に旅行しているダイヤさんと果南さんに電話してみます」
すると鞠莉のお母さんは不機嫌そうな様子で俺に言った。
鞠莉ママ「また『ハグゥ』と『デスワ』なのですか!」
瑠惟「?」
ハグゥ?デスワ?一体なんのことだ?
疑問はとりあえず置いておいて2人に掛けてみるが電話には出なかった。
こうなってくると俺は嫌な予感が頭をよぎった。
瑠惟「鞠莉のお母さん。もしかしたら・・・3人は何か事件に巻き込まれたのかもしれません。急いで探さないと」
俺の心配をよそに彼女はこう返した。
鞠莉ママ「その心配はありません」
何を言っているんだこの人は!
瑠惟「何かあってからじゃ手遅れなんですよ!」
鞠莉ママ「もしそうなら私もとっくに捜索しています。ですが今回は何故連絡が取れないのかは大体見当がついています。」
瑠惟「だったら・・・」
鞠莉ママ「理由は分かっていてもあなたの言う通り何かあれば大変です。ですから探してきてほしいのです。あの子達を」
瑠惟「はい?何で俺なんですか?」
鞠莉ママ「理由は色々ありますが・・・あなた1人で探せとは言いません」
瑠惟「じゃあ一体誰が探すんですか?」
鞠莉ママ「あなたもよく知っている子達にお願いしようかと思っています。恐らくその子達は私の依頼を受けてくれると思います。だからあなたはその子達と協力してください」
大体事情は理解したが、いかんせん今から何をすればいいのやら・・・。
瑠惟「と、とにかく俺はどうすれば?」
鞠莉ママ「今から鞠莉の捜索をお願いしに行きましょう。目的の子達は沼津の海岸にいるらしいので」
沼津の海岸?もしかして協力を求める人っていうのは・・・
鞠莉ママ「あなたは先に行っててください。私は後から追いつきますから。」
瑠惟「沼津の海岸ですよね。分かりました。」
ということでホテル小原の人に目的の場所まで送ってもらった。
海岸に着いた俺は辺りを見回す。
俺が良く知ってる人って誰なんだ?
そう思いながら歩いていると少し向こうで何かが聞こえた。
これは・・・Aqoursの曲?
まさか・・・鞠莉さんのお母さんが言ってた人達って!
俺が曲が聞こえる方に走るとそこにいたのは・・・
やっぱりAqoursだ!
それにSaint Snowもいるじゃないか!一体どうして・・・
あとAqoursと一緒にいるあの女の子は誰だ?
俺は彼女たちにバレないくらいの距離まで近づき物陰から様子を伺った。
ー Side 千歌 ー
浦の星の最後の卒業式が終わり、私たちは新しい道へ進み出した。
Aqoursの方は3年生や瑠惟君に続けてほしいと言われ、また私たちも続けていきたいと思っていた。
でも、いざ今までAqoursの活動を支えていた3年生や瑠惟君の4人がいなくなると何だか・・・・・・
そんな時に私たちは統合先の学校で生徒会長をやっている曜ちゃんの従姉妹の渡辺月ちゃんから浦の星の生徒が向こうの生徒の保護者にあまりよく思われてないことを知った。
月ちゃん曰く、統合先の学校は部活動が盛んで全国大会に出場する部も珍しくなく、そんなところに私たち浦の星の生徒が来たら部の空気が緩んだりして支障が出るんじゃないかって保護者たちから声が挙がったらしい。それで今のところ浦の星の生徒は分校で離れて授業を受けることになった。
私たちはそんなことないって言ったけどそれだけでは保護者たちは信じてくれないらしい。
だから向こうの学校でラブライブで優勝したAqoursがパフォーマンスを披露したんだけど・・・
結果から言うと今までみたいなキラキラしたパフォーマンスはできなかった。いつもは3年生と一緒に9人でステージに立って、どこかで瑠惟君が見てくれてるっていう安心感があったんだけど、いざ6人でステージに立つと私たちは言葉にできない不安を感じちゃって・・・
月ちゃんからはやっぱり分校で様子を見たいって言われた。
それから私たちは偶然こっちに来てたSaint Snowさんに今の『私たち』を見てもらうことになった。
曲が終わり私たち6人は目の前に座る2人の総評を待った。
聖良「なるほど・・・今のあなたたちのパフォーマンスは大体分かりました」
千歌「・・・どうでしたか?」
聖良「そうですね・・・ラブライブ決勝の時のあなたたちのパフォーマンスを100点とすると・・・今のあなたたちは良くて40点といったところです」
花丸「半分もないずらぁ!?」
聖良「正直に言わせてもらうと今のあなたたちのパフォーマンスにはどこか気持ちが入っていないと思いました。
・・・ですがそれ以上にAqoursから抜けた4人の力が大きかったとも感じました。果南さんの圧倒的ダンス力に鞠莉さんの美しい歌声、ダイヤさんのバランスの取れたパフォーマンス。そしてAqoursの精神的支柱であった瑠惟さんのマネジメント力。
それだけこの4人はAqoursにとって重要な存在であったと言えますね」
理亞「今まであの4人に頼りすぎてたんじゃないの?」
全員「!」
2人の言葉にはっとさせられた。
理亞「その様子だと図星みたいね」
本当はすぐにでも理亞ちゃんの言葉を否定したいけど・・・
みんなが俯いている様子の通り私たちは彼女に言い返すことができなかった。
それは果南ちゃん、鞠莉ちゃん、ダイヤちゃん、そして瑠惟君に頼りすぎていたということを肯定するものだった。
そんな時だった・・・
ルビィ「でもルビィ達は一体どうすれば・・・」
隣に立っていたルビィちゃんからそんな言葉がポロリと漏れた。
それを聞いた理亞ちゃんは・・・
理亞「どうすればって・・・人に聞いたって分かることじゃないでしょ!・・・・・・姉様達はもうスクールアイドルじゃないの!」
そう言って彼女はどこかへ行ってしまった。
聖良さんはそんな理亞ちゃんを追いかけることなく私たちに話した。
聖良「実は理亞もあなた達と同じようにスクールアイドルを続けようとしていたんですけど・・・。どうやら新しく一緒にやろうって言ってくれた子達と上手くいっていないみたいで。」
そうだったんだ・・・。
理亞ちゃんも私たちと同じように悩んでいたんだ・・・。
一人で頑張っていたんだ・・・。
それなのに私たちは・・・。
聖良さんの話を聞いたルビィちゃんは理亞ちゃんを追いかけようとするが、「その必要はありません」と止められた。
聖良「今は理亞もあなた達Aqoursも色んなことに悩んでしまう時期だと思うんです。新体制で始めるというのはそういうものなんですよ。だから・・・」
彼女がそこまで言ったところで何かが近づいてくる音が聞こえた。
聖良さんもそれに気づいたようで話をやめて音の正体を探った。
この音は・・・
海岸にいる私達に近づく音の正体は・・・!
いつか見たホテル小原の自家用ヘリだった・・・。
もしかしてあの中に鞠莉ちゃんが・・・!
ヘリの扉が開き中から顔を覗かせたのはなんと・・・
「ハロー!Daughterがいつもお世話になってます!マリーのMotherです!!」
鞠莉ちゃんのお母さんだった。
side 瑠惟
Aqoursのパフォーマンスを陰から見て俺は思った。
あいつら一体どうしたんだ?
いや、なんだろうこの感覚・・・ただ一つ言えるのは今のAqoursを見てもラブライブ決勝の時のような輝きを感じなかった。
同じくパフォーマンスを見ていたSaint Snowの二人もどこか釈然としない様子だった。
『どうしたんだ?』と目の前で言いたい・・・。でも出るタイミングが見つからないんだよなぁ。
そう思ってる間にもSaint Snowの二人は厳しい意見を六人に伝えている。
しかもなんか俺がめっちゃ褒められてるんですけど。まぁ嬉しいからいいか。
すると突然理亞ちゃんが大きな声を出してこっちの方向に走ってきた。
彼女とすれ違った瞬間に分かった。
その目には涙が浮かんでいた。
それに気が付いた俺はすぐに追いかけようとしたが足が止まった。
おいおい・・・随分と派手な登場ではありませんかねぇ?
大量の砂を巻き上げながらカタコトの日本語で挨拶をする鞠莉ママがヘリから顔を覗かせていた。
毎話これぐらいの長さになると思うので次話の投稿までしばしお待ちください。