コミュ障ヘタレと9人のアイドル   作: まきパリ

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※この話にはAqoursの曲の歌詞が出てきます。

投稿するときにちゃんと識別コードを入力したから大丈夫・・・だと思います。

そしてとにかく文字数が多いです(余裕の1万字越え)

キリのいいところまで終わることができたので、楽しんで読んでいただけると嬉しく思います。


WATER BLUE NEW WORLD (後編)

俺は一人関係者席の辺りをさまよっていた。

 

決勝は既に半分くらいのグループがステージを終え、会場の盛り上がりも中々のものだった。

 

関係者席にいるのは基本的に運営の人間、歴代ラブライブのファイナリスト達や芸能事務所のプロデューサーなどがほとんどだ。

 

なので出場者の俺がいるのは少し不自然だが、男である以上下手に控室に入れないので運営なりの気遣いなのだろう。

 

そしてそこには約束通りあの人たちがいた。

 

瑠惟「おはようございます。ちゃんと来てくれたんですね。」

 

真姫「私が行くって言ったんだから当たり前でしょ。」

 

穂乃果「やっほー!いやぁこの会場も久しぶりだねぇ。」

 

ことり「最後にここに来たのはファイナルライブ以来だね。」

 

そう、ラブライブの決勝はμ’sの人達の尽力により毎年ここアキバドームで開催されるのだが、実は彼女たちがこうしてゲストとして来ることは一度もなく、運営側も突然のことにびっくりしていたらしい。

 

瑠惟「今年のラブライブはどうですか?にこさん、花陽さん。」

 

この二人は直接見に来なくてもなんやかんやで大会は毎年チェックしていると言っていた。

 

にこ「そうね、近年ラブライブは参加グループの増加もあってかレベルがどんどん高くなってるわ。それに加えて今大会は・・・」

 

花陽「今までのどの年よりも完成度が高く、本業のアイドルと比べても何ら遜色はありません。」

 

この二人が言うのなら間違いないだろう。

 

瑠惟「・・・でも今年は俺達Aqoursが優勝しますから。」

 

 

 

 

 

 

「あら、ずいぶんと自信があるようね。」

 

 

 

 

 

声の主の方を振り向く。

 

おいおい・・・今日はオールスター感謝祭かよ。

 

思わず笑いが出るくらいヤバいサプライズゲストが来ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はじめまして。私は綺羅ツバサ。」

 

 

 

 

「はじめまして。統堂英玲奈だ。よろしく。」

 

 

 

 

「そして私が優木あんじゅ。よろしくね~。」

 

 

 

 

 

 

彼女らこそ言わずと知れた第一回ラブライブの優勝グループであり、μ'sの最高の好敵手・・・

 

A-RISE

 

正直これは予想外だわ。

 

そして俺以上に驚いていたのがμ’sの方々。

 

穂乃果「A-RISEさんが何でここに!?」

 

花陽「あ、あ、A-RISEが・・・」

 

ツバサ「そうね・・・何となく来てみたくなったの。今年は面白くなりそうだから。それにしても・・・君はそのAqoursというグループを相当信頼してるようね。」

 

そう言ってツバサさんは俺の目の前に来た。

 

綺麗な人だなぁ・・・」

 

ツバサ「え?君今なんて・・・」

 

あぁぁぁぁつい声に出てしまったぁ!!

 

恐る恐る目線をずらすと、ことりさんがニッコリ笑顔で俺を見ていた。

 

やべぇよ・・・

 

瑠惟「ま、まぁAqoursは俺が育てましたから。」

 

ツバサ「へぇ、君はマネージャーかしら?」

 

瑠惟「そうですね。・・・とにかくあいつらのステージ楽しみにしててください。きっと驚きますから。」

 

ツバサ「分かった。Aqoursね・・・ところで君の名前は?」

 

瑠惟「これは失礼しました。はじめまして。西王瑠惟といいます。よろしくお願いします。」

 

英玲奈「さっきから気になっていたんだが君と彼女たちの関係は?見たところすごく親しいようだが・・・」

 

あんじゅ「もしかして誰かの彼氏さんかしら?」

 

あんじゅさんの発言に反応した人が一部いたが気にしたら負けである。

 

瑠惟「・・・良き先輩であり、優しい姉達といったところですかね。」

 

穂乃果「だったら穂乃果は何番目のお姉ちゃんなの!?」

 

絵里「私がもちろん一番上よね!」

 

凛「瑠惟君が凛の弟だにゃー!」

 

ことり「ことりはお姉ちゃんじゃなくて・・・分かってるよね?」

 

あぁー!口々に騒がしい!!

 

ツバサ「な、なるほど。君は随分愛されてるようね。」

 

瑠惟「ほんとに・・・前世で一体どんな徳を積んだんですかね。」

 

 

 

ツバサ「君が・・・男の子がここにいるのは少し驚いた。私は今まで色んなスクールアイドルを見てきて、その中でも男子マネージャーもそれなりの数がいたわ。でもそれらのグループは決勝はおろか予選で姿を消していくのがほとんどだった。なぜだかわかる?」

 

 

男子がいることによって起こる問題それは・・・

 

 

瑠惟「グループ内恋愛による内部崩壊ですか?。」

 

 

ツバサ「ここまできてるだけあってよく分かってるじゃない。・・・そう、恋愛が悪いとは言わないけど、やっぱりどうしてもそれがきっかけでメンバー同士の仲がこじれてしまう。・・・君のグループは何人いるの?」

 

瑠惟「男は俺一人であと9人の女子ですね。」

 

ツバサ「随分と大所帯ね。ここまでしっかりとしたグループが保ててるのはあなたの理性が人並み以上なのか他のメンバーがあなたに対してそういった感情を持ってないかね。」

 

瑠惟「残念ながら後者ですよ。みんなにはいつか俺なんかよりも良い男性と出会ってほしいですから。」

 

自虐的な笑いと共にそんな言葉が出た。

 

英玲奈「そうか?私には他人の幸せを願える君は十分立派な男性に見えるが。」

 

瑠惟「俺はもうみんなからたくさんの幸せを貰いましたから・・・。今度はみんなが幸せになる番です。Aqoursのみんなと一緒に笑ってられる日常・・・これ以上俺は何もいりません。それが今一番の幸せです。」

 

あんじゅ「・・・私君のことが気に入っちゃった。」

 

英玲奈「あんじゅがそこまで言うのは珍しいな。だが、確かに私も君のことが気になる。」

 

ツバサ「あなたは・・・素敵な目をしている。特にその子達のことについて話している時がね。ねぇ・・・もしよかったら・・・・・・・・・いえ何でもないわ。今は言うべきじゃないわね。」

 

なになに?そこまで言われたらめっちゃ気になるんですけど。

 

ツバサ「じゃあ私達はこの辺りであなた達の勇姿見せてもらうわ。」

 

そう言って三人はμ'sの隣の空いている席に座った。

 

俺はその場を後にしようとする・・・すると・・・

 

ツバサ「ねぇ。」

 

彼女に呼び止められた。

 

 

 

ツバサ「あなたにとってこのラブライブとは何?」

 

 

 

 

瑠惟「俺にとってラブライブは・・・」

 

 

 

 

俺にとってのラブライブ。それは・・・

 

 

 

 

 

 

 

瑠惟「終着点であり、新たな旅立ちへの第一歩です。」

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女に背を向けたままそう答え、反応も見ずにその場を去った。

 

 

ラブライブ決勝も残すところ後2グループ。

 

次に歌うのは・・・Saint Snow

 

俺は舞台裏でAqoursと合流し、好敵手と挨拶を交わしていた。

 

瑠惟「いよいよですね。聖良さん、理亞ちゃん。」

 

聖良「えぇ。お互いに頑張りましょうね。」

 

理亞「あの時は兄様に助けられて今私はこの決勝の舞台に立てる・・・でも・・・いや、だからこそ今日は兄様達に・・・Aqoursに勝ちたい!」

 

聖良「理亞に言いたいことを言われてしまいましたね。

 

私達は今日のために努力を積み重ねてきました。

 

今日という日を優勝という形で終えるために・・・

 

何よりこのステージを楽しむために私達は全力で歌います!

 

私と理亞の一年間、そしてあなた達から教わったこと・・・このステージで形にします!

 

 

 

 

見ててください・・・私達・・・Saint Snowのステージを!」

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女達のパフォーマンスはこれまで出たどのグループよりも圧倒的で力強く、彼女達の勝ちたいという意志と何よりステージを楽しむという気持ちが目でも耳でも心でも感じられた。

 

 

 

パフォーマンスを終えた彼女達はどこか嬉しそうで悲しそうで・・・

 

 

 

ステージのライトに照らされたその雫が彼女達の想いを物語っていた。

 

 

 

 

 

 

 

そして・・・遂に訪れる。

 

 

 

この時が・・・

 

 

 

司会「今大会ラストを飾るのは静岡から現れた超新星!

 

 

浦の星女学院スクールアイドル・・・Aqours!」

 

 

ワァァァァァ!!!

 

 

会場に歓声や拍手が響き渡る。

 

 

瑠惟「みんな時間だ。」

 

 

全員で円になる。

 

 

俺はポケットに入れていた一枚のA4用紙を取り出す。

 

 

千歌「それって・・・」

 

 

その紙はかつて東京のスクールアイドルのイベントでライブをし、俺達に厳しい現実を突きつけた得票数0と書かれた人気投票の結果用紙だ。

 

 

瑠惟「みんなこれで現実を知って・・・スクールアイドルを諦めかけて・・・それでも結果を受け入れて0から1を目標に前に進んできた。これには世話になったな・・・。だけど・・・」

 

 

ビリビリ

 

 

俺は紙を破り捨てた。

 

 

瑠惟「もう要らないよな。

 

 

・・・ありがとう。ここまで俺達を見ててくれて。」

 

 

外が静かになったところで俺は話し始める。

 

 

瑠惟「さぁ!みんながAqoursを待ってる!

 

 

・・・・・・最後のナンバーコールいくぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

千歌「1!」

 

 

 

 

曜「2!」

 

 

 

 

梨子「3!」

 

 

 

 

花丸「4!」

 

 

 

 

ルビィ「5!」

 

 

 

 

善子「6!」

 

 

 

 

ダイヤ「7!」

 

 

 

 

果南「8!」

 

 

 

 

鞠莉「9!」

 

 

 

 

瑠惟「10!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー 11! ーー

 

 

 

会場にいる11人目のみんなから声が聞こえた。

 

 

 

瑠惟・千歌「「0から1へ! 1からその先へ!」」

 

 

 

 

全員「Aqours!・・・サーンシャイーン!」

 

 

 

 

 

 

 

瑠惟「みんな・・・いってらっしゃい。」

 

 

 

 

 

9人「いってきます!!」

 

 

 

 

 

 

 

曲が始まる前に急いで俺は関係者席へと戻った。

 

 

 

そしてイントロが流れ出す・・・

 

 

 

 

 

俺達がこの日のために作った集大成とも言える曲。

 

 

 

 

 

みんなに届け・・・

 

 

 

 

 

 

 

『WATER BLUE NEW WORLD』

 

 

 

 

 

 

『イマはイマで昨日と違うよ・・・』

 

 

『明日への途中じゃなく イマはイマだね』

 

 

『この瞬間のことが重なっては消えてく・・・』

 

 

『ココロに刻むんだWATER BLUE』

 

 

 

今まで色々あったよな・・・

 

最初はマネージャーの仕事も全然慣れなくて

 

女の子に声を掛けるのも一苦労

 

 

 

『悔やみたくなかった気持ちの先に』

 

 

『広がった世界を泳いで来たのさ』

 

 

『「あきらめない!」言うだけでは叶わない』

 

 

『「動け!」動けば変わるんだと知ったよ』

 

 

 

ファーストライブもアクシデントの中よく成功させたよ。

 

一年生の三人も自分を変えたいと勇気を出して入ってくれた。

 

でも、初めての東京では現実を思い知って・・・

 

 

 

『ずっとここにいたいと思ってるけど』

 

 

『きっと旅立ってくって分かってるんだよ』

 

 

『だからこの時を楽しくしたい』

 

 

『最高のトキメキを胸に焼きつけたいから』

 

 

 

 

離れ離れだった三年生がまた1つになって。

 

10人でここまで走ってきた。

 

さぁみんな・・・今こそ『輝く』時だ!

 

 

 

 

『MY NEW WORLD』

 

 

『新しい場所 探す時が来たよ』

 

 

『次の輝きへと海を渡ろう』

 

 

 

学校は最後まで足掻いたけど守れなくて・・・

 

それでも浦の星のみんなは俺達の背中を押してくれた。

 

そして今ここに10人で立ってる!

 

 

 

『夢が見たい想いは いつでも僕達を』

 

 

『つないでくれるから笑って行こう』

 

 

『イマを重ね そしてミライへ向かおう!』

 

 

 

俺は忘れない・・・

 

 

 

サイリウムの光で海のように青く染った会場のこの景色を・・・

 

 

 

まるで光の海のようなそれを・・・

 

 

 

 

 

 

曲が終わり会場に沈黙が走る・・・

 

 

 

少しの沈黙の後

 

 

 

 

 

パチパチパチパチパチパチ!!

 

 

ワァァァァァァ!!

 

 

今日一番の歓声が会場に響いた。

 

 

座っていた人達もみんな立ち上がりステージのAqoursに拍手を送る。

 

 

鳴りやまない拍手の嵐は俺達を包み込んだ。

 

 

瑠惟「みんな・・・本当に最高だな。」

 

 

 

穂乃果「すごい・・・。これがAqours。まだ私手の震えが止まらない。」

 

 

ツバサ「・・・こんなステージ見たことない。まさに彼女達と会場が一つになったと言うべきね。」

 

 

 

この二人の言葉みんなにも聞かせてやりたいよ。

 

あのμ'sとA‐RISEのリーダーが絶賛してたってな。

 

 

 

瑠惟「えぇ本当にすごいですよね。今まで一緒に練習してた俺でもびっくりしてます。」

 

 

お疲れ様。みんな本当に成長したな。

 

 

 

 

 

 

Aqoursのステージが終わってしばらく後、会場の興奮が冷めない中、司会の人がステージ中央に来て、いよいよ結果発表が始まろうとしていた。

 

出場した全グループがメインステージに集まる。

 

 

司会「さぁ〜先程会場とネットでの集計が終わりました!

 

今年のラブライブの頂点に立つのは一体どのグループか!

 

それでは早速結果発表に参りましょう!

 

まずは第3位から!

 

第3位は・・・・・・・・・」

 

 

ドラムロールの音と共にライトが点滅する。

 

少し間が空いて第3位が発表された。

 

 

 

司会「第3位・・・東京都立下北沢高校スクールアイドル部!迫真レディーズ!」

 

 

ワァァァ!!

 

 

ライトに照らされたグループの女の子達がお互いを抱き合って喜んでいる。

 

 

 

司会「続いて第2位を発表します!

 

ラブライブ準優勝の栄冠に輝いた第2位は・・・・・・」

 

 

ドクンドクンと自分の心臓の音が静かな会場に響いている気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司会「第2位・・・函館聖泉女子高等学院スクールアイドル部・・・Saint Snow!」

 

 

 

 

ワァァァァァァ!!

 

 

 

2位はSaint Snow。

 

 

 

理亞「姉様!」

 

聖良「理亞!」

 

2人はその場で抱き合い涙した。

 

 

理亞「・・・私達やったのね。準優勝できたんだね。」

 

 

聖良「えぇ。本当にやりましたよ。」

 

 

理亞「勝つことってこんなにも嬉しいんだね。姉様。」

 

 

聖良「私も嬉しいです。こうして理亞と準優勝できたことが。」

 

 

聖良「私と一緒に踊ってくれて・・・最高の一年をくれて本当に・・・本当にありがとう。」

 

 

理亞「私も姉様と一年間頑張ってきて本当に良かった!喧嘩もしたけど、それ以上に姉様と踊っている時間が何より楽しかった。ありがとう。」

 

 

聖良「・・・やめてください。こん・・・な・・・人前で・・・ない、泣いてしまいますよ・・・。」

 

 

 

健闘した2人の美しい姉妹愛に会場からは惜しみない拍手が送られた。

 

 

おめでとうございます。聖良さん、理亞ちゃん。

 

 

 

 

 

 

司会「会場の皆さんお待たせしました!これよりラブライブ優勝グループを発表します!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

司会「歴代ラブライブの中でも類を見ない程ハイレベルな今大会を制したグループは!

 

 

 

 

 

 

 

今大会最も会場を湧かせたグループは!

 

 

 

 

 

 

 

 

ラブライブ優勝の栄冠に輝いたのは・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

浦の星女学院スクールアイドル部 Aqours!!」

 

 

 

 

 

ワァァァァァァワァァァ!!!

 

 

 

え?

 

 

 

今何て言ったんだ・・・

 

 

 

頭が真っ白になる。

 

 

 

隣にいた千歌が俺に何か言っているが耳に入らない。

 

 

 

 

横を見れば千歌以外のみんなが何が起こったのか分からず立ち尽くしている。

 

 

 

「優勝おめでとう!!!」

 

 

 

遠くから声が聞こえる。

 

 

声の方を見ると浦の星のみんなや内浦のみんなが俺たちに向かって叫んでいた。

 

 

だんだんと思考が回るようになってきた。

 

 

優・・・勝?

 

 

あぁ・・・あぁ・・・

 

 

優勝。

 

 

瑠惟「優勝!」

 

 

そうか・・・俺達は・・・

 

 

瑠惟「優勝したんだ!!!!」

 

 

思わず叫ぶとAqoursのみんなも事実を認識した。

 

 

瑠惟「みんな!俺達はやったぞー!!!」

 

 

するとAqoursのみんなが俺に向かって飛び込んできた。

 

 

Aqours「やったー!!!」

 

 

瑠惟「うわっ!」

 

 

俺は支えきれずにみんなのクッションとなる形でステージに倒れ込んでしまう。

 

 

飛び込んできたみんなは喜びを分かち合いながら感動で涙を流していた。

 

 

瑠惟「ははっ。泣くか笑うかのどっちかにしてくれよ。」

 

 

千歌「だって・・・だって・・・」

 

 

梨子「・・・私達優勝したんだね・・・嬉しい。」

 

 

曜「夢じゃないんだよね!本当にできたんだね!」

 

 

花丸「・・・先輩!マル・・・マル・・・」

 

 

ルビィ「ラブライブで優勝!・・・ピギィ!!」

 

 

善子「ふっ。このヨハネの・・・み、魅力が・・・みんなに・・・」

 

 

ダイヤ「ついにやりましたのね・・・。ラブライブ優勝・・・。本当に・・・」

 

 

果南「・・・まさか・・・本当にやっちゃうとはね。うん・・・優勝か・・・」

 

 

鞠莉「これこそシャイニー!!・・・やったんだね。私達。」

 

 

倒れたみんなを起こしてあげる。

 

 

 

 

 

 

 

 

瑠惟「みんな・・・おかえり」

 

 

 

9人「ただいま!」

 

 

 

 

 

 

 

 

司会の人も微笑ましそうにこちらを見ている。

 

 

司会「見事優勝されたAqoursの皆様何か一言どうぞ。」

 

 

そう言ってマイクを渡される。

 

 

こういうのはリーダーのやることだと思いマイクをそのまま千歌に渡した。

 

 

千歌「えっ?私?」

 

 

周りのみんなもウンウンと頷く。

 

 

千歌「うーん・・・何か言うこと・・・」

 

 

見るからに困っているので小さな声で耳打ちする。

 

 

瑠惟「千歌の今の気持ちを言ったらいいんだよ。」

 

 

千歌「私の今の気持ち・・・うん!分かった!」

 

 

 

千歌「皆さん!私達は浦の星女学院スクールアイドルのAqoursです!私達は・・・学校を救うため・・・『輝き』を見つけるためにラブライブの優勝を目指しました。

 

 

最初は何からやっていいのか分からず、ただがむしゃらに走っていました。

 

 

でも最初は4人だったメンバーがどんどん増えていくうちに私達は目指すべき道が何なのかハッキリと分かりました。

 

 

それは私達だけの道を進むこと。

 

 

憧れていたμ'sさんを追いかけることじゃない。

 

 

みんなと手を取り合って走っていくことが大切なんだなって。

 

 

これまでたくさんのことがありました。

 

 

辛かったこと・・・メンバー同士で喧嘩したこと・・・意見がぶつかったこと・・・

 

 

でもそれ以上にみんなで一緒にいる時間は本当に楽しかったです!

 

 

練習中に変なことで笑ったり・・・

 

 

学校帰りのコンビニでみんなでアイスを食べたり・・・

 

 

ライブが上手くいってみんなで喜びあって・・・

 

 

 

それでも・・・私達の学校は守れませんでした。

 

 

ラブライブの決勝に出場するかも迷いました。

 

 

そんな時・・・浦の星女学院のみんなが私の背中を優しく押してくれました。

 

 

だから私達はこの学校名前をここに・・・ラブライブの歴史に残すために!

 

 

そして今日・・・みんなと優勝することができました。

 

 

学校のみんなとの約束を果たせました。

 

 

そしてマネージャーの彼との約束も守ることができました。

 

 

『俺をラブライブの頂点へ連れて行ってくれ。』

 

 

この言葉に・・・そして周りのみんなに何度も支えられました。

 

 

だからこの場で感謝を伝えます。

 

 

みんな・・・ここまで一緒に走ってくれてありがとう!

 

 

そしてAqoursのみんな!

 

 

本当に・・・本当に・・・ありがとう・・・。」

 

 

 

パチパチパチパチパチパチ

 

 

千歌のスピーチに暖かい拍手が送られた。

 

 

司会「はい!Aqoursの皆さんありがとうございました!さて!皆さん早速ですがここで優勝グループによるアンコールステージへ参りたいと思います!・・・ではAqoursの皆さん準備をお願いします!」

 

 

Aqours「はい!」

 

おっ来たか。

 

Aqoursのみんなが行ったのを確認してから司会の人からマイクを借りに行った。

 

瑠惟「あ、すいません。マイク借りますね。」

 

司会「どうぞどうぞ。」

 

瑠惟「はーい。あっどうもAqoursのマネージャーの西王です。えっと・・・浦の星女学院被服隊の皆様、衣装を持って更衣室へお願いします。」

 

 

そうアナウンスすると観客席にいた浦女の何人かが衣装が入ったケースを持って急いで舞台下にある更衣室へと向かっていった。

 

 

さて俺は舞台裏に移動するか。

 

 

そうして戻ろうとすると誰かに腕を引かれた。

 

 

聖良「瑠惟さん、優勝おめでとうございます。」

 

理亞「おめでとう兄様。」

 

Saint Snowの2人が祝福の言葉を送ってくれた。

 

瑠惟「お二人も準優勝おめでとうございます。」

 

聖良「ありがとうございます。あなた達に負けてしまったのは悔しいですが、それでも全力でやった結果です。悔いは何もありません。」

 

理亞「あー!悔しい!・・・でも楽しかった!」

 

瑠惟「Saint Snowのステージ本当にすごかったです。」

 

聖良「またまた、Aqoursのステージの方が素晴らしいものでしたよ。舞台袖で見ていた私達も感動しました。」

 

瑠惟「いや〜そう言われると嬉しいですね。」

 

理亞「兄様達のアンコールステージ・・・楽しみにしてるから。兄様の作った曲を歌うんでしょ。下手なことしたら許さないからね!」

 

聖良「さぁ行ってあげてください。皆さんが待ってますよ。」

 

 

 

 

 

 

 

舞台裏に行くと新衣装に着替えたみんなが待っていた。

 

瑠惟「おぉ・・・みんな似合ってますなー。」

 

むつ「へへっ!どうよお兄さん!」

 

よしみ「これが浦の星被服隊の力よ!」

 

いつき「うんうん!みんな可愛い!」

 

Aqoursのみんなには衣装のことは全く伝えていなかったのでみんなびっくりしている。

 

千歌「この衣装・・・」

 

瑠惟「浦の星女学院みんなで協力して作ったんだ。俺の曲をAqoursに浦の星女学院のみんなの想いと一緒に歌ってほしいって。」

 

曜「すっごく素敵だね!それに可愛い!」

 

瑠惟「その衣装の胸についてるリボン。それだけは俺がみんなの分作ったんだ。俺の想いも一緒に連れてってくれるように。」

 

Aqoursのみんなは胸に手を当て目を閉じた。

 

千歌「うん!分かった!私達浦の星のみんなと一緒に歌うよ!」

 

瑠惟「OK!じゃあいってこい!今から・・・ラブライブ決勝戦エクストラステージの時間だ!」

 

ちょっとだけ格好つけて言ってみる。

 

少し恥ずかしいがこれくらいセーフだよな。

 

ステージへ走っていくAqoursの背中を見送る。

 

そして俺は先程と同じく関係者席へとダッシュで戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

俺がAqoursに関わった全ての人と一緒に完成させたこの曲。

 

まさにアンコールステージにふさわしい曲のタイトルは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『青空Jumping Heart』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曲が始まり会場のボルテージが一気に最高まで上がる。

 

ステージの一分一秒全ての時間会場のみんなが一つになったように声を出し、楽しんだ。

 

隣にいるμ'sやA‐RISEの人達もまるで昔に戻ったみたいにはしゃいでいた。

 

そして俺はステージで踊っているみんなの楽しそうな顔を見て俺まで笑顔になり隣の姉達と一緒にサイリウムを振っていた。

 

あの時間はこれまであったことを全て忘れさせるくらい楽しかった。

 

 

 

瑠惟「これが俺の答えです。」

 

隣にいたμ's、A‐RISEにそう告げる。

 

真姫「・・・確かに見せてもらったわ。これがこの曲の真の姿。ただAqoursが歌うだけじゃない。見ている人全てが笑顔になる。メンバーと観客この二つがあってはじめてこの曲は完成したと言えるわ。」

 

ツバサ「あなたは本当にただのマネージャー?とても一般の男子高生がここまでできるなんて・・・」

 

 

瑠惟「確かに・・・どこにでもいるただのマネージャーじゃありませんね。そう俺は・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瑠惟「コミュ障ヘタレなマネージャーですよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンコールステージが終わりAqoursがステージから退場しようとする。

 

しかし・・・

 

 

 

ール

 

 

 

コール

 

 

 

アンコール

 

 

 

アンコール!!

 

 

 

アンコール!!!!

 

 

 

 

 

まさかのダブルアンコール。

 

会場の声を聞いた、にこさんが驚いている。

 

にこ「歴代ラブライブの中でもアンコールステージの後にアンコールが起こることは無かった・・・。それだけAqoursは会場の人達の心を掴んだと言うの!?」

 

え?でもどうするの?歌える曲なんて・・・学校説明会の曲とかしか・・・

 

ステージの方を見ると千歌がいけると言わんばかりに親指を立てていた。

 

ついでに司会の方を見るとこちらも千歌と同じようなサインをしていた。

 

 

司会「会場のリクエストにお応えしてAqoursの皆様がもう一曲だけ披露してくれまーす!!」

 

 

ワァァァァァァ!!

 

 

するとAqoursは一列に並び千歌が司会の人からマイクを借りた。

 

 

 

 

 

 

千歌「今から披露する曲は・・・私達の大切な仲間に送る曲です。」

 

 

 

 

 

曜「その人はステージに立つことは無かったけど。」

 

 

 

 

 

梨子「それでも一番近くで私達のことを見守ってくれました。」

 

 

 

 

花丸「いつだって私達のことを第一に考えてくれて。」

 

 

 

ルビィ「できることは何でもやってくれました。」

 

 

 

善子「時には怒られたりしたけれど。」

 

 

 

ダイヤ「私達は彼の優しさに暖かさに支えられました。」

 

 

 

果南「彼と過ごした時間は私達の宝物です。」

 

 

 

鞠莉「そんな彼に私達の気持ちを送ります。」

 

 

 

千歌「会場のどこかにいる私達の大切なマネージャー・・・瑠惟君へ聞いてください・・・

 

 

 

 

 

『Thank you, FRIENDS!!』」

 

 

 

 

え・・・あいつら俺に歌を・・・

 

 

千歌の言葉が終わると同時に曲が始まる。

 

 

聞いたことのないメロディが耳に入ってくる。

 

 

俺はAqoursのみんなが曲を作っていたなんて知らなかった。

 

 

もちろん千歌もそんな素振りは一切見せなかった。

 

 

開いた口が塞がらず、ステージをぼーっと見つめていた。

 

 

 

 

 

 

『そう、いまだから(そういま僕ら)』

 

 

『わかるのかも(わかってきたよホントに)』

 

 

『ステキなこと(ステキすぎて)』

 

 

『まるで夢の中泳いできた魚さ』

 

 

 

 

あいつら決勝に向けて忙しかったのに

 

俺がいないところでバレないように・・・

 

あーもう・・・なんで・・・なんで・・・

 

 

 

 

 

『どんな時でも(どんな時にだって)』

 

 

『感じていたよ(感じていたんだ君がいると)』

 

 

『だからいつも(そしてここまで)』

 

 

『負けないでやってこれた』

 

 

 

 

決めてたのに・・・

 

今日だけは・・・今日だけは・・・

 

泣かないって決めたのに・・・

 

 

 

 

『熱い想いしかない 君に届けられるのは』

 

 

『よーし! 声の限り』

 

 

『よーし!呼んでみるよ』

 

 

『こたえてくれるかい?』

 

 

 

 

どうして涙が溢れてくるんだ・・・

 

 

 

 

『'Thank you, FRIENDS』

 

 

『会えてよかったな 会えてよかったな』

 

 

『最高の絆』

 

 

『人生には時々びっくりなプレゼントがあるみたいだ』

 

 

 

 

 

どうしてみんなとの思い出が・・・

 

 

 

 

 

『ねぇ会えてよかったな 会えてよかったな』

 

 

『これはなんの奇跡だろう?』

 

 

『消えないでって呟きながら もっと先へ飛び出すんだ』

 

 

 

俺は涙を袖で拭き関係者席を飛び出し、ステージの近くまで走り出した。

 

 

 

 

『もう、過ぎた日は(もう遠くなって)』

 

 

『帰らないけど(懐かしく思うよ)』

 

 

『僕らのミライ(一緒にはじめよう)』

 

 

『何度もはじまるんだね』

 

 

 

 

前に進む俺を観客の誰も、警備員でさえ止めようとはしなかった。

 

むしろ・・・

 

ー がんばれ! ー

 

メロディの中に交じってそんな声が聞こえる。

 

 

 

 

『いっぱい叫んだって 足りない君へのキモチは』

 

 

『よーし!声の限り』

 

 

『よーし!呼んでみるよ』

 

 

『こたえてくれるよね?』

 

 

 

 

あぁこたえてやる!

 

俺も言いたいことがもっとあるんだ!

 

お前らだけに言わせてたまるか!

 

 

 

 

『Thank you, FRIENDS』

 

 

『大好きだよってさ 大好きだよってさ』

 

 

『伝えたかった!』

 

 

『こんな景色が見たい きっと君も同じ夢見てたんだね』

 

 

 

 

俺はステージのちょうど正面に着いた。

 

「千歌!梨子!曜!」

 

「花丸!ルビィ!善子!」

 

「ダイヤ!果南!鞠莉!」

 

ステージに向かって叫ぶ。

 

 

 

 

『ねぇ大好きだよってさ 大好きだよってさ』

 

 

『ループしたいよ 歌いたいよ!』

 

 

『君からも言ってほしいからね さぁみんなで声を出してよ』

 

 

 

 

「俺もみんなのことが・・・

 

 

大好きだよ!何度でも言ってやる!

 

 

俺はAqoursが・・・浦の星のみんなが・・・

 

 

大好きだ!」

 

 

俺の言葉が聞こえたAqours全員の目に涙が浮かんだ。

 

それでもステージの最中。

 

彼女達は必死にこらえて歌い続ける

 

 

 

 

千歌『叶った願いはいくつある?』

 

 

曜『これからも叶えようよ』

 

 

梨子『生まれてくるトキメキの数は・・・』

 

 

花丸『あぁ数え切れない』

 

 

ルビィ『海風に』

 

 

善子『誘われて』

 

 

ダイヤ『ココロには』

 

 

果南『何が立って・・・立って・・・』

 

 

鞠莉『どこへどこへ向かえばいいの?』

 

 

『みんなと探そうか!』

 

 

 

 

「みんなと過ごしたこの一年本当に楽しかった!」

 

 

 

 

『Thank you, MY FRIENDS』

 

 

『ETERNAL FRIENDS』

 

 

『永遠って言葉が出てきたよ不思議と』

 

 

 

 

 

「俺は東京に行って前みたいに毎日会えなくなる。でも!俺の心の中にはいつもみんなが・・・この9人がいるんだ!」

 

 

 

 

 

『Thank you, FRIENDS』

 

 

『会えてよかったな 会えてよかったな』

 

 

『最高の絆』

 

 

『人生には時々びっくりなプレゼントがあるみたいだ』

 

 

『ねぇ会えてよかったな 会えてよかったな』

 

 

『これはなんの奇跡だろう?』

 

 

『消えないでって呟きながら もっと先へ飛び出すんだ』

 

 

 

 

「みんなから教えて貰ったことを胸に俺は前に進み続ける!それで、また会った時に笑いながらこの1年間のことを語り合おう!だからみんなもそれぞれのミライに向かって俺と一緒に走ろう!」

 

 

 

 

『大好きなんだ』

 

 

『君と歌うよ』

 

 

『永遠って言いたくなって』

 

 

『大好きな君とずっと』

 

 

『楽しいことしていたいから』

 

 

『ずっと・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな・・・俺を・・・愛してくれてありがとう。」

 

 

 

 

 

曲が終わり、静かになった会場に感謝の言葉が涙と共に消えていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




やっとAqoursが優勝するところまで書くことができました。

アニメでも決勝の話は涙無しでは見れませんね。


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