コミュ障ヘタレと9人のアイドル   作: まきパリ

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関西の皆さん、地震の方は大丈夫でしたでしょうか。僕も関西の方に住んでいて朝すごく揺れて怖かったです。まだ余震とかがあるかもしれないので気を付けたいですね。

ちなみに先日3rdライブに行かせてもらったのですが、とても楽しくて今でもあの時間を思い出します。最高の思い出になりました。そしてAqoursの皆さんが無事で本当に安心しました。


コミュ障ヘタレは意外と器用である

前回のコミュ障ヘタレ。2学期が始まり、説明会、ラブライブに向けて新たなスタートを切ろうとしたAqours。しかし廃校が正式に決まり困惑する千歌達。でも最後まで諦めないという意志で進みだしたのであった。

 

学校で緊急の全校集会があった。内容は廃校に関してのことだ。

 

生徒だけでなく先生達にも動揺が走っている。

 

教室に帰ってからも話題の中心はこのことだった。

 

クラスメイトA「廃校になっちゃったら私たちどうなるんだろ?」

 

クラスメイトB「統合された学校に行くのかな?」

 

クラスメイトA「離れ離れにならないかな?」

 

クラスメイトB「わかんない。でも・・・できれば無くなってほしくないな。」

 

そんな感じの話が周りから聞こえてくる。

 

ここで久しぶりの登場。担任の緑山先生。

 

緑山「さっきも理事長から話があったと思うがこの学校は沼津の学校と統合して廃校になる。先生も今日の朝聞いたので理解が追いついてない。でも一つだけ言えるのはみんなは残りの時間を大切にしろよ。」

 

残りの時間か・・・

 

とにかくあいつらのためにできるすべてのことをやろう。

 

 

 

放課後、練習前に鞠莉さんから話があるということで部室に集まった。

 

鞠莉「みんな集まってくれてありがとう。」

 

ダイヤ「話とはなんですの?」

 

鞠莉「昨日あの後パパにもう一度電話したわ。本当にどうにかできないかって。パパは人が少ないから学校を続けられないと言ったわ。だから私は人が増えれば大丈夫なのって聞いたわ。そしたら・・・100人。年末までに入学希望者が100人集まれば来年度の募集をすると言ったわ。」

 

全くこれは奇跡だな・・・

 

梨子「100人・・・今で10人なのに年末までに100人なんて・・・」

 

瑠惟「でも希望は見えた。」

 

千歌「できるかできないかじゃない。やるしかない!こうして可能性がある限り私は信じる!」

 

鞠莉「だから説明会もするわ。」

 

てことは・・・

 

瑠惟「ラブライブの予備予選っていつだっけ?」

 

ルビィ「確か来月のはじめ・・・説明会の1週間後だったと思います。場所は特設ステージを設けるみたいです。あと・・・」

 

ルビィ「曲は未発表のものに限ります。」

 

いやーこれがきついんだよ。

 

学生に曲を1から作らせるなんて鬼畜だな運営は。

 

瑠惟「それなら2つの曲を作って並行して練習する必要がある。」

 

ダイヤ「千歌さん、梨子さん、曜さん、大丈夫ですか?」

 

梨子「私はなんとかなると思うけど・・・。」

 

千歌「歌詞が思い浮かばないー。」

 

曜「私も少しきついかな。9人分を2回だし・・・。」

 

瑠惟「そうだな・・・。あまり負担をかけすぎるのも良くないな。」

 

自分も手伝うけど、これだけじゃ足りないな・・・

 

そういえば・・・

 

瑠惟「3年生のだけのAqoursって誰が曲や衣装を作ったりしてたんですか?」

 

鞠莉「曲は私と果南で衣装はダイヤよ。」

 

なるほど。これならいけるぞ。

 

瑠惟「じゃあ・・・二手に分かれよう。片方は説明会用の曲と衣装。もう片方はラブライブ用の曲と衣装。」

 

果南「いいね!賛成!」

 

梨子「どう二手に別れるの?」

 

千歌「それならやっぱり2年生組と1年・3年生組がいいと思う!」

 

ダイヤ「決まりですね。」

 

ということで二手に分かれて曲・衣装を作ることになった。

 

2年生組は説明会、1年・3年生組はラブライブを担当する。

 

自分は2年生なので本来は説明会担当なのだが・・・

 

千歌「瑠惟君はラブライブ担当ね。」

 

瑠惟「なんで?」

 

千歌「1年生と3年生をサポートしてほしいの。」

 

瑠惟「理由はよく分からんが必要ならやるよ。」

 

千歌「頼んだよー。」

 

こうして1年生・3年生とラブライブ用の曲と衣装を作ることになった。

 

花丸「なんで先輩がこっちにいるずら?」

 

瑠惟「まぁ色々あってな。」

 

ルビィ「まさか2年生の人と喧嘩しちゃったんですか?」

 

喧嘩なら昔からアホみたいにやってるけどな。

 

瑠惟「違う違う。とにかくこっちを手伝うからよろしく。」

 

 

 

善子「曲作りといってもまずは何から始めるの?」

 

ダイヤ「最初は曲のコンセプトから決めないといけませんわ。」

 

果南「それで私達はいつも思い浮かんだことをホワイトボードとかノートにまとめたりしてたよ。」

 

コンセプト・・・

 

瑠惟「みんなはどんな曲が作りたい?」

 

鞠莉「私は今までAqoursになかったロックな曲がいいわ!」

 

確かに今までのAqoursの曲は『友情』だったり『前に進む』といったテーマの曲が多かったので自然と曲調もそういう傾向に偏ってしまうことが多かったな。

 

瑠惟「はい。いい考えだと思います。」

 

花丸「まるは今まで通りのAqoursらしい曲がいいずら。」

 

まぁ妥当な選択だな。披露して大外れということはなくなるし。

 

果南「私は鞠莉の意見に賛成かな。新しいことに挑戦してみるのも面白いし。」

 

善子「私はずら丸に賛同するわ。今まで通りやるのが一番いいの。」

 

果南「Aqoursには新しい流れがいるの!今まで通りじゃダメ!」

 

善子「今のままでも十分だわ!新しいことをやるってことは失敗する可能性も大きいのよ!」

 

ダイヤ「2人とも落ち着いてください。」

 

果南・善子「ダイヤ(さん)は黙ってて!」

 

ダイヤ「ピギィィ!」

 

これは困ったな・・・。どちらの言い分も正しいので否定ができない。

 

それに両者意見を譲ろうとはしないし。

 

いや、そもそも1年生と3年生同士がこれまであまり積極的に関わってるのは少なかったな。いつもなら2年生が中心になって色々していた。

 

これは曲を作る以前の問題だな。

 

千歌が頼んだ理由が分かったよ。

 

それならまずは何をしようか・・・。

 

瑠惟「みんな!いったん曲作りは中断だ。」

 

果南「え?どういうこと?」

 

善子「曲作りのために集まってるんでしょ?」

 

瑠惟「まぁまぁ、今日は天気もいいし少し外に出て体を動かさないか?」

 

自分の提案にみんなは少し戸惑いながらも運動着に着替えてグラウンドに来てくれた。

 

瑠惟「みんなそろったな。じゃあいまからケイドロするぞ。」

 

全員「ケイドロ?」

 

瑠惟「簡単にルールを説明すると、まず警察組と泥棒組の二組に分かれる。泥棒組は警察が数を数えてる間に好きなところに逃げる。警察組は数え終わったら泥棒組を捕まえに行く。泥棒は警察にタッチされたら捕まったことになりあらかじめ設定された牢屋に入る。泥棒は捕まった仲間をタッチすることで助けることができる。警察は時間内に泥棒を全員牢屋に入れたら勝ちで、泥棒は一人でも逃げ切ったら勝ち。」

 

果南「へぇ面白そうじゃん。」

 

花丸「まるは走るのが遅いからすぐに捕まりそうずら。」

 

瑠惟「それなら大丈夫だ。今回は警察は自分だけだから。みんなは泥棒組だ。」

 

善子「それでいいの?そっちは不利じゃない?」

 

瑠惟「ヘーキヘーキ。あともしみんなが勝ったらアイス奢るよ。」

 

鞠莉「Wow!これは逃げ切らないとね!」

 

瑠惟「それじゃあ今から60秒数えるからその間に逃げて。範囲は・・・この学校内で。牢屋はグラウンドに線を引いておくからそこで。制限時間は30分で。じゃあいくぞー。1、2、3・・・」

 

数えだすと同時にみんなが校内へと逃げていった。

 

瑠惟「58,59,60.さてと行きますか。」

 

まずは・・・一年生のフロアを見てみるか

 

一年生の教室に入ると人の気配を感じた。

 

おそらくロッカーの中かな。

 

ゆっくりとロッカーの扉を開けるとそこには・・・

 

瑠惟「誰もいない?」

 

おかしいな確かに気配を感じたんだが。

 

ガタッ

 

ん?

 

今何かが動いたな。教卓の方からか。

 

少しずつ教卓に近づくと・・・

 

花丸「逃げるずら!」

 

教卓の下からものすごいスピードで花丸が飛び出して廊下の方へ逃げて行った。

 

瑠惟「待てごらぁぁぁ~!」

 

花丸「先輩顔がマジずら~!」

 

瑠惟「こちとらアイスがかかってるからな!」

 

運動が苦手とか言ってたくせに結構速いじゃないか。

 

しばらく追いかけっこが続きやがて花丸の体力がなくなりスピードが落ちてきた。

 

瑠惟「はいタッチ!」

 

花丸「捕まったずら~」

 

瑠惟「これでも一応バスケやってたからな。じゃあ牢屋に行くぞ。」

 

花丸を連れて廊下に向かう途中・・・

 

ルビィ「ピギィ!」タタッ

 

黒澤妹か・・・。ついでに捕まえておくか。

 

瑠惟「花丸!ちょっと失礼するぞ!」

 

そう言って花丸を抱きかかえる。いわゆるお姫様抱っこというやつだ。

 

花丸「先輩!何してるずら!?」

 

瑠惟「ちょっと我慢してくれよ。すぐにルビィを捕まえるから。」

 

全速力でルビィを追いかける。

 

瑠惟「待てぇぇぇぇ!」

 

ルビィ「ピギャアァァァァ!」

 

ダイヤ「どうしたのルビィ!?」

 

ダイヤさん!?ちょうどいい。二人まとめて捕まえる。

 

ルビィ「お姉ちゃん、逃げて!先輩が来てるよ!」

 

ダイヤ「え?瑠惟さん!?ピギャアァァ!」

 

花丸「先輩、まる・・・重くないずらか?」

 

瑠惟「そりゃ重いに決まってるだろ。人一人抱えてるんだぞ。」

 

バチッ!

 

瑠惟「痛っ!何すんだよ!」

 

花丸「ふんだ!先輩のバカ!」

 

瑠惟「えぇ~。まぁでも千歌よりは軽い。・・・と思う。」

 

花丸「そういうことじゃないずら~。」

 

ーーーーーーー

 

千歌「へっくしょん!」

 

曜「どうしたの千歌ちゃん?」

 

梨子「もしかして風邪?」

 

千歌「違う。でもなんかものすごく失礼なことを言われたような気がする。」

 

ーーーーーーー

 

数分の追跡の末2人とも捕まえることができた。

 

瑠惟「ハァ・・・ハァ・・・やっと捕まえたぞ。しぶとすぎるぞ。」

 

ダイヤ「それはこっちのセリフですわ。まったくいつまで追いかける気ですの。」

 

ルビィ「もう・・・ダメ・・・」

 

花丸「いつまでまるを抱いてるずら?」

 

瑠惟「すまんすまん。つい抱き心地がよくて。」

 

花丸「全く・・・そういうことさらっと言うのはずるいずら。」

 

瑠惟「何か言ったか?」

 

花丸「何でもないずら!」

 

3人を牢屋に入れたので後は・・・

 

瑠惟「果南さんと善子か。」

 

いるとしたら多分・・・

 

ーsideout 瑠惟ー

 

ーside in 果南ー

 

さっきダイヤの叫び声が聞こえたけど多分瑠惟に捕まってるよね。

 

恐らく花丸ちゃんとルビィちゃんも・・・

 

確か捕まった人は助けられるんだっけ。

 

そういえば鞠莉と善子ちゃんはどこにいるんだろ?

 

このままじゃいづれ捕まるし、とにかく私だけでも助けに行かなきゃ。

 

そしてグラウンドに向かおうとした時

 

ドンッ

 

善子「痛っ。」

 

果南「善子ちゃん!?まだ捕まってなかったんだね?」

 

善子「クックッ・・・このヨハネの力をもってすればこの身を暗黒と同化させることなど造作もないこと。」

 

果南「つまりずっと隠れてたんだね。」

 

善子「まぁそういうことね。」

 

ここで善子ちゃんと会えたのはラッキーね。1人よりも2人で行った方が救出できる確率はグンと上がる。

 

果南「善子ちゃん、今から2人で捕まった人を助けに行かない?」

 

善子「いいでしょう。ヨハネの力あなたに貸してあげましょう。」

 

果南「決まりね。」

 

ということで私と善子ちゃんの2人でみんなの救出に向かうことにした。

 

校舎の陰からグラウンドを覗くと案の定ダイヤにルビィちゃん、それに花丸ちゃんも捕まっていた。

 

それにしてもなんで花丸ちゃんの顔が赤くなってるんだろ?

 

肝心の瑠惟は・・・ここにはいないようね。多分私達を探しに行ってるんだろう。

 

今がチャンスね。

 

果南「善子ちゃん、せーので飛び出してみんなのところに行くよ。」

 

善子「御意。」

 

果南「じゃあ行くよ。せーのっ!」

 

私達は一斉に飛び出して牢屋の方へと走る。

 

みんなも私達に気づいて声をあげる。

 

ダイヤ「・・ろですわ!」

 

ん?

 

ダイヤは今なんて言ったの?

 

花丸「・しろずら!」

 

何かを伝えようとしてるの?

 

ルビィ「うしろ!」

 

後ろ?

 

振り向くとそこには・・・

 

瑠惟「おまたせ。」

 

果南「瑠惟!?」

 

善子「先輩!?」

 

瑠惟が今にも私達に追いつきそうなスピードで後ろから迫ってきていた。

 

やばい。これじゃあ追いつかれる。

 

何か手は・・・

 

善子「私が食い止めるわ。先に行って。」

 

果南「善子ちゃん・・・。うん!分かった!」

 

善子「頼んだわよ。」

 

善子ちゃんが食い止めてくれてる隙にみんなを助ける。それしかない。

 

私はスピードを上げる。

 

善子「さぁ堕天使ヨハネが相手よ。かかって・・・」

 

瑠惟「タッチ。」

 

善子「そんな・・・こんな簡単になんて・・・」

 

瑠惟「いや、タッチするだけだし。」

 

善子ちゃんが・・・

 

あともう少し・・・。お願い間に合って・・・。

 

よしっ!間に合っt

 

瑠惟「タッチ。」

 

果南「・・・あともう少しだったのにな。」

 

私は残念ながらみんなを救出する前に捕まってしまった。

 

ーsideout 果南ー

 

ーside in 瑠惟ー

 

これで全員捕まえたかな。残り時間も1分。勝ったなガハハハッ。

 

瑠惟「全員捕まえたから勝ちだな。」

 

鞠莉「最後に油断したわね。」

 

瑠惟「忘れてた!鞠莉さんを!」

 

鞠莉「はい。捕まってるみんなをタッチしたから全員OKね!」

 

やっちまったぜ。

 

結局全員に逃げられてタイムアップ。

 

約束通りみんなにアイスを奢った。

 

瑠惟「いや~鞠莉さんにはやられましたよ。」

 

鞠莉「私の方が1枚上手だったみたいね。」

 

果南「それにしてもどうして私達の場所が分かったの?」

 

善子「そうよ!果南の作戦は完璧だったはずよ!」

 

瑠惟「それなんだけど・・・2人とも結構大きい声で話してたからさ、聞こえてきて、それで2人の後ろからこっそりつけてたんだよね。」

 

果南「そうだったんだ・・・ハハッ。ハハハハハッ!」

 

善子「アハハハッ!」

 

果南「バレバレだったね善子ちゃん。」

 

善子「そうね。果南。」

 

とりあえず作戦は成功かな。

 

ぽつぽつ。

 

あっ。

 

ダイヤ「雨が降ってきましたわ。」

 

鞠莉「みんな校舎に入りましょ。」

 

突然の雨でみんな少し濡れてしまった。

 

果南「うわぁ~濡れちゃったね。」

 

ルビィ「さ、さむい。」

 

瑠惟「大丈夫かみんな?」

 

善子「えぇ、すこし濡れてしまったけど大丈夫よ。」

 

雨が降るなんて言ってなかったんだけどな~。

 

でもこのままじゃ風邪をひくかもしれないし・・・

 

瑠惟「ダイヤさん、この学校にシャワールームってありましたっけ?」

 

ダイヤ「もちろんありますけど・・・。」

 

瑠惟「それって使っても大丈夫ですか?」

 

ダイヤ「私は大丈夫だと思いますけど、理事長は・・・」

 

鞠莉「ノープロブレム!全然OKよ!」

 

瑠惟「じゃあ体が冷える前にみんなシャワーを浴びよう。」

 

みんながシャワーを浴びに行ってる間自分は部室を漁っていた。

 

何か曲作りの参考になるものがあるかもしれないかと思ったのだ。

 

部室の棚を探していると一冊のノートが目に入った。

 

表紙には『Aqours ダンスフォーメーション アイデアノート』と書かれていた。

 

これは旧Aqoursの時のものか?

 

ページをめくっていくといくつかのダンスのフォーメーションの案が書かれていた。

 

その中にはとても難しい内容のものもあった。

 

まさか2年前の果南さん達はこれをやろうとしていたのか?

 

だとしてもこれは到底薦めることはできない。

 

全員の負担が大きいのはもちろん、何よりこれじゃあセンターが怪我をする可能性がある。

 

とにかく何か別の案を・・・

 

果南「何してるの?」

 

ギクッ

 

慌てて読んでいたノートを元の場所に戻す。

 

瑠惟「いや、ちょっと曲作りの参考になるものがあるかなと思いまして・・・」

 

果南「そう・・・」

 

バレちゃったかな?

 

果南「たとえそのフォーメーションが最善だったとしても私は絶対にやらせないから。」

 

瑠惟「・・・・」

 

バレてました。

 

鞠莉「2人とも何やってるの?こっちにおいでよ!」

 

果南「うん、今行くから。」

 

瑠惟「今行きます。」

 

部室から出る直前、果南さんが小さな声で言った。

 

果南「このことは千歌には言わないで。・・・・お願い。」

 

瑠惟「はい。」

 

千歌は優しくて強い子だ。無茶だとわかっていても絶対にやろうとする。

 

それが誰かのためになるなら自分を犠牲にしてでも・・・

 

 

みんなは音楽室に集まっていた。

 

瑠惟「さて、みんなどんな曲を作ろうか?」

 

鞠莉「私はさっきも言ったけどロックがいいわ。」

 

花丸「まるは落ち着いた曲を・・・」

 

やっぱりさっきと変わらないか・・・

 

善子「別にいいんじゃない両方やっても。」

 

鞠莉「え?」

 

果南「みんなバラバラでもいいと思う。逆にその方が面白くない?」

 

花丸「え?」

 

ダイヤ「つまりテンポや音色は1つ1つ違うけど」

 

ルビィ「1つ1つが重なって、調和して」

 

瑠惟「1つの曲になっていく。」

 

鞠莉「それは私達も同じ。」

 

花丸「まる達だから作れる音がある。」

 

果南「さっきみんなで遊んでて思ったの。私達って1人1人得意なことも好きなものも全然違う。でも・・・」

 

善子「みんな大切な友達なんだって、みんなと一緒にいると楽しいんだって。」

 

瑠惟「だから作ってやろうぜ、千歌達の作った曲に負けないぐらいすごいのを!みんななら絶対にできる!」

 

花丸「先輩、なんだか千歌ちゃんみたいずら。」

 

瑠惟「まぁこれでもあいつとは従妹だからな。」

 

鞠莉「それじゃあ今日はここで合宿よ~!!」

 

こうして泊りがけで作業をしたので曲と衣装をなんとか完成させることができた。

 

いつもは千歌達と一緒にやっていたので今日みたいな感じは新鮮でまた違った楽しさがあった。

 

 

 

朝方、千歌から曲と衣装が完成したと連絡がきた。

 

急いで3人と合流した。

 

千歌「おはよう!」

 

瑠惟「おはよう。完成したぞ。すっごいのが。」

 

千歌「ほんとに~?」

 

瑠惟「あぁ、みんなのおかげでな。そっちはどうだ?」

 

千歌「できたよ。見えたんだ。今何を言いたいか、何を思っているのか。・・・私が私に問いかけていた答えが。」

 

瑠惟「そうか。なら期待してもいいんだな?」

 

千歌「もちろん!」

 

瑠惟「じゃあ練習しないとな!2曲分だから大変だぞ~。」

 

千歌「大丈夫!絶対に成功させてみせる!ラブライブも学校説明会も!」

 

実際、2曲をこの短期間で仕上げないといけないからちょっと厳しくしないとな。

 

みんなは頑張ってくれるからこっちも頑張らないと。

 

千歌「ありがとね。1年生と3年生を助けてくれて。」

 

瑠惟「いや、元々助ける必要なんてなかったのかもな。」

 

千歌「え?」

 

瑠惟「あいつらはこっちが何もしなくてもいずれ仲良くはなってたさ。それにこっちも結構楽しかったよ。」

 

千歌「素直じゃないねほんとに。」

 

瑠惟「それはお互い様だろ。」

 

千歌「そうだね。あのね・・・もし私に何かあったら私の代わりにみんなを引っ張ってあげてね。」

 

瑠惟「?」

 

最後に千歌が言った言葉の意味はよくわからなかった。

 

けれど意識は目の前に迫ったラブライブと説明会へと向いていたので特に気にしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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