前回のコミュ障ヘタレ。東京でのイベントで現実を知ったAqours。悔しさを見せない千歌に心配をよせる瑠惟たちは千歌から本当の気持ちを聞いて、0から1という新たな目標に向かって歩き始めた。
東京でのイベントから数日が過ぎたある日のこと、スクールアイドル部にある誘いが来る。
「沼津の花火大会で歌ってほしい?」
「あぁさっきメールで運営からオファーが来たんだ。」
「まぁ受けるか受けないかはそっちに任せるよ。一応まだ受けるとは言っていないから。」
「沼津の花火大会っていえばこの辺りで一番大きなお祭りでしょ?」
「でも今からじゃあんまり練習時間ありませんよね。」
確かにルビィちゃんの言う通りだ。中途半端なパフォーマンスでやるわけにもいかないし。
「梨子はどう思う?」
「・・・私は今は練習を優先した方がいいと思う。」
ここはリーダーに聞いたほうがいいな。
「千歌はどうしたいんだ?」
「うん!私は出たいかな。今の私たちの全力を見てもらう。それでダメだったらまた頑張る。それを繰り返すしかないんじゃないかな。」
「反対はないようだな。それじゃあやりますと返信してくるよ。」
「・・・・・・」
「どうしたの千歌ちゃん?」
「どうして果南ちゃんはスクールアイドル辞めちゃったんだろう。」
「そう言えば瑠惟君、2年前に見てたんだよね果南ちゃんたちを。」
「・・・・・・」
「何か知ってるんでしょ?」
さてどうするべきか。ここで話してしまってもいいのだろうか。いや、いつか言うべき時が来るはずだろう。だからここは・・・
「自分よりルビィちゃんのほうが知ってるんじゃないか?ダイヤさんと一緒にいるんだし。」
「ピギィ!?」
すまないルビィちゃん。後でアイスでも奢るよ。
どうやらルビィちゃんの話では果南さんたちがライブで失敗してから以来スクールアイドルの話はしていないらしい。しかし、ダイヤさんが鞠莉さんに『果南さんのことを逃げたなんて言わないで。』と言っていたらしい。
逃げたか・・・ 2年前になぜ歌えなかったのか、なぜスクールアイドルを辞めたのか、それについては大体の予想がつく。でも何でそこまでして隠す必要があるんだ?・・・・・・こればっかりは考えても仕方ないな。
それから果南さんについてもっと知るために朝のランニングに尾行しようということになった。ものすごく面倒臭いです。
ー 翌日 ー
「・・くん・・て」
「瑠惟君起きて!!」
「うーーん。千歌か。眠い、あと10分寝かせて。」
「ダメだよ!今日は果南ちゃんを見に行くんでしょ。」
そういえば今日だったな。仕方ないな。
「分かった分かった、今起きるよ。」
集合場所にはAqoursのみんなが既に来ていた。
ちなみに現在午前5時30分、曜たちはバスもないのにどうやって来たんだ?
果南さんは既にランニングを始めている。あの人は何時におきてるんだよ。
「毎日こんな朝早くから起きてるんですね。」
それよりも
「何も全員で来ることはなかっただろ。」
「でも、みんな来たいって言うし。」
「それよりも果南さんはどこまで走りに行ってるんだ?」
「えーと、私たちがいつも練習で走ってる道なんだよ。」
「あの道ずらか・・・。ということは今からあの道を登るずらか?」
「尾行するならそうなるな。」
「が、がんばルビィだよ!花丸ちゃん。」
スクールアイドルならこれくらい朝飯前になってもらわないと困るんだけどな。
「それにしても果南さんは速いな。」
ダイビングショップの家を手伝ってるだけあって相当体力もあるようだ。
「千歌もう帰ってもいいか?疲れてもう走れない。」
「もう少しだからがんばって・・・」
「毎日このスピードなんだ・・・。私たちより断然速い。」
「みんな・・・もうすぐ頂上だよ・・・。」
頂上に着くとそこではなんと果南さんが踊っていた。
「きれい・・・」
そうかこの人もスクールアイドルだったんだな。
そしてそれはどこか楽しそうだった。
やっぱりこの人はスクールアイドルを諦めきれないんだ・・・
するとどこからか鞠莉さんが現れた。
「復学届提出したのね。」
「・・・まぁね。」
「やっと逃げるのを諦めた?」
逃げるのを諦めた?どういうことなんだ?
「勘違いしないで。学校を休んでいたのは父さんのけががあったから。それに復学してもスクールアイドルはやらない。」
「私の知っている果南はどんな失敗をしても次に向かって笑顔で走り出していた。成功するまで諦めなかった。」
「私には関係ない。スクールアイドルなら千歌たちがいる。」
「またそうやって逃げるの?」
「・・・どうして戻ってきたの?私は戻ってきてほしくなかった。」
「果南!?・・・相変わらず果南はがんk」
「もうやめて。あなたの顔見たくないの。」
「まだあの時の事を引きずってるの?」
「・・・とにかく私は絶対にやらない。」
「・・・・・・」
そう言って果南さんは去っていった。
その顔はどこか悲しげだった。
果南さん、鞠莉さん、二人の間に一体何があったんですか。
そして果南さんは本当に鞠莉さんの事をそんな風に思っているんですか?
ー 翌日の学校 ー
「果南さんが学校に来る!?」
「うん。今日から登校するらしいの。」
「鞠莉さんは?」
「まだ分からないの。」
マジですかい。う~んできれば会いたくないな。あの人なんか苦手なんだよな。
すると上の階から何やら服のような物が落ちてきた。
「・・・制服ぅ!」
こともあろうに曜が落ちてくる制服を取るために飛ぼうとした。
「「ダメー!!」」
「っとあぶねぇ。」
落ちる寸前で曜の体をつかむことに成功した。
それと同時に・・・
『むにゅ』
「あ・・・」
この感触はもしかして・・・
「すまん!だ、大丈夫か曜?」
「う、うん。大丈夫だよ。ありがと///」
横の方から凄まじい殺気を感じたので恐る恐る振り向くと千歌と梨子が
「瑠惟君のスケベ。」
「変態ね。」
マジトーンでの罵倒はやめてください。傷ついちゃうからから。
「それにしてもこれってスクールアイドルの衣装?」
「三年生の教室から落ちてきたよ。」
「行ってみようよ。」
ということで四人で三年生の教室へと向かった。
教室に着くと何やらもめ事が起きているようだった。
「あっ、千歌さん。」
どうやらルビィちゃんたちも騒ぎを聞きつけてここに来たようだった。
「何かあったのか。」
「はい、理事長が果南さんを無理矢理スクールアイドルに勧誘してこうなったんです。」
なるほど。どうしてもスクールアイドルをやらせたい鞠莉さんと絶対にやりたくない果南さんとが衝突したんだな。
いや、もう少し時と場所を選んでくださいよ。結構な数のギャラリーが見てますよ。
これは止めに入ったほうがいいのだろうか?いや、でも介入して余計に面倒くさい事になったら嫌だな。
そんなことを考えていると
「私行ってくる。」
「おい千歌待て!」
自分の制止もむなしく千歌は教室の中へと入っていった。
二年生の千歌が急に教室に入ってきたので三年生の人たちも驚いている。
「いい加減に・・・しろ~~!!!」
突然のお説教にみんなは開いた口がふさがらない。
「もうっ!なんかよく分からない話をいつまでもずっとずっと、隠してないでちゃんと話しなさい!」
「千歌には関係な」
「あるよ!」
「ダイヤさんも鞠莉さんも三人そろって放課後部室に来てください。」
「いや、でもっ・・・」
「い・い・で・す・ね?」
「「「はい・・・」」」
千歌のやつ、三年生に向かって言い放ったぞ。
すごいとかじゃなくて、よくそんなことをしようと思ったな。
ー 放課後 ー
千歌の言いつけ通り三人とも。部室に来てくれた。
「何度も言うけど東京のイベントで歌えなかったの。」
「それはダイヤさんから聞いた。けど、それで諦める果南ちゃんじゃないでしょ?」
「そうそう千歌っちの言う通りよ。」
「何か事情があるんだよね?」
「・・・そんなものはないよ。私が歌えなかっただけ。」
果南さんはそう言うが、千歌が聞いた瞬間に果南さんの眉が少し動いたのを見逃さなかった。
やはり何か隠している。
「とにかく!私は嫌になったの。スクールアイドルは・・・絶対にやらない。」
そう言って果南さんは部室を出た。
すると梨子が
「瑠惟君とダイヤさん、何か知っていますよね?」
「「げっ・・」」
「瑠惟君は前に聞いたときにうやむやにしたし、ダイヤさんは変に果南さんの肩をもっていましたし。」
ダイヤさんの方を見ると何かを悟った顔をしていた。
「・・・分かりました。お話ししましょう。瑠惟さんもお願いします。」
ようやくこの時が来たか。
「はい。知っていることなら全部話します。」
「ここではあれですし、私の家でお話ししましょう。」
ー ダイヤさん宅 ー
「ではまず瑠惟さんからお願いします。」
「自分は二年前に友人に誘われて東京スクールアイドルのイベントに行きました。最初はスクールアイドルにあまり興味はありませんでした。ですが、そこで見たアイドルの人たちはみんな輝いて見えました。イベントも進んで果南さんたちがステージに出てきました。その時にある違和感を感じました。それが当たったのか果南さんたちはステージに立ち尽くすだけでした。ここからは自分の推測ですが果南さんはわざと歌わなかったんじゃないでしょうか?なぜなら果南さんは鞠莉さんを守るためだったから。あの時、鞠莉さんは足を痛めていたんだと思います。ステージに出てくるときに歩き方が足を痛めている人の歩き方だったんです。そこで果南さんはけがを悪化させないために歌わなかった。歌わなければダンスは始まりませんから。でも、なんでスクールアイドルを辞めたのかは分かりません。」
「・・・やはりあなたは分かっていたのですね。」
「ということは・・・」
「はい。瑠惟さんの言ったことは全て事実です。」
「果南・・・」
「あのまま続けていたら事故になるかもしれなかった。あなたが一番分かっていたはずですわよ。」
「でも、その後は?けがが治ったら続けても良かったのに。」
あぁそこが一番の疑問点だ。何もやめる必要までは無かったのでは。
「そうよ・・・花火大会に向けて新しい曲作って、ダンスも衣装も完璧にして・・・なのに・・・」
「心配していたのですわ。あなた留学や転校の話があるたびに全部断っていたのでしょう。」
「そんなの当たり前でしょ!!」
「果南さんは思っていたのですわ。このままでは自分たちのせいで鞠莉さんから未来の色んな可能性が奪われてしまうのではないかって。」
「まさか・・・それで・・・ッ!」
鞠莉さんが踵を返した。
「どこに行くんですの?」
「ぶん殴る!そんなこと一言も相談せずに!」
「お止めなさい。果南さんはずっとあなたのこと見てきたのですよ。立場も。気持ちも。そしてあなたの将来も。誰よりも考えている。」
そう言って鞠莉さんは駆けだした。
さて、マネージャーとして、過去を知る人間として彼女達の為に動こう。
「千歌、ちょっと行ってくる。」
「え?・・・うん頑張ってね。マネージャーさん。」
千歌は何をするのか理解してくれたようだ。
「瑠惟さん。果南さんたちをよろしくお願いします。あの子たちは不器用なんです。だから・・・」
「分かってますよ。じゃあ行ってきます。」
とりあえず鞠莉さんを追いかけよう。
ー瑠惟sideoutー
ー鞠莉side inー
気づいたら私は走り出していた。
雨の中傘も差さずにひたすら前に前に。
果南、そんなの私には分からないよ。
どうして言ってくれなかったの?
それでも私は気づいてあげられなかった。果南の想いに。
「あんっ!」バタッ!
私はたとえつまずいて倒れても行かなきゃいけないの。だから・・・
「鞠莉さん。はい。こんな雨の中傘も差さずにいたら風邪引きますよ。」
「え?」
そこには傘を持った瑠惟がいた。
「どうして・・・」
「今から果南さんとぶつかるんですよね。そんなびしょ濡れじゃ果南さんびっくりしますよ。」
「果南さんも鞠莉さんも不器用なんですよ。でも、お互いを想う気持ちは同じ。それって素晴らしい事じゃありませんか?自分ってコミュ障ヘタレなんで分かります。素直に気持ちを伝えるってほんとに難しい事だって。でも言わなければずっと分からないままだっていうことも分かってます。だから鞠莉さんも果南さんに本当の気持ちを伝えてください。そうすればきっと果南さんも答えてくれます。」
「瑠惟・・・」
全く、昔はあんなにちっちゃくて泣き虫だった瑠惟がいつの間にこんなヒーローみたいに成長したのかしら。彼にここまでされたらやるしかないわよね。
「ありがとう。それにしても瑠惟はずいぶん変わったね。」
みんな同じこと言うよな。そんなに変わったのかな?いや・・・
「変わったというより千歌たちに変えられたんですよ。」
「そうね。私もそう思うわ。じゃあ行ってくるね。」
「はい。頑張ってください。次はマネージャーとして会いますよ。」
見送る彼を背に私はまた走り出した。
ー鞠莉sideoutー
ー果南side inー
あの後、鞠莉から呼び出されたので学校に向かっていた。
鞠莉、私はなんであんなひどい事を言うことしかできないんだろ。
分かっていたのに、なんでなの・・・
ちょうど正門まで来たときに彼はいた。
「果南さん。」
「あなたは・・・瑠惟ね。どうしてあなたがここにいるの?」
「まぁまぁそれは置いておいて、鞠莉さんに呼び出されたんですよね?」
「なんで知っているの?」
「いや、多分こうなるだろって思ったんです。」
「自分さっきダイヤさんと一緒にみんなに二年前の真実を話したんです。あの時、鞠莉さんのけがを心配した果南さんが鞠莉さんを守るためにわざと歌わなかったって。」
やっぱり彼には分かっていたか。何となくそんな気はしてた。
「それで、これ以上私に言うことがあるの?」
「はい。あります。」
すると彼は頭を下げて
「お願いします。鞠莉さんと本気でぶつかって、気持ちを受け止めてあげてください。鞠莉さんは自分にとって姉のような人なんです。小さい頃から本当の家族のように愛してくれて、自分に浦ノ星での居場所を与えてくれた人なんです。あの人が居なかったらAqoursと出会うこともなかった。なにより自分はもうこれ以上彼女が悲しむ姿を、あなたが悲しむ姿も見たくないんです。勝手な事とは十分わかっています。でも、お願いします!」
突然のことにびっくりしたがすぐに正気に戻って
「頭を上げて。分かった。あなたの全力に私は全力で答えるわ。」
「では、鞠莉さんをお願いします。」
「うん!任せて!」
私は彼を後にし、学校に入った。
彼が千歌たちが好きになった人か・・・
千歌や鞠莉が羨ましいな/////
ー果南sideoutー
ー瑠惟side inー
よし。これであの二人はもう大丈夫だろう。
やることはやった。後は二人を信じるだけ・・・
「あなたも来ていましたのね。瑠惟さん。」
この声は・・・
「ダイヤさんもやっぱり心配だから見に来たんですよね?」
「いえ、私はもう確信していますの。もう大丈夫だと。」
「そうですか。三人は仲が良いんですね。」
「もちろんですわ。でも、今回はあなたに助けられたところが大きいですね。」
「いやいや。自分はただ仕事をしただけですよ。」
「本当に感謝していますわ。ありがとう。これから、あの二人を頼みましたわよ。あぁ見えて結構繊細なんですの。」
ホントにツンデレだなこの人は。
「なに言ってるんですか。三人も増えるんですよ。だよな?ルビィちゃん?」
背後からルビィちゃんの登場。もちろんダイヤさんは驚いている。
「ルビィ!?」
「親愛なるお姉ちゃん。ようこそAqoursへ。」
「全くあなた方は・・・分かりましたわ。じゃあ行きますわよ!」
「どういうことですか?」
「もちろん、花火大会に向けての練習ですわよ!十人で!」
果南さん、鞠莉さん、ダイヤさんを加えたAqoursは十人となった。
それからAqoursは花火大会に向けて練習を重ねた。
どうやら曲は以前果南さんたちが途中まで考えていたものを使うようだ。曲は彼女たちに任せたが、一応マネージャーなので衣装作りは手伝った。それにしてもルビィちゃんは和服系の衣装を作るのがうまいな。
ー 花火大会当日 ー
「みんなそろそろ本番だぞ。準備できたか?」
「うん!瑠惟君見て!どう?似合うかな?」
おぉ、なんというか今までにない感じがする。
「あぁ、みんな似合ってるぞ。・・・可愛い。」
「え?今、可愛いって/////」
「・・・・・・」
「はいはい。イチャイチャするのもここまでね。」
「イチャイチャしてないですよ。果南さん。」
「とにかくみんな行くよ!私たちの新しいステージ!」
「鞠莉、ダイヤ、今までで待たせてごめんね。」
「何言ってるの果南らしくないよ!」
「そうですわよ!今日は楽しみますわよ!」
新しくなったAqours。曲は『未熟Dreamer』
花火が打ち上がる夏の夜空の下で歌う彼女たちは綺麗で美しくなによりも輝いていた。
「あれ?」
気が付いたら自然と涙が出ていた。
それほどまでに彼女たちに感動していた。
あぁマネージャーをやっていて、彼女たちに会えて本当に良かった。
するとステージの方から
「ここでAqoursのマネージャーさんにもステージに来てもらいましょう。」
ん?マネージャーって誰だ?あっ自分だ。
今、ステージに来いって言ったような。
「それではご紹介します。Aqoursのマネージャーを務める、西王瑠惟さんです!」
いまいち状況が理解出来ていないままステージへと誘導された。
えぇ・・・めっちゃカメラ回ってますやん。
スタッフに連れられてステージに来たがどうすればいいんだ?
「では一言お願します。」
なんだ、そういう事か・・・
「まず、私たちにこのような機会を与えてくださり感謝します。Aqoursは新たに三人加えた総勢十人となりました。ここに来るまでにたくさんの壁にぶつかってきました。。でもそれ以上にたくさん楽しい事や嬉しい事もありました。それらは全部Aqoursと出会わなければ絶対に起こり得ませんでした。今こうしてここに立っていること、Aqoursのみんなと一緒にいること、これってすごいキセキなんだなって思います。それにAqoursには色んな個性のメンバーがいます。
ある子は輝くことを夢見た。
ある子は大切な親友と何かを成すことを夢見た。
ある子は地味な自分を変えることを夢見た。
ある子は憧れたアイドルになることを夢見た。
ある子は新しい自分になることを夢見た。
ある子は堕天使になることを夢見た。
ある子は失った時間を取り戻す事を夢見た。
ある子はかつての衝突を乗り越えて再びアイドルになることを夢見た。
ある子は昔のようにみんなと歌って踊ることを夢見た。
そして自分は・・・そんな彼女たちを支え、新たな景色を見ることを夢見た。
まだまだ未熟な彼女たちですが、いつかきっと素晴らしいことを成し遂げてくれる。自分は信じています。すいません、全然一言じゃありませんでしたね。とにかくこれからもAqoursをよろしくお願いします。」
やっちまった・・・。つい長々と話してしまった。めっちゃ静かだしどうしよこの空気。
すると・・・
パチパチパチパチパチパチ!
「あ、ありがとうございました!それではみなさんもう一度Aqoursに盛大な拍手を!」
パチパチパチパチパチパチ!
安堵して後ろを振り返るとAqoursのみんなが泣いていた。
え?何か変なことでも言ったかな?
すると千歌が
「せーのっ!」
「「「「「「「「「いつもありがとう!これからもよろしくお願いします!」」」」」」」」」
みんな・・・
「もちろんだ。こちらこそよろしく。」
ちなみに、この花火大会がテレビ放送されて、さらに新聞でも取り上げられてAqoursのメンバー以上にマネージャーが有名になったのはまた別のお話。
ー ライブ後 ー
「・・・ふふっ。」
「どうしたの果南ちゃん?」
「私たちのグループ名もAqoursだったんだよ。」
そう言えばそうでしたよね。
「これは偶然・・・?」
違うんだよなそれが。みんなまんまとはめられたんだよな。
「違いますよね?ダイヤさん。」
「さぁ?どうでしょうか?」
白々しいですね。それなら・・・
「ダイヤさんって本当にツンデレですよね。」
「じゃあ、あの時砂浜に『Aqours』って書いたのは・・・」
「ち、違いますわよ/////」
次は番外編です。