転生レ級の鎮守府生活   作:ストスト

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深海提督さんに続いて二人目、
あら汁さんとのコラボです。
一応、キャラ崩壊注意です。
あと、コラボの共通設定として、
本編とはパラレルであり、全く関係
ありません。
読む前にあら汁さんの
「陸上進化。イ級改め、イロハ級」を
読んでおくとより理解出来ます。



IFストーリー「コラボ:あら汁さん」

とある鎮守府に、三人ーーーーーー

正確には人型でないのが一人

混じっているがーーーーーー、

ともかく三人の深海棲艦が所属している。

 

一人は、両足を失った駆逐棲姫。

彼女には艦娘だった頃の記憶があり、

長らくそれによって苦しめられてきた。

 

もう一人は、超弩級重雷装航空巡洋戦艦レ級。

皆からは「レキ」という愛称で呼ばれている。

彼女は人工の深海棲艦(姫もある意味そうである)

で、姫を「お姉ちゃん」と呼んでいる。

 

そして、最後の一人が、イロハ級である。

彼はもともとは只のイ級だったのだが、

何らかの原因で陸上進化を遂げた為に、

意志を持つようになった。

ちなみにレキからは「お兄ちゃん」と

呼ばれている。

 

彼らは、人間のエゴや国の思惑に翻弄

されながらも、気高く、そして強く。

生きていた。

彼女達に共感したり、助けられたりした艦娘も

おり、他の鎮守府はさておき、彼女達が

所属している鎮守府は(提督の胃腸以外)

至って平和であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある日の夜。

イロハ級は、お酒とつまみを買って帰る

途中であった。

 

「はあーあ。こんな夜空の綺麗な夜には

月見酒月見酒、と」

 

ふんふんと鼻歌を歌いながら道路を

のっしのっしと歩いていくイロハ。

と、その先、鎮守府近くの埠頭に誰かが

座っているのを見つけた。

 

「あれは……レキか?」

 

その姿は、レキに酷似していた。

いや、瓜二つと言っても過言ではない。

思わず、能天気に声をかけた。

 

「お〜い、レキ〜。こんな遅くにこんな所で

なにやってんだ〜?」

 

するとレキはびっくりしたようにこちらを見て

慌てて駆け出した。

 

「ちょッ⁉︎待った待った逃げるな‼︎」

 

だがその声を気にもかけず、レキは闇の中に

姿を消してしまった。

イロハは自分が何かレキにした覚えが

ないことに首を傾げながら喫茶店に戻った。

 

「ただいまー」

 

「おかえりイロハ」

イロハを駆逐棲姫と、

「おかえりなさいお兄ちゃん‼︎」

レキが出迎えた。

 

「あれ?レキ、お前鎮守府の近くに

いなかったか?」

 

「ううん。お姉ちゃんと一緒に

劇場版の“ご馳走はうさぎですよね?”を見てたよ。

ねぇ?」とレキが姫の方を見た。

 

「ええ。ずっと一緒にいたわよ」

 

証言者がいるなら間違いないだろう。

 

「じゃあ、俺が見たのは……?」

 

「何かあったの?」

 

「いや、なんでもない」

 

「ところでなんでお酒とつまみが入った

袋があるの?」

 

「ギクッ‼︎」

 

数秒後、喫茶店の中からイロハの悲鳴が

上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日。

 

「うう……昨日は散々な目にあった」

 

レキの事に気を取られたせいで

月見酒をせずに帰ってきてしまい、

その酒とつまみが原因で一悶着起きてしまった。

時計を見ると、開店までまだ時間があった。

 

「今日はもう少し寝てよう……」と

イロハが眠ろうとした時。

 

「ギャーーーーーーーーーーーーッ‼︎」

喫茶店の外から大音量の悲鳴が

聞こえた。レキのものだ。

 

「どうした⁉︎何かあったのか⁉︎」

イロハが慌てて外に飛びだし、レキの所に

行くと、そこには。

 

 

 

 

 

 

レキと瓜二つの少女が喫茶店のドアの横に

身体をもたれさせて眠っていた。

 

「あ〜……なるほどね……そういう事か」

 

イロハは昨日の夜の謎がやっと解けた。

レキが知らないと言っていたのも無理はない。

 

「俺が昨日見たのはレキじゃなくて、

このレキのそっくりさん(・・・・・・・・・)だった訳か」

 

 

 

 

 

 

 

数十分後、喫茶店の中。喫茶店の皆が集まった中、

「俺の名前はレンゲって言います」

そう、レキのそっくりさんは名乗った。

 

「レンゲ……ちゃん?」

 

レキがおずおずとその顔を見た。

こうやって見ると、ますますレキとレンゲは

似ていた。双子と言っても大丈夫かもしれない程。

 

「なんで、昨日の夜、あんな所にいて、

俺を見て逃げたんですか?」

 

レンゲはそれを聞いて僅かに身を縮こませたが、

やがて、小さい声で呟いた。

 

「その……俺は横須賀鎮守府に所属していて、

皆と仲良くなって上手くやっていたんですけど……」

 

レンゲはそこで顔を上げて言った。

 

「昨日、愛宕っていう艦娘と喧嘩して、

それで俺、鎮守府から家出したんです」

 

「えッ⁉︎い、家出‼︎」

榛名がびっくりした声を出す。

 

「昨日、なんで逃げたんだ?」

 

「え、あの、その……

……イロハさんの姿にビビって逃げました……

すいません……」

 

「……」

確かに、イロハの姿を知らない人が

夜中に見たらそれはビビるだろう。

が、その言葉はイロハのメンタルにダメージを

与えた。

 

「うん……なんかこちらこそ……ごめん」

なんとなく気まずい空気が流れた後、

レンゲはイロハから逃げた後の事を話した。

 

近くの鎮守府に泊めてもらおうとしたが、

それだと横須賀の鎮守府にすぐばれてしまうので

諦めた事。

その後、さまよい歩いていて、喫茶店の光が

見えたのでそこで泊めてもらおうと思ったが、

その時疲労が限界まで達していて、

扉に手をかけた所で眠ってしまった事を話した。

 

「この後はどうするの?」

 

「とりあえず、ここでしばらく働かせて下さい。

迷惑はかけません。お願いします‼︎」

 

レンゲはそう言いながら頭を下げた。

すると、それまで黙っていた姫が口を開いた。

 

「駄目よ。それよりもやるべきことがあるんじゃ

ないの?愛宕って人に謝ることが」

 

レンゲはそれを聞いて、

「嫌ですよ。あっちが謝るまで俺は帰りません」と

言い放つ。

 

「意外に強情だな」とぼそりとヴェールヌイが

呟いた。

 

姫はそれを聞いてはあ……とため息をつきながら

レンゲの説得にかかった。

 

「貴女ねぇ……愛宕って人が、いや、

愛宕さんだけの問題じゃない。

鎮守府の問題にまで今発展してるのよ?

貴女はその事について責任とれるの?」

 

「……誰がなんと言おうと、あっちが悪いんです」

レンゲは俯きながら反論した。

 

「……その事で、仲間が解体処分になったり

していいの?提督が裁判にかけられてもいいの?」

 

「ッ‼︎」

明らかな動揺。

 

「提督は面会出来るからいいけど、艦娘は

解体処分されたら二度と会えないのよ。

分かる?貴女が家出したせいで愛宕さんは

解体処分されるかもしれないのよ?

二度と会えなくなるかもしれないのよ‼︎」

 

レンゲの顔色が真っ青になっていく。

 

「私もね、ある理由で危うく一人の

娘を解体処分にしかけたわ。

その時は海軍に圧力かけたから

なんとかなったけど、貴女は出来ないでしょう?

愛宕さんを貴女は殺したいの⁉︎」

 

もうその時点で、レンゲはガタガタ震え、

泣き出していた。

 

「ど……どぉしょぉおお……ヒック……俺の……

俺のせいで……グスッ……愛宕さんが……

愛宕ざんがじんぢゃゔゔゔ……グスッ」

 

「だからね。鎮守府に戻って、愛宕さんに

謝って来なさい。“ごめんなさい”って」

 

姫がレンゲの頭を優しく撫でながら諭す。

 

「とりあえず、今お腹空いてない?

お腹を満たしてから帰りなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レンゲは、喫茶店でお腹を満たしてから、

元いた鎮守府に戻っていった。

去り際に「ありがとう」と何度もお礼を

言いながら。

 

「良かった。姫のおかげで解決したね」

 

「別に……私は家出は駄目だって諭したかった

だけだし……まあ、これでいいんだと思う」

 

イロハは姫と共に、レンゲが去っていった

方向を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

数日後。喫茶店にレンゲからの

手紙とたくさんのクッキーが届いた。

手紙には愛宕と仲直りした事、

その印にクッキーを焼いた事、

喫茶店の皆へのお礼にたくさん焼いたので

食べてほしいという事が書かれていた。

そのクッキーは、食べた人曰く、

 

「幸せになれる味」だったという。




あら汁さんに気に入って貰えると
いいなぁ……。
次、深海提督さんとのコラボ書きます。

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