転生レ級の鎮守府生活   作:ストスト

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良かったな長門、レンゲと
今回いちゃいちゃ出来るぞ‼︎


「練習」

レンゲが鹵獲されてからはや数日。

「……俺の水上航行の練習を一緒に

やってくれるんですか⁉︎長門さん‼︎」

 

「ああ、もちろんだ。安心しろ。

この私がいれば一日で海上を駆け回ることが

できるようになるぞ‼︎」

 

(本来なら天龍か比叡が担当する訳

だったんだがな)

 

そう心の中で呟き、長門はレンゲの片手を

握ると練習場へと連れて行った。

実は長門は提督に直談判して、

なだめすかしてようやくこの担当になったのだ。

そのため楽しみもひとしおである。

長門の頭の中では「四苦八苦するレンゲを

頼れるお姉さんとして指導する自分」の

構図が既に生まれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

練習場。

そこは射撃や之字運動専用の場所もあり、

かなり充実している。

 

「さあ、とりあえずレンゲの本気を

見せてくれ」

 

「分かりました‼︎」

 

レンゲは桟橋から海上に危なげなく立ち、

ゆっくりと海上航行を始めた。

最初は遅く、段々と早く。

そして、ターンやブレーキをかけてみたり

する。之字運動も何回か繰り返す。

……但し、一回も転んだりする事なく。

 

 

「……えっ……」

 

「えっ、嘘ッ⁉︎転ばずに出来た⁉︎」

 

これには両方とも拍子抜けした。

二人とも別々の意味でだが。

 

「あ、出来るんだ……うん、出来るなら

いいんだ、レンゲ……」

 

「長門さん、だ、大丈夫ですか?」

 

特に、長門にとってはこれは予想外の

悲しすぎる結末であった。

レンゲがこれではまずいと気を利かせる。

 

「え、あ、じゃ、じゃあ砲撃‼︎

砲撃練習しましょう‼︎」

 

「砲撃……」

 

長門がポツリと呟く。

よほどダメージが大きかったようだ。

 

「砲撃って俺やったことないんです。

もしよかったら教えて頂けたら……」

 

「そうか‼︎それなら私に任せろ‼︎

大船に乗ったつもりで安心してくれ‼︎

はっはっはっは‼︎」

 

先程のダメージは何処へやら、

完全復活した長門は「レンゲ、砲撃練習場は

こっちだぞ‼︎」と喜び勇んでレンゲを

連れて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やあ皆。レンゲだ。今どういう状況だって?

ーーーーーー砲撃練習で模擬弾を全弾

命中させて長門さんがorzの姿勢になっている

状況だよ……。

というかさっきの航行練習といい、

超進歩してないか俺⁉︎

多分だけどこれが元々の

「レ級としての」基本スペックなのだろう。

道理でゲームのレ級があんなに強い訳だ……。

長門さんは後で一緒に間宮さんとこの

アイス食べれば機嫌直してくれるだろう……。

 

「……ん?」

 

遠くの方に誰かいる。

目を細めてみると、

そこには翔鶴が立ってこちらを

見ている。

 

「あれ、横須賀の鎮守府に翔鶴さん

なんていましたっけ?」

 

「ん……いや、翔鶴は内房(千葉にある)の

鎮守府の所属だが……あそこの提督は

ここの提督と仲が悪くてな、

よく演習で優劣を決めるんだよ。

大抵うちが勝つんだが」

 

「へー」

 

俺が見ていると、視線に気付いたのだろう。

翔鶴がペコリとこちらに向けてお辞儀した。

 

「あ、どうも」と俺もお辞儀する。

お辞儀してくれるんだから内房鎮守府と

横須賀鎮守府の艦娘の仲はそんなには

悪くないだろう。

 

「そう言えば、なんで仲悪いんですか?」

 

「そういえば私も知らないな……

なんでだろうな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、鎮守府の執務室では。

二人の男が向かい合って話し合っていた。

 

「久しぶりですね。半年ぶりに会ったせいか

前より背が伸びたように見えますよ」

 

一人は横須賀鎮守府の提督、神崎提督。

 

「……世間話はこれまでにしましょう。

単刀直入に聞きます。

あなたは何故あの鹵獲したレ級を

野放しにしておくのですか?」

 

そしてもう一人は、内房鎮守府所属の提督、

芝浦 武史提督だった。

彼は15歳という非常に年若い提督だ。

これは大日本海軍が実力主義をモットーと

しているからである。

 

「野放しにはしていませんよ。

24時間艦娘の監視があの子に入っています」

 

「では何故レ級の航行訓練を承認したの

ですか‼︎」

 

芝浦は声を荒げた。

 

「レンゲ君のストレスを解消するためです。

何日も鎮守府内に閉じ込めてしまっては

ストレスが溜まって暴走してしまう

可能性もあります。

今回の訓練はそのストレスを解消

させてあげるためです」

 

「貴方は甘すぎる。

深海棲艦など我々と理解し合う

ことなど不可能なんですよ‼︎

……その内大本営から呼び出しが

かかるでしょう。

あのレ級に情でも移らないように

するんですね」

 

芝浦はそう、恨み辛みを込めて

言い放った。

 

「そうだ。最近なんですがまた

翔鶴の練度が上がりましてね。

誰かと演習をしてみたいと思うの

ですが……ああ、空母同士で

加賀とでも演習してみましょうか」

 

「え、今加賀さんは」

 

神崎は止めようとしたが、

 

「では先に演習場で待ってますので」と

芝浦は興味を持たずに先に退出してしまった。

 

「あー……まずいなあ……どうしましょうか」

 

神崎は一瞬頭を抱えたが外の演習場にいる

レンゲの事を思い出し、近くにいた電に

レンゲを呼ばせる。

無論、レンゲはこの後に起こることなど

何一つ知らなかった。




さあ、段々とシリアスになってまいりました。
次回はレンゲがドンパチします!
レンゲ「レッドファイッ‼︎」

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