転生レ級の鎮守府生活   作:ストスト

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今回は丙型サイドの話です。


「丙型談義」

「……サンズ、用意は出来ていると聞いたんだが

何故すぐに抜錨しないんだい?」

 

深海棲艦の巣食う名もない小島。

その海岸を臨んで立っているサンズに、

ゲンブは後ろから聞いた。

 

「あぁ。俺の用意は出来たが、霧ちゃんがまだ。

それにさ……あっちにもなるべく重圧を

かけておいた方がやりやすいし」

 

「なるほどね……しかし、今回の僕達の

“雇用主”……南方棲戦鬼とか言ったか。

彼女には艦隊を指揮する才能が欠如して

いるらしい。部下が命令を聞かないからね。

例えるなら、チンピラ集団みたいなもんか」

 

その言葉にサンズはフッ、と鼻で笑った。

そしてゲンブの方に振り向き、目に

笑いの色を浮かべた。

 

「そんなんでも一応対価を払って貰えば

傭兵の仕事としては充分成り立つからな」

 

「金ヅルって所か」

 

「まぁね」

 

そこに、霧秀が日本刀を背負ってサンズ達の

方に歩いてきた。

 

「待たせて申し訳ない。某、日課の精神統一は

欠かせなくてな」

 

「いいさいいさ。俺も昔のことを思い出してたし」

 

「昔のサンズは尖ってたからねぇ。海もそう。

昔より随分と穏やかになったよ」

 

霧秀が懐かしげに頷きながらゲンブの言葉を

肯定する。

 

「あの頃は某どもも今日を生きるのに必死で

あったな……乱世と形容出来るものではない、

地獄と言うべきか」

 

「乱乱乱世ってか?」

 

「乱を付け加えればいいってもんじゃないよ」

 

サンズはヘラヘラと笑いながらタバコを

取り出して火をつけた。

 

「地獄といやぁ……お前らに聞くんだけど、

地獄はあると思うか?」

 

「さぁねぇ……」

 

「天国はどうでもいいんだが、地獄は

あってもらわないと困る。

いずれ、用になるからな」

 

サンズはふぅ、と紫煙を口から吐き出しながら

言った。ゲンブは煙を振り払うと、

煙たそうに咳をした。

 

「ところで計画の段取りは?どんな感じだい?」

 

「詳しくは行きながらで話すが、正面からは

ぶつからない。……まあ少しはぶつかるけど。

最終目標は相手戦力の削減。戦闘機も含め。

米国からの贈り物(援軍)に対しては

ゲンブが対処してくれ」

 

「そんな重大なポジションを任せないでくれ。

胃が痛くなるから」

 

「計画の成否はゲンブの双肩にかかってるぞ‼︎」

 

「おい止めろ馬鹿」

 

「戦力の削減……となると、某も使わない訳が

あるまい?」

 

「ビーンーゴ。霧ちゃんは……暗殺を頼むわ。

お前、そういうの得意だろ?」

 

「得手……と言う訳でもないが。引き受けよう」

 

またまたぁ、とサンズは気安い様子で

コツンと霧秀の肩をどつく。

 

「荒れ狂う海に紛れて幾多の者を

斬殺した暗殺者さんが何言ってんのさ〜」

 

「まぁいい……サンズ。そろそろ征くべきでは

ないか?今から行けば早朝に襲撃をかけられる」

 

「そうだね……姫さんとこの駆逐艦をいくつか

借りて行こう。ゲンブは遠くから。

霧ちゃんは艦隊の指揮頼むわ」

 

サンズはそう言いながら火の付いたタバコを

握り潰して、近くの砂浜に刺しておいた

刀……長ドスに近い形をしたそれを引き抜くと、

「おし、じゃあ抜錨。行くぜ」と言った。

 

「承った」

 

「了解」

 

こうして、三体の丙型生命体が動き出した。

どす黒い奸計を伴って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーーーーソウカ。奴ラガ抜錨シタカ」

 

「ハイ。我ラノ仲間ヲ伴ッテ沖縄鎮守府へト」

 

それを聞いて南方棲戦鬼はニヤリと笑った。

 

「デキレバ彼ラダケデ終ワラセテ欲シイモノネ。

ダケド……見テミタイワ……艦娘共ガ絶望スル様」

 

「艦娘共、我ラト彼ラガ手ヲ組ンデイルト

知ッタ時ドンナ顔ヲスルデショウカ?」

 

「ソレハモウ、飛ビッキリノ“良イ顔”ヨ……♪

アァ……本当ニ見テ見タイワ……♪」

 

ニヤリとした笑みから恍惚とした表情に変わる。

南方棲戦鬼は身悶えしながら、部下に言い放つ。

 

「モウ、私達ハ誰ニモ止メラレナイ……。

楯突イタ奴ハイズレ気ヅクノヨ……‼︎

“悪ハ決シテ滅ビハシナイ”トネェ‼︎

ウフフ……アハハハハハハハハハハハハハハ‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、サンズは航行していたが、突然身を

ビクッ‼︎と震わせた。

 

「どうした?」

 

「いや……なんつーか……すっごく嫌な感じが

背中に走ったわ。あー、気色悪りぃ」

 

サンズは背中を気にしていたが、やがて

その感じはなくなったようで、いつもの

調子に戻り、航行に専念した。

 

沖縄まで、あと少しの距離である。




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