転生レ級の鎮守府生活   作:ストスト

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「沖縄の提督」

沖縄鎮守府。その門を一人の男が走りながら

潜った。

彼は白い軍服を纏っており、一目で軍人で

あるということが分かる。

彼の名は糸井川 雅人。

沖縄鎮守府の艦娘達を束ねる提督であり、

そして……類い稀なスケベ男であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レンゲ達はその頃、沖縄鎮守府の提督抜きで

食事をしていた。

提督がいないことに対しては多摩から

「大丈夫だ、問題にゃい」との返答が返ってきた。

 

だけど、レンゲ達にはもう一つの問題に

直面していた。

天龍のことである。

先程からほとんど話さないのだ。

 

「ねぇ……なんか僕達まずいことでもやったっけ」

 

「いや……心辺りが全くないんだが……レンゲは

どうだ?」

 

「俺もないよ……」

 

レンゲ達は天龍に聞こえないようにひそひそと

話をしていた。

 

「時雨は?」

 

「僕も全く……でもさ、天龍さん龍田さんと

目を全く合わせてないような気がするんだけど」

 

言われてみて初めて彼女達は気づいた。

天龍は球磨や木曾との話に相槌をうっているが

一切龍田の方向には目を向けることがない。

「天龍さんと龍田さんに何か確執でも……」

 

「お前らそのへんにしといた方がええで」

 

龍驤だ。レンゲ達に向けて目配せをすると、

再び食事を再開した。

 

「……まあ天龍さんにも事情はあるし」

この話は終わりにしようということで

駆逐艦娘とレンゲはその話題から離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで、ここの提督はどんな奴なんだ?」

 

途端、球磨が真剣な表情になった。

 

「よく聞いてくれたクマ。ここの提督、

糸井川提督は……」

 

ゴクリ、と誰かが生唾を飲む音が聞こえた。

 

「……スケベな奴だクマ」

 

ズルッ、と天龍が椅子からずり落ち、

慌てて姿勢を元に戻す。

 

「糸井川……まさかまたその名前を聞く羽目に

なるなんてな。もう二度と聞かんと思ってたん

やけど」

 

はああ……と龍驤がため息をついた。

以前に彼と何かあったのだろうか?

 

「一日一回はプロレス技をかけてたんを

思い出すわ……」

 

「球磨はよくアイアン・クローをやってるクマ」

 

……部下から残虐なプロレス技を食らうLvで

彼はセクハラを行っていたようだ……。

そこまでスケベな男となると、逆にどんな奴か

実際に見てみたくなる。

 

と、部屋の扉が開けられた。

開かれた扉から30代前半位の男性が

クーラーボックスを担いで入って来て、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

多摩にそのクーラーボックスを奪われ、

間髪入れずに龍驤のドロップキックを叩きこまれ

部屋から退場した。

 

「龍驤さああん⁉︎何やってんですか⁉︎」

 

「何って少しお寝んねしてもらうだけや」

 

「少しっつーか永遠にお寝んねするだろ⁉︎」

 

俺と天龍の鋭いツッコミが入る。

あんなの普通に食らったら病院送りになるか、

人事不省は免れないだろう。

 

「大丈夫や、手加減はしとるわ」

 

「にゃ。糸井川提督には手加減しない方が

いいにゃ。なまじっかな威力だと効果ないし」

 

「どんだけタフなんだよ……⁉︎」

 

天龍の呟きに応えるように先程の男性が

ひょっこりと顔を見せた。

 

「全く、俺じゃなかったら死んでるぞ」

 

ドロップキックをまともに食らったとは

思えないくらいに彼はピンピンしていた。

 

「久しぶりにやったからなぁ。

次はもう少し強くやるわ」

 

龍驤が残念そうに呟き、多摩と共に

クーラーボックスの中身を確認した。

 

「おっ、魚か〜」

 

「やったにゃ。さっさと刺身にして食うにゃ」

 

クーラーボックスの中身は魚等の海産物で

あった。そのことに多摩がガッツポーズを

取り、喜ぶ。

 

「おい、俺のことは誰も心配しないのか?

寂しさで死んじまうよ」

 

「どうせいつものことやろ」

 

「そうだねー。何回このくだり見たっけ」

 

そっけない返事が返ってくる中、龍田だけは

彼をフォローした。

 

「はいはい司令官、大変だったわね〜」

 

「やっぱり俺のことを真に思ってくれるのは

龍田だけだな、秘書艦にしておくには惜しい」

 

糸井川提督は龍田に抱きつこうとして、

首元に薙刀を突きつけられた。

 

「どうせそうくると思ったわ〜。

抱きつく振りして胸揉むつもりでしょ〜?」

 

その手、切り落とすわよ〜、と龍田さんは

笑顔で凄んだ。

 

「レンゲ、あれに近づいたら駄目やで。

近づかれたら、こう、股間の辺りをな……」

 

あー……理解した。それ男にやったら

あかん奴ですわ……息子(意味深)が

役に立たなくなる奴だわ……。

 

「……ドタバタしたが、とりあえず自己紹介。

俺がこの沖縄鎮守府の提督、糸井川 雅人だ。

短い間だが、よろしく頼む」

 

糸井川提督はそう言うと、一礼をして

龍田と龍驤の間の席に座った。

 

「あー、演習とかはいつやるん?」

 

「そうだな、2、3日後ぐらいに検討している」

 

「じゃあその時は荷物に鍵掛けとかんとな」

 

「……お前は俺のことをなんだと思ってる?」

 

龍驤は考える素振りも見せずに、

「スケベ男やと思っとるんやけど?」と

即座に返答した。

 

うーむ、意外に辛辣だなぁ。

というかどれだけスケベ行為をこの男は

してきたのか……長門以上の変態に思えてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

横須賀鎮守府。

 

「へクシュ‼︎」と長門はくしゃみをした。

 

「ああ、レンゲがいないから体調を

崩してしまった……」

 

「そんなくだらねー冗談言ってる暇が

あったらとっとと仕事をするのです」

 

電が書類仕事を淡々とこなしながら長門を

急かす。

 

「分かってるさ。ところで……南方で

深海棲艦に動きがあったらしいが、

その後はどうなってるんだろうな?」

 

「まだ何の動きもしていない。

次は十中八九リンガに向かうだろうな」

 

長門は書類にサインをして「受理」と書かれた

箱に入れると、次の書類仕事に取り掛かる。

 

「まさか……丙型生命体が深海棲艦と

手を組んでたりしてな」

 

「はは、そんなことあったら一日レンゲの

ゴスロリ衣装着てやってもいいがな」

 

「お前のゴスロリ姿は見たいが

そんなことがないことを私は切に願うよ」

 

電の冗談に長門は笑いながら答えたのだった。


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