転生レ級の鎮守府生活   作:ストスト

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鎌倉に行きました。
本当は横須賀行きたかったんやけどな。


「服なんて何でもいいってば」

「レンゲちゃん、服買いに行きましょうよ」

 

「……は、はぁ。なんで?」

 

夏もそろそろ後半。残暑になる頃。

漣から買い物の誘いが来た。

 

「なんでって、レンゲちゃん自分の服

持ってないでしょう?他の人から服借りてるって

聞いたんだけど、違うっけ?」

 

それは合っている。今俺が来ている服は

睦月のお下がりだ。他にも白露型の制服を

借りて着ていたりするが、若干ながら胸の

辺りが窮屈なのであまり着ていない。

 

「レンゲちゃんも自分の服欲しいでしょ?

大規模な作戦もないし、丁度良いし。

あ、ご主人様にはもう休暇の許可は

とってありますから」

 

ご主人様……?あ、神崎提督のことね。

 

「あー……でも俺、あれだよ?

天龍さんの監視がないと外出禁止だよ」

 

「大丈夫だ、問題ない。天龍さんにはもう

言ってありますから」

 

俺の意思ガン無視かよ……。

まあ、しょうがないか。行こう。

 

「分かりました。いつ行くんですか?」

 

「今」

 

「は?」

 

「今から買い物行こう。天龍さんも今日しか

空いてないって言ってるし」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

横須賀のアウトレットモール。

 

「さてと、レンゲ、お前何の服買うんだ?」

 

「……まだ決めてないです……」

 

「ん?なんかお前今日テンション低くないか?」

 

天龍の服装はいつものとは違い、

ダメージジーンズにTシャツ、その上に

薄手のパーカーの出で立ち。

漣は逆にいつもの制服だった。

 

「気のせいですよ」

 

「そうか?ならいいけど」

 

「ところでなんで漣はいつもの格好なの?」

 

「あ、これ?いや〜ほら漣の服装って

普通に中学生の制服に見えるんですな、これが」

 

漣曰く、普通に自分が制服を着ていても艦娘だと

ばれないという。

まあ、ばれてもしょっちゅう艦娘達は

このアウトレットモールに来ているため、

「あ、艦娘だ」という位の反応で済むらしいが。

今の俺達はどう見えているだろうか?

漣と俺の服装は違うが、学校の制服に見えるという

共通点がある。そして天龍の格好から、

さしずめ「違う中学に通っている女学生達が

どちらかの姉と一緒に買い物に来た」

みたいな感じだろうか?

 

「じゃ、早く行こうぜ」

 

wktk(ワクテカ)して来ました‼︎」

 

俺達は、アウトレットモールの一角にある服屋に

向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、実は、レンゲ以外にもアウトレットモールを

訪れている艦娘がいた。

 

「久しぶりの休みだが……レンゲと外出したかった」

 

長門と、

 

「彼女だって一人の時間は欲しいだろうし、

あまり自分を押し付けない方がいいんじゃない?」

 

川内である。

二人はフードコートで食事をとりながら、

会話をしていた。

 

「なあ、川内。お前が駆逐艦娘の教導艦だから

聞くんだが、私が駆逐艦娘に懐かれるには

どうしたらいいと思う?」

 

川内は蕎麦をすすり、

「まあ……話とか駆逐艦娘達からよく聞くけど、

戦艦の人とかに対してはなんというか、

話しにくいって言ってたりするよ?」と言った。

 

「むう……」

 

「だからまず、そうだね……駆逐艦娘が

話しやすい空気を作るとか、そうした方がいいと

私は思うけど」

 

「そうか……そうだな」

 

長門はラーメンのスープを飲み、ふう、と一息

ついた。

 

「この後どうする?」

 

「そうだな……帰っても特にすることはないし、

この際だ、新しい服でも買うか」

 

「あ、いいねそれ。こないだ新しくここに

服屋出来たし、そこに行こうよ」

 

「飯を食べてからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あのねぇ……」

 

俺は震えていた。怒りではなく、

恥ずかしさで。

 

「服買いに来たんだよね?」

 

「あぁ」

 

顔を真っ赤にしながら、俺はフリルの付いた

スカートを掴んで言った。

 

「なんで俺の服装をゴスロリファッション(・・・・・・・・・・)

にしてんだよ‼︎」

 

今の俺の服装は正に「ゴスロリ」の一言で

表せる。天龍達に「なんでもいい」と言った所

こうなった。

……うん。なんでもいいとは言ったが

流石にこれは嫌だ。恥ずかしい。

 

「くぅ〜何も言えねぇ〜。似合い過ぎ〜」

 

「漣の服選びのセンスはかなりいいからな。

俺の服装も漣に選んでもらったんだぜ?」

 

「いや……これかなり目立ちますよ⁉︎

俺の身分知ってて言ってるんですか⁉︎」

 

今の俺は深海棲艦だ。そんなのがゴスロリで

街中を歩いてたら即アウトになるのが

目に見えている。

 

「レンゲちゃん見た時からゴスロリ着せて

みたかったんですよ〜。服装との相性も

良さげな感じだったし」

 

「まあ街中だと目立つから、鎮守府の中で

着ればいいじゃないか」

 

(絶対着るもんか)

 

俺は心の中で固く誓うのだった。

 

「あ、写真撮らせて」

 

NOともYESとも言わない内にスマホの

シャッター音が鳴る。

 

「キタコレ!ベストショットだお‼︎」

 

「そんなことはいいから普通の服に

しろーーーーーー‼︎」

 

 

 

 

 

数十分後。

 

「やっと終わった……」

 

俺が選んだものが漣に何回も駄目出しされ、

二人の意見をぶつけ合い、ようやく普通の

服を(あのゴスロリファッション含め)購入した。

女性が服買うのに時間がかかる理由が

分かった気がする。

 

「さてと、服も買った事だし、フードコートで

飯食おうぜ」

 

「あ、天龍さん、そろそろメールうpしないと」

 

「おっと、提督に報告しねーと。ったく、

あの人意外に時間に厳しいよなぁ……」

 

天龍はぼやきながら、メールを早打ちして

神崎提督に送信した。

 

「じゃあ行こうか。お前ら何食う?」

 

「漣は炒飯で」

 

「俺はうどんにしようかな」

 

そんなこんなで色々とあったが、無事(?)

俺は服を買ってもらったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

「何⁉︎レンゲが服を買ってもらった⁉︎

どこでだ⁉︎」

 

「鎮守府の近くのアウトレットモールの、

最近出来た服屋です」

 

「なんだと……時間が丁度良かったら

レンゲに会えたのに……」

 

「あ、レンゲちゃんのその時の写真

送りますよ?写真うp、と」

 

漣から送られてきた写真を見て、長門は

「ブッ‼︎」

鼻血を出して卒倒した。

 

「わーーーーーー‼︎誰かー‼︎

長門さんを船渠にー‼︎」

 

その日、横須賀鎮守府の書類の処理速度は

一人の秘書艦の不在により大きく落ちたという。




疲れた……

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