転生レ級の鎮守府生活   作:ストスト

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出オチ、そして飯テロ確定。

*比叡の料理を食べた。
あなたは目の前が真っ暗になった……
(undertale 風)



「比叡のパーフェクトお料理教室‼︎」

炭化して黒くなった物体から、

何か化学工場の事故とかで発生するような

匂いが俺達、否、周囲に流れ出している。

物体は所々灰と化し、得体の知れない

材料が顔を覗かせている。

 

さて、ここで皆に問いたい。

 

……先程の描写を見て、今のが料理を

描写したものだと気づけただろうか。

 

俺だって信じたくはないさ。

だけど、目の前でその工程を見せられては

信じざるを得ない……。

そもそも何故こうなったか。

それは数十分前に遡る。

 

 

 

 

 

 

「俺に料理の味見をしてもらいたい?」

 

「ええ。お姉様に手料理を食べてもらいたくて。

でも私だけだと味に心配があるから……他の人に

味見とかしてもらえたらいいんだけど」

 

「俺で良ければまあいいですよ」

 

「本当に⁉︎ありがとうレンゲちゃん‼︎」

 

あの時、こんな返答をしなければ良かったと

今の俺は死ぬ程後悔している。

その後、俺と比叡は間宮さんの調理場を

借りさせてもらい、比叡はそこで調理を

開始した。

 

「気合い‼︎ 入れて‼︎ いきます‼︎」

 

気合いを入れてくれるのはいいが……。

比叡さん、あんた何を入れているんだ?

その料理には普通いれないような得体の知れない

それは何⁉︎

しかもやばい匂いまでしてるんですけど⁉︎

絶対食ったら駄目な奴だよねそれは⁉︎

 

「完成しました〜‼︎自信作のスコーンです。

レンゲちゃん、味見して下さい」

 

「うぅ……うん……」

 

俺はその暗黒物質を口に含もうとしたが、

本能がそれを全力で拒否してくる。

「食ったら死ぬぞ」と、身体を

縛りつけてしまう。

 

そうして、今に至るという訳だ。

 

 

 

「……えっと……な、何を入れたんですか……?」

 

「えっと……●●●とか、★★★とかー……」

 

自主規制待ったなしの材料の名前を口に出す

比叡。

 

「あの……非常に、非常に言いにくいんですけど、

……普通スコーンにはそんなもの入れませんよ」

 

「ええ⁉︎」

 

まじか!といった反応をする比叡。

いや、マジだから。こんなダークマター

人が食ったら死ぬ。

 

「あー、じゃあ、どんな感じで料理すれば

いいですかね?」

 

生憎、俺は料理はやらない。出来るとしても

ベーコンエッグが精々だろう。

俺が不用意に口出ししても良くなるか

分からないし、はっきり言って

他の人に聞いた方が早いだろう。

 

「ん〜……俺はあまりそういうのは

分からないから、間宮さん辺りに聞いてみたら

どうかな?あの人料理得意だし」

 

「ああ‼︎それが一番いいですね‼︎

そうしましょうそうしましょう‼︎」

 

比叡さんはそう言うと善は急げとばかりに

間宮さんを探しに行った。

 

「はぁ……この負の産物、どうしよう」

 

俺の前には、真っ黒に炭化した

物体と、大量のスコーンの材料が残されていた。

 

 

「あれ、レンゲじゃないか。どうしたの?

その炭素の塊を前にして」

 

そこに、皐月がやって来て、

うわ、なんだこの異臭は、と鼻を

摘んだ。

 

「いやね、これ比叡さんが作ったスコーン

なんだよ……」と俺は炭素の塊を指さした。

 

「え"っ……もしかして、食べた⁉︎」

 

「?いや、一口も」

 

ほっとしたように皐月はため息をつくと、

俺に比叡の手料理の威力を説明し始めた。

 

「いい?比叡さんの料理ははっきり言って

大量殺戮兵器に匹敵するんだ……

前に時雨が間違って食べた時には……」

 

間違ってあんな消し炭を食べるだろうか?

……詮索しないでおこう。

 

「死んだの?」

 

「いや、死にはしなかったけど……

しばらく時雨は錯乱してたね。

一週間位」

 

「SAN値やべぇな……」

 

何処ぞのアニメではないが、

「SAN値ピンチ‼︎」と言ってしまいたくなる

位の発狂ぶりだったそうな。

 

「マジで食わないで良かった……」

 

「ところで比叡さんは?」

 

「ああ……間宮さんに自分の料理のどこが

駄目だったかを聞きに行ったよ」

 

「そっか。比叡さんの壊滅的な料理の才能は

治りそうにないけど……」

 

「言ってやるなよ……」

 

そんなこんなで皐月と色々な話をしていると、

比叡が戻ってきた。

 

「ごめんねー置いてけぼりにして。

でも、間宮さんにちゃんとアドバイスして

もらって、スコーンを焼いてきたよ‼︎」

 

そう言って比叡は俺の手にスコーンを一個

乗せた。まだ暖かい。

 

「えと、じゃあ頂きます」

 

俺は、恐る恐るスコーンを口にした。

……美味しい。

 

「美味しいです。このスコーン」

 

「そう⁉︎やった〜‼︎このスコーンならお姉様に

安心して送れる〜‼︎」

 

ガッツポーズをして、比叡がルンリルンリと

スキップをして食堂から出て行った。

 

「え、大丈夫だったの?平気?なんともない?」

 

「大丈夫だってば皐月。なんともないよ」

 

「……美味しかったの?」

 

「うん」

 

「食べたかったな、僕も」

 

「あとで一個もらいに行けばいいじゃん。

一個位なら比叡さんも許可するでしょ」

 

「そうだね。そうしよう」

 

結局その後皐月はスコーンにありつけたらしい。

俺はというと間宮さんがどんなアドバイスを

したのか凄く気になったので聞きに行った所、

「特に何もしてませんよ」と笑いながら

言われた。

いや、そう言われると余計に気になるんだけど。

ちなみにスコーンを送られた金剛から比叡に

向けて「何があった⁉︎」と電話が届くのだが

それはまた別の話。




前に母がスコーンを焼いてくれた事があったから
料理の話にスコーンを出しました。

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