転生レ級の鎮守府生活   作:ストスト

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サンズ、ゲンブ、イカリの容姿を
簡素ながら書かせて頂きました。
見たい人は見たいと書いて下さい。
多かったら設定の方に貼っておきます。


「足元に迫る6本の槍」

俺達は、羅針盤が今度こそ狂わないよう

祈りながら、三宅島へと急いでいた。

 

「ちょっと岩礁が多いが近道を使うぜ」

 

旗艦の天龍が僅かながら針路を変更する。

そこは確かに言う通り岩礁があちこちに表出して

いて、通るのに危険を伴うものだった。

その為、意識しなくとも自然に速力は

ゆっくりとなる。

 

「足元に気をつけろよ。岩礁で足を

切るからな」

天龍の言葉で更にゆっくりとした速力になる。

この状況で襲われたらひとたまりもない。

まさにそう思っていた時だった。

 

 

 

 

 

「フン……私と君は、何かの糸で繋がってるように

思うね……三回。三回も邂逅するとは。

君もそう思わないか?レ級」

 

白い八本の腕。

黒目と白目の色が逆転した人外の存在。

イカリの姿が岩礁の上にあった。

 

「ッ‼︎お前は……‼︎」

 

芝浦がイカリを睨む。

芝浦にはイカリにこんな身体(ヲ級の姿)

された因縁がある。

 

「おや。誰かと思ったら……私に簡単に

騙された海軍の狗じゃないか」

 

「貴様ッ‼︎」

 

「怖い怖い……その表情。

私はね……そんな反抗的な目をしてる奴を

見ると……ぶち殺したくなるタチでねえ‼︎

更に海軍の手下となれば‼︎

尚更ぶち殺したくてうずうずしてるんだよ‼︎」

 

イカリは狂気的な、残虐な目をこちらに

向けた。

 

「なんで……なんでそんなに海軍を恨んでるんだ」

 

冷静に、天龍が動きながらイカリに問う。

この場所ではいささか分が悪い。

時間稼ぎをして少しでも広いところに出ようと

天龍は考えたのだ。

 

イカリは知ってか知らずか、岩礁から

別の岩礁に飛び移りながら答えた。

 

「私も……いや、私達もかつては海軍に

忠誠を誓い、日本を愛したモノだった。

だが……その忠誠を。

愛国心を奴らは簡単に踏みにじった‼︎」

 

ガツッ‼︎と槍の石付きで岩礁を砕く。

 

「俺達の戦いは、常に深海棲艦とだった。

最初の頃は俺達が簡単に勝った。勝ち続けた。

英雄ともてはやされた。

だが‼︎忘れもしない。

俺達の身体に深海棲艦の野郎共が齧りついた時‼︎

上層部はこんな命令を下しやがった……

「そのまま自爆しろ。そうすれば

海上の船は助かるだろう」……。

ふざけるな。

俺達の中にはまだ18の若造もいた。

年若い妻がいる者もいた。

まだ生まれた赤ん坊すら抱けてねぇ奴もいたんだ‼︎

なのに。そいつらを皆殺すような真似をしろと?

ふざけるなよチクショウがアアアアアア‼︎」

 

感情の迸りと共に、イカリは一本の槍を

起爆した。

 

ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオン‼︎

 

まるで噴火するように爆風が上空に飛ぶ。

イカリは無造作にその槍を投げ捨てた。

 

「……結局、私達は自爆して海の底に沈んだ。

だが、そこで終わりじゃなかった。

私達はその未練を骨として、

この愚かな判断を下した海軍への恨みを血肉と

して。

蘇ったのだよ……最早深海棲艦など超えた

存在として。

私はこう思った。これは神がくれたチャンスだ。

神が復讐しろと、そう思ったのさ。

海軍の奴らを地獄に叩き落すまで。

私は死ねない。もう二度と。

あのような惨めな最後を迎える訳にはいかない‼︎」

 

既に、俺達は岩礁海域を抜けて広いところに

出ていた。

 

「貴様は、その思いによって何の罪もない者を

何百人も殺してきたのか?それこそ、許される行為

ではないじゃないか‼︎」

 

「黙れ‼︎貴様にはわかるまい。

この憎しみを。迸る怒りを‼︎」

 

イカリが槍と水中銃を構えた。

 

「お前ら!来るぞ‼︎気張っていくぜ‼︎」

俺達も奴の攻撃に備えるために、

対潜攻撃が強い複縦陣を形成した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、羅針盤が狂わなかった

第7、10番艦隊以外の艦隊は、既に

三宅島付近まで来ていた。

 

 

ゲンブは艦隊が迫るのを見て、静かに呟いた。

 

「来たね。こちらも、全力で歓迎しようか。

準備は全員終わったか?……今丁度全員終わった?

ならいい。……主砲展開‼︎」

その言葉と共にフジツボ達が口の中から

12.7cm砲を触手と一緒にせり出す。

 

「目標‼︎600m付近の艦隊」

 

ジャカッという音と共に弾が装填される。

 

「仰角35°……斉射‼︎」

 

瞬間、辺り一面に連続した轟音と大量の硝煙が

広がった。

 

 

 

その衝撃と音は離れていた艦隊に

叩きつけるように伝わった。

 

「ッ‼︎」

そして、硝煙を突き抜けて何十、何百という砲弾が

彼女に向かい襲いかかる。

 

「回避‼︎総員回避ーー‼︎」

 

即座に彼女らは回避、もしくは退避したが、

何百という砲弾が飛んでくるのだ。

数人に直撃し、大破した者まで出た。

当然ながら大破した者は中破、小破した者に

牽引されて撤退する。

 

 

やがて、硝煙が晴れる。

そして現れた敵をみて、皆息を飲んだ。

 

1km程に渡り何か白いロボットのような

ものが何体も、何十体も、何百体と。

延々と沿岸に並んでいた。

彼女達は理解した。

この白いロボット全てが、自分達の敵である事に。

 

 

「サンズの読みが当たっていたという訳か」

 

ゲンブはそう言いながら艦載機を再び発艦する

用意をした。

 

「とりあえず、殺しはしない。

少し痛い目にあってもらおうかな。

……AからEまでの奴らは砲撃‼︎

FからKの奴らは雷撃を開始しろ‼︎」

 

そう命令すると同時に、ゲンブは

10機程の艦載機を発艦するのだった。

 

 

 

0作戦

艦娘46⇒38(5人小破、1人中破、2人大破)




やっと本格的な戦闘シーンが……

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