転生レ級の鎮守府生活   作:ストスト

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レンゲの出番が減っていやがる……(危機感)


「ルールなき戦い」

 

サンズは、空を眺めていた。

それは船を沈める事に興味を無くしたからでも、

サボっている訳でもなかった。

やがて、その空の中に黒い点ーーーーーー、

艦載機を目視で確認した。

 

「……イカリッ‼︎鎮守府の奴らが

出迎えに来たぜ‼︎」

 

返事はない。だが二度も言う必要もない。

戦場において、自分に関する全てを

聞き逃さず、見逃さない者だけが生き残ることが

出来るのだ。

サンズは多薬室砲にUSB状の筒を挿入し、

続いて砲弾を2発装填した。

その時、フジツボが船の他にターゲットを

発見した。内房鎮守府の艦娘達である。

即座にフジツボ達は12.7cm単装砲で

艦娘達を砲撃した。

だがその砲弾は当たらない。まだ彼女らとの

距離は大体800、900mはあった。

 

「……一発、脅しで撃ってやるか」と

サンズは多薬室砲を艦娘達に向け、

トリガーを引いた。

刹那。

 

バアアアアアアアアアアアアアンッッ‼︎

 

凄まじい爆音と共に反動でサンズの右腕が

弾かれたように上がり、そしてあり得ない速度で

砲弾が撃ち出され。

艦娘達から70〜80m離れた所に着弾した。

水柱を立てて爆発が起きる。

その大きさは戦艦の砲撃でも出せるかどうか。

少なくとも、艦娘達に衝撃を与えた事は紛れもなく

彼女らにとっての事実であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へーイ⁉︎なんなんデスか今の威力は⁉︎

あんなの直撃したら戦艦でもただじゃ

すまないヨ‼︎」と金剛が叫んだ。

 

「確かに、深海棲艦以上の規格外な存在の

ようですが、今の奴らは駆逐艦と戦艦だけの

編成のようです。なんとかなるでしょう」

榛名はそう言って、サンズに向けて標準を

合わせた。

今もなお近づけているので、サンズとの距離は

400〜300mぐらいか。

この距離なら一応直撃弾は出せる。

更に彼女は練度も高く、当てる自信があった。

 

「発射ッ‼︎」

彼女の35.6cm連装砲が火を吹いた。

 

(この一撃で、有利な状況に追い込む‼︎)

 

だが、彼女は知るよしもなかった。

深海棲艦も持っている同族意識を、

丙型生命体は何一つ、その気になれば

慈悲の欠けらすら与えない程に持ち合わせて

いなかった事に。

 

サンズは、丁度目の前で砲撃をしていた

一体のフジツボを恐ろしい勢いで

蹴り上げて、宙に僅かながら浮かせた。

そしてその位置は、フジツボにとって

榛名の砲弾から完全にサンズの盾代わりとなる

所であった。

 

榛名の砲弾がフジツボに命中、爆発する。

しかし本来の目的のサンズは何一つ、

傷一つなかった。

砲弾によって身体を真っ二つにされた

フジツボは、触手を力無く蠢かせながら

海の中に沈んでいった。

 

「あいつ……仲間を容赦なく盾にした⁉︎」

 

霞がサンズのとった行動に驚く。

だが、更に彼女らを驚かす事態が起きた。

なんと、船の上から砲弾が撃ち出され、

彼女達に襲いかかったのだ。

 

「ッ⁉︎」

 

みると、船の上に一体の丙型生命体、

イカリの姿があった。

一本の槍を持ちながら、

二対の水中銃のような艤装でこちらを

狙っている。

 

「……奴らは、規格外なだけじゃなかった」

 

矢を取り出しながら、蒼龍が呟いた。

その顔には緊張による汗が張り付いていた。

 

「勝つ為ならどんな方法も厭わない悪魔よ……‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪魔、ねぇ……違うんだよなぁ」

 

サンズが蒼龍の呟きを聞き取り、独り言のように

言った。

 

俺達(・・)は、深海棲艦と同じ、

怨念の塊なんだよ。たった一つの違いを

除けば、ね」

 

「サンズ。ブツブツ言ってないで戦え」

 

イカリが水中銃から銛のような砲弾を

撃ち出しながら言い放つ。

 

「わーってるよ。ッー……ダッ‼︎」

 

サンズはそう言いながら、左手のトマホークを

アンダースローで投擲した。

太陽の光で乱反射しながらトマホークは

まっすぐに飛んでいき。

金剛の左手側の連装砲に突き刺さった。

 

「shit‼︎提督に貰った大切な装備が‼︎」

 

金剛が怯んだ瞬間、サンズはその懐に

走り込んだ。砲撃戦ではなく、

肉弾戦を挑んだのだ。

 

「よそ見しとる場合かアアアアアッ‼︎」

 

「ッ‼︎」

 

サンズの膝蹴りを金剛は身体を反らせて回避する。

続いてサンズは肘打ちを金剛の胸に撃ち込んだ。

 

「ううッ‼︎」

 

「金剛姉様‼︎」

 

近寄ろうとする榛名を金剛は制した。

その間にもサンズはハイキックや手刀などの

多様な攻撃を仕掛けてくる。

 

「榛名‼︎私は大丈夫デス‼︎だから今は

船の方をお願いしマスッ!」

 

「……はいッ‼︎」

 

榛名は一瞬躊躇したものの、すぐに気を

引き締めて船の方向に向かっていった。

 

「よそ見たァいい度胸してんじゃねぇの‼︎」

とサンズが叫びながら放ったケンカキックを

両手で金剛は受け止めた。

 

「いつまでも……」

 

サンズの足を掴み、力を入れる。

 

「お……、おおッ⁉︎」

 

「いつまでも私が怒らないと思ったら

大間違いデース‼︎」

そして、力任せに金剛はサンズをぶん投げた。

 

「うおおああああああああッ⁉︎」

 

そして、海面に叩きつけられたサンズに向かい、

標準を定める。

 

「これでfinishネ!BURNING……

LOOOOOOOOOOVE‼︎」

 

2基(1基はトマホークで破壊された)の

41cm連装砲が火を吹いた。

サンズに一直線に向かい、直後。

 

 

 

 

 

 

サンズが予め金剛の艤装から抜いておいた

トマホークで全ての砲弾を弾いた。

 

「W……Whats⁉︎」

 

みると、サンズのトマホークは見覚えある

ほのかな光の膜で包まれている。

……艦娘の身体を砲弾から守る保護膜(バリアー)だ。

 

「一瞬……ヒヤッとしたぜ。

ところでお前、旗艦か?」

 

「Youに教える必要はないデス」

 

「まぁ、いいや。一言言わせてもらう。

……なんだよッ今のヘナチョコな攻撃はよォ‼︎

大体なァ〜攻撃する前に叫ぶんじゃねぇや

やかましいんだよ‼︎このスットコドッコイの

エセ外人がッ‼︎」

 

突如、噴火したように怒りだすサンズ。

その行動に、金剛はあっけにとられた。

 

「……フゥ〜気持ちを押さえられたぜ

ありがとう、待っていてくれて」

 

(な、なんなんデスかコイツ……⁉︎

行動が全く読めないデース……)

 

トマホークを腰に戻し、サンズが再び肉弾戦に

移行しようとする。金剛は慌てて

サンズから距離を置いて砲撃戦に移行させようと

するのだった。




情け無用の男、リヴァイア・サンズ‼︎
(デッデデーン)

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