転生レ級の鎮守府生活   作:ストスト

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今回三宅島を選んだのは千葉に
適度に近いからです。


「強襲、三宅島‼︎」

ーーーーーーその日、三宅島は

晴天に恵まれていた。島民もそれを

反映したようにのんびりと釣りをしたり、

漁船に乗って漁へと行っていた。

だからこそ。

 

 

 

 

 

丙型生命体にとってはこれ以上ない

好機であった。

突如として、いくつかの漁船が続けて

爆破される。

それを見て上がる悲鳴。叫び。

だがそれは只の前座でしかなかった。

 

「ヒャッハハハハハアーーーーーーッ‼︎

島おいてけ‼︎なあお前ら島民だ‼︎

島民だろ?なあ島民だろお前らアッ‼︎」

 

意味不明の叫びをあげ、一体の影が島の漁港に

迫る。リヴァイア・サンズだ。

右手に多薬室砲、左手には柄の部分も

鉄で作られたトマホーク(斧の一種)を

携えている。

 

「ひいい‼︎深海棲艦だああああ‼︎」

 

「早く深海棲艦警報を出せッ‼︎

皆殺しにあうぞ‼︎」

 

「間に合わねぇ‼︎艦娘が来る前に

俺達みんな殺されちまう‼︎」

 

男達の絶望と焦燥の怒号が辺りに響き渡る。

 

「いざとなりゃ俺があの怪物を止める!

その間に逃げろッ‼︎」

 

ウウウウウウウウウウウ……とサイレンが

島中に鳴り響く。

 

「緊急深海棲艦警報が発令されました……

速やかに島外へ避難して下さい……現在……

深海棲艦は……」と放送が島中の島民に

危機を伝えた。

 

だが、丁度その警報が発令された時、

サンズは三宅島に上陸した。

 

「ッ……うおおおおお‼︎」

 

逃げる人々の時間稼ぎをするために、

勇敢な青年が鉄パイプでサンズに

殴りかかる。

 

ガアアァァァァァン‼︎

 

だが、それは惜しくもトマホークに

止められてしまった。

そして鉄同士の激突は凄まじい衝撃を

生み出し、二人の腕に流れ込んだ。

 

「があああああ‼︎」

 

たまらず男が鉄パイプを放り出す。

その隙を逃さず、サンズは男に

容赦無く斧を叩き込んだ。

一度目は右肩に。

二度目は頭に。

二度目で男は、この世に別れを告げた。

だがサンズは死体を尚も打ちのめす。

 

グシャッ! グシャ‼︎ グチャッ‼︎

 

斧によって、肉と血がシェイクされてゆく。

サンズは血や肉が顔に飛ぼうが構わず

斧をうち振るった。

 

「もう、死んでるよそいつ」

 

後から来たゲンブがサンズに言い放つ。

 

「死んでるってのは、肉と血が適度に

シェイクされてスムージーみたいな状態の

事を表すのかい?」

 

それを聞いてサンズは

「いや?とりあえず斧の切れ味を

試しただけなんだが」と言った。

 

「島民はいいのか?ほっておくのかい?」

 

「別にねぇ……」とサンズは空を見上げた。

 

 

 

 

 

 

 

その頃。島の反対側では島民を載せた船が

出航し始めていた。

まだ島の中には人々がいるが、避難が

速やかに行われた為にその数は

数十人程度しかいない。

船に乗り遅れた人々は絶望に襲われた事だろう。

しかし、船に乗り込んだ人々も、まだ絶望から

逃れてはいなかった。

 

 

 

 

 

 

俺がやらなくても勝手にやってくれるから(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

突如、一番前を航行していた船が爆破された。

 

「どうした⁉︎何があった‼︎」

 

「潜水艦かもしれない。くそっ、

勘付いていやがった‼︎」

 

そう後続の船員達が話し合う間に、

前の船は船体を真っ二つに割かれ沈んでいった。

 

 

その海中。

イカリが沈みゆく船を尻目に水中銃の

弾倉を交換していた。

 

(クククククク……焦っている焦っている。

お前達に恨みはないが……作戦の為だ。

沈んで海に消えろ)

 

イカリはそう呟きながら後続の船団に

向けて、水中銃を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、内房鎮守府。

 

「……そうか。やはり俺は奴に騙されたと

言うわけか」

 

事態を説明され、ヲ級と成り果てた芝浦が

(服は蒼龍のものを借りている)ポツリと

呟いた。

 

「ああ。そいつが名乗っていた倉井という

人物はいたが、2日前に殺されていた。

恐らくは奴の仕業だな」

 

天龍が吐き捨てるように言う。

 

「まさか人間の振りをしてくるとはね。

深海棲艦でさえそんな狡猾な真似はしなかったわ」

 

比叡が感心したように言い、それから紅茶を

一口飲んだ。

 

「最早、あれは深海棲艦ではないでち。

深海棲艦以上の何かとしか言いようがない……」

 

「丙型生命体」と神崎が言い放つ。

 

「丙型生命体?なんですかそれは」

 

「かつて大本営に捕らえられていた

存在。今はそれしか言えません」

 

神崎は大本営に固くその事を話す事を

禁じられている。

芝浦がその事について追求しようとした時。

霞が扉を開けて飛び込んできた。

 

 

「大変よ‼︎深海棲艦が三宅島を占拠したと

連絡が‼︎今も島民が乗った船が攻撃を

受けてるって‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は戻り三宅島。

サンズ達は首尾よく三宅島を占拠していた。

そして、今は島民の乗った船を追撃している。

 

「ボーキもねぇ!バケツもねぇ!

全く戦艦俺一人‼︎」

 

「歌うな、黙れ」

 

サンズの歌をイカリが制する。

 

「てかさあ、フジツボ達使わないの?」

 

「あちらの方が足が早いか。使うとしよう」

 

そう言ってイカリは口に触手を当て、

ヒューッ‼︎と口笛を吹く。

刹那、船の周りに10隻程の怪物が現れた。

その姿はまるで深海棲艦の艦載機に酷似

していたが、大きさは3m程。

全身が白く、そして赤い幾何学模様のラインが

走っていた。

 

「やれ。中の人間はくれてやる。

……ぶち殺せッ‼︎」

 

フジツボ、と呼ばれた怪物が体の下から

黒い触手と共に12.7cm単装砲をせり出し、

砲撃を開始した。

 

「フハハハハーーーーーー‼︎」

 

イカリ自身も天高く哄笑しながら

水中銃での攻撃を開始する。

その笑いは、辺り一帯に広がっていった。




他の丙型生命体のスペック解説。
ゲンブ
耐久68 装甲72 火力8
対空85 雷装0 運23
イカリ
耐久 9 装甲12 火力7
対空0 雷装69 運14
フジツボ(仮称)
耐久17 装甲6 火力11
対空21 雷装26 運7

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