転生レ級の鎮守府生活   作:ストスト

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前回のあらすじ
トラックに轢かれました→転生しました
な ぜ そ う な っ た


「立つのは難し生きるのは辛し」

ありのまま今起きた事を話そう。

俺はトラックに轢かれて死んだと思っていたら

レ級の姿になっていた。

手品とかそんなチャチなもんじゃない。

もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……。

と、そんな感じでしばらくの間

ポルナレフ(放心)状態に

俺は陥っていたがなんとか気を取り戻した。

 

「とりあえず、何処か適当な場所を探すか」

 

日差しも段々と暑くなっていく。

このままだと脱水症も有り得るだろう。

俺はよっこいしょと腰を上げて、

 

ーーーーーーバランスを崩して次の瞬間

頭から海面に突っ込んでいた。

 

「ブウウウウッ‼︎しょっぱッ‼︎ゲホッ、ウェッ!」

 

その拍子に海水を飲んでしまい強烈な塩辛さが

口の中を支配する。

 

「あー……死ぬかと思った。つーか、

海面の上に立つのってやっぱり難しいな」

 

かつて放送していたアニメでは艦娘達は

海面を滑るように移動していた。

無論敵である深海棲艦も同じように

移動していたが、そう簡単にできること

ではないらしい。

まぁ、そのアニメの主人公も最初は

転んでいたが。

 

「立てないのは流石に……まずいよな」

 

俺は海面の上に立つのを目標として、

しばらく頑張ってみた。

 

 

 

 

 

 

 

1時間後。

 

「なんとか立てた……」

 

あの後、俺は様々な方法を試して、

ある一つの方法で立つ事が出来た。

両足を若干内側に曲げて、両手を広げるやり方だ。

ただ、一つ問題があった。

ーーーーーーこの姿勢でバランスを崩すと

両足の間に尻を置く形、つまりは

「ぺたん座り」という非常に女の子らしい

姿を見せてしまう。

俺にとっては「晒す」といっても過言ではない

生き恥を見せてしまうのだ。

 

「次は移動だけ、ど……」

 

これは先程より早く習得出来た。

「動け動け」と念じるだけで前に滑ることが出来た。

……ゆっくりな上に件の姿勢のままだが。

 

「これで移動の心配はないな。

……フードだけ脱ぐか」

 

太陽はますます光を強くし、俺は既に

びっしょり汗をかいていた。

コートを脱ぐという手もあったが、

深海棲艦とはいえ異性だ。

異性の(しかもレ級はコートの下の

布面積がとても少ない)身体を見るのは

流石に気が引ける。

せめてフードだけ、と俺はフードを取った。

あれ、と俺はそのとき気づいた。

レ級としての俺の身体は、僅かだが差異が

あるのだ。

髪は、フードの中に隠れている可能性もあるが

セミロングぐらいの長さがあった。

足も、ゲームの絵だと奥行きがない

感じだが、ちゃんと容姿に見合った

長さだ。更に血色がない上に足首の所から

黒い紋様が走っている。

 

「そういえば、艤装って出せるかな?」

 

レ級の艤装といえばあの蛇みたいな尻尾だ。

尻尾の先に深海棲艦特有の意匠が施されたものだが、

今の俺には生えていない。

試しに呟いてみる。

 

「……出ろ」

 

そう言った刹那、まさに「瞬きする間に」、

あの尻尾の艤装も含め、腰のあたりに

三連装の主砲塔、二連装の副砲塔が出現した。

 

「わひゃあああ⁉︎」

 

驚くと同時に、艤装の重量でバランスが

崩れる。

あっと思う間もなく、俺は海面に

尻餅をついていた。

あの女の子らしい座り方で。

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜ッ⁉︎」

 

顔が熱を持っていく。自分でも

顔が赤くなっていくのが分かった。

恥ずかしい……。

俺はそう思いながら艤装を戻して

立ち上がった。

 

そのときだった。

殺気のこもった視線がいくつも俺に

注がれていた事に気付いたのは。

おそるおそる、視線の方向に顔を向ける。

 

そこには女性がいた。

龍の角の如き頭部の艤装。

右目に付けられた眼帯。

そして手にしているのは艦首を模した刀。

背後には駆逐艦娘達がこちらに艤装を向けて

身構えている。

 

「電探に反応があるから来てみたら……

くそッ、ついてねーな全く」

 

勝気な口調で喋る女性。

間違いない。彼女は、

「天龍型軽巡洋艦一番艦:天龍」だ。

自分もゲームでは遠征組としていつもお世話に

なっていた。……いや、今はそういう事は

どうでもいい。一番の問題は、

 

「おまえら‼︎鎮守府に絶対こいつを

近付けさせるなよ‼︎死ぬ気でいくぜ‼︎」

 

「「「「「了解(なのです)(っぽい)‼︎」」」」」

 

俺を殺そうとしていることだ……。

てか、俺、また死ぬんかい⁉︎

 

 




主人公はウブです。割と本気で。
さて、2話目で再び命の危機を感じている
主人公。どうするんでしょうか?
レ級の身体なら勝ち確定なんですが。
ちなみに、駆逐艦娘達が了解と応答する
シーンですが、語尾でもう2人確定してます。
分かったならあなたはそれなりに
艦これマニアです。

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