転生レ級の鎮守府生活   作:ストスト

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レンゲの花言葉って
「あなたと一緒なら苦痛が和らぐ」
らしいですよ。それが彼女からの
言葉なのか、それとも彼女に送られる
言葉なのか。なんとなく深く
考えさせられました。


「海中の暗躍者」

「ガウウッ⁉︎ウウウウウウウウ‼︎」

 

ヲ級の艦載機が全て破壊される。

どうしようもなくなったヲ級。

だが、艦載機が殲滅されただけでは

深海棲艦は逃げ出すような真似はしない。

 

「諦めてとっとと捕まれ‼︎」

 

天龍が勧告する。その言葉が、

ヲ級のプライドをいたく傷付けた。

もはや艤装や艦載機など必要なかった。

ヲ級は、自らの手足で天龍達を沈める

事を決意した。つまり、

 

「ガアアアアアアッ‼︎」

 

「ぐぁッ⁉︎」

 

全力で相手を殴り出したのだ。

その殴り方はまるで子供の様なものであったが、

嵐か暴風の如くやたらめったらに拳を振り回す

為に、誰も近付けなかった。

 

「うおおおおお‼︎」

 

しかし、その分隙も大きく、

レンゲのタックルを受けてバランスを崩して

ヲ級はそのまま倒れてしまった。

 

「グウウウッ⁉︎」

 

ヲ級はレンゲを引き剥がそうとするが、

レンゲも必死だ。中々剥がれない。

 

「ウウウウッ……ガアアアッ‼︎」

 

ヲ級が蹴りや打撃を叩き込む。

 

「いい加減に……しろおおおおおッ‼︎」

 

無論レンゲが黙っている訳がなく、ヲ級は

殴り返された。

 

「グウッ‼︎ガウウッ‼︎」

ヲ級が姿勢をたち直すと同時にレンゲも

立ち上がり、そして。

凄絶な殴り合いを開始した。

 

ガツッ‼︎ ガッ‼︎ ガスッ‼︎ ガツンッ‼︎

鈍く、そして重い音が響く。

互いに相手を見据えながら、手心も

へったくれもなく殴り合う。

 

「ぐッ‼︎」 「ギッ⁉︎」 「はあッ‼︎」 「ガハッ‼︎」

天龍達は、二人の気迫に圧されて動くことが

出来なかった。

 

「お前なあ‼︎皆がよお‼︎皆ッ‼︎お前の事をッ‼︎」

 

やがて、レンゲの拳の連打にヲ級が押されていく。

 

「グ、オ、ウウッ……‼︎」

 

レンゲの片目が僅かに黄色く染まる。

それを見てヲ級が明らかな恐怖を顔に出した。

 

「心配してるんだよッ‼︎だからなァッ‼︎

いい加減……目を覚ましやがれえエエエエエエッ‼︎」

 

レンゲの全力の右ストレートが、ヲ級の顔に

クリーンヒットした。

 

「グ、ギ、アッ……」

 

ヲ級の体はそれを受け、踏み留まろうとしたが。

意識が耐え切れず、グラリと後ろの海面に

体を沈めた。

 

「はぁっ……はぁっ……天龍、さん……

皆、いますか?」

 

息を整えながら、レンゲは皆の安否を

確認した。

 

「少し待ってくれ。……こっち(横須賀)の方は

全員いる。そっちはどうだ?」

 

その問いに、内房の艦隊の旗艦である、

扶桑が顔を青くして応えた。

 

「ひ……一人、58さんが……58さんが

いません……通信にも応答が……」

 

「なんだって⁉︎」

 

「天龍さん、こいつ(ヲ級)頼みますッ‼︎」

 

レンゲが天龍にヲ級を託し、そして海面に

身体を潜り込ませた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海中に入った俺は、すぐに58を探した。

いくら潜水艦娘とはいえ、一度に

長時間潜水しているのは危険だ。

 

(何処だ……何処にいる……?)

 

俺は必死に探した。その時だった。

 

(貴様が探しているのは、このガキか……?

ククククククク)

 

まるで、直接頭の中に語りかけるように

声が聞こえた。

 

(こっちだ。お前から見て1時の方向だ)

 

その方向に目を向けると、そこには

58を触手で捕らえた烏賊のような

怪物がいた。

身長は2m程か。だが、身体から

伸びている8本の触手は15m程の

長さだ。

その内の2本に、水中銃のような艤装を

持っている。

そいつは烏賊の嘴のような潜水マスクを

つけて、そしてその状態でも分かる程の

陰湿な笑みを浮かべた。

 

(水中では、口を開けて話す事は

不可能なのでね。代わりに超音波を

使って話させてもらうよ)

 

そう言って、俺の元へと近づく。

とてつもない大きさの触手が迫る様は、

西洋の伝説に出てくる「クラーケン」を

思わせた。

 

(しかし、大本営が鹵獲したレ級が

いるとはね……ククク、てっきり

あそこの連中は無能低能のクズ揃いだと

思っていたが、多少はやるようだ)

 

大本営。その言葉に引っかかった。

まさか、あの、あの爬虫類の怪人の。

リヴァイア・サンズの仲間だというのか。

 

(まあ、自己紹介をさせて頂こうか。

私の名はイカリ。といっても、

覚える必要はない。何故なら……)

 

イカリの艤装が日の光を浴びて輝いた。

そして、イカリの目も俺という名の

獲物に輝く。

 

 

(君とこのガキを始末させてもらうからね‼︎)




次回のレンゲの奇妙な冒険
オリョールクルセイダースは(超大嘘)

サンズ「那珂は粉微塵に解体された……」

レンゲ「おい大嘘つくの止めろ」

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