転生レ級の鎮守府生活   作:ストスト

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「ようこそジャ●リパーク」を
デスメタ調にしたら一気に殺伐とした
雰囲気になるんじゃないかと気づいた
今日この頃。


「海月暴走」

 

「ガルウウウウッ‼︎」

 

ヲ級……否、ヲ級となった芝浦が

執務室の窓を叩き割って外へと

逃げ出す。

 

「ッ‼︎」

 

翔鶴は慌てて芝浦を追って窓から

顔を出して下を眺める。

執務室は4階にある。生身の人間が

そこから飛び降りようものなら

無事ではすまない。

ーーーーーーだが、今の芝浦は深海棲艦だ。

芝浦は両手両足全部を使い四つん這いになって

着地した。

そして痛がるような様子もなく、駆け出してゆく。

 

「あの方向は……‼︎」と翔鶴は

執務室を飛び出した。

(まずい……あの方向にあるのは……‼︎)

 

芝浦が走っていった方向には、

レンゲや天龍達、内房の艦娘達がいる

演習場があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃の演習場では。

 

「天龍、小破判定‼︎」

 

「蒼龍、大破判定‼︎」

 

横須賀鎮守府VS内房鎮守府の

艦娘達が一進一退を繰り広げていた。

だが、僅かに横須賀鎮守府の方が

押している。

 

「ちきしょう……あっちに潜水艦娘が

いやがる」と天龍が呟いた。

 

「貴女はまだ魚雷を撃てるから良いでしょう。

こっちは只の的みたいなものですよ」

加賀はそう言いながら弓をつがえた。

潜水艦娘にとって危険なのは対潜攻撃や

魚雷の一撃であり、それを放てない

空母や戦艦は格好の的になるのだ。

 

「だから俺や潮がお前らを守んなきゃ

いけないんだ。迂闊に動けないから

イライラしちまうぜ」

と、天龍はそう言って加賀の方に迫る魚雷の影を

艤装の砲撃で撃ち抜いた。

瞬間、水柱が発生し、辺りに降り注ぐ。

 

「まだあちらには戦艦がいますから、

それを轟沈判定にしてから潜水艦を

叩きますよ」

赤城が相手の戦艦から放たれた砲撃を

回避して、命令を出す。

 

どちらも演習とはいえ全力を尽くし、

戦法を張り巡らせ、いかなる事態も

想定して闘っていた。

 

 

 

 

 

「ガウウウウウウッ‼︎」

 

だが、突如上空からのどちらからでもない

艦載機の攻撃を誰が予想出来たであろうか。

 

「ッ⁉︎うおああッ‼︎」

 

「あれは……深海棲艦の⁉︎」

 

いくつかの編隊を組んで黒い虫のような

艦載機が飛んでくる。

その群れの背後に、杖状の艤装を装備した

深海棲艦が二つの鎮守府の艦娘達を睨みつけた。

 

「グ、ルウウウウウウウッ……」

 

まるで獣のような唸り声を上げ、ヲ級は

艦載機に指示を出す。

無論加賀達も棒立ちではなく、残っている

艦載機に指示を出し、深海棲艦の艦載機と

空中戦(ドッグ・ファイト)を開始した。

すぐに、ヲ級の艦載機が殲滅されていく。

艦娘達の艦載機が多いのもあるが、

何よりも、即興で息を合わせられる

チームワークがあった。

 

 

 

 

 

 

 

「すげぇ……」

俺は感嘆の声を出した。

先程まで闘い合っていた艦娘達が

息を合わせてヲ級と闘う様は驚嘆に値した。

これではヲ級も手も足も出ない。

だがヲ級は退くこともせず、ありったけの

艦載機を発艦する。

そこに、翔鶴が息急き切って走ってきた。

 

「翔鶴さん、今ヲ級を……」

 

「ッ‼︎ 駄目です、止めて下さいッ‼︎」

 

「⁉︎」

 

「あのヲ級は……芝浦司令官なんですッ‼︎」

 

……なんだって?あのヲ級が……芝浦司令官⁉︎

確かにあのヲ級は提督の衣服を纏っているが、

流石にそんな事はないだろう。

 

「あのー……そんな訳がないと思うんですが」

 

「なら、この鎮守府の誰にも気付かれずに

どうやって浸入出来たんですか‼︎」

 

ここの鎮守府は常に艦娘達や

電探の目が光っている。

それをかいくぐり、鎮守府に浸入するのは

至難の業だ。

それこそ鎮守府の中から発生しない限り(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

「なら、レンゲと同じように鹵獲して

聞くしかねぇか……」

天龍が歯がゆそうに言い放つ。

 

「で、でも、レンゲちゃんと同じような

状況じゃないですよ……」

 

潮がおどおどしながら言う。

そう、今のヲ級はレンゲの時と違い、敵意を

剥き出しにしていた。

 

「ウウウウウウウウ……ルウウッ‼︎」

 

「そもそも話せるかどうかも怪しい所ですね……」

 

「全くです」

 

「とりあえず、あいつの艦載機を全部

落とすぜ。話はそれからだ」

 

 

 

 

 

 

「翔鶴さん、俺は、俺には何が出来ますか」

 

「えっ……ですが、あなたは今砲弾も艦載機も

抜かれているんですよ⁉︎」

 

俺は拳を握りしめながら言った。

 

「たとえそれでもヲ級の足止めぐらいは

やってみせます」

 

「……分かりました。私も出来る限り

サポートします」

 

俺は翔鶴のその言葉を聞き、気を引き締めて

艦載機が飛び回る演習場へと走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、演習場の海中。

潜水艦娘の伊58は海上の様子を

伺っていた。

 

(全く、皆慌て過ぎでち。いざとなれば

ゴーヤが大破にさせてやるでち)

彼女は、いつでも何かあった時の為に

魚雷の(演習用のではなく実戦用の)弾頭を

持っていた。

 

(ゴーヤが必要になる時まで、皆頑張れー)

 

その時である。彼女の今まで沈黙していた

通信機から、声が聞こえた。

仲間の声でも、かといってヲ級の声でもない。

地の底、否、海底から聞こえてくるような声が。

 

 

 

 

 

(……それまで君が生きていればの話だがね(・・・・・・・・・・・・・・・・・)……)




テスト期間だよッ‼︎

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