転生レ級の鎮守府生活   作:ストスト

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この話が終わったら次は
深海提督さんとのコラボ話を
書かせて頂きます。
あと、また一人オリキャラが出てきます。


「嵐の後に」

サンズ脱獄から数時間後。

俺は天龍を医務室に運んでから、

迎えに来た神崎提督と共に

お偉方のいる部屋に向かう。

神崎提督の暗い顔色を見ると、

どうやらあまりよくない処分が下った

ようだ。

 

 

 

 

被害が大きかったのは1階部分のみで、

上の階にある会議室はほぼ被害を

受けていなかった。

 

「神崎君。レ級を渡して貰おうか」

 

ハゲの男が神崎提督に向かって言い放つ。

どうやら神崎提督は頑張ってくれたみたいだが、

どうにも出来なかったらしい。

でも、俺は感謝していた。

自分の身が危うくなるかもしれないのに、

俺の事を守ろうとしてくれたのだ。

 

「……分かりました。ですが、

代わりに条件が一つあります」

 

「なんだ?言ってみろ」

 

「あの丙型生命体の情報を一つ残らず、

国民に伝える事です。

これが出来なければ私は応じません」

 

「ッ‼︎ 貴様ッ……‼︎」

 

「おやおや、散歩から帰ってみたら

一触即発の状態になっとるのう」

 

声の方を見ると、そこには和服を着て

杖をついたお爺さんがいた。

 

 

 

「⁉︎か、金山海軍大将‼︎ご無事でしたか‼︎」

 

……海軍大将?……ってことは……

 

……海軍で一番偉い人じゃねェかァァァァァ‼︎

 

「そう固くならんでもよいわい。

さっき救急車に運ばれていった人から

話を聞いてな。

“あのレ級がいなかったら俺達どころか

大本営そのものがこの世から消えてしまう

所だった”と。

そう言っておったよ」

 

そう言ってから金山海軍大将は、

杖でトン、と床を叩き、

 

「そこで考えたんだがの、

レ級君は横須賀で引き続き預かって

もらうことにするべきじゃ」

 

「しかし‼︎」

 

隻眼の中年が引きさがろうとする。

 

「その方がレ級君にもよいじゃろ。

話を聞く限り、優しい子だしのう」

 

金山海軍大将ーーーーーー長いから

金山さんに省略するが、

金山さんはまるで孫を可愛がる

祖父のように、俺を見た。

 

「そうすれば、かの丙型についても

不問にしてくれるかな?」

 

「はい、そうして頂ければ」

 

金山さんはそれを聞いてニヤリとすると

 

「では、それで決まり、ということで。

これは決定事項じゃ。異論は認めん」

 

金山さんは手をひらひらと振ると、

どこかに行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰り道。

 

「で、レンゲはこのままウチ(横須賀鎮守府)

預かることになった訳か」

 

幸いにも怪我は大したことはなかった天龍。

あの時サンズが言った「急所は外した」と

いうのは本当だったんだろう。

 

「あー、良かった〜これでまた天龍さん

達と一緒にいられますね」

 

「だな」

 

神崎さんがよし、という。

 

「遅くなってしまうから、二人とも

そろそろ帰りましょうか」

 

俺達は帰っていった。

横須賀に。

長門さんや電がいる横須賀鎮守府に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー深夜。とある寂れた漁港。

深海棲艦によって廃業に追い込まれたものだ。

そこに一つの影がいた。

それはツギハギだらけの薄汚れた布を纏っていて

姿が分からない。

 

「……チッ。相変わらず時間に

ルーズな野郎だ……」

 

「悪いね、バイクが途中で

スクラップに変わっちまってさ〜」

 

そこにもう一つ影が現れた。

リヴァイア・サンズだ。

鰐のような尾をうねらせ、ボロ布の方に

歩いてゆく。

 

「それで、何かしら“細工”は

したんだな?」

 

「それで1年もあそこ(大本営)にいる羽目に

なったよ」

 

はーあ、とため息をつくサンズ。

 

「後これ?なんだろうな、

衛兵の情報端末持って来たぜ」

 

とスマホをボロ布に投げた。

直後、ボロ布からまるでイカやタコに似た

触手が伸び、スマホを絡め取った。

 

「ふん。上等だ。

これで色々策が練れる」

 

「ところでさあ、お前何か食糧

持ってない?」

 

「干し肉がある。

どれがいい?イ級か?ロ級か?

それともハ級?」

 

サンズは頭を抱えて、

「……いや、いいよ。

やめておく」と言った。

 

「美味いのにな……残念だ」

 

ボロ布はそう言ってバリバリと干し肉の

欠片を食い千切った。

 

「俺はアジトに帰るよ。

じゃあな、“イカリ”」

 

サンズはそのまま海に飛び込んだ。

 

「……楽しくなってきたな……

ククッ……」

 

イカリ、と呼ばれたボロ布は、

誰一人いない廃港で片目を

紫色に光らせ嗤うと、闇の中に

溶けるように姿を消した。




まだシリアスは抜けていません。
けど少しほんわかした話を何話か
入れてからシリアスに再突入します。

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