転生レ級の鎮守府生活   作:ストスト

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自分にとっては初めての連載作品です。
まだ初心者なので意見などをくださったら
僥倖です。
後、あとがきはふざけてますが質問などは
真剣に答えさせていただきます。



1章 始まりの横須賀、波乱の内房
「始まり」


8月。太陽の光が最も暑くなり、

その暑さでこちらの頭の中が

オーバーヒートしてしまいそうな時期。

そんな時期に、俺はクズ兄貴にこき使われて

アイスを買いに行っていた。

 

「あ〜あんのクズ野郎……あれこれ注文つけて

きやがって……。おかげで三軒も回る羽目に

なっちまったじゃねーか……ったく」

 

そう俺はぶつくさと文句を言いながら左手で

スマホゲームの操作をしていた。

中身は「艦隊これくしょん」というゲーム。

「艦娘」という戦艦を擬人化したキャラを操作して

敵を倒すゲームだ。

一口に戦艦といっても駆逐艦や重巡洋艦などの

種類があり、それによって得意性能が違うので

バランスの良い編成を組む事も大事になる。

少し前に友人に勧められて始めたのだが、

とても面白いと感じて、ほぼ全ての海域

(ステージの事)を短期間でほぼ全てクリアして

しまった。ーーーーーーたった一つの海域、

「5ー5」ことサーモン海域を除いて。

イヤホンを通して艦娘の苦しそうな悲鳴が

聞こえた。

大破。戦闘が始まって僅か3、4ターンの間に、だ。

しかも、3人も。

俺は思わず舌打ちをして即座に「撤退」のボタンを

押す。

流石にこれ以上やると全てのメンバーが大破に

追い込まれる可能性が高い。

空母を2人組み込んだ編成だから、

どちらも大破にされたら大量の消費アイテムが

消し飛んでしまう。

それはどうしても避けたかった。

 

「S勝利取らせる気あんのか運営は……」

 

スクランブル交差点の青信号を待ちながら、

俺はイライラしていた。

5ー5にはチート性能の敵がいる。

戦艦レ級だ。

戦艦の癖に艦載機を持ち、しかもそれが

空母2人がかりでも互角に出来ない程強い。

そして戦艦として攻撃もするので尚更

質が悪い。

プレイヤー達からは容姿の可愛さと

その異常な強さから愛憎入り混じった

人気がある。

無論、俺は「憎」だけだが。

止めればいいじゃないか、と言われるが、

それ以外は全てクリアしているのだ。

その中に一つだけクリアしていないのが

あると非常に浮いて見える。

俺はそれが嫌なのだ。

ーーーーーーつまり簡単に言えば

「俺のプライドが許さねぇ‼︎」という事なのだが。

 

「あ〜クソッ……無性に腹たってきた……」

 

これではイカンとミュージックアプリを

起動して、音量最大で曲というよりは

BGMをガンガンと鳴らした。

よっぽど五月蝿かったらしく、

隣で信号を待っていたくたびれたおっさんが

「なにこいつうるせぇ」といった感じで

こちらを睨んだ。

 

じりじりと日光が肌を焼く。

ガンガンとイヤホンから音楽が

ビートを俺の中で刻む。

イライラは収まっていたが、代わりに

俺の頭の中はあの忌々しいエネミー(戦艦レ級)

対策についていっぱいだった。

だからなのだろう。

俺は唸りを上げて暴走し、こちらに

突っ込んでくるトラックに気づくことさえ

出来ていなかった。

 

「……ッツ⁉︎」

 

気づくことが出来たのはトラックが

俺の目の前に来た所で。

一歩や二歩では到底逃げられない事は

明白だった。

どうあがいても死。

その絶望の中、俺は立ち尽くした。

 

ゆっくりと迫るトラック。

一瞬の事だろうが、俺にとっては

永く感じられた。

頭の中を走馬灯が駆け抜けてゆく。

家族との思い出。

親友達の顔。

楽しかった出来事や苦しかった出来事。

それらが浮かんでは消えてゆく。

目の前が真っ白に染まっていき、

意識がなくなる刹那、俺は何故か、

あのレ級の事を考えていたーーーーーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーーーー“今日未明、都内でトラックが

暴走し、***高校の生徒一人が

撥ねられました。

生徒は病院に搬送されましたが、

間も無く死亡が確認されました。

警察は、運転していた50代の男性を

現行犯で逮捕しました。

男性からは危険薬物の陽性反応が

検出されており、警察は余罪について

追求する模様です”ーーーーーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー波の音がする。

潮の香りが風に包まれて運ばれてくる。

 

「……う……」

 

ゆっくりと目を開けてみる。

雲ひとつない蒼い空が目の前に

広がり、日光が目を刺した。

 

「え……俺、は……確か……」

 

事故に遭って死んだはずなのに。

俺は生きていた。

……海のど真ん中に座り込んで。

 

「え……?ウェエエエエエエエ⁉︎

なんで⁉︎どうして⁉︎」

 

異常事態はこれだけでない。

何故か、声が高い。

それに、肌の色が白……否、

ひょっとしたら青に見えてしまいそうに

白い。

 

「……ま、さ、か……」

 

俺はカチカチと寒くもないのに

歯を鳴らしながら水面を鏡のように使って

顔を見た。

ーーーーーー何という事でしょう。

見慣れた自分の顔ではなく、

愛らしい少女の顔がそこに。

快活な印象を与える瞳。

透き通るような白い髪。

均整のとれた顔。

その顔は、動揺の色に包まれている。

 

「そん、な……」

 

その言葉に合わせて水面の少女の口も

合わせて動く。

もう疑いようがない。

胸元がはだけたレインコートを着て、

背中にリュックを背負ったこの姿は。

 

 

 

「俺……レ級になっちまったああああああああああああ‼︎」

 

大海原のど真ん中。

そこで、小さき少女の姿に

なってしまった青年の叫びが轟いた。




次はぼのたん出したい。
天龍も出したいし、電も出したい。
???「なに?ガチの編成出したいのに
出来ないだって?逆に考えるんだ。
“ガチの編成を出さなくてもいいじゃないか”と」
まぁ、なんとか工夫します。

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