俺の嫁は史上最強の剣士です   作:ネギ丸

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どうも、作者のネギ丸です。めちゃくちゃ久々の更新ですね。
読者の皆さんには大変ご迷惑をおかけしたと思います。読んでくださっていた方々、大変申し訳ありませんでした。今後はこのようなことがないように頑張ります。
それでは、俺の嫁は史上最強の剣士です第4話をお楽しみください!


第4話 : レッツ探索!

紅く燃ゆる炎が俺の視界を揺らす。

辺りを見渡すと、そこにはこの世のものとは思えない地獄のような光景が広がっていた。

家はその原型を留めず黒い煙と紅い炎を上げ、朽ち果てている。人々は炎の渦に飲まれ、その身を焦がしながらもがいている。

ただただそれらが恐ろしくて、俺は悲鳴をあげて全力で走った。

助けを求めても返事はない。代わりに人々の悲痛な叫び声が俺の頭に響いてくる。

どれだけ走っても火の海が視界から消えない。このまま俺は死んでしまうのか?俺はそんなことを考えてただひたすらに走った。

 

 

 

どれだけ走っただろうか。俺は今、村から離れた森の中を走っている。しかしそれでも、火の海は終わらない。この火の海がどこまでも続いているのではないかと思えてくるほどだった。足は既にボロボロで感覚も薄れてきている。

それでも俺は足を止めなかった。

暫くして俺は森を抜け開けたところまでやって来た。ようやく出られると思った矢先、目の前の光景に俺は驚愕した。

その身を漆黒の色に染め、天に向かって怒号のように咆哮する巨大な龍。そして、そのすぐそばで倒れこむ見慣れた顔の少女。

この時に、俺の意識は途絶えた。

 

 

 

 

 

 

「オルト、大丈夫?だいぶ魘されてたけど…。」

 

目を覚ますと、目の前でクレアが心配そうにこちらを見つめている。

俺は体を起こし、周りを確認する。どうやらここはホテルの宿泊部屋のようだ。部屋に着いた後、俺は少し寝てしまったらしい。

 

「ああ、大丈夫だよ。きっと嫌な夢を見ていたんだと思う。」

 

確かに嫌な夢を見た気はするのだが、どんな夢だったかは思い出せない。

 

「そう、ならいいんだけど。」

 

クレアは自分の胸を撫で下ろしながら案したように深く息を吐いた。

 

「ところで、俺はどれくらい寝てた?」

 

「1時間くらいかな?もうすぐ夕食だからそろそろ食堂に移動しないと。」

 

「わかった。今起きるから一緒に行こうか。」

 

俺はそう言ってベッドから降りると、クレアと一緒に一階の食堂へと向かった。

 

 

 

 

「お、来たぜ。」

 

「こっちこっちー!」

 

食堂に着くとアルバートとシェリナが既に予約した席で待機しており、こちらに手を振っている。

 

「流石食いしん坊ツートップ。早いなあ。」

 

俺はからかうようにそう言いながらアルバートたちがいる席へと向かった。

食堂にはかなりの人で賑わっていてあちこちから笑い声や話し声が聞こえてくる。

 

「この雰囲気ってギルドの酒場に似てるよなあ。」

 

アルバートはお冷の水を飲みながらしみじみとそんなことを言った。

 

「おやおやアルバートさん?ひょっとしてもうホームシックですか〜?」

 

「う、うるせえ!そんなんじゃねーやい!」

 

シェリナとアルバートがそんなやりとりをしている間に他のみんなも集まって来た。

 

「すみません。少し道に迷ってしまって遅れました。」

 

クォーツが申し訳なさそうにそう言いながら席に座った。クォーツは意外に方向音痴で遠征の時にもしょっちゅう道に迷っているのだ。

 

「すまない!またこいつのせいで道に迷ってた!」

 

そう言って息を荒げながらこっちに向かって来たのはルーシー。その後ろに爽やかな笑みを浮かべながら軽快な足取りでこちらに向かってくるダリオの姿が見えた。いい加減この光景にも慣れてきたものだ。

 

「ルーシーってばまた道に迷っちゃって。困っちゃうなー。」

 

「うるせえ!いい加減ぶっ殺すぞ!」

 

そんな見慣れたやりとりをしながら2人は席に着いた。ルーシーもいい加減ダリオに騙されないようにするべきだと思う。

 

「これで全員揃ったな。」

 

俺は全員いるのを確認すると、手元にあるワインの入ったグラスを手に持った。料理は既に用意されている。

俺たちはみんなで乾杯をし、夕食を楽しんだ。

 

 

 

 

夕食を終えた俺たちは予定していた洞窟探検に向かうためにホテルを抜け、浜辺付近の街道を歩いていた。時刻は8時を回り、日は既に落ちている。街灯や建物の灯りが道を照らす。夜だと思わせない騒々しい人混みが心を踊らせる。

 

「あ、ウンコ。」

 

「うお!あっぶねえ、危うく踏むところだったぜ!」

 

「2人とも、あまり周りの人に迷惑を掛けないように。」

 

シェリナとアルバートは相変わらずのはしゃぎっぷりだ。注意するクォーツが保護者に見えてきた。

そしてこっちも相変わらずである。

 

「クレア〜。今日も一段と可愛いよお〜。あ〜可愛い。」

 

「ルーシー。わかったから少し離れて。暑い。」

 

俺の隣ではデレデレに酔ったルーシーがクレアに甘えるようにしがみついている。そしてそれを後ろからダリオがカメラでそれを撮影している。

これは余談であるが、ルーシーは酒の種類によって酔い方が違うのだ。結婚式の時に飲んだのは白ワインで、飲むと号泣モードになる。今回飲んだのは赤ワインだ。この場合は今みたいにデレデレモードになる。着く頃には多分酔いは冷めていると思う。何気にルーシーは酔いが覚めるのが早い。

俺の周りだけ騒がしいので、通り過ぎる人たちはみんなこっちを見てくる。

俺は少し恥ずかしい思いをしながら早く目的地に着くことを願うのであった。

 

 

 

あれから10分程歩いて、俺たちは目的地の洞窟へたどり着いた。

 

「いらっしゃいませ。何名様ですか?」

 

入口の前では受付の女性が丁寧に挨拶をしてくれた。

俺は7名と告げると受付の女性はカウンターから7本の棒が入った箱を取り出した。

 

「それでは、お客様には3つのグループに分かれてもらいます。必然的に3人のグループができてしまいますがご了承ください。」

 

なるほど、パンフレットにもカップルにオススメとか書いてあったし、基本2人組で参加するアトラクションか。

ここはクレアと行きたかったが仕方がない。まあ、旅行は1週間なんだし分かれたとしてもまた2人で来ればいいだけのことだ。

 

「じゃあ、まず俺から引くか。」

 

俺はそう言って箱の中から一本の棒を掴んで取り出した。どうかクレアと同じペアになれますように!

 

 

 

組み分けが終わって、俺たちは今洞窟の中にいる。

 

「クレアと同じペアになりたかったのはわかるけどさ、そう落ち込むなって。2人でみんなが驚くもん見つけようぜ、オルト。」

 

俺の隣にいるのは筋骨隆々な大男。少しキツめのジーパンに筋肉が強調されるTシャツが似合うその男は、俺の親友であり、同じギルドメンバーのアルバートだ。

 

「ほら、キレイな宝石とか見つけてさ、クレアにプレゼントすりゃあいいじゃねえか。」

 

アルバートはさっきから俺を慰めている。確かにクレアと同じペアになれなかったのは残念だが、別にそこまで落ち込んではいないつもりだ。

 

「気遣ってくれてありがとな。そんなに落ち込んでないから気を取り直して速く奥に進もうぜ。」

 

「おう!その意気だぜ!」

 

俺たちは着々と洞窟の奥へと進んでいく。今まで多くの人が参加してきたので、入口付近は何もない。奥に進めばそれなりに成果はあげられるはずだ。

 

「なあ、オルト。前から聞きたかったんだけどよ。今聞いてもいいか?」

 

しばらく洞窟の中を進んでいくと、アルバートが急に聞いてきた。さっきまでは普通に雑談をしていたのだが。

 

「ああ。別にいいけど、急に改まってどうしたんだ?」

 

「別に大したことじゃねえけどよ。お前とクレアの過去について聞いてみたいなって思っただけだ。」

 

アルバートは周りを気にしつつそう言った。

そう言えば、みんなに昔のことを話したことはなかったっけ。

 

「ああ。そういうことなら別に構わないぜ。そうだな。まず俺とクレアが初めて出会ったところから話そうか。」

 

こうして俺は懐かしい思い出話をしながらアルバートと一緒にさらに奥へと進んで行った。

 

 

 

 

 

一方その頃、ダリオ、シェリナペアのルートでは………

 

「ちょっとシェリナ、待ってって!そっちは危ないかもしれないから!」

 

「へーきへーき。モンスターとかいないみたいだしとりあえずこっち進もう!」

 

「ああ、そんなに走ったら危ないって!」

 

珍しく振り回されるダリオの姿がそこにあった。

シェリナはダリオの注意を聞かないでどんどん奥へと進んで行く。ダリオは慌ててシェリナに着いて行く。案外ダリオはシェリナには弱いのかもしれない。

 

「あははははー!ほら、ダリオも速く速く!置いてったちゃうよー!」

 

「だから待ってってーーー!」

 

2人はどんどん奥へと進んで行く。シェリナは周りを気にせず、ダリオは周りを機にする余裕もなく。2人は目的を忘れてただ奥へと進んで行くのだった。

 

 

 

 

みんなと別れてから約30分が経過した。制限時間は残り1時間ほど。帰りは魔法結晶での瞬間移動を使うので帰りの時間は気にしなくて大丈夫だろう。

結構奥まで進んだだろうか。俺たちはここに来るまでそこそこの鉱石や宝石を採取していた。

 

「その時のクレアがもう可愛くってなー。泣きながら村長にただをこねてだな。」

 

「へえ、今じゃあ考えられないな。クレアが小さい時は泣き虫だったてなあ。」

 

俺たちは俺の昔の話を続けながらさらに奥へと進んで行く。結構ペースも速かったので結構奥まで進んだと思う。

 

「そろそろ採掘の方を優先するか。ここら辺は結構色々あるみたいだし。」

 

アルバートはそう言ってキョロキョロと辺りを見渡し始めた。

俺たちが今いるところはだいぶ広い空間で、あちこちに様々な鉱石や原石がキラキラと輝いている。持って帰れる量にも限りがあるので、なるべく珍しいものを持って帰りたい。

俺たちは採掘するものを選別し始めた。基本残されているのはそれほど珍しくもない鉱石ばかりで、珍しい原石はほとんど残されていなかった。

 

「んー、なかなか良いのが見つからないな。もうちょっと奥に進んでみるか?」

 

アルバートが少し考え込むようにそう提案してきた。

 

「もうちょっとここを見てからにしよう。何か見つかるかもしれない。………ん?」

 

俺は暫く辺りを探索していたがある異変に気付いた。ごくわずかであるが周りの壁とは少し薄い色の部分が見えた。俺はそこを拳で軽く叩くと、明らかにおくは空洞になっているようだった。

 

「おい、アルバート。ちょっとこっちに来てくれ。もしかしたらすごい発見かもしれない。」

 

俺は少し離れたところで探索をしているアルバートを呼んだ。アルバートはこっちに気がつくと駆け足でこっちに向かって来た。

 

「どうしたアルト?なんか見つけたか?」

 

「ここの奥が空洞になってると思うんだけど、お前の力でなんとかならないか?」

 

正直この壁の薄さなら俺でも壊せるかもしれないが、ここは武闘派であるアルバートに任せるのが吉だろう。

 

「そういうことか。そんなら俺に任せとけ。危ないから少し離れていてくれないか?」

 

俺はアルバートに言われた通りアルバートから数メートル離れて様子を伺った。

アルバートは格闘技の構えをとって、壁に向かった。そして、壁の薄い部分を思いっきり蹴飛ばした。

壁は大きな音を立てて呆気なく粉砕した。やはり奥は空洞になっており設備された様子はない。

 

「この先は設備されてないから足場が悪いと思う。気をつけて先へ進もう。」

 

俺たちは手に持った松明の灯りを頼りにその先へと進むのであった。

 

 

 

 

 

一方その頃、クレア、ルーシー、クォーツのグループのルートでは……

 

「いやあ、この2人といるとすごい安心感があるっていうか、落ち着くっていうか、なんか嬉しい!」

 

ルーシーはとてもご機嫌のようだ。進む足が軽快にスキップをしている。

 

「それにしてもさっきから行き止まりが多いですね。ちゃんと進んでいるはずなのですが。」

 

クォーツは少し考え込みながらそう言った。さっきからどうも行き止まりの道を進んでしまっているようだ。

 

「そうね。明らかに行き止まりが多い気がするわ。ハズレのルートを選んじゃったのかな?」

 

「いや、そんなはずはないと思うんだけどなあ。でも明らかにおかしいよね。」

 

クレアとルーシーも結構違和感を感じているようでクォーツと同じく悩んでいる。

 

「あ、また行き止まりです。僕たち、どうやら今日は運が悪いようですね。」

 

クォーツはそう言いながら2人に苦笑した。

しかし、この時の3人は知らなかった。今回、頻繁に行き止まりに遭遇するのは運の悪さではなく、クォーツの異常たる方向音痴のせいであることに。

 

 

 

 

みんなと別れてから約一時間が経過した。俺たちは足元に気をつけながら薄暗い空間を進んで行く。辺りにはそれらしい鉱石や宝石はなく、ただただ暗い道が続いているだけだ。

 

「なんもねえなあ。この道はハズレだったか?」

 

「進んでみないとわからないからなんとも言いようがないな。とりあえず帰ったらこのことを受付の人に報告しよう。」

 

俺たちは不安ながらも松明の灯りを頼りにさらに道を進んで行く。もしかしたら何もないかもしれないが、逆に何か変わったものがあるかもしれないと思ってしまう。

どんどん道の感覚が広くなって行くのがわかる。どうやらもうすぐ広い空間に出れるかもしれない。

 

「おい!なんか見えたぞ!」

 

俺の前方を歩いているアルバートが急に大声を出した。俺はアルバートの隣へ移動して確認する。

 

「………嘘だろ?」

 

俺はそれを見て驚愕した。

俺たちの前方には開けた空間があり、そこの壁や床には数え切れないほどの鉱石が埋まっていて松明の光を反射して鮮やかに光り輝いている。

 

「これ全部、魔石の結晶かよ!」

 

その鉱石の正体は1つ1つに魔力が蓄積されている魔石の結晶であった。魔石は様々なものに加工され、幅広く利用されている。

 

「しかも1つ1つがでけえ。これ全部取り出したら少なくとも王都の魔石の年間使用量は超えるぞ。」

 

アルバートもこの光景に驚いているようで額には一筋の冷や汗が浮かんでいる。

 

「と、とりあえずできるだけ採掘しよう。そして帰ったら急いで報告しよう。」

 

俺たちは魔石の採掘に取り掛かり、袋が一杯になるまで魔石を詰め込んだ。

 

 

 

 

 

みんなと別れてから1時間半が経った。俺たちは、袋が魔石で一杯になったので雑談でもしながら終わりの時間を待っていた。

 

『終了時間となりましたので、お客様は速やかに魔法結晶で入口までお戻りください。』

 

探索開始前に渡された通信用の魔道具から受付の女性の声が聞こえた。

 

「それじゃあ、早く戻ってみんなをびっくりさせようぜ。」

 

そう言ってアルバートは移動用の魔法結晶を取り出した。俺はアルバートの肩に手を置いて少し近く。

 

「そんじゃあ、行くぜ!『ワープ』!」

 

アルバートがそう叫んだ瞬間、俺たちはその場から一瞬にして消えた。

 

 

 

 

俺たちは魔法結晶によって洞窟の入り口に戻って来た。他のみんなは既に到着しているようで何かを話していた。

 

「お帰りなさいませ、お客様。それでは魔法結晶と魔道具をこちらに返却させてもらいますね。」

 

俺とアルバートは受付のお姉さんに魔法結晶と魔道具を手渡した。

 

「それから、採掘された物を確認させていただきますね………て、なんですか!?この魔石の量は!?」

 

受付の女性は俺たちが持ち帰った袋の中を見るなり驚愕していた。まあ、無理もない。天然の魔石は希少なのでこの採掘場でもあまり見かけないのだろう。しかもこの量である。

 

「えー、なになに?オルトたち何持って来たの?って、ええ!?なんじゃこりゃ!?」

 

「んー、シェリナどうしたの…って、なんじゃこりゃ!?」

 

シェリナとルーシーがこっちに来るなりほぼ同じようなリアクションをした。この2人こんなに仲よかったっけ?

 

「これ全部魔石?一体どこで見つけたの?」

 

「実はかくかくしかじかで………」

 

俺たちは探索中に見つけた横穴とそこで見つけた大量の魔石についてみんなに話した。

 

「………てなわけで、一応いくつか取って来ちゃったんですけど、大丈夫ですかね。」

 

俺は説明し終わると、受付の女性にそう確認した。魔石の密猟者扱いでもされたら洒落にならんし。

 

「なるほど、わかりました。このことは私から上に報告しておきますね。あと、今回採掘さられた魔石は、たぶん問題ないと思いますので持ち帰っても構いませんよ。」

 

俺はそれを聞いて深く息を吐いた。

 

「取り敢えず、今回の事はこちらで対応しますので、皆様は帰ってゆっくりとお休みください。」

 

彼女はそう言って俺たちを見送ってくれた。俺たちは来た道を通ってホテルへと向かった。

採掘した魔石の使い道はまだ決めてないけど、帰ってからゆっくり決めよう。

俺はそんなことを考えながら、月に照らされた海の横をみんなとはしゃぎながら歩いて行った。




今回の探索成果
オルト、アルバートペア
魔石10kgほど

ダリオ、シェリナペア
アダマンタイト鉱石1㎏ほど『?(ほとんどダリオ)
ルビー原石10gほど

クレア、ルーシー、クォーツグループ
サファイア原石5gほど
エメラルド原石10gほど
アダマンタイト鉱石500gほど
その他原石や鉱石合わせて全部で2kgほどの採掘

一般客の平均採掘量
原石や鉱石合わせて800g


次回、次回こそは戦闘シーン書きます!
期待していてください!

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