遊戯王VRAINS 幻影の咆哮~青き天使との日常~ 作:kajoker
ハノイの騎士とのデュエルに決着がつきます。
それはそうと、UAがついに8500を越えました!お気に入りも70を越え、モチベーションが上がりまくっている今日このごろです!
本当にこの小説を読んでくださっている皆様、ありがとうございます!
それでは、本編をどうぞ!
目の前の光景に私は思わず息を呑んだ。
Phantomが竜巻のようなものに巻き込まれた光景に…
「嘘…侑哉!」
あんなものに巻き込まれて無事で済むわけがない…
でも、大丈夫よね…いつもみたいに、こんなピンチ乗り越えて『お楽しみはこれからだ!』って言ってくれるよね…
「お願い…無事でいて侑哉…」
私は祈るような気持ちでその光景を見つめた。
///////////////
「どわぁぁぁ!!く、くそっ!」
データストームに巻き込まれ、ぐるぐると視点が回る、右に、左に、上に…
とにかく、なんとか体勢を立て直さないと…
俺は近くに来た、ボードを掴み、力の限り手を押し込みそれを軸にしてボードへと飛び乗った。
「ふぅ、なんとか体勢を立て直させたな…それにしても、どうやって脱出すればいいんだ?」
さっきから、体勢をそのまま維持するのがやっとで動くに動けない。
パラソルを使ってみるか?…いや、そのままデータストームに巻き込まれて外に放り出されるだけだ…
出るには出れるけど、無事で済むわけがない。
「早いとこ、ここから出たいんだけどな…良い方法が思いつかないな…」
『ほぅ、久しぶりの来客だな…』
「え?」
俺がここから脱出する方法を思考していると、どこからともなく声が聞こえてきた。
何だ、この声…?
『ほぅ、まだデータストームの声を聞ける人間がいたのか…』
「データストームの声…?何だよ、それ…」
もしかして、この声の主がデータストーム?だめだ、思考が追いつかない…
『まぁいい、お前はここから出たいか?』
「そりゃあね、いつまでもここで立ち止まってるわけにはいかないからね」
どうやらこの声の主は俺が脱出できるように協力してくれるみたいだ。
『お前はどうしてここから出たい?』
っと思ったらまだ協力してくれるとは限らないみたいだ。
「それは……今はまだデュエルの途中だ、それがデータストームに巻き込まれてデュエルが中断になるなんて俺は嫌だ…それに…」
『それに?』
「葵とデートの約束をしてるんでね、こんなところでくたばるわけにはいかないんだよ」
『はははっ!なるほど…ならばこんなところで油を売ってる暇はないな!』
声の主は愉快そうに笑いながら、そう言った。
何かよくわかんないけど協力してくれるってことか…?
「まぁ、そういうこと…だから、ここから出してくれないか?」
『いいだろう…それと、これを受け取れ』
そう声が聞こえたと同時に目の前にカードらしきものが姿を現した。
「これはカード?でも、絵柄が無いぞ?」
『どのカードになるかはお前の運次第だ、では機会があればまた会おう…』
「ちょっと待ーーーー」
その瞬間、風が吹きはじめ、気づけばさっきまでスピードデュエルを行っていた場所に戻ってきていた。
「バカな!あそこから脱出したのか!?」
「どうやら、そうみたいだね…」
ふと、手元を見てみるとさっきまで絵柄の無かったカードに絵柄が浮かんでいた。
「エンコード・トーカー?」
聞いたことのないカードだな…もしかして、もうちょい後に出るカードなのか?
名前と姿がデコード・トーカーに似てるし、多分、そうだな……って、召喚条件はサイバース族モンスター2体以上!?
俺のデッキで出せないじゃんか!一応サイバースのデッキは持ってるけど、今使ってるのは違うしな…
まぁ、とりあえず後で考えるか…
俺はハノイの騎士に向き直り、言葉を紡いだ。
「さぁ、行くよ!お楽しみはこれからだ!」
ハノイの騎士LP1500
手札1
場 EXモンスターゾーンなし
メインモンスターゾーン クラッキングドラゴン攻撃表示(ATK3000)
伏せ1
Pゾーンなし
PhantomLP2300
手札2 内1枚(オッドアイズ・ファントム・ドラゴン)
場 EXモンスターゾーン ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン攻撃表示(ATK4000)
メインモンスターゾーン EMドクロバットジョーカー攻撃表示(ATK1800)
伏せなし
Pゾーン EMシールイール(スケール3)
EMオッドアイズユニコーン(スケール8)
「俺はセッティング済みのPスケールでペンデュラム召喚!!来い!俺のモンスター!オッドアイズ・ファントム・ドラゴン!!」
これこそが俺のエースモンスター!俺の象徴!
現れたオッドアイズはようやく出番かと言わんばかりに咆哮を上げる。
やっぱ、何回見てもかっこいいな…
「今日も頼むよ!オッドアイズ!」
オッドアイズは俺の声に呼応するように頷いた。
「それじゃあ、行くよ!バトルだ!まずは、ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンでクラッキングドラゴンに攻撃!反逆のライトニングディスオベイ!」
「かかったな!リバースカードオープン!速攻魔法、リミッター解除!このカードの効果で私のフィールド上に存在する機械族モンスターの攻撃力はターン終了時まで倍になる!」
クラッキングドラゴン(ATK3000→6000)
「何!?よりによってリミッター解除か…!」
俺がモンスターを召喚しても伏せカードが発動しなかったから、パルス・ボムじゃなくて攻撃を無効にするカードか、攻撃力を変化させるカードだとは予想してたけど…リミッター解除か…
「反撃しろ!クラッキングドラゴン!」
「ダーク・リベリオン!」
ダーク・リベリオンが破壊され、クラッキングドラゴンの攻撃がそのまま俺に向かってくる。
やばい、あれは当たったらダメなやつだ!
俺はすぐさま、横へとボードをずらし、直撃を避けた。
PhantomLP2300-2000=300
「ふぅ、危なかった…」
データストームだけじゃなくて相手のモンスターの攻撃が直撃しないように注意しなくちゃいけないのか…これがスピードデュエル…
アクションデュエルよりもアクションしてないか?このデュエル…
って、今はそれどころじゃないな…
さて、どうやって逆転しようかな…そういえば俺のスキルって何なんだ?とりあえずデュエルディスクを確認しようかな…
そう思い、デュエルディスクに目を移すとスキル発動が可能になっていた。
スキル名はオッドアイズイリュージョンか…効果は…へぇ、なかなかおもしろいな!使ってみるか!
「どうした?何もすることがないならターンエンドするんだな」
「いや、まだまだお楽しみはこれからさ!行くよ!スキル発動!オッドアイズイリュージョン!」
「ここでスキルだと!?」
俺がスキル発動を宣言すると目の前に、はてなマークが書かれた巨大なボックスが現れた。
おぉ、こんな感じなのか!さぁ、何が出るかな?
「このスキルは少し特殊でね、5つあるスキルからランダムに選んでスキルが発動するんだ、つまり何が出るかはお楽しみってことさ!」
これが俺のスキル、オッドアイズイリュージョン…ライフが1000以下で俺の場にオッドアイズがいればバトルフェイズ中に発動できる、ランダム性が高いスキルだ。
何が出るかはわからない、まさにエンタメにぴったりなスキルだ。
「さぁ、ルーレット、スタート!」
巨大なマジックボックスが様々な色に発光しはじめ、しばらく経って赤色に発光して止まり、ビックリ箱のように爆発した後、赤色の光りがオッドアイズへと降り注いだ。
「スキル発動!赤色の効果は自分のフィールド上のオッドアイズモンスターの攻撃力はターン終了時まで元々の攻撃力の倍になる効果だ!」
「何だと!?」
オッドアイズ・ファントム・ドラゴン(ATK2500→5000)
「行くよ!オッドアイズ・ファントム・ドラゴンでクラッキングドラゴンに攻撃!」
「バカめ!攻撃力はクラッキングドラゴンの方が上だ!」
「それはどうかな?」
「何!?」
「この瞬間、オッドアイズユニコーンのP効果発動!自分のオッドアイズモンスターが相手のモンスターと戦闘を行う時、自分のフィールド上に存在するEMモンスターの元々の攻撃力分だけ戦闘を行うオッドアイズモンスターの攻撃力をアップできる!俺はドクロバットジョーカーの攻撃力分だけオッドアイズ・ファントム・ドラゴンの攻撃力をアップする!」
オッドアイズ・ファントム・ドラゴン(ATK5000→6800)
「攻撃力6800だと!?」
「行け!オッドアイズ・ファントム・ドラゴン!夢幻のスパイラルフレイム!」
オッドアイズから放たれた炎は渦巻きながら、クラッキングドラゴンへと直撃し、クラッキングドラゴンを破壊した。
「ぐおおおっ!」
ハノイの騎士LP1500-800=700
「この瞬間!オッドアイズ・ファントム・ドラゴンの効果発動!ペンデュラム召喚したこのカードが相手に戦闘ダメージを与えた時、Pゾーンのオッドアイズモンスターの数×1200ポイントのダメージを相手に与える!俺のPゾーンにはオッドアイズユニコーンがいる、よって1200ポイントのダメージを与える!」
「バ、バカな…!」
「お楽しみはこれまでだ!くらえ!幻視の力!!アトミック・フオース!!」
「ぐ、ぐわぁぁぁ!!!」
ハノイの騎士LP700-1200=-500
ハノイの騎士は断末魔の声をあげながら、消えていった。
ログアウトしたのか…?
色々と聞きたいことがあったんだけどな…まぁ、しょうがないか。
俺はそう思い、近くの建物に降りた。
「それにしても、結構キツかったな…スピードデュエル…まぁ、楽しかったけど」
データストームに巻き込まれたり、攻撃が直撃しそうになったり…それに、俺のデッキとスピードデュエルの相性が悪かったり…
まぁ、それでもスピードデュエルは結構楽しかったな…
「見つけたぜ!playmaker!!」
「うん?」
俺がそんなふうに今回のデュエルについて考えていると、ふと、近くからそんな声が聞こえてきた。
この声、どっかで聞いたことがあるような…とりあえず行ってみるか!
俺はそうして、声のする方へと歩を進めた。
「あれ?GO鬼塚じゃないか…それに、playmakerも…」
そこにいたのはGO鬼塚と、俺と同じくハノイの騎士とデュエルをしていたplaymakerだった。
「Phantomか…どうやら、勝ったみたいだな」
「そっちこそ!お疲れさん、playmaker!」
「お前ら、俺を無視してんじゃねぇ!さぁ、俺とデュエルしろ!playmaker!」
あぁ、なるほどね…GO鬼塚がplaymakerにデュエルを申しこんでたってことか…
GO鬼塚はプロレスラーみたいに筋肉質な男で、ブルーエンジェルと同じカリスマデュエリストの一人だ。
使用デッキはこれまたプロレスラーが元になっているようなモンスター達のデッキ、剛鬼を使用している。
ちなみに、俺と同じエンタメデュエリストで、俺がデュエルするときはエンタメデュエル合戦をよくやったりする。
「まぁ、落ち着こうぜ…これはやったからこそ分かるんだけど、スピードデュエルって結構キツイんだよ…playmakerも多分、疲れてると思うぞ?…どうせデュエルするなら万全な状態でやった方が良くないか?」
「ちっ…!わかった、だが覚えとけよplaymaker!お前は俺が倒す!」
そう言ってGO鬼塚はログアウトしていった。
今回はやけにあっさり引き下がったな…俺の言い分をわかってくれたのか…?
それなら、良いんだけどな…
「一応、礼は言っておく」
「いや、気にしなくて良いって!」
「それじゃあな」
「ちょっと待ーーー」
ちょっと待ってくれ、そう俺が言い終わる前にplaymakerはボードに乗って、そのまま去っていった。
「どうするかな…これ」
俺は手元のエンコード・トーカーを見ながらそう呟いた。
////////////////
「居た!良かった…無事だったのね…」
Phantomを探して、あちこち回っているうちに、ようやくその姿を見つけることができた。
「ブルーエンジェル!まぁね、この通り無事だよ」
そうやって、いつものように笑ってPhantomはそう言った。
「本当に良かった…あの竜巻みたいなのに巻き込まれた時はどうなることかと思ったわよ…」
「ごめん、心配かけた…」
「本当よ…!まぁ、その後に脱出して『お楽しみはこれからだ!』って言ってたのを見たら少し安心したけど」
でも、それでもやっぱり不安で、こうしてPhantomを探してたわけだけど。
「本当にごめん…お詫びと言っちゃなんだけど、ブルーエンジェルの言うこと何でも一つ聞くよ…あぁ、もちろん俺のできる範囲でだけど…」
「へっ!?な、何でも?」
侑哉の突然の爆弾発言に思わずそう聞き返す。
「う、うん…俺にできる範囲だけどね」
つ、つまり侑哉に私のしてほしいことをしてもらえるってこと…?
私のしてほしいこと……キ、キスとか…?
いや、いくらなんでもそれは早い気が…
「おーい、ブルーエンジェル?どうかしたのか?」
「な、なに?侑哉」
「いや、さっきから考えんこでいるみたいだからさ…それに何か顔も赤いしどうかしたのかなって…」
「そ、それは…侑哉に何してもらおうか、考えてて…」
自分でもわかるぐらい、顔が熱くなる。
はぁ、どうしよう…さっきから色々と想像しちゃって、恥ずかしくて侑哉の方を見れない…
「ねぇ、侑哉…この答えはデートの日までお預けで良い?」
「うん?あぁ、それは構わないよ…それじゃあ、デートの時までに覚悟を決めとくよ」
「うん…それじゃ、また学校で!デート、楽しみにしてるから!」
「あぁ、俺も楽しみにしてる!」
最後に、侑哉とそんな会話をして私はログアウトした。
デートの時の衣装は何を着ていこうかな?侑哉はどこに連れていってくれるのかな?
侑哉と一緒ならどこでも楽しいと思うけど…
早く、日曜日にならないかな…
私は、日曜日のデートを楽しみにしながら、現実へと戻っていった…
といった感じの第7話でした!
侑哉のスキルは最初はデュエルリンクスのスキルのどれかにしようかなとも思ったんですが、どうせなら主人公固有のスキルにしたいなと思ってこれにしました。
それでは今回はここまで、ここまでの拝読ありがとうございます!