遊戯王VRAINS 幻影の咆哮~青き天使との日常~   作:kajoker

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今回から原作開始です。
侑哉と葵のイチャイチャが少ないなと思って追加で色々と書いていたら、思いのほか長くなってしまいました…

それはそうと、UAがついに6000を越えました!それにお気に入りも55を越え、作者は天にも昇る気分です!この小説を読んでくださっている皆さま、本当にありがとうございます!

これからもこの小説を楽しんで頂ければ幸いです!
では、本編をどうぞ!




第5話 原作介入?

運命の歯車は回り始める、俺達の知らないところで徐々に、しかし確実に…ただ、それでも日常は続く、運命の

歯車が動き始めるまで…

 

//////////////

 

「もう、この時間に登校するのが当たり前になってるな」

 

まだ、誰も来ていない廊下でいつものように教室へと歩を進める。

 

学校が始まってかれこれ1ヶ月が経った、デュエル部の部員も増え、楽しい学校生活を送っている。

 

まぁ、そんな風に思えるのは葵が居てくれたからなんだろうけど…

 

俺はそんなことを思いながら、教室のドアを開けた。

 

そこには、いつも通り自分の席に座っている葵の姿があった。

 

「おはよう、葵」

 

「おはよう、侑哉」

 

そうやっていつも通りの挨拶を交わし、葵の隣の席へと座った。

 

「何か、こんなふうに葵と話すのが当たり前になってきてるよな」

 

「そうね、たまたま早めに学校に行ったら侑哉が入ってきて、そこから仲良くなって…」

 

そう言う葵は、どこか懐かしそうな表情をしていた。

 

「そうそう、あの時は葵が居てビックリしたよ…」

 

「私も…だって、第一声が『財前さんデュエルするの?』だったもんね」

 

「そこ!?いや、あの時はあれ以外に話題が思いつかなくて…」

 

「ふふっ!」

 

俺の反応が面白いのか、葵は笑みを溢した。

 

そういえば、初めて会ったときもこんなふうに笑ってたっけ…本当、何回見ても可愛いよな…

 

「どうかした?侑哉」

 

「いや…葵の笑った顔って可愛いなって思ってさ」

 

って、何言ってんだよ俺!いや、本心だけどさ!

 

このタイミングで言うか!?

 

そんなふうに自分が思わず口にしてしまったことを後悔しながら、恐る恐る葵の方を見る。

 

「そ、そう…?」

 

葵は少し照れたような表情を浮かべながら、俺を上目遣いで見つめていた。

 

そんな顔されたら、ちゃんと答えないわけにはいかないよな…

 

「うん…すごく可愛いと思うよ」

 

「あ、ありがとう…何か、照れるわね…」

 

葵は頬を少し赤らめて、そう言った。

 

いや、自分で言っといてなんだけど、かなり恥ずかしいな…これ

 

「そ、そうだ!なぁ、葵…デッキ編成に付き合ってくれないか?」

 

「え、うん…良いけど…」

 

あまりの恥ずかしさに無理矢理話題を変え、鞄からデュエルディスクを取り出す。

 

「そういえば、侑哉はデッキ収納型の旧型を使ってるのよね」

 

「まぁね、俺としてはこっちの方がデュエルディスクって感じがして好きだしな」

 

それに、花恋がディスクのアップデートを色々としてくれてるおかげで、かなり高性能になってるから使いやすい。

 

「それで、どこを悩んでるの?」

 

「えっと、これなんだけど…」

 

そうして、授業が始まるまで葵にデッキ編成を手伝ってもらいながら他愛ない会話を交わした。

 

//////////////////

 

 

「それじゃ、また明日!侑哉」

 

「また明日!葵」

 

授業とデュエル部の活動も終わり、葵と別れの挨拶をして帰路へとつく。

 

さぁてと、今日の夕飯どうするかな?

 

家に何かあったっけ…?卵はあったよな、玉ねぎもあった気がするし、今日はオムライスにするか!

 

そんなふうに今日の献立について考えていると、どこからか香ばしい匂いが漂ってきた。

 

「何か、良い匂いがするな…ちょっと行ってみよっと!」

 

その匂いに引き寄せられるように歩を進めると、そこにあったのは移動販売式のホットドッグ屋だった。

 

「へぇ~、こんなところにホットドッグ屋があったのか…うん?あれは…」

 

ふと、店の近くにいる少年が目に入った。

 

その少年は遊戯王VRAINSの主人公、藤木 遊作…その人だった。

 

「え~と、遊作だったよな…こんなとこで会うなんて奇遇だな!」

 

「お前は…誰だっけ?」

 

近くにいた遊作に声を掛けると思った通りの反応が返ってきた。

 

まぁ、そりゃそうなるよな…何だかんだで遊作と話すのってこれが初めてだし…

 

「あぁ、一応自己紹介しておくと、俺は神薙 侑哉…よろしくな!」

 

「神薙か、よろしくな」

 

「いらっしゃい!あれ、遊作の友達か?」

 

俺と遊作が簡単な自己紹介をすませると、店の奥から一人の男性が姿を現した。

 

あれ?この人見たことあるような…

 

「草薙さん、神薙とは今話したばかりで、友達じゃない…」

 

「そうか…せっかく遊作にも友達が出来たのかと思ったのにな」

 

そうだよ、草薙さんだよ!思い出した!

 

というか、何かデジャブを感じるんだけど…どこかでこれに似た場面を見たことが…

 

「えっと、草薙さん…初めまして、遊作のクラスメイトの神薙 侑哉です、よろしくお願いします」

 

「随分と礼儀正しいんだな、こちらこそよろしくな!」

 

こうして、一通り挨拶を済まして、ホットドッグへと目を向ける。

 

いやぁ、本当にうまそうだな…

 

「すみません、ホットドッグひとつ下さい!さっきから美味しそうな匂いがしてて、すごい食べたいんですが」

 

「はいよ!すぐにできるから待っててくれ」

 

「それじゃ、その間遊作と話しでもしてますね」

 

俺はそう言って、遊作がいる方へと歩を進めた。

 

「遊作はここの店にはよく来るのか?」

 

「まぁな」

 

「へぇ~、そうなのか」

 

ここのホットドッグうまそうだもんな…って、そんな理由なわけもないか、確か草薙さんは遊作の協力者らしいし、それでここの店によく来るんだろうな。

 

「それはそうと、遊作ってデュエルするのか?」

 

「あぁ、するにはするがそれがどうかしたか?」

 

「じゃあさ、俺とデュエルしようぜ!遊作とデュエルしてみたいしさ!」

 

「断る」

 

「えぇ!?即答かよ!」

 

ここは普通、受けてたつところじゃないの!?

 

「おい、遊作…デュエルぐらい受けてやれば良いじゃないか」

 

草薙さんは遊作を諫めながら、今できたばかりであろうホットドッグを渡してくれた。

 

「もっと言ってやってくださいよ!草薙さん…後、ホットドッグありがとうございます…お代は?」

 

「いや、お代は結構、そいつは俺の奢りだ!」

 

「本当ですか!ありがとうございます!それじゃさっそく頂きます!」

 

草薙さんにお礼を言いつつ、ホットドッグを口に運ぶ。

 

口に入れた瞬間、パリッとジューシーなソーセージの味が広がり、挟んであるパンと絶妙なハーモニーがまた美味しい。

 

何これ、めっちゃうまい!今まで食べてきたホットドッグの中で一番だよ!

 

「なぁ、データストームって知ってるか?」

 

俺がホットドッグの美味しさに感動していると、草薙さんがふと、そんなことを言った。

 

「データストーム?聞いたことがないな…」

 

「俺も聞いたことないな…何なんですか?そのデータストームって」

 

俺と遊作が疑問符を浮かべていると、草薙さんがデータストームについて話してくれた。

 

「昔、LINK VRAINSにはデータストームって呼ばれる風が吹いていたらしくてな、そこでスピードデュエルってのが行われていたらしい」

 

スピードデュエルか…確かアニメでそれが出るって聞いたな…あれか?デュエルリンクスのルールでやるデュエルなのか?

 

「データストームには未知のモンスターが潜んでいて新世界が広がっているって話しだ、遊作もそんなものに出会えればデュエルを楽しめるようになるかもな」

 

「風に乗ってのデュエル、未知のモンスター…!絶対楽しいって、それ!一回やってみたいぜ!」

 

「ほら、こんなふうにな!」

 

草薙さんが、俺の方を指差しながら遊作にそう言った。

 

多分、スピードデュエルがあのボートに乗りながらやるデュエルなんだろうな…ルールはやっぱりデュエルリンクスみたいな感じか?

 

まぁ、この際なんでも良いや!早くやりたいな…そのデュエル。

 

「すまないと思ってるんだ、遊作を巻き込んで…」

 

「良いんだ、草薙さん…俺が自分の意思で決めたことだ、俺はあんたの弟と俺の過去を奪ったやつらに復讐する!」

 

俺がスピードデュエルについて心を踊らせていると、遊作と草薙さんのそんな会話が聞こえてきた。

 

なるほどな、何かデジャブを感じると思ったら、遊戯王ラボの最終回でこのシーンを見たからか。

 

このシーンを見て、遊戯王VRAINS楽しみだなぁなんて思っていたら、気づけば遊戯王VRAINSの世界に来てたんだっけ…

 

それにしても、復讐…か

 

「ふぅ、ごちそうさまでした!ホットドッグ、すごい美味しかったです!また来ますね」

 

「あぁ、また来てくれ!」

 

「はい、また来ますよ…あっ、そうだ遊作!」

 

「何だ?」

 

俺は遊作の方を向いて、こう言葉を紡いだ。

 

「俺はお前の過去に何があったのかは知らないし、復讐をやめろとは言わない、でも…デュエルを復讐の道具としてしか見れないのは悲しいと思うんだ…だからさ、デュエルを楽しめる時は全力で楽しもうぜ!」

 

デュエルっていうのは元々楽しいものだ、そりゃ、負けたら悔しいし、先行制圧されて何も出来ずに負けたらとてつもなくへこむけど…

 

自分のデッキが応えてくれて、自分の理想の動きが出来たらすごく嬉しいし、自分の好きなモンスターや戦い方で勝てたときの喜びは言葉に出来ない。

 

遊作にもそういう喜びや楽しさを知ってほしい…だからこそ、草薙さんも遊作にデュエルを楽しんでほしいって思ってるんだろうな…

 

「んじゃ、また学校でな!遊作!」

 

「あ、あぁ…」

 

俺はそう言って、帰路へとついた。

 

 

 

「不思議な奴だったな…あいつ」

 

「ただの、デュエルバカにしか見えなかったが…」

 

「そうかもな、でも、良い友達になれそうじゃないか」

 

「草薙さん、まだそんなこと言ってるのか」

 

「お前もいつか、あいつみたいにデュエルを楽しめるようになると良いな」

 

「………神薙 侑哉か」

 

 

///////////////

 

 

 

「ただいま~!」

 

「お帰りなさい、侑哉」

 

遊作達と別れ、家へと戻って来ると花恋が出迎えてくれた。

 

「ねぇねぇ、今日の夕飯はなに?」

 

「帰ってきて早々、夕飯についてかよ…まぁ、良いけどさ、今日はちょうど卵も玉ねぎもあるしオムライスにしようかなと思ってるよ」

 

「オムライスかぁ~!楽しみにしてるわね!」

 

「あんまり期待しないでくれよ…さてと、とりあえず下準備するかな」

 

自分の部屋に向かい、鞄を置いてリビングへと歩を進める。

 

まず、玉ねぎをみじん切りにして器に移し、ウインナーを輪切りにして同じように器に移した。そのまま、その二つにラップをかけて、冷蔵庫にしまう。

 

後は米を洗って、ご飯を炊くだけだ…よし、これである程度の準備はできたな。

 

「それじゃ、LINK VRAINSに行ってくる!」

 

「行ってらっしゃい!侑哉」

 

「あぁ!」

 

そのまま、デュエルディスクにデッキをセットする。

 

「デッキセット!into the VRAINS!!」

 

 

/////////////

 

 

「到着っと…!」

 

フェードアウトした意識が覚醒すると目の前に見慣れたLINK VRAINSの景色が広がる。

 

「さてと、どうするかな…」

 

とりあえず、デュエルの相手を探そうかな。

 

俺はそう思い、歩き始めた。

 

「あ、Phantom!こんなところに居たのね!」

 

「うん?ブルーエンジェルじゃないか、どうかしたのか?」

 

「あちこち探してもPhantomが見つからないから探してたのよ」

 

「へぇ~、わざわざ俺に会うためにあちこち探してくれたのか?嬉しいな」

 

「なっ!?ま、まぁ…それもあるにはあるけど…」

 

ブルーエンジェルは少し顔を赤らめながらそう言った。

 

え、本当に?いつもの調子で言ったけど、いざ面と向かって言われると何か照れくさいな…

 

「え、えっと…ブルーエンジェル、何か用事があったのか?」

 

「あ、うん…実はPhantomと話したいことがあって…」

 

「話したいこと?」

 

「Phantom、その…良かったら」

 

少しモジモジしながらブルーエンジェルは俺の方を見てくる。

 

「今度、私と…で、デートしてくれない?」

 

「はい?」

 

「だから、デートしようって言ってるの!何度も言わせないでよ…」

 

ブルーエンジェルは見るからに顔を赤くして、そう言った。

 

「えっと、いやそれは嬉しいけどさ…何で急に?」

 

「ほ、ほら!Phantomに助けてもらった時のお礼がまだだから…」

 

「お礼?」

 

お礼を言われるようなことしたっけ俺…?

 

「初めて、Phantomとデュエルした時に建物から落ちそうになった私を助けてくれたでしょ…」

 

「あぁ…あの時か、別に気にしなくて良いって」

 

「私が気にするの…それで、どうなの?」

 

ブルーエンジェルは少し、不安そうな表情を浮かべながら俺に問いかける。

 

「もちろん!断る理由なんかないって!それで、いつごろここに来ればいいんだ?」

 

「えっと…会うのはここじゃなくて、現実のほうでいい?」

 

「え…?いや、俺は構わないよ…でも良いのか?俺に正体がバレるってことだよ…」

 

実際、葵は自分の正体がブルーエンジェルだってことは隠したいんじゃ…それなのに何でだ?

 

それだけ俺のことを信頼してくれてるってことなのかな?それとも、俺の正体がバレてるとか?

 

いや、まさかね…

 

「Phantomなら信用できるし、大丈夫よ!それで、今度の日曜日、13時に広場で待ち合わせでいい?」

 

「オッケー、わかったよ!あ、そうだ…合言葉を決めておこうよ!俺達、お互いに現実の姿とか知らないわけだし」

 

「ふふっ、私は知ってるわよ…ね?侑哉」

 

「へっ!?何で俺の名前を…まさか、あ、葵!?」

 

「正解!」

 

マジで?俺の正体バレてたの…!何でだ!あれか、やっぱりPhantomの時みたいにデュエルしてたからか?

 

「やっぱり、侑哉がPhantomだったんだ…良かった」

 

「俺はちっとも良くないけどね…これで、もし俺が全く知らない赤の他人だったらどうするつもりだったんだ?」

 

俺の正体がバレるよりもそっちの方が問題だろ…

 

「まぁ、Phantomが侑哉だってことはなんとなくわかってたから…」

 

「なるほどね…ということはさっきのデートの話しも俺の正体を暴くための嘘だったってこと?」

 

「うんうん、そっちは本当…助けてもらったお礼がしたいのも、現実でデートしたいのも…だから、付き合ってよね…」

 

葵は、俺の方を見ながら小さく笑みを溢した。

 

「わかったよ、楽しみにしてる…」

 

「本当!?ありがとう…日曜日、遅刻しないようにね!」

 

笑顔でそう言う、ブルーエンジェルを見て思わず笑みが零れた。

 

「まぁ、善処するよ…」

 

「ふふっ、それじゃあ私今からデュエルしてくるから、ちゃんと見ててよ!Phantom!」

 

「うん、頑張れよ!ブルーエンジェル!」

 

嬉しそうに歩き始めた、ブルーエンジェルの後に俺も続いた。

 

この時の俺はまだ知らなかった、すでに運命の歯車が動き出していることに…

 

 

 

 

 




という感じの第6話でした。次回はハノイの騎士とのデュエルに入るつもりです!
UAが1万を越えたら、また何か話しを書くつもりなのでそれも楽しみにしていてください!

それにしても、アニメでリボルバーさん強かったですね…次回はマスタールールでやるみたいですし、楽しみですね!

それでは、今回はここまで!
ここまでの拝読ありがとうございます!

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