遊戯王VRAINS 幻影の咆哮~青き天使との日常~ 作:kajoker
久しぶりの更新です…最近、何かと忙しくて小説を書く暇がありませんでした。
これからも不定期更新になりますが楽しんで頂ければ幸いです。
それでは本編をどうぞ!
――――とある空間
「来たか、風のイグニス」
「急に呼び出すなんてどうしたんだよ、光のイグニス」
とある空間で、光のイグニスと風のイグニスが邂逅していた。
ある脅威に対抗するすべを考える為に。
「で?何の用?」
「Phantomについてだ」
「…!なるほどね、確かに僕達の計画の1番の障害はあいつだよね」
「そうだ、Phantomは普通の人間とは違う…私達、イグニスと同等かそれ以上の力を持っている…それになかなかに勘が鋭い」
そう口にして、光のイグニスはサイバース世界を襲撃した時のことを思い出していた。
あの時、サイバース世界にPhantomがやってきて、光のイグニス達の計画に支障をきたした。
彼は、僅かな情報から自分以外の誰かがサイバース世界に侵入したと仮定し、その対策を立てるべきだとイグニス達に提案した。
水のイグニスはその意見に賛成し、炎のイグニスもそれに概ね同意していた。
「あの時はさすがに焦ったよな、僕らの計画がバレちゃったかと思ったもん」
「…全くだ、おかげで計画を早めることになってしまった」
そう、Phantomの仮説により、他のイグニス達が彼に協力することになれば、サイバース世界を滅ぼすことが難しくなる、その為、計画を早めるしかなくなってしまった。
しかも、計画を早めたにも関わらずサイバース世界への襲撃は失敗したと言っても過言ではない。
Phantomの活躍により、サイバース世界への被害は最小限に抑えられ、イグニス達はそれぞれバラバラに逃げていった。
そのせいで、イグニスの中で嘘を見抜く能力を持つ水のイグニスを取り逃がすことになってしまった。
その為、すぐに自分達の計画が露呈してもおかしくはない。
「本当に厄介なことをしてくれたよね…Phantomは早いとこ消しといた方が良いんじゃない?」
「…いや、それは難しいだろう、Phantomはカードを実体化する力を持っている…我々がどんな手を用いたとしても、そう簡単にあの男を消すことはできないだろう」
「確かに…」
「…可能ならばあの男を我々の味方にしたいところだが…」
「へぇ~、面白そうなこと話してるね♪私も混ぜてよ」
「「…ッ!!」」
背後から聞こえてきた声に2体のイグニスは驚きの声を漏らす。
何故なら、そこには長い紫色の髪に宝石のような紅い瞳を持つ少女が居たからだ。
///////////////
「何故、人間がここにいる!?」
「その通りだ、この空間は僕達以外は入れないはずだ!」
「うふふ、イグニスって意外と間抜けだよね♪まぁ、私の場合はたまたま見つけただけなんだけど…」
私の姿を見て、驚いているイグニス達にそう口にする。
この言葉に嘘はない、私はただロンギルスに着いてきただけだ。
まぁ、その結果、イグニス達と会うことが出来たわけだからラッキーかな?
「ねぇ!私もあなた達の仲間に入っても良い?Phantomを味方につけるのは大賛成だもん♪」
実際、侑哉を味方につけるのは大賛成…だけど、とてつもなく気に食わないことがある。
「…だけど、風のイグニス…あなたのことは気に食わないよ…Phantomを消すとか、ふざけたことを言わないで!!!もし、またPhantomを消すと言ったり、Phantomを貶めることを言ったら…」
―――先にあなたを消すからね
私はそう口にして、風のイグニスに冷たい視線を向ける、例えるなら、そう、ゴミを見るような目で…多分、今の私はそういう目をしている。
その証拠に、風のイグニスは怯えた表情を見せている。
へぇ、さすがは意思を持ったAIだね…恐怖という感情もしっかり持ってるんだ…なら、もっと恐怖を刻みつけて2度と侑哉の悪口を言えないようにしてあげようかな?
「…と、ところで君は誰だ?」
風のイグニスと同様に少し怯えた表情をしながらも光のイグニスが私にそう尋ねてくる。
「私はダークナイトプリンセスだよ…それで私を仲間に入れてくれるの?」
「…何故、私達の仲間になりたいんだ?」
「…Phantomが大好きだから、私はね、Phantomを私だけのものにしたいの…その為にもまずは邪魔者を排除したい、その為にあなた達を利用しようと思ったの」
「なるほど…だが、私達が君を仲間にすることに何のメリットがある?」
「…私という戦力が手に入ることかな?私はこう見えて結構強いんだよね♪ま、Phantomには及ばないかもしれないけど他の人達には負けない自信があるし」
実際、私は侑哉に負けている…しかもノーダメージで負けちゃったからなぁ。
最悪の場合は本気を出すしかないかな…それでも侑哉に勝てるかはわからないけど。
「それに、ぶっちゃけ他の人間がどうなろうと知ったことじゃないし…Phantomが私の側に居てくれれば後は別にどうでもいいから」
私がそう言うと、光のイグニス達は呆気にとられたような表情を浮かべる。
「そんなに意外だった?」
「…あぁ、まさか君のような人間が居るとは思ってもいなかった」
「あっそ…それで?」
「…わかった、君を我々の仲間に迎えよう…よろしくな、ダークナイトプリンセス」
「うん、よろしくね♪」
こうして、私は光のイグニス達と手を組むことになった。
ふふふ、偶然とはいえ光のイグニス達と手を組めたのは良かったかな…アニメはハノイレンジャーの回までしか見れてなかったけど、光のイグニス達の様子を見るに人間を支配するつもりみたいだしね。
光のイグニス達を上手く利用できれば財前葵を排除できるかもしれないし、ここで手を組めたのは大きいね♪
…待っててね、侑哉…絶対に君を手に入れてみせるから。
私はそんなことを思いながら、光のイグニス達の空間から抜け出した。
//////////////
「っ!何だ今の感じ…」
突然、背筋に悪寒が走り、思わずそう叫ぶ。
何だったんだ…今の…何か嫌な予感がするな。
「俺の気のせいだったら良いんだけど…とりあえず、頼みたいものもあるし花恋の所に行くか」
俺はそう呟いて、下の階にいる花恋の元へと向かった。
「どうしたの?侑哉」
「ちょっと頼みたいものがあってさ」
「頼みたいもの?」
「あぁ、対イグニス用のプログラムを作ってほしいんだ」
俺のその言葉に花恋は納得したように頷いた。
「葵ちゃんの為ね?」
「あぁ…了見がイグニスも俺の力を狙うかもしれないって言ってただろ?それで、俺の力を手に入れる手段として1番考えられるのが葵を人質に取ることだと思ったんだ」
実際、葵を人質に取られたら俺は敵の要求に従うしかない、だから、そんな最悪の事態に備えて対イグニス用のプログラムを作ってもらう必要があった。
「なるほどね…わかったわ!任せて!」
「ありがとう、花恋…本当にお前には感謝してもしきれないな」
「気にしないで、私達は家族でしょ?家族が困っていたら助けるのは当たり前よ!これからも頼ってくれて良いからね!」
そう言って、花恋は満面の笑みを浮かべる。
その笑顔はとても可愛くて、遊作や草薙さんが好意を持つのも仕方ないなと思わずにはいられない。
そういや、了見は花恋のことが好きなんだろうか?何というか有り得そうで怖いな。
「…ところで、侑哉」
「うん?どうしたんだ?」
俺がそんな風に考え事をしていると花恋から声を掛けられ、そう聞き返す。
「イグニスに対する対策はそれで良いけど、SOLテクノロジー…もっと言えば人間に対する対策はどうするの?」
「そうだな…ハノイの騎士も力を貸してくれるって言ってたし、人間に対する対策は何とかなるかな…最悪の場合はリンクアクセスの力を使うなり、覇王の力を使うなりして防ぐしかないけど」
俺が常に葵の側に居れば問題はないかもしれないが、さすがに常に葵の側に居られるわけではない…それに、葵に窮屈な思いをさせたくはないしな。
それに、ハノイの騎士と遊作達の助けもあれば大抵のことは何とかなりそうだ。
まぁ、俺達だけで解決できる問題は俺達で解決するつもりだけどな。
「確かに了見君達が協力してくれるならなんとかなるかもしれないわね…まぁ、私の方でも方法を考えておくけど」
「あぁ、頼む」
「任せて!…そういえば侑哉…夏休みの課題は終わったの?」
「…あ、そうだった!!やばい!早く終わらせないと!!それじゃあ、課題をさっさと終わらせてくる!」
「うん!頑張ってね、侑哉」
「おう!」
そう言って、俺は慌てて部屋へと戻る。
何でそんなに慌ててるんだって?もうすぐ夏休みが終わるのに半分くらい課題が残ってるからだ!
最近はSOLテクノロジー社に行って晃さんの手伝いをしたり、新生リンクヴレインズのテスターを任せられることになって忙しくなってしまった。
その為、今のように慌てているというわけだ。
…って、俺は誰に説明してるんだ…まぁ、良いか。
俺はそんな風に心の中で誰に向かってかわからない説明をしながら、課題を終わらせることにした。
といった感じの第55話でした!
恐らく、今回で日常編は終わりだと思います。
次回からは原作に入っていくつもりです。
それでは、今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます!