遊戯王VRAINS 幻影の咆哮~青き天使との日常~   作:kajoker

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第54話です!

今回はタイトルからわかるかもしれませんが、UA10万突破記念の話しの続きです。

続きを書くかは悩んでいたんですが、書きたくなったので書くことにしました!

それでは、本編をどうぞ!


第54話 ~ある世界の物語 続(前編)~

それは、いつも通りの日だった、そんないつも通りの日にそれは起こった。

 

「侑哉!よく聞いて!私は未来からタイムリープしてきたの…明日にはハノイの塔が起動して、侑哉が…」

 

「うん?急にどうしたんだ?ハノイの塔はとっくにプレイメーカーの活躍で止まったじゃないか…寝ぼけてるのか?」

 

急にまくし立てるように、俺にタイムリープしてきたと話す葵にそう返す。

 

「え…?止まった?ハノイの塔はもうないの?でも、私は確かに花恋さんの作ったタイムリープマシンで…」

 

困惑した様子で、1人でぶつぶつと葵はそう口にする。

 

…もしかして、ここに居る葵は…そうだとすれば色々と辻褄は合うな。

 

「…葵、もしかして、お前は別の世界から来た葵なのか?」

 

「…多分、そうかもしれない…」

 

「なるほど、とりあえず、話しを聞かせてくれ…」

 

「うん…」

 

そうして、葵は自分に起きた出来事に話し始めた。

 

//////////////

 

「…と、いうわけなの」

 

「なるほどな…つまり、お前は俺が意識を失うという未来を変えるためにタイムリープを繰り返していた…だけど、何度やっても俺を助けることができなかった…そして、またタイムリープをしたらここに居たってことか」

 

葵の話しによると、葵の世界で俺がスペクターと戦い、そのダメージが多すぎたせいで、意識を失ったらしい。

 

そして、花恋が以前作った異世界へと行ける装置を改造し、タイムリープマシンを作成し、タイムリープを行ったみたいだ。

 

そして、今までに何度もタイムリープを繰り返してきた。

 

「…なるほど、とりあえず葵がこちらの世界に来た理由はなんとなくわかった」

 

「どういう理由なの?」

 

「タイムリープマシンは元々、異世界に行ける装置を改良したものなんだろ?だとすると、何らかの誤作動が起きて、装置の本来の機能が発揮されて、タイムリープと同時に俺達の世界に来たんだと思う」

 

「なるほど…どうしたら元の世界に戻れるの?」

 

「多分、時間が経てば元の世界に戻ると思う…1日か2日ぐらいか…もしかしたら、もっと早いかもしれないな…まぁ、どちらにせよ対策を考える必要があるな」

 

今の葵の状況はシュタインズゲートに酷似している…恐らく、葵の世界では世界線の収束が起きている可能性が高い…このまま帰ってしまえば、何の対策もできず無限にタイムリープを繰り返すことになるかもしれない。

 

それだけは避けないとな。

 

それにしても…あっちの俺は世界線の収束が起きているかもしれないっていう可能性に至らなかったのか?

 

まさか…あっちの俺はシュタインズゲートを知らないのか?でも、そうか…多分、俺もシュタインズゲートを知らなければ、世界線の収束とか考えもしなかっただろうし。

 

ということは、世界線の収束を乗り越える方法も知らないってことか…これは少し不味いかもな。

 

「…まぁ、とりあえず…お前がタイムリープで経験したことを教えてくれないか?辛いことを話させることになるかもしれないけど…」

 

「…うん、わかった…話すわ」

 

葵はそう言って、一度深呼吸をして、語り始めた。

 

「まず、初めてタイムリープした時は…」

 

/////////////

 

「…と、大体こんな感じよ」

 

「ふむ、なるほど…」

 

葵の話しを聞きながら、葵がタイムリープした時の経験を図式的に纏めていく。

 

そうして、纏めていくにつれて葵が何度もタイムリープを繰り返していることが改めてわかった。

 

何度も何度も、それこそ気が遠くなるほどに葵はタイムリープを繰り返していた。

 

「よく、ここまでタイムリープを繰り返せたな…普通なら、心が折れるぞ…」

 

「じゃあ、聞くけど…もし、侑哉が私と同じ立場なら諦められる?」

 

「…いや、意地でも葵を助けようとすると思うよ」

 

葵の質問に俺はそう返す。

 

実際、葵と同じ立場になったら俺も葵を全力で助けようとすると思う。

 

…さて、葵の話しをここまで聞いた限りだと、やっぱり世界線の収束が起きていると見て間違いない。

 

ただ、葵が繰り返したタイムリープの中で一つだけ抜け道を見つけた。

 

それは、一度目のタイムリープの時だ…その時の葵はあっちの俺のアドバイスを受けて、デッキ編成をしてスペクターに勝利している。

 

そして、重要なのはその後だ…その後、葵は意識を失っている俺を見ている…だけど、その時の俺が誰に意識を奪われたのか、いつ意識を奪われたのか…それを葵は見ていない。

 

他の世界線では、葵は必ず俺が意識を失う瞬間を目撃している…だけど、最初のタイムリープの時だけは葵はそれを見ていない、だからこそ、今の俺の知る限りではそれ以外に抜け道は見当たらない。

 

…ふぅ、とりあえず抜け道は見つけた、後は花恋とレイに頼みごとをしないとな…再びあっちの俺と葵の時間を動かすための下準備だ。

 

「…葵、聞いてくれ、今さらだけど葵達の世界には世界線の収束が起きているかもしれない」

 

「世界線の収束…?」

 

「あぁ、簡単に言えば、どれだけ過去を改変しようとしても、結局は一つの結果に収束するってことだ…そっちの状況で言うなら、どれだけ過去を改変しようとしても、俺が意識を失うという結果に収束するって感じだな」

 

「そんな…!それじゃあ侑哉を助けることはできないの!?」

 

明らかに動揺した様子で葵がそう口にする。

 

無理もない、だって今の言い方はあっちの俺を救う方法はないと言っているようなものだ…だからこそ、俺は自信を持ってこう口にする。

 

「…いや、方法はある」

 

「本当に!?」

 

「あぁ!もちろんだ!だけど、その前にまずは葵がスペクターに勝利すること、これが重要だ…葵が勝利しない限り、未来は変わらない」

 

「私が勝利すれば…そうすれば未来は変わるの?」

 

「確実とは言えないけど、少なくとも可能性は広がる」

 

「そう…わかった!私、絶対にスペクターに勝ってみせるわ!それで、必ず侑哉を救ってみせる!」

 

そう言って、葵はこの世界に来て、初めて自信満々に声を上げた。

 

その瞳は、希望に満ちていた。

 

「あぁ、頑張れよ…それじゃあ、俺はちょっと準備を進めてくる」

 

「うん…ねぇ、侑哉…」

 

「どうした?」

 

「ありがとう…!」

 

そう言って、葵は満面の笑みを浮かべた。

 

その笑顔もこの世界に来てから初めて見せた笑顔で、思わず笑みが零れる。

 

「どういたしまして!それじゃあ、ここで待っててくれ」

 

「わかった!ここで待ってるわね」

 

「あぁ、悪いな…」

 

そう言って、俺は部屋から出ていき、外に出る。

 

そして、そのまま花恋へと連絡する。

 

しばらくすると、花恋の声が聞こえてきた。

 

『もしもし?どうかしたの?侑哉』

 

「花恋、今どこに居る?」

 

『草薙さんのお店よ、ちょうど今、遊作君に勉強を教えているところ』

 

「そうだったのか…」

 

マジか…遊作にちょっと申し訳ないことしちゃったかな?

 

まぁ、でも今は勘弁してもらうしかないな。

 

『それで、どうしたの?』

 

「大至急で頼みたいことがあるんだけど…頼めるか?」

 

『もちろん!任せて!それで頼みたいことって?』

 

「実は…」

 

/////////////

 

「侑哉達、遅いわね…」

 

侑哉が準備を進めてくると言って、どこかへ出掛けた後、花恋さんと侑哉が戻ってきてそのまま、地下の隠し部屋へと移動し、かなりの時間、私は1人で待っていた。

 

どうやら、侑哉は花恋さんに私のことを話して、私達のことを助けようとしてくれていたみたいで、思わず笑みが零れた。

 

別の世界だろうと、やっぱり侑哉は侑哉なんだなって、そんなふうに思ったから。

 

正直に言って、いくら私達の世界が大変なことになっていても、こっちの侑哉にとっては関係ないと思うし、迷惑を掛けるのは何だか申し訳ない。

 

でも…多分、侑哉はそんなことを気にしなくて良いって言ってくれるんだろうなぁ…本当に優しすぎるくらいに優しい。

 

「悪い、葵…待たせちゃったな」

 

私がそんなことを思っていると、侑哉が戻ってきた。

 

ただ、その侑哉の姿に少し違和感を覚えた。

 

「ううん、気にしないで…ところで侑哉、何で白衣を着てるの?」

 

隠し部屋から出てきた侑哉は何故か、白衣を着ていて少し驚いてしまった。

 

まぁ、侑哉の白衣姿もなかなか様になっていてカッコいいけど。

 

「あぁ、ちょっと雰囲気を出すために、花恋が持っていた白衣を借りたんだ…サイズが合うやつがあって助かったよ」

 

「雰囲気…?」

 

「シュタインズゲートの鳳凰院凶真みたいな感じにしたくてさ…まぁ、この世界にあるかはわからないけどシュタインズゲートのアニメは見ておいて損はないと思うぞ、めっちゃ良いアニメだから!」

 

「そうなんだ…侑哉がそんなにオススメするんだから、本当に良いアニメなのね」

 

「あぁ…と、そういえば後どれくらいこっちに居られそうなんだ?」

 

侑哉はそう言って、私の方を見る。

 

「…多分、もうすぐ戻ることになると思う…」

 

実際、侑哉達を待っていた間に何度か意識が引き戻されるような感覚に襲われた、多分もう時間がないんだと思う。

 

「そうか…まぁ、一応こっちでできる準備は全部済ませたからそこは安心してくれ…ただ、俺の考えた方法で確実に成功するかと聞かれたら断言はできない」

 

「そうなのね…ねぇ、侑哉…あなたの考えた方法ってどんな方法なの?」

 

「それは、すべてが終わったらわかると思うよ…それまでのお楽しみさ」

 

そう言って侑哉はからかうように私に笑みを向ける。

 

むぅ…何かはぐらかされた気がする…でも、侑哉のことだから何の考えもなしに動くとは思えないし、きっと何か策があるんだと思う。

 

なら、私はそれを信じるだけだ。

 

「あ、そうだ葵…一つ言い忘れてた」

 

「うん?」

 

「さっきも言った通り、確実に成功するとは言えない…だけど、もし失敗しても諦めないでくれ…諦めずに挑み続ければ必ず道が見えてくる…まぁ、葵に辛い選択を押し付けているように聞こえるかもしれないけどな」

 

侑哉はそう言って、申し訳なさそうな表情をする。

 

本当に侑哉は優しいんだから…これは私達の問題で本来、別の世界線の侑哉には一切関係ないことだ、むしろ、こうしてこの世界の侑哉に頼ってしまっている時点で私に非がある。

 

「…そんな顔をしないで、侑哉…私は諦めるつもりはないわ…何度失敗したって何度だってやり直す!諦めたりしない!だから、侑哉…そんな顔をしないで」

 

「…あぁ、そうだな…ありがとう、葵」

 

「どういたしまして!……っ!そろそろ時間みたい…」

 

侑哉とそんな会話を交わしていると、再び意識が引き戻されるような感覚に襲われる。

 

これは、もう抗えない…タイムリミットが来たんだ。

 

でも、この世界に来れて良かった…もしかしたら、未来を変えられるかもしれない、未来を変えることはできないと、諦めかけていた気持ちに再び火が灯った。

 

別の世界だったとしても、侑哉が無事でいる未来を見ることができた…なら、私達の世界でもその未来にたどり着ける…そんな希望を抱けるようになった。

 

最後に…単純に侑哉と話すことができたこと、それが嬉しかった。

 

だから、私は絶対に諦めない…私達を救おうとしてくれたこの世界の侑哉の為にも!

 

「頑張れよ、葵」

 

最後に侑哉のそんな声を聞きながら私は意識を手放した。

 

////////////////

 

「…戻ってこれたみたいね」

 

意識が覚醒すると同時に目に入ってきたのは侑哉の部屋、何度もタイムリープを繰り返したこともあってかその光景をとても懐かしく感じてしまう。

 

今までのことから考えるに、そろそろ侑哉が部屋に戻ってくる。

 

「待たせてごめんな、葵…飲み物とか用意するのに時間が掛かっちゃってさ」

 

そう言って、侑哉は今までと同じように部屋へと入ってくる。

 

「気にしないで…ねぇ、侑哉…あなたに話したいことがあるの」

 

「うん?何だ?」

 

「私は未来からタイムリープしてきたの」

 

「え…?」

 

/////////////

 

「なるほどな…そんなことがあったのか」

 

葵から聞かされた話しに俺はそんな言葉しか出せなかった。

 

葵が俺を救う為に何度もタイムリープを繰り返したこと、タイムリープをした時の経験…そして、先ほどまで別の世界の俺からアドバイスをもらっていたことなどを聞かされた。

 

「うん…あっちの侑哉の話しだと、私達の世界には世界線の収束ってやつが起きていて、どれだけ過去を改変しようとしても侑哉が意識を失うという結果に収束するらしいの」

 

「え!?それじゃあどう頑張っても未来は変わらないのか?」

 

「ううん、方法はあるって言ってた…詳しい内容は教えてくれなかったけど、私がスペクターに勝つことが重要だって言ってた…私が勝つことで可能性が広がるって」

 

「そうか…」

 

そう返しながら、俺は別の世界の俺が考えた方法を考える。

 

葵が勝つことが重要…葵がスペクターに勝った世界は初めて葵がタイムリープを行った時のことが一番に考えられる。

 

その時の葵はスペクターに勝った後、俺が意識を失って倒れているところを見たんだよな…それじゃあ今までと何も変わらないんじゃ…

 

ダメだ…別の世界の俺の考えがいまいち読めない…別の世界の俺、頭良すぎだろ。

 

「ん?メッセージか?」

 

俺が別の世界の俺の考えを読もうと四苦八苦しているとメッセージが届く音が響く。

 

届いたのは二つのメール、俺は少し警戒しつつも、一つ目のメールを見る。

 

 

部屋を出て

 

メールを開け

 

葵にバレずに

 

 

 

書かれていたのは、こんな文章…葵の話しを聞いた限り、考えられるのは別の世界の俺からのメッセージだ…でも、何で葵にバレたらダメなんだ?

 

まぁ、指示を聞いておいた方が良いな…あっちの俺が俺達を救う為に何か手を打っているのかもしれない。

 

「…悪い、葵…ちょっと知り合いから連絡が来た、すぐに戻るから待っててくれ」

 

「…?わかった、ここで待ってるわ」

 

俺は葵にそう断りを入れて、部屋から出ていった。

 

そうして向かったのは、トイレだ…家の中で一番、誰にも会話を聞かれなさそうな場所はここ以外には思いつかない。

 

一応、ここに来るまでに葵や花恋がつけてきていないか確認したが、つけてきている様子はなさそうだった。

 

「よし、もう一つのメールを確認しないとな」

 

俺はそう呟いて、トイレに入り、カギを閉めた。

 

そして、そのままメールを開く…すると、何かの映像が映しだされる。

 

所謂ムービーメールだろう、俺は少し緊張しながら、ムービーメールを見つめる。

 

『初めましてだな、別の世界の俺…このメールを開いているってことは葵から大体の話しを聞いていると思って良いな』

 

ムービーメールに映し出されたのは何故か白衣を着ている俺の姿…って何で白衣!?別の世界の俺は科学者か何かなのか?

 

『まぁ、俺の格好は気にするな…雰囲気を出したかっただけだからな』

 

その言葉を聞いて、思わずズッコケそうになる。

 

雰囲気を出したかっただけって…まぁ、ある意味俺らしいかもしれないけど。

 

『話しを戻すぞ、葵から聞いているかもしれないがお前達の世界には世界線の収束が起こっている可能性が高い…このままでは未来を変えることはできない』

 

「でも、確か方法があるって葵から聞いたぞ」

 

『まぁ、葵から聞いているだろうけどな…はっきり言うと方法はある、お前達は方法を間違えていただけだ…今からその方法について説明する』

 

「あぁ、頼む」

 

さっきからムービーメールの俺に対して応答する形になってしまっているが、細かいことは後回しだ…今は、別の世界の俺から方法を教えてもらうしかない。

 

『確定した過去を変えずに結果を変えろ…それがお前達の未来を再び動かすはずだ…葵がタイムリープしてきた中で一つだけ抜け道が存在している…それは葵がスペクターに勝利した時だ、その時の葵は意識を失って倒れているお前を見ている…だが、いつ、誰に、どんな風に意識を奪われたかは見ていない…つまり、葵が勝利した場合に限り、その過去は確定していない』

 

「うん?よくわからないな…スペクターに勝利したってことは、一度目のタイムリープのことを話しているのはわかるけど、それがどうして抜け道になるんだ?」

 

『これが抜け道になる理由は、あくまで、このタイミングで確定している過去は意識を失ったお前と、それを見た葵だけだ…わかりやすく説明すると、お前は意識を失ったんじゃなくて、寝ているフリをしていただけなのに、葵がそれを見て、意識を失ったと勘違いした…そんな可能性もあるということだ』

 

「…あ、そういうことか!」

 

わかりやすく説明されてようやく理解できた。

 

今までの葵は俺が意識を失うのを目の前で見ている…だけど、一度目のタイムリープの時は葵はあくまで意識を失った俺を見ていただけで、意識を失う瞬間を見ていない、つまり、本当に俺が意識を失ったかは確定していない。

 

そうか…これが確定した過去を変えずに結果を変えることに繋がるのか…マジで頭良すぎだろ!別の世界の俺!仮に何かしらの元ネタがあったにしても、短時間で抜け道を見つけ、しかもその対策を考える…簡単にできることじゃない。

 

『…これより、世界を救済する者計画《オペレーションメサイア》の概要を説明する…確定した過去を変えずに結果を変えろ!ただし、俺達には未来からの助っ人もいなければタイムマシンだって持っていない…ならば、方法は一つ、お前自身が葵を騙すしかない…方法は問わない、スペクターに勝利した葵にお前が意識を失っていると観測させろ』

 

「葵を騙すか…なんとなく予測していたけどやっぱりそういう手しかないんだな」

 

『そして、その後1ヶ月の間意識を失っているフリをして葵がタイムリープをしようとしている所を止める…そうすることでお前達の時間は再び動き出す』

 

「俺達の時間が動き出す、か…」

 

そうだな…俺がハノイの塔で意識を失ってから俺達の時間は止まったままだ。

 

そういう意味では、今の俺達は遊作と同じような状態かもしれないな。

 

『葵に詳しい概要を説明しなかったのは、葵に知られたらこの作戦そのものが成り立たなくなるからだ…ただ、葵にも言ったがこの作戦が確実に成功するかはわからない、何せ今回みたいなパターンは俺も知らない…だが』

 

『「少しでも可能性があるなら、俺はそれに懸ける」』

 

『…そうだろ?』

 

「うん…やっぱりこのメールを送ってきたのは俺だな…別の世界の俺もここの俺と大差ないな」

 

今さらだけど、改めてそんなことを思った。

 

『それじゃあ健闘を祈るよ、別の世界の俺…世界を欺く最高のエンタメ、成功させてくれ…エル・プサイ・コングルゥ』

 

最後に謎の合言葉と共にムービーメールは終了した。

 

「…ありがとな、別の世界の俺…」

 

ムービーメールを見た俺はそう言って、別の世界の俺にお礼を口にする。

 

もし、別の世界の俺が作戦を考えてくれなければ、何もできずにただ、葵を苦しめることになったかもしれない。

 

だからこそ、俺は礼を言わずにはいられなかった。

 

ただ、一つだけ気がかりなことがある。

 

それは、別の世界の俺は1人で何でも背負い込んでしまっていないかだ。

 

多分、あっちの俺はどの世界の俺よりも頭の回転が早いし、どの世界の俺よりも規格外だ…だからこそ、色んな人から頼りにされ、それに応えようとして、ボロボロになるんじゃないかと不安だった。

 

まぁ、葵や花恋…遊作達も居るし、頼りになる人達はいっぱい居るから心配はないかもしれないけど。

 

「…とにかく、俺は俺の出来ることをするしかないよな…そうじゃないと、別の世界の俺に申し訳ないもんな!」

 

俺はそう言って、気合いを入れ直す。

 

世界を欺く最高のエンタメ…やってやろうじゃないか!お楽しみはこれからだ!

 




といった感じの第54話前編でした!

そういえば、もうすぐサベージストライクのパックが発売されますね!今回は欲しいカードが多過ぎて全部集められるか心配です…

そういえば、アニメの方で次回、ネオストームアクセスというスキルが出ますね、そのスキルでサイバース・クァンタム・ドラゴンを手に入れるんですかね…まぁ、何にせよ楽しみです!

それでは、今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます!

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