遊戯王VRAINS 幻影の咆哮~青き天使との日常~ 作:kajoker
今回は最初は侑哉視点で後半からは葵のデュエルの続きになります。
それでは本編をどうぞ!
「おわっ!な、何だ?」
「侑哉?急にどうしたの?」
「いや、今、ものすごい悪寒が走ってさ…」
「悪寒?風邪でも引いたのかしら…」
「いや、多分それはないと思うけど…」
花恋とそんな会話を交わしながら、先ほどの悪寒について考える。
一体何だったんだ…今の…何かやばいことが起きようとしてるのか?
「侑哉って、結構モテるから誰かが侑哉のことで色々と妄想してるんじゃない?」
「やめろ!そんなことはできれば考えたくないぞ!」
「ふふっ、冗談よ!…そうそう、このプログラムはこんな感じで良い?」
「…あぁ、大丈夫だ、後はこのプログラムを複製してっと…よし、これで完成だ!」
花恋が作ったプログラムを複製し、ついにプログラムが完成した。
…これで何とかなりそうだな…さて、後はリンクヴレインズに行って、ちゃんと効果があるか確かめないとな。
「リンクヴレインズに行くつもり?」
「うん、実際にちゃんと効果があるか確かめないといけないからな」
ちゃんと効果があるか確かめないと、いざというときに使えなくなっちゃうからな。
それに今は、一刻を争う事態だ…リスクは少ない方が良い。
「…わかったわ、だけど1つだけ約束して…」
「あぁ…それで約束してほしいことって?」
「デュエルが避けらない時以外では絶対にデュエルはしないこと…この約束を守ってほしいの」
花恋は真剣な眼差しで、そう口にする。
レイの話しによると、俺のダメージはまだ完全に快復してはいないらしいし、多分、花恋もそのことについて心配しているんだろう。
だけど、リンクヴレインズに行ったら、デュエルが避けられない時が来るかもしれない…だから、花恋はこの約束を守ってほしいと言っているんだ。
俺の負担が最小限に済むように。
「…あぁ、わかったよ…デュエルが避けられない時以外は絶対にデュエルはしない、約束する…」
「…ありがとう、それじゃあ気をつけてね!」
俺の言葉に花恋は安心したのか、笑みを浮かべながらそう口にする。
「あぁ!行ってくる!…デッキ、セット!イントゥザヴレインズ!」
そうして、俺はリンクヴレインズへと向かった。
///////////////
「ふぅ、大体この辺で良いか…」
リンクヴレインズへ来た後、近くの建物に寄り、そう呟く。
目の前にはハノイの塔に吸い込まれそうになっている建物があった。
「さて、試してみるか…よっと!」
目の前の建物にカード状のプログラムを投げつける。
すると、その建物は徐々に元の形へと再生した。
「よし、成功だ!これなら仮にハノイの塔に吸い込まれそうになっても、吸い込まれずに済む」
俺の考えたプログラムは、アバターやリンクヴレインズ内の建物を再構築するプログラムだった。
アバターや建物が吸い込まれる時に、量子化しながら消えていくのを見て、量子化する速度よりも早い速度でアバターや建物を再構築し続ければ、ハノイの塔に吸い込まれずに済むんじゃないかと考えて作ったプログラムだったがうまくいって良かった。
…それにしても、リンクアクセスの汎用性の高さには驚きだな。
ここ数日、リンクヴレインズに行けない代わりにリンクアクセスの力がどこまで及ぶのか試してみた甲斐があったな。
まさか、電子機器はもちろん、色んなプログラムを組み合わせて、別のプログラムを作ることも可能だとはな。
「…ただ、やっぱり負担が大きいな……あんまり多用しすぎないように気をつけないとな…」
「やっと見つけた…♪」
俺がリンクアクセスの力について分析していると、突如として、後ろから声が響き、思わず身構える。
すると、そこには丈の短い黒色のドレスを身に纏っている長い紫色の髪に宝石のような紅い瞳を持つ少女の姿が目に入った。
「お前は…?」
「今から君を特別な場所に連れていってあげる♪そこでゆっくりお話ししよ?」
「どういうことだ?…うわっ!何だ?」
俺が聞き返すと同時に少女の周りに禍々しいオーラが現れ、気づけば見知らぬ場所に移動していた。
そこは何もない空間で、俺と少女以外には誰も居ない…さらには1つも、建物のようなものも存在していなかった。
「殺風景でごめんね、急いで準備したから何もないんだぁ…本当はもっと色々と用意したかったんだけど」
そう言って、少女は少し残念そうな表情を浮かべる。
何かよくわからない状況だけど、まずは情報を集めないとな。
「…それより、ここはどこだ?早いところリンクヴレインズに戻らなくちゃいけないんだけど…」
「ここは、私の精霊の力で作られた空間…外部からは一切干渉できない空間だから、助けを呼ぶこともできないよ」
「精霊の力で作られた空間か…何で俺をこんな空間に閉じ込めたんだ?」
「さっきも言ったでしょ?君とゆっくり話しがしたいだけ♪」
そう言って、少女は無邪気な笑みを浮かべる。
普通に見れば、可愛い笑顔だが、この少女からは何か底知れないものを感じて、苦笑いを浮かべてしまう。
「そういえば、まだ名前言ってなかったね!私はダークナイトプリンセス…よろしくね!」
「ダークナイトプリンセスか…俺は」
「Phantomでしょ?知ってる知ってる!」
「俺も有名になったもんだね…それで、ダークナイトプリンセス…そろそろリンクヴレインズに戻って良いか?今は、一刻を争う事態なんだ」
今、リンクヴレインズでは葵達がハノイの塔を止めるために戦っている…せっかく、プログラムが完成したんだ、いつまでもここに居るわけにはいかない。
「…ダメ!絶対に行かせない!ようやく会えたのにこんなすぐにお別れなんて嫌!」
俺がリンクヴレインズに戻ろうとしていると、ダークナイトプリンセスは凄まじい形相でそう口にする。
「…私ね、よくお話しに出てくるお姫様に憧れてるの…このネーミングだってそれが理由だし…いつか、私のことを王子様が迎えに来て、幸せに暮らす…それが私の夢」
そう言って、目の前の少女は俺へと歩み寄る。
「…Phantom、あなたに私の王子様になってほしいの…他の誰かじゃ嫌…あなたじゃなきゃ嫌なの」
そう言って、ダークナイトプリンセスは俺のじっと目を見つめる。
「…悪いけど、それはできない…俺のお姫様はただ1人だ…」
そう言って、俺は自分の想いを伝える。
俺の大切な人は財前葵、ただ1人だ。
もちろん、他の皆も大切だけど、それは仲間としてであったり、家族として大切とかそんな感じだ。
…俺はこの少女のことを知らない、いや、もしかしたら現実で会ったことがあるのかもしれない…だけど、この想いは譲れない。
「…そんなにブルーエンジェルが大事なんだ…」
「…!どうしてそれを知ってる?」
「アハハ、やっぱりそうだったんだ!だったら、こうしない?私とデュエルをして勝てたらこの空間からすぐに出してあげる♪その代わり、あなたが負けたら…」
「負けたら…?」
「私の王子様になってね♪本当はこんな強引な手段は使いたくないんだけど、こうしないと君を私のものにできないから…」
笑みを浮かべながら、目の前の少女はそう口にする。
それを見て、先ほどまでとは比べものにならない、妙なプレッシャーを感じてしまう。
この人…所謂ヤンデレという部類の人なのか?
なんというか…随分前にもこんな感じの人と会ったことがあるような気がするな。
まぁ、今はそんなことよりここから先の行動について考えないとな…正直、デュエルに勝てば万事解決なんだけど、俺の体へのダメージを考えるとそれは得策じゃないな。
覇王の力を使って、この空間から脱出することもできるけど、彼女に俺もカードの精霊の力を使えることがバレてしまう…そうなったら後々まずいことになりかねない。
「どうしたの?もしかして私に勝つ自信がないとか?でも、無駄だよ…ここから脱出するにはデュエルを受けるしかないんだから…そして、私がデュエルに勝てば君を私のものにできる…♪はぁ…♪最高!」
そう言って、ダークナイトプリンセスは光悦の笑みを浮かべる。
どうやら、彼女の中では俺が負けることになっているらしい。
「…仕方ないか、そのデュエル、受けて立つよ!色々と聞きたいこともあるしね」
「ウフフ…そうこなくっちゃね…私はこのデュエルに勝利して、君を私のものにしてみせるから」
「そうはさせないさ…さぁ、いくよ!」
「「デュエル!!」」
そうして、俺はダークナイトプリンセスとのデュエルを開始した。
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「私のターン、ドロー!」
スペクター LP2400
手札3→4
場 EXモンスターゾーン 聖天樹の幼精 リンク1(ATK0)リンクマーカー下
メインモンスターゾーンなし
伏せなし
Pゾーンなし
ブルーエンジェル LP4000
手札3(内2枚、《トリックスター・キャンディナ》、《トリックスター・リリーベル》)
場 EXモンスターゾーン トリックスター・ホーリーエンジェル リンク2(ATK2000)リンクマーカー左下/右下
メインモンスターゾーン トリックスター・マンジュシカ レベル3 守備表示(DEF1200)×2
伏せ1
Pゾーン ライトなし
レフト EMギタートル(スケール6)
フィールド魔法 トリックスター・ライトステージ
「この瞬間!2体のマンジュシカの効果発動!あなたに400ポイントのダメージを与える!」
スペクター LP2400→2000
「私がダメージを受けたことにより、聖天樹の幼精の効果!このカードのリンク先に『聖蔓の癒し手』《サンバイン・ヒーラー》を特殊召喚します」
聖蔓の癒し手 リンク1(ATK600)リンクマーカー上
「そして、受けたダメージ分だけライフを回復します」
スペクター LP2000→2400
「だけどライトステージの効果は受けてもらうわ!」
スペクター LP2400→2000
「さらに、聖蔓の癒し手の効果発動、このカードのリンク先のサンアバロンのリンクマーカーの1つにつき、ライフを300ポイント回復します」
スペクター LP2000→2300
「…ダメージを与えたことでホーリーエンジェルの効果発動!ホーリーブレッシング!」
トリックスター・ホーリーエンジェル(ATK2000→2400)
「驚きました…まさか、あなたがここまでやるとは思っていませんでした…これもPhantomのおかげというわけですか」
「だったら何だって言うの?」
「Phantomは不思議な人間ですね、多くの人々の間をペンデュラムのように行き交い、その人々に大きな影響を与えている」
そう言って、スペクターは侑哉に抱いている印象について語り始めた。
「あなたや、プレイメーカー…そして、リボルバー様でさえ彼の影響を受けている…もちろん、この私も例外ではありませんが…」
「何が言いたいの?」
「なに、私は心配しているんですよ、彼はヒーローすぎる…自分よりも他人を気にかけ、敵であるはずの人にまで手を差し伸べる…そのせいで自分自身が傷つくことを厭わない」
「それは…」
「…あなたを電脳ウィルスから救った時もそうです、あなたを救う為に自分から電脳ウィルスに感染した…あなたは何も感じないのですか?あなたを救ったヒーローはあなたを助けるために傷ついた…果たして、これでPhantomの支えになれていると言えるんですか?」
そう言って、スペクターは意地汚い笑みを浮かべる。
確かに、スペクターの言っていることは正しい…私はいつも侑哉に助けられてばかりで、自分でも侑哉の支えになれていないと何度も思った。
だけど、そのたびに侑哉は私が支えになっていると言ってくれた、私が側に居てくれるだけで嬉しいとも言ってくれた。
侑哉と過ごす日々は私にとって何よりも大切で、侑哉と同じ時間を過ごすほど、愛しさで溢れて…この幸せな時間がずっと続けば良いなって私は思ってる…だから!
「確かに、あなたの言う通りかもしれない…でも、だからこそ、今度は私がPhantomを守るって決めたの!だから、私は負けない!あなたを倒して、ハノイの塔も止めてみせる!」
『その通りですよ!葵さん!こんな奴さっさと倒しちゃいましょう!』
「えぇ!もちろんよ!」
「なるほど…もうあなたは守られるだけの存在ではないというわけですか…その志、果たせると良いですね…では、続けるとしましょう、現れよ、我らの道を照らす未来回路!私は聖天樹の幼精と聖蔓の癒し手をリンクマーカーにセット!リンク召喚!現れよ、リンク2!聖天樹の精霊《サンアバロン・ドリュアデス》!」
聖天樹の精霊 リンク2(ATK0)リンクマーカー左下/右下
「サンアバロンが成長した…!」
サンアバロンモンスターはこんな風に成長するの?だとしたら後2段階ぐらい進化するかもしれないわね…早いところ決着を着けた方が良いわね。
「さらに、《サンシード・ゲニウス・ロキ》を召喚!そして、再び現れよ、私達の道を照らす未来回路!召喚条件は植物族通常モンスター1体!私はサンシード・ゲニウス・ロキをリンクマーカーにセット!リンク召喚!現れよ、リンク1!聖蔓の剣士《サンバイン・スラッシャー》!」
聖蔓の剣士 リンク1(ATK800)リンクマーカー下
「このカードの攻撃力はこのカードにリンクしているサンアバロンのリンクマーカー1つにつき800ポイントアップします、よって、聖蔓の剣士の攻撃力は1600ポイントアップします」
聖蔓の剣士(ATK800→2400)
「今までとは違う攻撃的な効果を持つサンバイン…」
「バトルです、聖蔓の剣士でホーリーエンジェルを攻撃!」
「そうはさせないわ!罠発動!《和睦の使者》!このカードの効果で私のモンスターはこのターン、戦闘では破壊されず、戦闘ダメージを受けない!ホーリーエンジェルと聖蔓の剣士の攻撃力は互角…よって、あなたのモンスターだけが破壊される!」
聖蔓の剣士がホーリーエンジェルに斬りかかり、その攻撃が和睦の使者によって防がれ、ホーリーエンジェルが反撃し、聖蔓の剣士が破壊された。
「和睦の使者ですか…ふむ、仕方ありませんね…私はこれでターンエンドです」
スペクター LP2300
手札3
場 EXモンスターゾーン 聖天樹の精霊 リンク2(ATK0)リンクマーカー左下/右下
メインモンスターゾーンなし
伏せなし
Pゾーンなし
ブルーエンジェル LP4000
手札3(内2枚、《トリックスター・キャンディナ》、《トリックスター・リリーベル》)
場 EXモンスターゾーン トリックスター・ホーリーエンジェル リンク2(ATK2400→2000)リンクマーカー左下/右下
メインモンスターゾーン トリックスター・マンジュシカ レベル3 守備表示(DEF1200)×2
伏せなし
Pゾーン ライトなし
レフト EMギタートル(スケール6)
フィールド魔法 トリックスター・ライトステージ
「私のターン、ドロー!」
ブルーエンジェル手札3→4
「まずは、空いているPゾーンにスケール3の《EMシールイール》をセット!そして、ギタートルのP効果によりデッキからカードを1枚ドロー!」
…!これは…まさか、このタイミングで来るなんて…でも、良いタイミングかもしれないわね。
「さぁ、いくわよ!私は手札から《トリックスター・キャンディナ》を召喚!そして、キャンディナの効果でデッキから《トリックスター・テンプテイション》を手札に加える!」
ブルーエンジェル手札4→3→4
「そして、私は手札から魔法カード、《スマイルワールド》を発動!このカードの効果により、フィールド上の表側表示のモンスターの攻撃力はフィールド上のモンスターの数×100ポイントアップする!」
トリックスター・ホーリーエンジェル(ATK2000→2500)
トリックスター・キャンディナ(ATK1800→2300)
トリックスター・マンジュシカ(ATK1600→2100)×2
聖天樹の精霊(ATK0→500)
「私のモンスターの攻撃力まで上げるとは…一体何を狙っているのですか?」
「今、見せてあげるわ!手札から魔法カード、《トリックスター・テンプテイション》を発動!このカードの効果で元々の攻撃力と異なる攻撃力を持つモンスター1体を手札に戻す!私は聖天樹の精霊を手札に戻すわ!」
「なるほど、攻撃対象にならないサンアバロンの弱点を見つけたというわけですか…ですが、甘い!私は手札の《サンバイン・メイデン》の効果発動!このカードを特殊召喚し、テンプテイションの効果を無効にします!」
フィールドに現れた、サンバイン・メイデンによりテンプテイションの効果が無効化される。
「残念でしたね、サンアバロンは未だ健在です」
「それはどうかしら?まだまだお楽しみはこれからよ!《EMシールイール》のP効果!このカードの効果により、聖天樹の精霊の効果をターン終了時まで無効にする!」
「何!?」
シールイールの効果により、聖天樹の精霊の効果が無力化される。
「これでサンアバロンを倒せる!現れて、夢と希望のサーキット!召喚条件はトリックスターモンスター2体!私はキャンディナとマンジュシカの2体をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!来て!リンク2!《トリックスター・スイートデビル》!
トリックスター・スイートデビル リンク2(ATK2000)リンクマーカー左/右
「そして、ホーリーエンジェルの効果!このカードのリンク先にスイートデビルが特殊召喚されたことにより、あなたに200ポイントのダメージを与える!さらに、ライトステージの効果で追加の200ダメージ!」
スペクター LP2300→1900
「さらに、ホーリーエンジェルの効果で自身の攻撃力をアップする!ホーリーブレッシング!」
トリックスター・ホーリーエンジェル(ATK2500→2700)
「さぁ、いくわよ!バトル!ホーリーエンジェルで聖天樹の精霊を攻撃!」
ホーリーエンジェルが聖天樹の精霊に攻撃を仕掛け、聖天樹の精霊が破壊され、スペクターのライフを0にした。
スペクター LP1900→-800
////////////
「私の勝ちよ!」
「フフ、どうやらそのようですね…リボルバー様、申し訳ございません…」
そう言って、スペクターは空に手を伸ばす。
「ブルーエンジェル…あなたに一応礼を言っておきます…最後の攻撃を受けた時、我が母なる聖天樹が笑っているように見えました…あなたは絵本以上にブルーエンジェルでしたよ」
そう言って、スペクターは柔らかな笑みを浮かべる。
「これもPhantomの影響というのであれば、彼にも礼を言うべきかもしれませんね…フフ、やれやれこんな感傷的になるのは私らしくもありませんね」
「スペクター…」
「では、そろそろ行くとしましょうか…」
スペクターは最後にそう言って、量子となって消えていった。
『スペクターさん…苦手な人ですけど、過去に何かあってあんな風になってしまったのかと思うと、少し可哀想な気がしますね…』
「…確かにそうかもしれないわね……うん?花恋さんから連絡が来てるみたい、何かあったのかしら?」
そう呟いて、花恋さんからの連絡に出る。
「花恋さん?何かあったんですか?」
『葵ちゃん!良かった!ねぇ、そこに侑哉は居る?』
「居ませんけど…って、ちょっと待ってください!侑哉をリンクヴレインズに行かせたんですか!?」
『うっ…それに関しては後で説明するから!とりあえず、聞いて!』
「は、はい…」
『リンクヴレインズに侑哉のデュエルディスクの反応が見当たらないの!誰かに拐われたのかもしれない!』
「そんな…!場所はわかりそうですか?」
『時間が掛かるけど、多分、大丈夫だと思うわ!』
「わかりました!侑哉は私の方でも探してみます!」
『…ううん、それは大丈夫よ!侑哉は私の方で探しておくから、葵ちゃんはハノイの塔を目指して!絶対、侑哉は私が見つけるから!』
そう言って、花恋さんは慌ただしく通話を終了した。
『葵さん…どうしますか?』
「…侑哉を探しつつ、ハノイの塔を目指しましょう!」
『そうですね、それが良いと思います…おそらく、侑哉さんはこの事態を何とかできる、何かを作りあげたんだと思います、そして、それを私達に届ける為にリンクヴレインズにやって来た…私達に何かを届けるだけならデュエルをする必要もありませんから、花恋さんが侑哉さんをリンクヴレインズに行かせたのも納得がいきます』
「レイの言う通りだとすると、侑哉はどうしてリンクヴレインズに居ないの?」
『花恋さんの言う通りなら、誰かに拐われた可能性があるかもしれません…侑哉さんは自分の力を他の人に知られるわけにはいきませんし…脱出するのが難しい状況なのかもしれません…』
「そんな…!それなら早く助けないと!」
『…とにかく、今はハノイの塔を目指しつつ侑哉さんを探しましょう!もしかしたら、近くに居て、侑哉さんのデュエルディスクの反応だけを消した可能性もありますから』
「そうね…今はそれしかないわよね…」
侑哉…大丈夫よね?絶対に戻って来るよね…
「侑哉…お願いだから無事でいて…」
私は一抹の不安を抱きながら、ハノイの塔へと走り出した。
といった感じの第48話でした!
というわけで、今回のデュエルは葵の勝利に終わりました…次回からは侑哉のデュエルになります。果たして、どうなるのか?
それでは、今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます!