遊戯王VRAINS 幻影の咆哮~青き天使との日常~   作:kajoker

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第41話です!

最近、暑い日が続いてますね…まぁ、夏だからと言われたらそれまでなんですが。

いくらなんでも暑すぎる気がします…皆さんも熱中症には気をつけてくださいね。

それでは本編をどうぞ!


第41話 再びサイバース世界へ

「…やっぱり、こうなるよな」

 

意識が覚醒し、辺りを見渡すとそこは見覚えのある風景。

 

どうやら、サイバース世界に戻ってきたみたいだな。

 

「あ、マスター!やっと目が覚めたんですね!」

 

実体化していたレイが、目を覚ました俺を見て嬉しそうにそう口にする。

 

そういえば、レイは実体化したままだったな…だから、レイはサイバース世界に居たままだったのか。

 

「あぁ、ちょっと一時的に現実世界に戻っててさ…」

 

「現実世界に!?でもどうやって?サイバース世界からはログアウトできなかったはずですけど…」

 

レイが困惑した様子で、俺にそう尋ねる。

 

正直、俺にも原因がわからない…考えられるとしたら…

 

「そうだな…もしかしたら一時的にサイバース世界と回線が繋がったのかもしれない」

 

「一時的にですか…でも、どうして急に繋がったんですかね?」

 

「さぁ、俺にもわからないよ…おっと、カード転送システムが生きているか調べないと」

 

俺はそう言って、デュエルディスクを操作し始める。

 

そして、カード転送システムを起動させ、数枚のカードを選択する。

 

「良かった…どうやらカード転送システムは生きているみたいだ」

 

「そうなんですか!それなら、後は花恋さんに外部からログアウトさせてもらえば完璧ですね!」

 

「あぁ、だけど…」

 

「マスター?何か気になることでもあるんですか?」

 

「ちょっとな…」

 

 

「Phantom~、起きてる?」

 

俺とレイがそんな会話を交わしていると、水のイグニスが俺達のところへと向かってきた。

 

「あぁ、今起きたところ…水のイグニスはどこに行ってたんだ?」

 

「お腹がすいてるだろうから、食べ物を持ってきたの!私達はAIだからお腹がすいたりはしないけど、Phantomは違うでしょ?」

 

「なるほど、それでか…ありがとな!遠慮なく頂くよ!」

 

「どういたしまして!」

 

確かに、いくらアバターとはいえ空腹は感じる。

 

水のイグニスの配慮には感謝しかないな…それにしても、サイバース世界に食べ物なんてあったんだな。

 

…でも、よくよく考えるとサイバース族のモンスターには人型のモンスターも居るし、こういうものがないとさすがに困るか。

 

「マスター!私にアーンして食べさせてください!」

 

「いきなりだな!まぁ、それぐらいなら別に構わないけどさ…」

 

「やった!大好きです!!マスター!」

 

レイはそう言って、俺に勢いよく抱きついた。

 

…何というか、最近、こういうのが多いな…俺。

 

「本当に仲が良いわね…私達もこんなふうに人間と仲良くなれるのかな?」

 

水のイグニスは俺達の様子を見ながら、そう呟く。

 

その様子はどこか悲しげだった。

 

「…何言ってるんだ?もう、人間と仲良くなれてるじゃないか」

 

「え…?」

 

「俺とこんな風に会話したり、色々な所に案内してくれたじゃないか…それって、俺と…人間と仲良くなったことになるんじゃないか?」

 

「…っ!」

 

水のイグニスは一瞬、驚いたような表情をして…すぐに嬉しそうな表情へと変わった。

 

「うん!そうかも!」

 

「…さて、せっかく持ってきてくれたわけだし、食べるとしようか!」

 

「そうですね!早くマスターに食べさせて欲しいですし!」

 

「あぁ、わかってるよ…ところで水のイグニス、これはレーションか何かか?」

 

「うん、リンクレーションって言うんだけど…もしかして気に入らなかった?だったら、こっちの果物の方にする?」

 

「あぁ、いやそういうわけじゃないんだ…むしろ、結構美味しそうに見えたからさ」

 

実際、よく見る非常食とかに比べたら美味しそうに見えた。

 

そうか、これはリンクレーションっていうのか…サイバース版の非常食みたいなカードなのか?

 

「さて、頂くとしようか…ほら、レイ、アーン…」

 

「あ~ん…はむっ…う~ん!レーションとは思えない美味しさですね!マスターのアーンが効いてるんですかね!」

 

「へぇ、そんなに美味しいのか…どれどれ」

 

レイがあまりにも美味しそうに食べるのを見て、俺も同じように食べ物屋を口に運ぶ。

 

「おぉ!確かにこれは美味いな!」

 

「ふぇっ!?マスター…えっと、その、これって…」

 

(こ、これはいわゆる間接キスというやつなのでは!?マスターは気づいていないみたいですけど…)

 

「どうかしたのか?レイ」

 

俺が食べる様子を見て、何故か顔を赤くしながらレイはあたふたしている。

 

「い、いえ!何でもありません!」

 

「そうか?なら良いんだけど…」

 

「はい、大丈夫です!」

 

レイはそう言って、恥ずかしそうに目を逸らす。

 

俺はそんなレイの様子を不思議に思いながら、食事を続けた。

 

 

 

 

「ふぅ、満足満足…ごちそうさま!」

 

「ご、ごちそうさまでした…」

 

「そういえば、さっきから様子がおかしいけど、どうかしたのか?レイ」

 

「だ、大丈夫です!そ、それよりマスター!さっき、考え事してましたけど何が気になってるんですか?」

 

「あぁ…実は」

 

…といっても、これは俺の推測…というか妄想に近いからな…でも、言っておいて損はないな。

 

俺はそう考えて、自らの考えを口にした。

 

「サイバース世界に俺達以外の誰かが侵入した可能性があるんだ…」

 

「まさか…ハノイの騎士!?」

 

俺の言葉に水のイグニスはそう声を上げる。

 

「いや、多分それはないと思う…ハノイの騎士はサイバース世界の場所がわからないから、アイ…闇のイグニスを狙ってるわけだしな、プレイメーカーが負けない限り、ここの場所を突き止めるのは無理だ」

 

プレイメーカーが簡単に負けるとは思えないし、ハノイの騎士がサイバース世界に来ることは、ほとんどないと言っていい。

 

そして、それと同様にSOLテクノロジーの可能性も低いだろう…そう考えるとまた別の勢力か、それとも俺と同じように偶然サイバース世界に迷いこんだ誰かか…

 

「なるほど…でも、マスターはどうして私達以外の侵入者が居ると思ったんですか?」

 

「…一時的に回線が繋がったからだ…本来サイバース世界の場所は闇のイグニス、そして俺達以外は誰も知らないはずだ…それなのにサイバース世界に一時的に回線が繋がるなんて、おかしいと思わないか?」

 

まぁ、ある意味そのおかげで現実世界に戻れたわけだから、そこは感謝しているが…そういえば、俺は昨日、葵と…

 

って!思いだしてる場合じゃない!今は侵入者について考えないと。

 

「そう言われると確かに変ですね…今の内に手を打っておいた方が良さそうですね」

 

「それが理想的だな…ただ、これには何の確証もない…レイはともかく、他のイグニス達が協力してくれるかどうか…」

 

「私はPhantomを信じる!他のイグニス達もきっと協力してくれるわ!だから、今から皆を説得しに行ってみましょう!」

 

俺の言葉に水のイグニスが力強くそう返してくれる。

 

他のイグニスもこんなふうに協力してくれたら良いんだけどな…まぁ、でも…

 

「…やれるだけやってみるか!よし、イグニス達を説得しに行こう!」

 

俺がそう言うと、レイと水のイグニスは元気よく返事を返してくれた。

 

そうして、俺達は他のイグニス達の元へと歩を進めた。

 

/////////////

 

 

「はぁ…ダメでしたね、説得…」

 

「まぁ、信じられないのも無理はないけどな…」

 

俺達は他のイグニス達の元に向かい、説得をした…だけど、結果は見事に失敗だった。

 

何でも、確証のない情報で動くわけにはいかない…ということらしい。

 

まぁ、確かに確証のない情報で動いて、結局あてが外れてしまっては意味がない…だけど、あらゆる可能性を考慮して行動に移すことで何かを守ることもできる。

 

正直、人間を信頼するか否かでずっと議論するくらいなら俺の話しを聞いてくれても良かった気がする。

 

「…仕方ない、俺達だけでも何かしらの対策を練るしかないな」

 

「そうですね……っ!マスター!伏せて!」

 

「え…どわぁ!」

 

レイが無理やり俺の体を伏せさせる…それと同時に爆発音が響いた。

 

「何だ?一体何が……あれは?」

 

俺が、上空を眺めるとそこには巨大なモンスターの姿があった。

 

「敵襲です!マスターの言う通り、私達以外にもサイバース世界に侵入した者が居たようです…」

 

「なるほど…それにしてもタイミングが良すぎる…誰かが俺達の情報を洩らしたのか?」

 

そう考えるとイグニスの内の誰かとしか考られなくなるけど…まぁ、今はそれより…

 

「水のイグニス、他のイグニスを連れて早く逃げろ!ここは俺達がなんとかする!」

 

「そんな!それじゃあPhantom達が…」

 

「…そのことなら問題ない…俺にはあれを何とかする力がある」

 

そう言って、俺は覇王の力を発動する…恐らく、この力を使えばカードを実体化することができる。

 

超融合の力しか使ったことがないが、他のカードを実体化させることもできるはずだ。

 

あまりにも無謀だが、それ以外に手はない。

 

「さぁ!早く行け!お前達が消えてしまったら、本当にサイバース世界は終わるぞ!」

 

 

「…わかった、Phantom!気をつけてね!!」

 

水のイグニスは一瞬、躊躇するような表情をした後、そう口にした。

 

「…あぁ、任せておけ…さぁ、いくぞ!」

 

「はい!マスター!」

 

レイはそう返した後に、紅き装甲を身に纏う。

 

「…それで良い、頼りにしてるぞ!」

 

「任せてください!マスターとのイチャイチャタイムを邪魔する不届き者は私が成敗します!!」

 

「あ、あぁ…頼んだ」

 

イチャイチャタイムって…まぁ、それでレイの士気が上がるなら構わないけど…さすがに恥ずかしいな。

 

俺はそんな複雑な感情を抱きながら敵へとデュエルディスクを構えた。

 

////////////

 

「よし、やっと侑哉の居場所を掴めたわ…後はここからログアウトさせれば…」

 

そう言って、侑哉をログアウトさせようとする。

 

「え…?どういうこと?侑哉のデュエルディスクが使用されてる…誰かとデュエルしてるの?」

 

だとしたら、一体誰と?

 

…それにしても参ったわね、デュエルディスクが使用されている状態じゃログアウトさせられない。

 

「とにかく今は侑哉の状況を知りたいわね…通信が繋がるか試してみるか…」

 

そう言って、侑哉のデュエルディスクに通信を行う。

 

…くっ、やっぱり繋がらない…一体何が起きてるの?

 

「何だか嫌な予感がする…早く侑哉の状況を把握しないと!」

 

私は焦りを感じながら、作業を続けた。

 




といった感じの第41話でした!

次回からはサイバース世界での戦いが始まります、果たして、侑哉達はサイバース世界を守りきれるのか?

それでは、今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます!

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