遊戯王VRAINS 幻影の咆哮~青き天使との日常~   作:kajoker

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久しぶりの投稿です…今回の話しは侑哉が遊戯王ヴレインズの世界に来たばかりの話しになります。

ナタタクさん、コラボして頂きありがとうございます!

コラボさせて頂いたナタタクさんの作品の『遊戯王VRAINS 幽霊に導かれし少年』の方でコラボ回を投稿してくださっているので良ければそちらもご覧下さい!

それでは本編をどうぞ!




特別編 花恋との出会い

「う、うん…」

 

いつもの目覚まし時計の音に目を覚ます。

 

「今の時間は…やっば!遅刻する!」

 

時計を見てみると、時間は8時30分を示していて慌てて起き上がり、準備をする。

 

「…って、ちょっと待てよ…何か部屋が変わってないか?」

 

俺は、そう言って辺りを見渡した。

 

そうすると、やっぱり部屋がいつも見ていた部屋とは違っていた。

 

「どうなってるんだ?カードは…良かったちゃんとあった…」

 

俺は小さい頃から遊戯王が大好きで、高校生になった今でも遊戯王を続けていた。

 

だから、カードがちゃんとあったことに安堵した。

 

…それにしても、一体どういうことなんだ?朝起きたら急に部屋が変わってるなんて…

 

しかも、カードはちゃんとあるし…まるで、俺とカードだけが別の世界に来たみたいだ…

 

「…もう帰ってきてるかしら」

 

俺がそんな風に思考していると、そんな声が聞こえてきた。

 

そして、そのまま部屋の扉が開いた。

 

「…侑哉?侑哉!お帰りなさい!いつ帰ってきたの?」

 

そう言って、部屋に入って来たのは栗色の長い髪のスレンダーな美少女だった。

 

「えっと…君は?ごめん、ちょっと状況が掴めてなくて…」

 

「忘れちゃったの?あなたの姉の神薙花恋よ!まぁ、血はつながってないけどね…」

 

花恋と名乗った少女はそう言って、照れくさそうに頬をかいた。

 

「花恋…?」

 

初めてその名前を聞いたはずなのに、その名前には不思議とどこか懐かしさを感じた。

 

…俺はこの人に会ったことがある?いや、でも俺の知り合いに花恋なんて人は居ないしな…

 

「…えっと、とりあえずここはどこか教えてくれないか?」

 

「今さら何言ってるの?ここは、Den Cityにあるあなたの家よ?」

 

「Den City!?本当にDen Cityなのか?」

 

「そうよ、それにしても今日の侑哉は何か変よ…熱でもあるの?」

 

「あ、いや…そういうわけじゃないんだけど、ちょっと下に降りてくる」

 

そう言って、俺は階段を降りて下に行く。

 

…って、ちょっと待て…どうして俺は自分の部屋は2階にあるってわかってたんだ?

 

俺が元々居た家は2階建ての家ではなかったはずなのに…それに、あの時の俺は花恋が階段を登ってくる音だって聞こえてなかったし。

 

「うーん、わからないな…まぁ、とりあえず今は状況を確認するのが先だな」

 

そう考えて、下の階を色々と見てまわることにした。

 

「…おぉ!すごいな!」

 

下の階に降りてまず目に飛び込んで来たのは、窓から見えたDen Cityの景色だった。

 

「本当に遊戯王ヴレインズの世界に来たんだ…!くぅー!ワクワクしてきたよ!」

 

本当に遊戯王ヴレインズの世界に来たことを実感したせいか、思わずそんな声を上げる。

 

「…やっぱり侑哉は侑哉ね、それで状況はある程度理解できた?」

 

「…か、姉さんって言った方が良いかな?」

 

思わず花恋と呼びそうになり、慌てて呼び名を変える。

 

「うふふ!花恋で良いわよ、というかむしろそう呼んでくれた方が嬉しいわ」

 

花恋はそう言って、笑みを浮かべた。

 

「わかった、それじゃあ改めて…花恋、信じられない話しかもしれないけど聞いてくれるか?」

 

「…わかった、話してみて」

 

「実は…」

 

そうして、俺は自分が別の世界からトリップしてきたことを話した。

 

転生ではなくトリップだと思った理由は単純に死んだ覚えがないからだ…いつもと同じように生活をしていて気づいたらこの世界に居た、だから転生という考えはすぐに消えた。

 

俺の話しを聞いた花恋は考えるような仕草をして、言葉を紡いだ。

 

「なるほどね…確かに普通なら信じられない話しだけど侑哉がそう言うなら信じるわ!」

 

「…そっか、信じてくれてありがとう…でも、意外とあっさり信じてくれたな…どうしてだ?」

 

「…まぁ、侑哉はわかりやすいから嘘だったらすぐにわかるし…それに」

 

「それに…?」

 

「どの世界の侑哉でも私にとっては大切な家族に変わりないから!」

 

花恋はそう言って、俺に笑みを向けてくる。

 

その笑顔にもどこか懐かしさを感じて、俺は心から安心することができた。

 

「ありがとう…そう言ってくれると気が楽になるよ…ちなみに、花恋のことを聞かせてもらっても良いかな?」

 

「良いわよ、私に話せる範囲なら話してあげる」

 

「それじゃあ…」

 

俺はそうして、花恋の話しを聞いた。

 

////////////////

 

「なるほど…ありがとう、何か辛いことも聞いちゃった気がするけど…」

 

「気にしないで、私が話しても良いって思ったんだし」

 

「そっか…」

 

花恋の話しを聞いた俺はそう呟いた。

 

花恋の話しによると、俺は元々この家の人間ではなく花恋の両親によって養子として引き取られたらしい。

 

そして、その両親は10年前に事故に遭って亡くなってしまった。

 

花恋は発明が得意というより、機械全般が得意らしく色々と発明品を作り、特許によってお金を稼ぎ俺と二人で生活していたようだ。

 

しかも、AI搭載型の新型デュエルディスクの大元を作ったというのだから驚きだ。

 

…というか、遊作の使ってたデュエルディスクって旧型だったんだな、俺としてはあっちのデュエルディスクの方が好きだけど。

 

「それにしても、こっちの世界の状況は俺の状況にすごく似てるな」

 

「どういうこと?」

 

「いや、実は…俺も両親に引き取られてたんだ、まぁ、小さい時のことはあんまり覚えてないんだけど…」

 

両親の話しによれば元々俺は孤児院に居て、それをうちの両親が引き取ってくれたらしい。

 

そうして、俺は神薙の姓を受けた。

 

「後、10年前ではないけど俺が中学に上がった頃に両親が事故に遭ったんだ…それで」

 

「…そうだったの、ごめんね、辛いこと思い出させちゃって…」

 

「いや、気にしなくて良いよ…俺が勝手に話しただけだからさ…まぁ、とにかくそれで何となく状況が似てるなって思ったんだ…名字まで一緒だし」

 

「確かにそうね…本当にびっくりするくらい似てるわね…」

 

花恋はそう言って、悲しそうな表情を浮かべていた。

 

俺の話しを聞いて、そんな表情になってしまったのか、それ以外の理由があるのかはわからない…だけど、この気まずい空気は何とかしないとな。

 

「…この話しはとりあえず終わりにして、LINK VRAINSに行きたいんだけどデュエルディスクはないかな?」

 

「デュエルディスク?それなら、とっておきの物があるわよ!」

 

先ほどの様子からは想像もできないほどの楽しそうな表情をしながら、花恋はそう言った。

 

「ちょっと待ってて!すぐに持ってくるから!」

 

そう言って、花恋は近くの部屋に入って行った。

 

「さっきとは大違いだな…でも、ずっと悲しそうな顔をされるよりは良いよな…」

 

そうして、しばらく待っていると花恋が戻ってきた。

 

 

「お待たせ!侑哉!はい、これ!最近出来たばかりの新型デュエルディスクよ!」

 

「おぉ!これがそうなんだ!さっそく着けてみるか!」

 

そう言って、デュエルディスクを左腕に着ける。

 

…何だろう、あんまりしっくりこないな…見た目がデュエルディスクっぽくないからか?

 

「もしかして、気に入らない?」

 

俺の様子を見た花恋は俺にそう尋ねる。

 

「…いや、気に入らないってわけじゃないんだけど、何かしっくりこなくてさ…旧型デュエルディスクの方を試しても良いか?」

 

「…ごめん、侑哉…旧型デュエルディスクは家に置いてなくて…」

 

「あぁ、そうなんだ…ならしょうがないな」

 

「…よし!決めた!侑哉、朝ご飯を食べたら一緒にデュエルディスクを買いに行きましょう!」

 

「それはありがたいけど良いのか?」

 

「もちろん!」

 

花恋はそう元気よく答えてくれた。

 

「ありがとう!それじゃあ朝ご飯は俺が作るよ!ちょっと冷蔵庫の中を見せてもらって良いか?」

 

そう言って、冷蔵庫の中を覗くと飲み物と豆腐と油揚げそして、卵だけが入っていた。

 

「…思ったよりなにも入ってないな…普段はどんなものを食べてるんだ?」

 

「あはは…私、家事とかが苦手で、基本的にインスタント系とかコンビニ弁当とかで済ませちゃってるのよ」

 

「な、なるほど…こっちの俺は料理とかあんまりしてなかったのか…一応聞いておくけど、味噌はあるか?これなら味噌汁を作れると思うし」

 

「一応味噌は買ってあるわ、冷凍庫に入ってるから自由に使って!ご飯はもう炊けているからその辺は大丈夫よ!」

 

「ご飯は炊けるのか…まぁ、とりあえずそれなら安心かな…じゃあ作るからちょっと待っててくれ」

 

そう言って、俺は準備を進める。

 

両親が亡くなってからは、俺は親戚のおばさんに引き取られた。

 

おばさんとは前から面識があったこともあり、俺のことを快く受け入れてくれた。

 

その際に、おばさんの負担を少しでも減らすために俺が家事を担当することにした。

 

そのおかげか今では一通りの家事ならこなせるようになっていた。

 

まぁ、料理自体は割りと小さい頃からできるようになってはいたが。

 

「よし、こんなものかな…」

 

そんな風に昔のことを思いだしながら料理をしていると、あっという間に味噌汁が完成していた。

 

「さて、後は玉子焼きを作って……よし、完成!」

 

そう言って、ご飯と一緒に出来た料理を花恋の元へと運ぶ。

 

「お待たせ、簡単なもので悪いけど朝ご飯だよ」

 

「ううん!すごく美味しそう!それじゃあいただきます!」

 

そう言って、花恋は料理を食べ始めた。

 

それに釣られるように俺も料理を食べ始める…うん、我ながらうまくできたな。

 

「はぁ…やっぱり手料理は良いわね!ありがとう!侑哉」

 

「どういたしまして!そう言ってもらえると作った甲斐があるよ…そういえば、こっちの俺は学校とかはどうしてるんだ?」

 

「それなら問題ないわ、侑哉はとっくに中学を卒業して高校も決まってるから!」

 

「そうなのか…まぁ、それなら大丈夫だな…ちなみに高校の入学式っていつ頃なんだ?」

 

「確か、3ヶ月ぐらい先だったはずよ…今は1月だから」

 

「へぇー、そうなのか…」

 

ということは、俺はもう一度入学式に参加することになるのか…まぁ、こっちに来る前は高校が始まって1ヶ月ぐらいしか経ってないし、そんなに大差はないか。

 

「ふぅ、ごちそうさま!すごく美味しかったわ!」

 

「それは良かった…ふぅ、ごちそうさま!」

 

「侑哉、おかわりして良い?」

 

「構わないよ…それじゃあ器を貸してくれ」

 

俺がそう言うと花恋が器を手渡してくれた。

 

 

その後、花恋がおかわりをして、何気ない会話を交わして、朝食の時間は終わった。

 

「さて、そろそろ行きましょうか!」

 

「そうだな、案内よろしくな」

 

「任せなさい!私がちゃんと案内してあげる!」

 

「あぁ、よろしく頼む!」

 

そうして、俺と花恋は旧型のデュエルディスクを買いに外へと出た。

 

…それにしても、楽しみだな…早くLINK VRAINSに行ってデュエルがしたい!

 

やるとしたら、どんなデュエルにしようかな…どうせなら、見ている人達や対戦相手を楽しませるデュエルがしたいな。

 

ファントム遊矢みたいなエンタメデュエルが一番良いかもしれないな。

 

俺はそんなふうに、これから先に起きる出来事を楽しみにしながら歩き続けた。

 

 




といった感じの過去編でした!

ちなみに、コラボ回の時間軸的にはデータバンクに潜入した後になっています。

まぁ、そこまでネタバレ要素はないと思うので大丈夫だと思います。

それでは今回はここまで、ここまでの拝読ありがとうございます!

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