遊戯王VRAINS 幻影の咆哮~青き天使との日常~ 作:kajoker
今回からまた原作の方に入っていきます!
学校から帰って来た侑哉に遊作から今すぐ来てほしいという連絡が届く、そして、侑哉は遊作の待つ場所へと向かう…
それでは、本編をどうぞ!
「悪いな、侑哉…急に呼び出して」
「いや、構わないけどさ…急にどうしたんだ?」
学校が終わり、葵と一緒に家に帰ってからしばらくして遊作から連絡を受けて今に至るわけなんだが…
一体どうしたんだ?ま、遊作に聞けばわかるか。
「着いてきてくれ、お前に頼みたいことがある」
「頼みたいこと…?」
「あぁ、詳しくは中で説明する」
遊作はそう言って、草薙さんの車の中に入っていった。
俺はそれに着いていった。
「侑哉か、よく来たな!」
「どうも、草薙さん…それで俺に頼みたいことって?」
「あぁ、まずはこれを見てくれ」
そう言って草薙さんはまるで迷路のような地図を画面に映し出した。
「これは…?」
「SOLテクノロジーのマザーコンピュータの模式図だ」
「マザーコンピュータの模式図!?どうやってそんなものを?」
草薙さんの言葉に思わずそう聞き返す。
俺は機械関連に強いわけじゃないが、マザーコンピュータがどんなものかはわかる。
「それに関しては俺から説明する」
「…あぁ、頼むよ」
そうして、遊作からマザーコンピュータの模式図を手に入れた経緯を聞いた。
その話しによると、遊作はゴーストガールという女性にデュエルを挑まれ、それに勝ってこの情報をもらったらしい。
しかも、データバンクへの道もご丁寧に記していてくれたらしい。
「なるほどな……それにしても遊作とゴーストガールのデュエルは見たかったぜ…なぁなぁ、ゴーストガールってどんなデッキを使うんだ?」
「…そこに食いつくのか…まぁ、お前らしいといえばお前らしいが」
遊作は少し呆れたようにそう呟いた。
「それでどんなデッキを使うんだ?」
「…それは、デュエルをする機会があればわかるだろう…今はお前に協力してもらいたいことについて話すのが先だ」
「おっと、そうだった…それで俺は何を手伝えば良いんだ?」
まぁ、大体察しはつくけどね。
でも、実際に聞いてみないことにはわからないしな…聞いておいて損はないよな。
「お前ならとっくにわかっているかもしれないが、俺達はSOLテクノロジーのマザーコンピュータに侵入するつもりだ…そこで、お前にもその侵入を手伝ってもらいたい」
「まぁ、そんなことだろうとは思ってたよ…でも、侵入するなら人数は少ない方が良いんじゃないか?」
「確かにそうかもしれないが、もし、不測の事態に陥った時に俺1人では対処しきれない可能性があるからな」
「なるほどね……わかった、俺で良ければ協力するよ!リンクアクセスについても何かわかるかもしれないし」
SOLテクノロジーのマザーコンピュータってことは遊作が関わった10年前の事件はもちろん、俺の持つリンクアクセスについても何か情報があるかもしれない。
…ただ、ゴーストガールが仕組んだ罠ということも考えられるし、警戒しておくに越したことはないけどな。
「こっちは準備ができてるぞ、遊作、侑哉」
どうやら、草薙さんの方は準備ができているらしいな。
『SOLテクノロジーのマザーコンピュータに繋がったぞ、行かないのか?』
遊作のデュエルディスクからAiが姿を現し、そう言った。
「どうかしたのか?遊作」
考え込んでいる遊作にそう声を掛けると、遊作は少し間を開けてからこう言った。
「1つ、このデータには信憑性がある。2つ、だが、なぜゴーストガールはこのデータを渡してくれたのか。」
『そんなのお前がデュエルに勝ったからに決まってんだろ!』
「例え、そうだとしても…3つ、ゴーストガールは自分のメリットにならないことをする人間ではない」
なるほど、遊作が考え込んでいたのはそういうことか。
俺はゴーストガールに会ったわけじゃないから、何とも言えないが、遊作が言ってるのは本当なんだろうな。
だとしたら―――――
「侑哉、お前はどう思う?」
「…考えられるとしたら、ゴーストガールにとってはどちらに転んでも構わなかった、ってところかな」
「どういう意味だ?」
「勝っても負けてもどちらでも良かったってことだよ…勝てばAiが手に入るし、もしかしたら、playmakerを味方につけられるかもしれない、負けたら負けたでお前を囮にして、自分達だけが情報を手に入れられるって寸法だよ」
もし、ゴーストガールが遊作の言うように自分のメリットにならないことをする人間じゃないならどちらに転んでも自分のメリットになるようにしていた可能性が高い。
勝った時のメリットは言うまでもないし、仮に負けたとしても、遊作が10年前の事件を調べるためにマザーコンピュータに侵入しようとするのは予測できるし、そもそもそれを考慮したうえでデュエルを挑んできたんだろうしな。
「…なるほどな、全てゴーストガールの思惑通りというわけか」
「あぁ、多分な…だけど、行かないことには始まらないだろ?」
「あぁ、その通りだ…行くぞ!侑哉!」
「あぁ!」
「「デッキ、セット!イントゥ・ザ・ヴレインズ!!」」
////////////////
「ここがマザーコンピュータの内部か…」
「LINK VRAINSとはまた違った雰囲気だね…ところで草薙さん、俺用のplaymakerが掴まっているセグウェイみたいなやつはないの?」
《悪いな、時間がなくて一人用しか用意できなかった》
「そうですか…ならしょうがないな」
草薙さんの答えを聞き、playmakerが掴まっているセグウェイのようなものに掴まった。
幸いにもスペースが広く、何とか掴まることができた。
よくよく考えれば、俺とplaymakerの二人分のジャミング装置を作って、しかも二人分のセグウェイの…いや、もうセグウェイで通そう。
とにかくさらにセグウェイを作ってもらうなんていうのはさすがに無茶を言い過ぎだよな…スペースを広くしてもらっただけでも感謝しないとな。
俺がそんなことを思っている間に、草薙さんの案内を受けながら、順調にデータバンクへと近づいていた。
その途中でちょっとした雑談を交わしたり、クリボールがデコイとして発射されたりと、色々とあったが無事に切り抜けられた。
《もうすぐエリアAを抜けるぞ》
『楽勝じゃ~ん!このまま一気にゴールまでぶっ飛ばそうぜ!』
「Ai!?お前何言ってるんだよ!それ、フラグってやつだよ!」
『フラグ?何言ってんだよ、お前…』
Aiがそう言うと同時にどこからともなく、強力なデータストームが吹き荒れてきた。
「これは、データストーム…?」
「ほら、言ってるそばから……って、どわぁぁ!何だこのデータストーム…思ったより強い!」
強大なデータストームに巻き込まれ、それの影響で尻尾のように付いていたジャミング装置が切れた。
不味い!ジャミング装置が切れたってことは……くっ、とりあえず体勢を立て直すか。
俺は自分のDボードを出現させ、それに飛び乗る、playmakerも同じようにDボードを出現させ、それに飛び乗っていた。
「ふぅ、何とかなった…大丈夫か?playmaker」
「あぁ、だがこの状況は…」
「そうだね…さすがに不味いかもね……うん?playmaker、どうやらお客さんみたいだよ」
何気なく周りを見渡すと、Dボードに乗った2体のロボットが目に入った。
なるほど、見た感じAIデュエリストってところかな…俺達の侵入に気づいて投入されたのか。
幸いなのは、まだ実験段階なのか数がそんなに居ないことだな…これなら俺とplaymakerで対処できる。
「…それじゃあplaymaker、俺はあっちのオレンジ色の奴とデュエルするよ」
「…わかった、俺は残った方の相手をする」
「うん、よろしく頼むよ!」
「フッ、お前に協力してもらって正解だったな…こっちは任せろ!」
「あぁ!」
俺はそう言って、オレンジ色のAIデュエリストを引き付け、別のルートへと誘い出した。
「さぁ、楽しいデュエルにしようぜ!」
「侵入者ヲ排除シマス」
「ははっ、AIデュエリストに対してエンタメデュエルをするの初めてだけど、楽しんでくれたら嬉しいかな…さぁ、いくよ!」
「「スピードデュエル!!」」
AIデュエリストB LP4000
VS
Phantom LP4000
さてと、初手はどんな感じかな?
「え…?どうなってるんだ?何か見たことのないカードばっかりなんだけど…」
確かに、俺はいつものデッキをセットしたはずなのに。
落ち着こう、とりあえず、これがどんなデッキか判断しないと。
「えっと、『閃刀姫レイ』…他のカードは魔法カードで閃刀って名前がついてる魔法カードもあるな…デッキの名前としては閃刀姫デッキってところかな?EXデッキは、と…2種類のリンクモンスターが居るな…『閃刀姫カガリ』に『閃刀姫シズク』か…なかなか面白そうなデッキだな」
「ワタシノターン、500ライフポイントヲ支払い、手札ノ『テンタクラスターダークウィップ』ヲ特殊召喚!」
AIデュエリストB LP4000→3500
テンタクラスターダークウィップ攻撃表示(ATK100)
おっと、デッキを理解するのも大事だけどちゃんと相手の出方も見ないとね。
「ソシテ、手札ヨリ魔法カード、『機械複製術』ヲ発動!コノカードノ効果ニヨリ、自分フィールドノ攻撃力500以下ノ機械族モンスター1体ヲ対象トシ、そのモンスターと同名モンスターヲ2体マデ殊召喚スル!ワタシハ、デッキヨリ2体ノ『テンタクラスターダークウィップ』ヲ特殊召喚!」
テンタクラスターダークウィップ攻撃表示(ATK100)×3
え!?そのモンスターって機械族だったんだ…どう見ても昆虫族にしか見えないけど。
「サーキットオープン、ワタシハ『テンタクラスターダークウィップ』3体ヲリンクマーカーニセット!リンク召喚成功、出現セヨ『テンタクラスターノーチラス』」
テンタクラスターノーチラスLINK3(ATK0)リンクマーカー左下/下/右下
何かZONEみたいな見た目のやつが出てきたな。
一体どんな効果を持ってるんだ?
「『テンタクラスターノーチラス』ノ効果発動、コノカードガリンク召喚ニ成功シタ時、手札ノテンタクラスターモンスターヲコノカードノリンク先ニ特殊召喚できる、ワタシハ『テンタクラスターボムサッカー』ヲ特殊召喚」
テンタクラスターボムサッカー攻撃表示(ATK400)
「ソシテ、サラニ『テンタクラスターノーチラス』の効果発動、リンク先ノテンタクラスターモンスターヲ破壊スル、コノ瞬間、『テンタクラスターボムサッカー』の効果ニヨリ、コノカードヲ破壊シ、相手プレイヤーニ400ポイントノダメージヲ与エル」
「ぐっ……バーンデッキってことか」
Phantom LP4000→3600
「ワタシハカードヲ1枚伏セテ、ターンヲ終了スル」
「それじゃあ、いくよ!俺のターン、ドロー!」
Phantom手札4→5
「コノ瞬間、墓地ノ『テンタクラスターボムサッカー』ノ効果発動、コノカードヲ除外シ、相手プレイヤーニ400ポイントノダメージヲ与エル」
Phantom LP3600→3200
「墓地からも発動できるのか、厄介だな…」
でも、葵に比べれば大したことないな…葵が相手ならこんな程度じゃすまないからな。
「さてと、まずは…手札から魔法カード、『テラフォーミング』を発動!このカードの効果で、デッキからフィールド魔法を手札に加える!」
これで、デッキの中身を確認できるな…さてと、どれにしようかな。
…このデッキ、ほとんどが魔法カードだ…罠カードも入っているけどほんの少しだ。
しかも、メインモンスターが閃刀姫レイだけか…でも、大体このデッキの特徴はわかったな。
「…俺は、『閃刀空域エリアゼロ』を手札に加えるよ!そして、そのまま発動!そして、カードを1枚セットし、エリアゼロの効果発動!さっき、伏せたカードを1枚を対象として、デッキからカードを3枚めくり、その中に閃刀カードがあれば、手札に加えることができる」
さて、どんなものかな?
めくったカード
閃刀術式アフターバーナー
閃刀起動エンゲージ
閃刀機イーグルブースター
「俺は『閃刀起動エンゲージ』を手札に加える!そして、閃刀カードが手札に加わったことによりさっきエリアゼロの効果で選択したカードは墓地へ送られる」
Phantom手札5→3→4
「さらに、手札から魔法カード、『閃刀術式アフターバーナー』を発動!このカードは自分のメインモンスターゾーンにモンスターが居ない時、フィールド上の表側表示のモンスター1体を対象として発動できる、そのモンスターを破壊する!俺は『テンタクラスターノーチラス』を破壊する!」
アフターバーナーの効果により、テンタクラスターノーチラスが破壊される…墓地に魔法カードが3枚以上あれば追加効果もあったんだけど…まぁ、今は関係ないか。
「さらに、手札から魔法カード、『閃刀起動エンゲージ』を発動!このカードもメインモンスターゾーンにモンスターが居ない時に発動できる!デッキからこのカード以外の閃刀カードを手札に加える!俺は、『閃刀術式ジャミングウェーブ』を手札に加えるよ!さらに、墓地に魔法カードが3枚以上ある時、追加でデッキからカードを1枚ドローできる!」
Phantom手札4→3→2→4
思ったんだけど閃刀起動エンゲージって、強すぎないか?しかもそれ以外の閃刀カードも強力な効果を持っている…本当に何なんだろうな、このデッキ。
まぁ、今はデュエルに集中しよう!
「そして、今手札に加えた『閃刀術式ジャミングウェーブ』を発動!このカードの効果でフィールド上にセットされた魔法、罠カードを1枚破壊する!俺は君のフィールドにセットされた伏せカードを破壊するよ!」
ジャミングウェーブの効果で伏せカードが破壊される、その破壊されたカードは『魔法の筒』〈マジックシリンダー〉だった。
魔法の筒なんか伏せてたのか!?危なかったな…まぁ、バーンデッキっぽいしあり得ない話しじゃないか。
「さぁて、ようやく準備が整った!真打ちに登場してもらうよ!俺は手札から『閃刀姫レイ』を召喚!」
その言葉と共に、軍服を着た長い銀髪の少女が現れる…その少女は手に持っていた刀剣を構え、凛々しくフィールドに立った。
閃刀姫レイ攻撃表示(ATK1500)
「力を貸してもらうよ、レイ!」
『はい、了解です!マスター!」
「あぁ、頼む、よ…?え、今喋った!?」
『はい、言葉を発しましたが?それが何か?」
「えっと…俺は幻覚でも見てるのか?」
『大丈夫ですか!?マスター!ちょっとおでこを触りますよ』
そう言って、レイは顔を近づけ俺のおでこに触れた。
おでこを触られた感触がある…ってことは実体があるってことか?いや、今はそれよりも…
「ちょっ!顔が近いって!特に異常はないから、大丈夫だから!とりあえず、一旦離れてくれ…バランスが崩れる!」
『す、すみません!』
そう言って、レイは顔を赤くしながら、俺から離れていった。
ふぅ、危なかった…それにしても一体何がどうなってるんだ?
『えっと、改めまして…私は閃刀姫レイ、レイと呼んでください!まぁ、マスターはすでにレイと呼んでくださっていますが…』
「あぁ、よろしくな…えっと、レイ…君はカードの精霊みたいなものってことで良いのか?」
『そういうふうに認識してもらって構いません、話すと長くなるので、詳しい話しは後でします…マスター、今はこのデュエルに勝利することを考えましょう!』
「…そうだな!さぁ、いくよ!お楽しみはこれからだ!現れろ、希望を照らすサーキット!アローヘッド確認、召喚条件は炎属性以外の閃刀姫モンスター1体!俺は『閃刀姫レイ』をリンクマーカーにセット!」
『換装!モード選択、閃滅モード!』
そう言葉を紡ぎながら、レイは赤き装甲を纏っていく。
「サーキットコンバイン!リンク召喚!現れろ!リンク1、『閃刀姫カガリ』!!」
閃刀姫カガリLINK1(ATK1500)リンクマーカー左上
「そして、閃刀姫カガリが特殊召喚に成功した時、墓地の閃刀魔法カードを手札に戻す!俺は、墓地の『閃刀起動エンゲージ』を手札に戻す!そして、そのまま発動!このカードの効果でデッキから『閃刀機ウィドウアンカー』を手札に加え、さらに1枚ドロー!」
Phantom手札2→3→2→4
「そして、カガリは墓地の魔法カードの数×100ポイント攻撃力がアップする!俺の墓地の魔法カードは5枚、よって、攻撃力が500ポイントアップする!」
『はぁぁっ!!』
閃刀姫カガリLINK1(ATK1500→2000)リンクマーカー左上
「まだまだいくよ!俺はさらに手札から魔法カード、『一騎加勢』を発動!このカードの効果でカガリの攻撃力を1500ポイントアップする!さらに、墓地の魔法カードが増えたことで攻撃力がさらに100ポイントアップする!」
『感じます!マスターの力を!はぁぁっ!!』
閃刀姫カガリ(ATK2000→3600)
「お楽しみはこれまでだ!『閃刀姫カガリ』でダイレクトアタック!」
『目標、駆逐します!せいやぁぁ!!』
AIデュエリストB LP3500→-100
カガリがAIデュエリストに斬撃を浴びせ、AIデュエリストのライフが0になった。
「ふぅ、何とか勝てたな…」
初手を見た時はどうなることかと思ったな……それにしても、結局何がどうなってるんだろうな…まぁ、詳しくはレイに聞いてみるか。
『さすがはマスターですね!初めて使うデッキをあそこまで使いこなせる人はなかなか居ないですよ!』
レイはさっきまでしていた装甲を解除し、笑みをうかべながら、そう言った。
「今回は運が良かっただけだよ…テラフォーミングがなかったら、デッキの内容もよくわからないままだったろうし……それで、レイ…詳しく話してくれないか?」
『はい、実は…』
レイはそう言って、自分が誕生した経緯について語り始めた…
といった感じの第33話でした!
侑哉君が新たなカード、閃刀姫を手にいれましたね!
閃刀姫が何故、侑哉君のデュエルディスクに混ざっていたのか?それは、次回までのお楽しみです。
それでは、今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございました!