遊戯王VRAINS 幻影の咆哮~青き天使との日常~   作:kajoker

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第21話です!

最近、勢い余って書き進めることが多いので、色々とミスをしていないか心配な今日この頃です…

それにしても、もうすぐ今年も終わりですね…時間が経つのは早いというか何というか…

この小説を読んで下さっている皆様、本当にありがとうございます!

これからも不定期更新になると思いますが楽しんで頂ければ幸いです。

それでは本編をどうぞ!



第21話 受け継がれる力

「ぐわぁぁぁぁ!!」

 

Phantomとブルーエンジェルのデュエルを観戦していると、Phantomの叫び声が響き渡り、思わず目を疑う。

 

「一体何が起こった?」

 

『多分、ハノイのカードを使ったせいだな』

 

俺の疑問に答えるようにAiがそう答える。

 

「待て、Phantomはハノイのカードをコストに使用しただけだぞ…それだけで…」

 

『それだけ強力ってことだろうな、その証拠に今、Phantomのハノイの気配がどんどん強くなってる』

 

確かに、それは俺も感じていた…だから、Aiの言っていることは本当なんだろう。

 

だが、今の俺達には何もできない…

 

「今はこのまま、見ているしかないのか…」

 

////////////

 

 

 

「Phantom!」

 

目の前で苦しそうに声を上げる侑哉にそう声を掛ける。

 

それでも、侑哉から返事は返ってこなかった。

 

どうして?何で、こうなっちゃったの?

 

確か…私のデッキにいつの間にか入っていたあのカードを侑哉がコストとして使ってから、急に侑哉が苦しみだして…

 

ーーーーーなら、今、侑哉が苦しんでいるのは…

 

「私の…せいだ…私のせいで侑哉が…!」

 

「…じゃない」

 

「え…?」

 

「お前のせいじゃない…!」

 

私の小さな呟きに思わぬところから返事が返ってきた。

 

「Phantom…?大丈夫なの?」

 

「うん…見ての通り、ピンピンしてるよ…ははっ」

 

そう言って侑哉は力なく笑った。

 

どう見ても大丈夫には見えない…私を心配させないために笑みを浮かべているのかもしれないけど、とても辛そうに見える。

 

「無理しないで…」

 

「ははっ…まぁ、そうしたいのはやまやまだけど…」

 

そう呟いて、また辛そうな顔をする。

 

「…時間切れかもしれない」

 

「え…?どういうこと?」

 

侑哉の呟いた言葉に思わず聞き返す。

 

時間切れ…?一体何が…

 

「後は、頼んだよ…葵」

 

侑哉は私にだけ聞こえる声でそう言って、糸の切れた人形のように動かなくなってしまった。

 

「Phantom…?」

 

「……俺は、カードを1枚伏せて、カードカーDを召喚、そしてカードカーDをリリースして2枚ドロー!そして、このまま強制的にエンドフェイズに移行する…さぁ、お前のターンだ、ブルーエンジェル」

 

しばらくして、再び動き始めた侑哉がとった行動はデュエルの続行だった。

 

何で…?これ以上続けたら侑哉が壊れちゃうかもしれないのに…それに、いつもの侑哉と様子が違う。

 

侑哉はあんなに淡々とデュエルしない…いつも楽しそうにデュエルをするはず…

 

まるで人が変わったみたい……まさか!?

 

「…誰かに操られてる?」

 

原因は間違いなくあのカードだ…あのカードのせいで侑哉が…!

 

もしかして、侑哉の言っていた時間切れって…自我がたもてなくなる、ってこと?

 

「どうした?いつまで考えごとをしている」

 

「…っ!私のターン、ドロー!」

 

 

ブルーエンジェル LP2750

手札2→3(内2枚、トリックスターキャンディナ、オッドアイズ・ファントム・ドラゴン)

 

場なし

 

伏せなし

 

Pゾーンなし

 

フィールド魔法 トリックスターライトステージ

 

 

 

Phantom LP1800

手札2

 

場なし

 

伏せ1

 

Pゾーン クリアウイング・ファスト・ドラゴン(スケール4)

 

 

 

とにかく、今は早くこのデュエルを終わらせないと!

 

待ってて、侑哉…絶対に助けるから!

 

「私は『トリックスターライトステージ』の効果を発動!Phantomの伏せカードをこのターンの間発動できなくする!」

 

「なら、その発動に対してリバースカードを発動させてもらう、永続罠、『ペンデュラムスイッチ』!このカードの効果でPゾーンのモンスターを1体特殊召喚できる!」

 

「Pゾーンのモンスター…まさか!?」

 

「ご名答、俺はPゾーンの『クリアウイング・ファスト・ドラゴン』を特殊召喚する!」

 

クリアウイング・ファスト・ドラゴン攻撃表示(ATK2500)

 

「そんな…!」

 

再び現れた、白き竜に思わず驚きの声を溢す。

 

まずいわね…今の私の手札にクリアウイングを倒せるカードは侑哉から渡されたオッドアイズだけ…

 

しかも、ペンデュラムスイッチがある限り何度でもクリアウイングは蘇る。

 

「くっ、私は手札から『トリックスターキャンディナ』を召喚!そして、キャンディナの効果で…」

 

「手札の『エフェクトヴェーラー』の効果!このカードを墓地へ送り、キャンディナの効果を無効にする」

 

「キャンディナの効果まで…」

 

キャンディナのサーチ効果まで無効にされるなんて…でも、まだチャンスはある。

 

「なら、私は手札から魔法カード、『強欲で貪欲な壺』を発動するわ!デッキトップから裏側で10枚除外して2枚ドローする!」

 

ブルーエンジェル手札2→1→3

 

「…!このカードは…」

 

このカードなら、運が良ければこのターンで決められるかもしれないわね。

 

「良いカードは引けたのか?」

 

「そうね…上手くいけばこのターンであなたを倒せるわ!」

 

「それは、楽しみだな…では、見せてもらおうか」

 

そう言って、侑哉は少し笑みを浮かべる。

 

…もしかして、少しだけど元の侑哉に戻りつつあるのかもしれない。

 

なら、私のやることは一つ…このまま侑哉を助ける!

 

「私は手札から魔法カード、『手札抹殺』を発動!お互いに手札を全て墓地に送り、墓地に送った枚数だけデッキからカードをドローする!」

 

「ちっ…!」

 

お互いに手札を墓地に送り、デッキからカードをドローする。

 

侑哉は良いカードを墓地に送られたのか、少し残念そうな表情をしている。

 

問題はこれからね…ここで、狙い通りのカードを引けるかどうか…それに懸かってる。

 

私は侑哉みたいに、狙い通りのカードを引けるほどの引き運を持っている訳じゃない…まぁ、そんなこと言ったら、侑哉が『葵…それ本気で言ってる?』、とか言いそうだけど。

 

「ふふっ!」

 

侑哉とのやりとりを想像するだけで、何だか楽しくなってくる。

 

それと同時に、不思議と心が軽くなる…きっと何とかなる、そんな気がしてくる。

 

私はそんな風に思いながら、デッキからカードを引いた。

 

「……これなら!さぁ、いくわよ、Phantom!お楽しみはこれからよ!」

 

「…うっ!くっ…俺は…」

 

私の言葉に侑哉がわずかに反応を見せる。

 

やっぱり、元の侑哉に戻りつつあるんだ…なら、後は最後の一押しをするだけ。

 

「私は手札から魔法カード、『死者蘇生』を発動!このカードの効果で墓地のオッドアイズ・ファントム・ドラゴンを特殊召喚する!」

 

オッドアイズ・ファントム・ドラゴン攻撃表示(ATK2500)

 

二色の眼の竜が現れる、いつもは侑哉と一緒に戦い、どんな時でも必ず侑哉が召喚していた…まさに、侑哉を象徴するモンスター。

 

「お願い、力を貸して!侑哉を助けるために!」

 

オッドアイズは私の声に応えるように咆哮を上げた。

 

「オッドアイズ…!ぐっ、ぐわぁぁぁぁ!!お、俺は…俺、は…」

 

「Phantom!…さらに、私は手札から魔法カード、『受け継がれる力』を発動!このカードの効果で私は『トリックスターキャンディナ』をリリースして、その攻撃力分だけオッドアイズの攻撃力をアップする!」

 

オッドアイズ・ファントム・ドラゴン攻撃表示(ATK2500→4300)

 

これで終わらせる!

 

「バトルよ!オッドアイズ・ファントム・ドラゴンでクリアウイング・ファスト・ドラゴンに攻撃!夢幻のスパイラルフレイム!!」

 

私の思いを込めた攻撃はクリアウイングを破壊し、侑哉のライフを0にした。

 

Phantom LP1800→0

 

 

 

「Phantom!」

 

デュエルを終えて、力なく地面に落下していく侑哉を慌てて助け出し、近くの建物に寝かせる。

 

「侑哉…お願い!起きて!」

 

そして、今だに、眠ったまま目を覚まさない侑哉に必死に声を掛ける。

 

でも、どれだけ声を掛けても体を揺らしても反応がなかった。

 

「ブルーエンジェル!そこをどけ!」

 

「playmaker…!?」

 

私が侑哉に声を掛けていると、playmakerがどこからともなく現れた。

 

『ハノイのプログラムは俺が喰う!』

 

そんな声がデュエルディスクから聞こえたかと思うと、ディスクから怪物のような姿をした何かが姿を現した。

 

「これは…?」

 

一瞬、何が起こったのかわからずに放心していると、その怪物のような姿をしたものはディスクにもどっていった。

 

「ねぇ、Phantomはどうなったの?」

 

正直、気になることは色々とあるけど、今は侑哉の安否の方が心配だったから、そう尋ねた。

 

「…俺にもわからない、ハノイのプログラムは確かにこいつが喰った…それでも目を覚まさないとなると何か別の原因があるのかもしれない」

 

「そんな…!じゃあどうすれば…」

 

playmakerの言葉に、心が折れそうになる。

 

…侑哉が目を覚まさない?そんなのって…

 

「ねぇ、侑哉…お願いだから目を覚まして…!」

 

「侑哉……だと!?」

 

『おいおい、それって…!』

 

playmakerが何かを言っているが、まるで耳に入ってこない。

 

そんなことを気にしている余裕なんて今の私にはない。

 

どうすれば…どうすれば侑哉を助けられるの?

 

そんなことばかりが頭の中で渦巻いていたから。

 

『playmaker!これ以上はヤバいぞ!』

 

「くっ…ログアウトする!」

 

 

「あ…そうだ、まずはログアウトしないと…」

 

playmakerのログアウト宣言を聞いて、ようやく現実へと引き戻される。

 

まずは、ログアウトして侑哉を病院に連れて行かなきゃ…

 

「その前に侑哉を安全な場所に連れて行かなきゃ…」

 

侑哉をここで寝かせたままなのはさすがに危ない…私はそう考えて、歩き始めた。

 

 




といった感じの第21話でした!

侑哉が意識不明の状態に……次回からは少し鬱展開になりそうな気がします…

侑哉がこんな状態で、果たしてどうなってしまうのか?

それでは今回はここまで、ここまでの拝読ありがとうございます!

それでは皆様、良いお年を!

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