遊戯王VRAINS 幻影の咆哮~青き天使との日常~   作:kajoker

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今回はUA3万5千突破記念の話しです!

内容はタイトルにある通り侑哉の家でデートする話しです。
何だか書いている内に思ったより長くなってしまい、前編と後編に分ければ良かったと今さらながらに思ったりしています…まぁ、書いてて楽しかったので後悔はしてませんが…

それでは本編をどうぞ!!




UA3万5千突破記念!お家デート 侑哉編

「侑哉、片付けは終わった?」

 

「うん、今終わったよ…これで大丈夫かな?」

 

家の掃除を一通り終わらせ、ソファに腰掛ける。

 

思ったよりも掃除をする箇所が少なく予定よりも早く終わった。

 

「いよいよね!あ、安心して邪魔はしないから!思う存分イチャイチャしてて良いわよ!」

 

「はいはい、わかったよ…」

 

相変わらずだな、花恋は…まぁ、俺も楽しみなのは間違いないけど。

 

ピンポーン!

 

俺がそんなことを思っていると部屋にインターホンの音が響いた。

 

「ちょっと、出てくるよ…」

 

「うふふ、行ってらっしゃい!」

 

花恋はニヤニヤしながら、俺に玄関に行くように促した。

 

わかっちゃいたけど、からかう気満々じゃないか……とりあえず、気にしないようにしよう。

 

俺はそう考え、玄関に向かって歩を進めた。

 

 

「いらっしゃい!葵!」

 

「うん、お邪魔するわね…侑哉!」

 

そう、今日は葵が俺の家に来る日…前に葵と約束したお家デートの日だ。

 

/////////////

 

「侑哉の部屋に入るのって久しぶりな気がするわね」

 

「まぁ、確かにそうかもな…そういえばこの部屋で葵に看病してもらったっけ…」

 

「そうそう、それで今度は私が風邪を引いて、侑哉に看病されることになったのよね…」

 

「うん、あの時は大変だったよ…あ、そこのベッドに座ってゆっくりしてて…何か飲み物持ってくるよ」

 

「うん、ありがとう!」

 

侑哉は気にしないで良いよ、と言って下に降りていった。

 

「それにしても…侑哉って几帳面なのね」

 

侑哉の部屋はきちんと整理整頓されていて、ところどころにカードの束が置かれていた。

 

何と言うか、侑哉らしい部屋って感じがする。

 

「そう言えば、このベッドって侑哉が使ってるやつなのよね…」

 

……って、ダメよ!そんなことしたら変態にしか思われないわよ!

 

いや、でも侑哉がいない今しかチャンスがないし…

 

ちょっとベッドに入るぐらいなら大丈夫よね?

 

結局、欲望には抗えずベッドの中に潜りこんだ。

 

「ふぁぁぁ…!」

 

何だろう、これ……ベッドから侑哉の匂いがしてすごく落ち着く。

 

何だか侑哉に抱きしめられてるみたい…

 

「侑哉…ふふっ!」

 

「お待たせ、葵……?どうしたんだ、ベッドに潜りこんで…」

 

「ふぇっ!?ゆ、侑哉!い、いつからそこに?」

 

「えっと、ついさっきだけど…本当にどうしたんだ?葵」

 

もしかして侑哉に見られた?ど、どうしよう…

 

「えっと、侑哉…これは、その…侑哉のベッドが気持ち良さそうだったから、ちょっと寝てみたくなって…」

 

我ながら、苦しい言い訳だと思う…こんな嘘、誰も信じるわけーーーーー

 

「なるほど、そうだったのか…それで寝心地はどうだった?」

 

「え…?えっと、すごく気持ち良かった…」

 

「そっか、それは良かった…あ、麦茶ここに置いとくよ」

 

「う、うん…ありがとう」

 

もしかして侑哉、今の嘘を信じちゃったの…?それとも分かってて、あえて黙っていてくれてるのかな?

 

……とりあえず、麦茶を飲もう。

 

私はベッドから起き上がり、侑哉の持ってきてくれた麦茶を口に運んだ。

 

「ふぅ…おいしい」

 

「確かにおいしいな…そう言えば、葵の家でお家デートした時もこうやって麦茶を飲んだな」

 

「そ、そうね……そういえば、前に来た時も思ったけど侑哉っていっぱいカードを持ってるけどどれくらい持っているの?」

 

まだ完全に落ち着かない心を落ち着かせるために、そう話題を振る。

 

「うーん、数えたことはないけど千枚ぐらいはあるんじゃないかな?」

 

「千枚も!?…でも、確かにそれだけあれば侑哉が色んな戦術をデッキに組み込めてるのも納得できるわね」

 

侑哉はデュエルの時にデッキの内容が変わっていることがある。

 

といっても全体的な変化ではなく、一部のカードを入れ替えることで、戦術のバリエーションを増やしている。

 

そして、その様々な戦術を手足のように使いこなせるから侑哉は強い。

 

「まぁ、そうだね…まだまだ見せていない切り札もあるし、当分はネタ切れにならないと思うよ」

 

そう楽しそうに話す侑哉を見て、思わず笑みが零れる。

 

「侑哉って本当にデュエルが大好きなのね…」

 

「まぁ、そりゃあね…小さい頃からずっとやってたしな」

 

「私とデュエルだったらどっちが好き?」

 

「えっ!?急にどうしたんだ?」

 

侑哉を少しからかうつもりでちょっと意地悪な質問をする。

 

侑哉は少し慌てたような反応をした後で、こう言った。

 

「…葵、だな…確かにデュエルも大好きだけど葵のことはもっと好きだからな」

 

「そ、そう…あ、ありがとう…」

 

ちょっとした冗談だったのに真面目に答えられてしまい、何だか恥ずかしくなって顔をそむけた。

 

本当に、侑哉ってズルい……でも、私はそんな侑哉が大好きなのよね。

 

「ふふっ…!」

 

「葵…?何で笑ってるんだ?」

 

「私はやっぱり、侑哉のことが大好きなんだなって、思って…」

 

「そ、そっか…何か照れるな…」

 

侑哉は少し照れくさそうに、そっぽを向きながらそう言った。

 

でも、それも少しの間だけで侑哉はすぐに私の方に向き直った。

 

「俺も、大好きだよ…葵」

 

瞬間、唇に柔らかい感触が襲った。

 

「侑哉…いきなりは反則よ…」

 

キスされた、そう理解するのに時間は掛からなかった。

 

多分、今の私は顔が真っ赤になっていると思う…だって触らなくても顔が熱いのがわかる。

 

「葵には言われたくないな、普段は葵の方が不意打ちでキスしてくるだろ?これはちょっとしたお返しだよ…」

 

「なら…」

 

そう言って、今度は私の方から侑哉にキスをする。

 

「これで、また侑哉にお返しでキスしてもらえるわね…」

 

私は侑哉をからかうようにそう言った。

 

けれど、そう言いつつ内心では恥ずかしい気持ちでいっぱいだった。

 

でも、そんな恥ずかしささえも心地良かった。

 

「……やれやれ、葵には敵わないな」

 

私が言った言葉に侑哉は苦笑しつつ、そう呟いた。

 

「ねぇ、侑哉…今度は不意打ちとかじゃなくてちゃんとしたキスをしてくれない?」

 

「…うん、わかったよ…それじゃあ葵、こっち向いて」

 

「う、うん…」

 

侑哉に促されるまま、顔を向ける。

 

「侑哉…」

 

「葵…」

 

お互いの名前を呼び、そのままキスを交わす…それはほんの少しの時間のはずなのにとても長く感じられた。

 

「これからもよろしくね…侑哉…」

 

「もちろん!こちらこそよろしくな…葵」

 

//////////////

 

 

「ふぅ、美味しかった!さすがは侑哉、料理上手ね!」

 

「シチュー作っただけだけどな…まぁ、口にあったなら良かったけどさ…葵はどうだった?美味しかったか?」

 

「うん!美味しかったわよ!」

 

「そ、そっか…なら良かった」

 

葵の一言にホッと胸を撫で下ろす。

 

もし、これで不味いとか言われたら心が折れるところだったな…

 

葵とゲームをしたり、デュエルをしたりしている間に気付けば夕方になっていた。

 

それで慌てて夕飯の用意をして、今に至る。

 

夕飯の用意は葵も手伝ってくれたおかげでそこまで苦労せずにすんだ。

 

まぁ、途中で花恋に『こうして見るとさながら夫婦みたいね!』と、からかわれて二人して赤面してしまったけど…

 

「葵ちゃん、お風呂が沸いたみたいだけど先に入ってきたら?」

 

俺が皿洗いをしながらそんなことを思っていると、花恋が俺の隣で皿洗いの手伝いをしてくれている葵にそう声を掛けた。

 

「今は侑哉の手伝いをしているので、後でで大丈夫です!」

 

「気を遣わなくて良いって、後もう少しで皿洗いも終わるから、葵は先に入っても大丈夫だよ」

 

実際、後は俺一人でもできる量しか残っていないから葵に無理に気を遣わせることもないしな…

 

「ありがとう、侑哉…それじゃあお言葉に甘えて先に入らせてもらうわね」

 

葵はそう言って、エプロンを外してお風呂場へと歩を進めた。

 

「葵ちゃんのエプロン姿似合ってたわね」

 

「うん、すごく似合ってた……って、何言わせんのさ!」

 

葵が出ていったの見計らって、そんなことを呟く花恋に思わずそう言い返す。

 

というかあまりにも自然に聞かれたせいで普通に返してしまった…まぁ、今さら遅いけど。

 

その後も花恋と他愛ない会話を交わし、気付けば皿洗いも終わっていた。

 

「さて、と何しようかな…」

 

「そういえば侑哉、葵ちゃんはどこで寝るの?言っておくけど私の部屋はなしだから…」

 

「えっ?花恋の部屋にしようと思ってたんだけどダメなの?」

 

「当たり前でしょ、これは私なりの気遣いよ…侑哉が葵ちゃんと思う存分イチャイチャできるようにね!」

 

「……」

 

えっと、つまり花恋は葵を俺の部屋で寝かせろと…そう言いたいわけか。

 

「いや、俺は構わないけど…葵が嫌がるんじゃ…」

 

「それはないわよ!これは断言できる!!絶対に大丈夫!!」

 

「お、おう…」

 

すごい剣幕で俺に詰め寄る花恋に思わずたじろぐ。

 

ここまで必死に言うなら大丈夫、なのか…?

 

「わかったよ、葵は俺の部屋に泊めるよ」

 

「それでよし!ところで侑哉、聞きたいことがあるんだけど…」

 

「聞きたいこと?何だよ?」

 

「そろそろ侑哉と葵ちゃんの馴れ初めを聞きたいんだけど…」

 

「俺、今から布団を用意してくるよ、葵が俺の部屋で寝るなら自分の布団を用意しなきゃいけないし」

 

俺がそう言って立ち上がろうとすると、花恋に思いっきり引っ張られてしまった。

 

「逃がさないわよ!さぁ、いいから話しなさい!」

 

「だが断る!」

 

「話してくれないとデュエルディスクに爆弾仕込むわよ?」

 

「爆弾!?」

 

いや、さすがにそれはシャレにならないって…!しかも、花恋ならそれができそうで怖い。

 

しょうがない…ここは大人しく話すか。

 

「わかった、話すよ…」

 

「ありがと!じゃあさっそく侑哉と葵ちゃんの出会いについて話して!」

 

「俺と葵が初めて会ったのはLINK VRAINSで俺がブルーエンジェルにデュエルを申し込んだときだな」

 

「そういえば初めてLINK VRAINSに行ったときにブルーエンジェルとのデュエルが楽しかったって言ってたわね…なるほど、その時に」

 

花恋は少し納得したように頷きながら、そう言った。

 

「そうそう、それがきっかけでよくブルーエンジェルと話すようになったんだよ……それから学校で葵と出会って一緒にデュエル部を作って、それで一緒に居る時間がどんどん増えていったんだよな…」

 

そして、葵と恋人になって、俺にとって一番大切な人になったんだよな。

 

「侑哉って、本当に葵ちゃんのことが好きなのね…ねぇねぇ侑哉は葵ちゃんのどんなところが好きになったの?」

 

「ここで言わなきゃダメなのか?」

 

「当たり前じゃないの!ほらほら、言ってみなさいよ、このこの!」

 

花恋はテンションが高くなっているのか、肘で俺をつつきながらそんなことを言った。

 

何でこんなにテンション高いんだよ…やっぱり女の人ってこういう話しが好きなのか?

 

正直恥ずかしいけど話すしかないか…

 

「そうだな…まずは笑顔が可愛いところ、かな…葵の笑った顔ってすごく可愛いんだよ、その笑顔を見ると何だか嬉しくなってさ、もっとこの笑顔を見ていたいって思うんだ…」

 

「……葵ちゃんが聞いたら赤面間違いなしの発言ね…それで、他には?まさかそれだけじゃないでしょ?後、それを話す前にブラックコーヒーを入れてね」

 

「何故にブラックコーヒー?まぁ、良いけどさ…ちょっと待ってて」

 

俺はそう言って、いつの間にか用意されていたコーヒーをカップに注いだ。

 

本当にいつの間に用意してたんだ?

 

俺はそんなことを思いながら花恋にコーヒーを手渡した。

 

「ありがと、それじゃあ続きを話して!」

 

「えっと、他には優しいところとか、意志が強いところかな…葵って意志が強いというか頑固というか…」

 

「そうなの?」

 

「そうだよ…ハノイの騎士が攻めてきた時に俺が囮になるから隠れてて言ったんだけど、私も行くって聞かなくてさ…」

 

「へぇ~、そんなことがあったの…それで侑哉はどうしたの?」

 

「手伝ってもらったよ…正直、危ない目に遭わせたくはなかったけど、葵を信じて頼ろうと思ったから」

 

それにあのまま俺が隠れていろと言っても多分聞かなかっただろうし。

 

「葵は、優しくて意志が強くて、頼りになって、それと同じくらいに脆いところもあって…そんな葵の色んなところを知るたびにもっと一緒に居たくなって…もっと好きになっていったんだよ…」

 

「……」

 

俺が言い終えると、花恋が無言でブラックコーヒーを飲み干した。

 

……あれ?今さら思ったけど俺、今とんでもなく恥ずかしいことを言わなかったか?

 

うわぁぁぁぁ!!自覚したらめっちゃ恥ずかしくなってきた!

 

「…そういうことをさらっと言えるなんて…我が弟ながら恐ろしいわね……葵ちゃんが羨ましいわ」

 

「うぅ…穴があったら入りたい…」

 

羞恥心から、思わず顔を両手で覆う。

 

それと、ほとんど同じタイミングで俺に向かって何かが抱きついてきた。

 

「えっ、葵…?」

 

抱きついてきたのは葵だった…シャンプーの良い香りが広がり、お風呂から上がったばかりのせいか頬がほんのり赤くなっているのが目に見えてわかる。

 

え?どういうことだ…何で急に抱きつかれてるんだ?

 

ま、まさか…!

 

「なぁ、葵…もしかして今の話し聞いてた?」

 

俺がそう尋ねると葵は肯定するように頷いた。

 

ま、マジか…今話したこと全部聞かれてたってこと!?

 

すごい恥ずかしいんだけど!どうしようまともに顔を合わせられない…

 

「まさか、葵ちゃんが聞いていたなんて……とりあえず、私は邪魔者みたいだから失礼するわね!それじゃあ侑哉…ごゆっくり!」

 

「ちょ、ちょっと待って!この雰囲気なんとかしてよ!」

 

俺のそんな叫びはとどかず、花恋は一目散に部屋を出ていった。

 

「……ちなみにどこから聞いてたんだ?」

 

「…花恋さんが侑哉に私のどこを好きになったのかって聞いたところから…」

 

「そ、そっか…さすがに恥ずかしいな…」

 

そこからか…まぁ、でもあれは本心だし嘘をついてるわけじゃないから、問題はないんだけど…

 

やっぱり恥ずかしいな…

 

「侑哉…」

 

「えっ、葵…」

 

葵に腕を引っ張られ、体勢が崩れる…そのまま葵を押し倒すような体勢になる。

 

え?どういう状況だ、これ…とりあえず、体勢を戻さないとーーーーー

 

「私は侑哉になら、何をされても良いわよ」

 

体勢を戻そうとする俺に葵がそんなとんでもないことを口にした。

 

「葵!?どうしたんだ?急に、そんなこと言うなんて…」

 

「侑哉が悪いのよ…あんなこと言われたら誰でも嬉しくて舞い上がっちゃうわよ…」

 

恥ずかしそうに目を反らしながら葵はそう言った。

 

…つまり、俺が言った言葉が嬉しくて、こんな状態になったってことか…何か嬉しいような、恥ずかしいような…

 

「私も侑哉が大好き…優しくて、頼りになって、でも、ちょっと抜けてるところもあって…デュエルを心から楽しんでいる侑哉が…大好き」

 

「そして、私を財前 葵という一人の女の子として見てくれた、侑哉が大好き…」

 

「葵……俺も愛してるよ」

 

葵の顔が徐々に近づいてくる、やがて葵の吐息が間近に聞こえるぐらいに近くなる。

 

そして、そのままーーーーー

 

「そういえば忘れ物をしちゃったのを忘れて…たわ…ね

……」

 

その直後、花恋が部屋に入ってくる音が聞こえた。

 

しばらくの静寂、そんな静寂の中で花恋が声を上げた。

 

「ご、ごごごごめんね!!まさか、そんなことになってるなんて思わなかったから!!私、邪魔者みたいだから失礼するわね!!本当にごめん!!」

 

そう言って、花恋はまたまた一目散に部屋から出ていった。

 

その後、急に恥ずかしくなってお風呂に入りにいったが、心臓の鼓動の早まりは治まってくれず、結局夜もなかなか寝つけなかった。

 

 




といった感じの侑哉の家でのデート回でした!

次回からはいよいよあの回に近づいていきます、果たして侑哉は葵ちゃんを助けられるのか?

それでは今回はここまで、ここまでの拝読ありがとうございます!

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